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No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
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[13840] 第51話 ヤオ子の秘密
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:51
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 目的地に着き、カカシは報告へ行っている。
 縛られていた賊も無事に連行された。


 「一件落着ですね」


 待機中の場所でサクラが、ヤオ子に話し掛ける。


 「事後報告とかで、もう夕方ね」

 「木ノ葉に戻る時は、日付けが変わってますね」

 「帰れるの?」

 「…………」


 そこに要人の結果を聞いたカカシが戻って来た。



  第51話 ヤオ子の秘密



 カカシが少し離れた宿を指差し、ヤオ子とサクラに話し掛ける。


 「今日は、あそこの宿に泊る」

 「結構、立派な宿ですけど?」

 「依頼主からのお礼も兼ねてる。
  無事に守り通せたからな」


 ヤオ子とサクラが、ホッと息を吐く。


 「じゃあ、無事に着いたんですね」

 「ああ」

 「よかったですね」

 「オレ達の作戦も役に立ったみたいだ」


 安堵の空気が漂うと、ヤオ子がカカシとサクラに話し掛ける。


 「今だから言いますけど……。
  結構、演技臭かったですよね?」

 「やっぱり?」

 「即興で演じたにしては、いい出来だと思ったけど?」

 「オレも途中、無理かと思った……。
  だって、普通、あの状況なら黙って立ち去るだろ?
  それをわざわざ森まで届く声で会話するんだから」

 「冷静に言われるとそうですね」

 「何でも、やってみるもんだな」


 三人は一頻り話し終わると、宿へと向かった。


 …


 深夜……。
 ヤオ子はサクラと同じ部屋で熟睡している。
 一方のサクラは、部屋を出てテラスから月を眺めていた。


 「眠れないのか?」


 サクラが目を向けると隣の部屋のテラスから、カカシが声を掛けていた。
 サクラがカカシの居るテラスに近づく。


 「ちょっと、月が明るかったんで」

 「ああ……。
  満月だからな」

 「カカシ先生……」

 「うん?」

 「ヤオ子って……。
  どういう子なんですか?」

 「どうしたの?」

 「ヤオ子の使った忍術……。
  アカデミーを出たばっかりの子が使うようなものじゃありません」

 「サスケにでも習ったのかな?」

 「サスケ君?
  でも、期間は短いですよ?」

 「だとしたら……。
  血筋かもしれないな」

 「血筋?」

 「あの子……。
  エリート忍者の血を引いているんだよ」

 「エリート?
  そうは見えないんですけど……。
  血継限界でも受け継いでいるんですか?
  ウチハ一族みたいに」

 「いや」

 「じゃあ……」

 「エリートと言っても色んな例えがあるでしょ?
  木ノ葉丸君を教えているエビス先生はエリート専門の家庭教師だし、
  普通に血継限界を受け継いでないエリートも居るよ」

 「そうか……。
  でも、エリートの血筋って?
  ・
  ・
  というか、何で、カカシ先生がヤオ子の素性を知っているんですか?」

 「色々とトラブルを起こすからさ。
  少し気になって調べてみたんだ。
  そうしたら、色んなことが出てくるんだ……これが」

 「色々?」

 「そう。
  ・
  ・
  血筋……。
  都市伝説……。
  恋愛……。
  変態……」

 「変なキーワードが入ってます……。
  何? 『都市伝説』と『変態』って?」

 「どこから話そうかな……。
  掻い摘めないから、初めから話すか……」

 「お願いします」

 「ヤオ子の母親は……。
  代々、優秀な忍者を輩出している家の出身なんだ。
  天才と言われる忍者を何人も出している」

 「天才……。
  天才忍者……」

 「違う。
  『天才忍者』じゃない『天才』」

 「何が違うの?」

 「身体能力は、普通の忍者と同じ。
  ここの出来が違うの」


 カカシが頭を指す。


 「どういうことですか?」

 「頭の記憶力と応用力が抜群に上手いんだ。
  あの子、サクラのやった中忍試験を解いたからな」

 「本当ですか?」

 「ああ。
  母方の家系は、十歳ぐらから脳が普通の人間より活発になる。
  そして、二十歳ぐらいまで活性化し続けるんだ」

 「変な家系ですね?」

 「まあ、突然変異みたいなものらしいが、詳しくは分からない。
  伝わっている話だと、忍の生き方のせいという線が強いな。
  例えば、忍術を理解して使えるのは早い方がいいだろう?
  術を覚えてから、使いこなすには長い修行が必要だから。
  つまり、忍として必要な知識を早期に詰め込むために進化した忍の家系なんだ」

 「ふ~ん……」

 「まあ、そういう家系だから、
  暗号解読班や医療忍者など、知識を使う忍になるのが大半だ」

 「ヤオ子って……違いますよね?」

 「母親からして違うからな。
  家系と外れて、普通の忍だったし……。
  ・
  ・
  それに、ヤオ子に至っては十歳前だしなぁ……。
  話しを聞く限りでは、あの家系はあの歳で勉強をしないはずなんだけど。
  脳も子供から大人に切り替わってないはずだし……」

 「死に関わる危機に遭遇して
  眠っていた能力が目覚めたとか?」

 「どうなんだろう?」


 正解。
 極貧状態で、時々、見せていた能力がサスケに家を焼かれそうになって開花し始めた。


 「でも……。
  ヤオ子の両親って……聞く限り馬鹿なんですけど?」

 「まあ。
  ヤオ子、本人も認めていることなんだけどね。
  ・
  ・
  母親の血筋だけはエリートなんだわ」

 「はあ……。
  ・
  ・
  父親は?」

 「大器晩成型だな。
  コツコツ積み上げていくタイプだ。
  少年時代の始めの成績は、ナルトのアカデミーといい勝負だ」

 「ナルト?
  ナルトの成績って……」

 「そう。
  万年ドベだ」


 サクラが腕を組んで考える。


 「天才と落ち零れ……。
  サスケ君とナルトみたい……」

 「でも、この二人は夫婦になる」

 「サスケ君とナルトは、夫婦になれないか……」

 (でも、ファーストキスは……)


 サクラが溜息を吐いた。
 カカシは首を傾げて、話を続ける。


 「両親の素性は、そんなところだ。
  この正反対の二人がどういった経緯で夫婦になるかは、
  木ノ葉に伝わる都市伝説をいくつか紐解くとわかる」

 「その都市伝説っていうのが気になるんですよ」

 「サクラは『里の狂姫』の伝説を知っているか?」

 「有名な二つは知っています。
  一つが愛に狂ったくノ一。
  もう一つが男に狂ったくノ一。
  ・
  ・
  あとは……世にも恐ろしい変態ストーリーで耳を塞ぎました」

 「はは……。
  ・
  ・
  実は、その『里の狂姫』が、ヤオ子の母親なんだ」


 サクラが吹いた。


 「嘘!?」

 「本当……」

 「何で、天才が変態になるの!?」

 「サクラの知ってた二つの伝説。
  その男も同一人物でヤオ子の父親だ」


 サクラが吹いた。


 「何で、被害者と加害者が夫婦になるの!?」

 「そこが世の流れの恐ろしいところだ。
  二人はアカデミーの同級生で、どっちも一人ぼっちだった」

 「一人ぼっち……」

 「ヤオ子の母親は、優秀過ぎて誰も声を掛けれなかった。
  周りの子の態度が余計にヤオ子の母親をイラつかせてね。
  遂に周りの人間を見下して生活する子になってしまった。
  一方のヤオ子の父親は、万年ドベで誰にも相手にされない。
  簡単に言うとイジメの対象で無視されたり、悪戯される対象」

 「正反対ですね」

 「ああ。
  でも、基本的にヤオ子の父親は真面目なんだよ。
  成績は悪くても、必死に修行をしていたからね。
  ただ……」

 「ただ?」

 「非常に頭が悪い……」


 サクラがこけた。


 「何ですか……それ?」

 「アカデミーの教科書の内容の十を読んで、二しか理解出来ていない」

 「重症ですね……」

 「そう」

 「で、そんなヤオ子の父親の修行風景をヤオ子の母親が目撃する」

 (この話……。
  都市伝説の男と女の最初の出会いに似てる)

 「都市伝説だと、それで女がストーカーになっちゃうんですよね?」

 「実は、これでヤオ子の母親がストーカーになっちゃう」

 「ハァ!?」

 「初めて目撃した時、ヤオ子の母親に父親が声を掛けてる。
  万年一人だったヤオ子の母親は、それだけで恋に落ちたらしい」

 「それが……何で、ストーカーに?」

 「それから、毎日、覗いてたらしい……」

 「…………」

 「それは、もう……。
  朝、家を出てから帰宅するところから風呂に入るところまで」

 「ストップ!
  最後のお風呂って、何!?」

 「それが原因で、都市伝説に変態的な話の尾ひれがついたんだ」


 サクラが額を押さえる。


 「そして、何年か経ってストーカー行為が治まって、
  ヤオ子の母親は、やっと父親に話し掛けることが出来るようになる。
  最初は、不安だったらしいよ。
  自分で壁作って誰も寄せ付けなかったから」

 「そうですよね……」

 「でも、ヤオ子の父親は普通に話に答えた。
  それこそ、何事もなく友達のように……」

 「素敵な人ね……」

 「ただ、後日談でヤオ子の父親は、
  母親の状態に気付いてないだけだったことが分かった」


 サクラがこけた。


 「何それ!?」

 「言っただろう?
  父親の方は、馬鹿だって」

 「そ、そうだけど……」

 「それで、ますますヤオ子の母親は熱をあげ、父親にゾッコンとなるわけだ。
  そして、その後が凄い。
  アカデミーを卒業する時は、母親が一位の成績で父親が二位だ」

 「何があったの?」

 「ヤオ子の母親は、少し物の感じ方がおかしい」

 「いや、もう随分おかしいですよ」

 「男の独占欲って聞いたことない?」

 「自分の彼女を独り占めにしたい……みたいな?」

 「そう。
  好きな女にネックレスあげて、
  首輪つけた気になってるようなヤツ」

 「嫌ですよね……」

 「その心理が、まんまヤオ子の母親に当て嵌まる」

 「…………」

 「つまり、『自分の男を独占したい』が、
  『自分の男と独占したい』に変わって、
  男を自分好みのレベルまで引き上げたわけだ」

 「凄まじい執念ですね……」

 「それが都市伝説狂姫シリーズ『男に狂ったくノ一』だ」

 「一体、何をしたんですか?」

 「ヤオ子の父親の筋力やチャクラ量は、勤勉な修行のお陰で桁外れにあるんだ。
  分かっていないのは、使い方……。
  つまり、体の動かし方を理解していなかったんだ」

 「なるほど」

 「ヤオ子の母親は、そこで体の使い方を叩き込むわけだ」

 「よく教え込ませましたね」

 「キーワードは『馬鹿』だ。
  ヤオ子の父親は、難しい表現は分からないが、
  子供でも分かる表現は、馬鹿みたいに早く体得出来る」

 「また、訳の分からない表現が……」

 「サクラ。
  『クナイを投げる時に頭のところで手を放す』
  これが教科書に載っていたとして、分かるだろ?」

 「はい。
  リリースポイントの話ですよね?」

 「そう。
  しかし、ヤオ子の父親は分からない」

 「は?」

 「そういう表現をするとただ手を放すもんだから、
  クナイがあらぬ方向に飛んでいく」

 「…………」

 「そこでヤオ子の母親は……。
  『スピードが乗ってる時にパッと放して、グサッて的に当てる』
  と言い換えた。
  これだけで、ヤオ子の父親は理解できて格段に腕があがった」

 「先生……。
  余計わからない……」

 「常人はな……。
  しかし、『馬鹿』は、シンプルにすればするほど理解する。
  ある日の暗号のテスト……。
  誰も解けない暗号をヤオ子の父親だけが解き明かした」

 「何で……」

 「ヤオ子の母親と一緒に試験勉強をしてた時、
  『パッとやって、ガッとして、バッとやればいいのよ』
  勢いで言ったその言葉をヒントに解いたらしい……」

 「何!?
  馬鹿って凄いの!?」

 「もしかしたら、凄いのかもしれない……。
  まあ、そんなこんなで二人の愛は深まるわけだ」

 「…………」

 「一つ……いいですか?」

 「何?」

 「ヤオ子の母親が馬鹿になる要素がないんですけど?」

 「ああ、それね。
  ヤオ子の母親の頭の中は、エリートの家系と比べて詰まっている内容が非常に違う。
  確か……変態6:忍術3:常識1だったかな?」

 「何処からの情報なんですか……」

 「都市伝説の割合を分散するとそういう割合になる。
  つまり、脳が活性化する十年間。
  アカデミーと任務で忍の知識。
  それ以外は、父親に狂っていたんだ」


 サクラが手を出して静止を要求する。


 「ちょっと待ってください……。
  つまり、ヤオ子の忍の才能は本来から高かった。
  母親の頭脳と父親の勤勉さを持ち合わせているから」

 「そう。
  忍者の親同士の掛け合わせだから、
  経絡系も普通の家の子より発達が早いはずだ」

 「ただし……。
  母親の変態さと父親の馬鹿さ加減も同時に受け継いでいる」

 「そう。
  だから、あんな妙な奇声をあげたり、変態的なことを話す……と思われる。
  しかも、生みの親が同じなら育ての親も同じだからな」

 「何か、最悪の掛け算ですね……」

 「まったくだ」

 「最後です。
  ヤオ子の両親が、今、忍をしていないのは?」

 「九尾の戦いがあったのを知っているな?」

 「はい。
  四代目が命を懸けて封印したという……」

 「その時、ヤオ子の母親を庇って父親は背中をやられた。
  忍として生きていけない傷を背負った。
  そして、二人は忍を辞めたんだ」

 「お母さんの方も?」

 「そうだ。
  勘当されて家を出た。
  そして、木ノ葉で八百屋を始めた。
  ・
  ・
  その四年後……。
  ヤオ子が生まれるわけだ」

 「いい……話ですね」

 「ああ……」

 「…………」

 「変態的なエピソードさえなければ……」

 「そうなんだよな……。
  しかも、母親の方は、都市伝説にまでなってんだから……」

 「謎が解けたのにすっきりしないなんてこと、生まれて初めてです……」

 「はは……。
  オレもだ……」


 カカシとサクラは、その後、サスケとナルトの話を少しすると眠りに着いた。


 …


 ※※※※※ ヤオ子の遺伝的能力について ※※※※※

 ヤオ子の両親の秘密を少し明かしました。
 母親の家系……『記憶力』『応用力』『変態性』
 父親の家系……『勤勉性』『馬鹿』

 何故、このようにしたか?
 実は、ヤオ子から生まれた設定です。
 ヤオ子って、どんな子だろうと改めて考えるとSSのネタになるかと思いました。
 つまり、このSSでは、ヤオ子から生まれたのが両親になります。

 まず、ヤオ子には妙な対応力をつけてしまいました。
 特別召集の試験のネタをやるために考えなしに……。
 この時点で、記憶力のいい子+応用力があると後から判断しました。

 次にご存知の欠点というか魅力。
 暴走・エロ・奇声をあげるところ。

 父親を『馬鹿』にすることは決めていました。
 そのため、母親に『記憶力』『応用力』をつけることが決まります。
 しかし、このままだと父親はどうしようもないし、母親は完璧人間になってしまう。
 そこで父親に『勤勉性』を母親に『変態性』を付加。
 多分、この組み合わせが、現在のヤオ子の掛け合わせた結果に繋がるかと思います。
 それを纏めたのが今回のSSでした。

 この話が出たから、何か変化があるのかというと……実は、何も変わりません。
 ヤオ子は、今まで通りのヤオ子だし、おかしな子のままです。
 そして、ヤオ子の母方の血の目覚めは微妙です。
 一番強く目覚めるのが、サスケに恐怖で縛られた時。
 次に誰かに任務を強制された時。
 M性の危機感が引き金になっています。
 自分で能力を自在に扱える時は、エロが絡んだ時だけ。
 つまり、ヤオ子の忍の能力は、サスケによる恐怖支配が大きいことになります。


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