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No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
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[13840] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:45
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 ヤオ子はケーキの入った箱を持ちながら、暗くなりかけた道を歩いている。
 あの悪夢のようなケーキ屋の任務が終わり、家への帰宅途中である。
 報告も無事済まして、死に掛けた副担当の中忍もちゃんとコハルの前に投げ捨てて来た。


 「お礼におみやげのケーキ貰っちゃった。
  ただ試作段階だから、今度、意見聞かせてってことは、
  また、呼び出されるってことですよね……。
  あのお姉さん、悪い人じゃないんだけど……」


 ヤオ子は溜息を吐く。


 「遅くなって体術の修行出来なかったな……。
  こんなのが続くと修行出来ません。
  ・
  ・
  明日から、朝に手裏剣術と体術を修行しましょう。
  筋力と体力の修行は、ガイ先生の装備頼り。
  そして、チャクラの修行は現場での実行頼りになってしまいますが、
  空いた時間は、ひたすら木登りをして……。
  ・
  ・
  現状の能力が落ちないようにだけはしましょう」


 あれだけ嫌っていたはずの忍者になること……。
 ドSの洗脳の成果か、何かかは分からないが、ヤオ子はすっかり忍者の生活が身に染込んでいた。



  第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ



 ヤオ子は歩きながら、ふと、あることに気付く。


 「何だろう?
  サスケさんのドSパワーを感じない……」


 兄──イタチとの接触の際に、サスケは万華鏡写輪眼をかけられて精神をやられている。
 そして、ガイにより、木ノ葉病院に収容されている。
 サスケは意外と木ノ葉病院にお世話になる率が高い。
 ちなみに、彼の担当上忍であるはたけカカシも同じように、イタチにやられ入院している。
 写輪眼を持つ人間の入院率が高いのは偶然なのか? 呪いなのか?

 何も知らずに、ヤオ子は疑問を口にしながら歩く。


 「あたしのサスケさん感知能力は、結構、広いんだけどなぁ。
  だって、サスケさんが到着する予定の一、二日前から感知できるんだから。
  ・
  ・
  クリリン達みたいに気を消せない以上、絶対に位置は分かるはずなのに……。
  サスケさんからドSパワーが消えるわけありませんし……」


 現在、サスケは精神崩壊して消えてます。


 「もしかして……死んだ?」


 ヤオ子は、また物騒なことを呟く。


 「そんなはずありませんね。
  サスケさんが死んだら、情報が飛び交ってるはずです。
  ・
  ・
  となると、遠出?
  それもないですね。
  だって、人間そんなに早く移動できません。
  ・
  ・
  いや……。
  もう、人間じゃないのかも?」


 ブツブツと独り言を呟きながら歩いていたヤオ子が、仮設住宅の家に着く。


 「明日、任務のついでに誰かに聞いてみようかな?」


 ヤオ子は扉を開ける。


 「ただいま。
  これ、おみやげです」


 何も知ることのないまま、ヤオ子は帰宅した。


 …


 翌日……。
 今日も、ヤオ子は任務を貰うため紹介場を訪れる。
 そして、目の前に転がるヤオ子の副担当の中忍は、今日も死に掛けていた。


 「待っていたぞ」


 中忍を無視して、コハルがヤオ子に声を掛ける。


 「二件続けての高評価……。
  嬉しく思うぞ」

 「えへへ……。
  ありがとう」


 ヤオ子の笑顔に頷くと、早速、コハルは新たな任務を読み上げる。


 「今日の任務だが……。
  午前中を農家で草刈りの手伝い。
  午後におつかい。
  その後に水道管工事の手伝い。
  ・
  ・
  以上だな」

 「何か共通性がありませんねぇ。
  しかも、水道管工事って……。
  専門知識がいるんじゃないの?」

 「そうであった。
  これを……」


 コハルから差し出された本を、ヤオ子は黙って受け取る。


 「半年で理解できる管工事施工管理技士資格……。
  ついでに取ろう給水装置工事主任技術者資格……。
  ・
  ・
  何これ?」

 「役に立つだろう」

 「いやいやいやいやいや……。
  半年掛かるって書いてありますよ?」

 「多分、必要になるだろう」

 「そうじゃなくて……。
  今回、読む時間ない……」

 「お昼食べながら覚えれば良かろう」

 「何? このスパルタ教育?」

 「では、よいな?」


 ヤオ子の額に青筋が浮かんだ。


 「いいわけあるか!
  あたしを何だと思っているんですか!?」

 「安心しろ。
  万が一を考えて副担当の中忍は、水遁の達人を選んである」

 「じゃあ、失敗してもいいと?」

 「なるべくなら、失敗しないでくれ」

 「まあ、頑張りますけど……」

 「中忍のチャクラが回復してないと、
  術が発動しない恐れもあるからな」

 「『失敗するな!』って遠回しに
  言ってんじゃないですか!」

 「では、頑張れよ」

 「ううう……。
  あんまりだ……」


 ヤオ子は項垂れた。
 ヤマトのように言いくるめられまいと気をつけていたはずなのに、強引に押し切られてしまった。


 (上には上が居るようです……)


 ヤオ子は溜息を吐き、諦めて任務に向かおうと思った時、ふと思い出す。


 「あの、サスケさんって……何処いるか知ってます?」

 「……サスケは、今、入院している」

 「入院!? 何で!?」

 「…………」


 コハルが深刻な顔で考え込むとポツリと呟く。


 「色々あってな……」

 「…………」


 コハルの言い方のせいで、ヤオ子はサスケのことが気になり出した。


 「あたし、病院に顔を出してから任務に行きます」

 「無駄だ。
  面会謝絶だ」

 「面会謝絶……?
  一体、何があったんですか?」

 「大丈夫だ……。
  今、自来也とナルトが医療忍者のスペシャリストを探しに行っている。
  あやつ等が無事連れ帰れば全て解決する」

 「そうですか……。
  分かりました」


 ヤオ子は指令の巻物を受け取ると死に掛けの中忍のところに向かい、脇腹を蹴っ飛ばす。


 「行きますよ」

 「うぐ……。
  わ、分かった……」


 ふらふらと立ち上がってヤオ子に着いて行く中忍を見て、コハルは呟く。


 「上司を足蹴に……。
  恐ろしい子だ……」


 前回、クナイを投げたコハルの中では部下ならOKらしい。


 …


 農家の手伝いの最中、やはり中忍は死んだように眠っていた。
 役に立たない中忍を放置して、任務中のヤオ子は二体の影分身に草刈りをさせ、一体の影分身に故障中のトラクターの修理をさせている。
 そして、自分自身は午後の任務のために必死に本を読み込み、頭に知識を叩き込んでいた。


 「木ノ葉間違ってます……」


 分厚い本を読み込みながら、ヤオ子は呟く。


 「これ……。
  Dランクとかそういうの関係ない……。
  職業が違います。
  管工事専門職と忍者は別です」


 更にページを捲りながら呟く。


 「このままじゃ、あたしは綾崎ハヤテのような
  超人になってしまいますよ……」


 そして、溜息を吐いて半分ほど読み進めたところでエンジンのけたたましい音がする。
 ヤオ子は音のした方に目を向ける。


 「直ったのかい!?」


 農家のおじさんが嬉しそうにトラクターを修理し終えた影分身に近づく姿が見えた。


 「はい、直りましたよ。
  年数を見ても減価償却するには早過ぎると思いました。
  分解出来る範囲で洗浄して油挿したら動きました」

 「おお! ありがとう!
  これで畑を耕せるよ」

 「ちゃんとメンテナンスしてあげてくださいね。
  この子は、まだまだ現役で頑張れますから」

 「分かった。
  説明書をもちゃんと読んでメンテナンスするよ」


 ヤオ子は遠巻きに農家のおじさんと自分の影分身を見つめて呟く。


 「もう……手遅れかもしれませんね。
  自分でも、段々と踏み外しているのが分かります」


 ヤオ子は苦笑いを浮かべると項垂れた。


 …


 午後の任務の一つ、おつかいは直ぐに終わる簡単なものだった。
 結局のところ、大量の荷物を持つ手が欲しかっただけなのだ。
 故に、ヤオ子の影分身を使って一回で運び終えて、任務は終了した。

 問題は、水道工事の手伝いである。
 現場に着くと、また中忍が死んだように動かない。
 そうなれば任務をこなすのは、自ずとヤオ子だけになる。


 (悪気はないんでしょうけど……。
  腹立ちます……。
  ムカつきます……)


 現場の監督は一人だけで、否応なしにヤオ子と目が会う。
 ヤオ子は頭に手を当てながら話し掛ける。


 「あはは……。
  木ノ葉の者です。
  お手伝いしに来ました」

 「人手が欲しかったんだがな……」

 「何人ぐらいですか?」

 「五人ほどだ」

 「では」


 ヤオ子がチャクラを練り込み、印を結ぶ。


 「影分身の術!」


 ヤオ子が五人に増える。


 「これでいいですか?」

 「さすが忍者!
  正直、二人だけで来た時は、どうしようかと心配したよ」

 (尤もです……。
  中忍の方は使い物にならないし……)


 ヤオ子は監督に話し掛ける。


 「で。
  あたしは、何をお手伝いすればいいんですか?」

 「オレが配管の修理をするから、二人は道具を渡すのを手伝ってくれ。
  あとの三人は向こうに積んである新しい配管を持って来てくれ。
  そっとだぞ」

 「了解です。
  ・
  ・
  あの……。
  あたしは配管の交換をしないんですか?」

 「一人で事足りるが?
  今日は、オレのところまで運ぶまでのが手伝いだから」

 「…………」


 コハルに貰った本を、ヤオ子は地面に叩きつける。


 「あたしの努力は何だったんだーっ!
  あのババア!
  いつか転がしてやる!」

 「どうしたんだ?」


 ヤオ子が地面の本を拾い上げ、監督に突きつける。


 「あたし、これ覚えたんですよ!」


 監督が本を手に取り、パラパラと流し読みする。


 「懐かしいな。
  オレも勉強したよ」

 「全く意味なかった!」

 「はは……。
  どっちにしろ資格取らないと任せられん」

 「ううう……。
  あんまりだ……」


 監督は可笑しそうに笑う。


 「いつか役に立つかもしれん。
  今は、しっかり手伝ってくれ」

 「は~い……了解」


 ヤオ子は少し肩透かしを食らった気分で手伝いを始めた。
 影分身の二人が配管を運び、残り二人は監督の道具を渡したり、手が足りない箇所を代わりに押えたりと本当に人手があれば足りることだった。
 そして、思ったよりも早く任務は終了した。


 「ここにサインください」

 「ああ。
  助かったよ。
  ・
  ・
  よしっと」


 ヤオ子が巻物を巻き直す。


 「また、何かあったら頼むな」

 「任せてください。
  ・
  ・
  こら! 起きろ!」


 ヤオ子が中忍の頭を叩くが、中忍はピクリとも動かない。
 ヤオ子は目を座らせると、中忍の顔面を思いっきり踏みつけた。


 「ぐはっ!」

 「は~い……。
  起きてくださ~い……。
  ・
  ・
  阿部君みたいに言ってみました」


 中忍がピクピクと痙攣しながら立ち上がると、ヤオ子は巻物を手渡す。


 「少しぐらい役に立ってくださいよ。
  それを持って行ってください」

 「…………」


 中忍はダメージが抜けきれず、返事が出来ない。
 ヤオ子は中忍の股間を思いっきり蹴り上げた。


 「ぐはっ!」

 「は~い……。
  起きてくださ~い……。
  ・
  ・
  分かりましたか?」

 「は…はい……」

 「じゃあ、よろしく」


 ヤオ子は中忍を捨てて去って行った。
 監督が鼻血を流して内股になる中忍にハンカチを渡して呟いた。


 「木ノ葉の子供は逞しいな……」


 常識のないヤオ子が例外なだけである。


 …


 ヤオ子が空を見ると、久々にまだ日が高い。
 今日の任務は数があったが、どれも短時間で終わった。


 「どうしようかな?
  ・
  ・
  一応、あんなんでも知り合いだし、お見舞いに行こうかな?
  ……というより、弱った姿が見てみたい」


 ヤオ子は陰険な笑みを浮かべると、スキップをしながら木ノ葉病院へと向かった。


 …


 ヤオ子は木ノ葉病院に着くと、いつものように巡監中の看護婦の名簿を覗き見る。


 「前と同じ部屋か……」


 目的のサスケの病室へと向かい、病院の関係者と接触することなく辿り着く。
 部屋のドアには『面会謝絶』の札が下がる。
 ヤオ子は右を見て左を見る。


 「失礼しま~す」


 ヤオ子、不法侵入。
 中ではベッドの中で動かないサスケが居た。


 「本当にへばってる」


 ヤオ子はサスケに近づくと、サスケの耳元で声を掛ける。


 「サスケさ~ん。
  聞こえますか?
  キスしちゃいますよ?」


 寝ているサスケのグーが、ヤオ子に炸裂した。


 「っ!
  ・
  ・
  何これ!?
  条件反射ってヤツ!?」


 ヤオ子が頭を擦る。


 「何か心配するほどでもなさそうですね。
  動いたし……。
  ・
  ・
  え~と……。
  お見舞いに来た時って、何すんだっけ?
  ・
  ・
  そうそう!
  ギプスに寄せ書きを……。
  ・
  ・
  ギプス……してないですね。
  仕方ない」


 ヤオ子は腰の道具入れから水性のマジックを取り出すとサスケの足元に回り、サスケの右足の裏に文字を書き始める。


 「ヤ…オ…コ…ラ…ブ……っと。
  えへへ……。
  あたしの愛で早期回復間違いなしですね。
  ・
  ・
  じゃあ、サスケさん。
  また来ますね」


 サスケの元気(?)な様子を確かめると、ヤオ子は病室を後にした。



 …


 ※※※※※ 忍のDランクについて ※※※※※

 木ノ葉のDランク任務は、変なものが多いです。
 原作を読んだところ、ナルト達は『迷い猫の捜索』や『川のゴミ掃除』なんかをしていました。
 アニメではカカシの覆面を取ろうとした時に『農家のお手伝い』なんかもしていたような気がします。
 CランクとDランクにかなりの開きがあるようです。
 そして、『子守り』の仕事なんかも任務にエンカウントされます。

 ここで思う疑問……。

 カブトの忍識札で、一年先のリーがDランク26回しかしていません。
 365日ある中の26日しか働いていない(多分、Dランクだから一日で終わると仮定)。
 そして、Cランク11回……。
 これだけ仕事しないで修行すれば、一年でも強くなるかもしれない……。
 木ノ葉は、忍者に生活保護でも出しているのか……?
 そんな中から、生まれたのが今回のSSになります。

 ===== 2009/12/6 ここまで記載 =====


 ~~~~~ 以下、感想からの追加考察 2009/12/10 ~~~~~


 ※※※※※ 影分身で新たに思ったことについて ※※※※※

 影分身は、恐らくオートで経験値蓄積が付く術と考えています。
 故にヤオ子が雑用をこなせばこなすほど、余計な能力が付加される呪いとも思っています。
 そして、経験値蓄積で一番効果が高いのは、ガイとかリーのような体術使いに威力を発揮するのでは、と思います。
 理由としては、スタミナを大きく使う大技でなければ均等に分散したチャクラが減りにくいため、持続時間が長そうなことです。
 恐らく長時間の間、修行出来るのではないでしょうか?
 そして、戦う時も威力を発揮しそうな気がします。
 分身した時に攻撃が当たらないようにするには、スピードと体術の技術が求められると思います。
 影分身の生存確率と持続時間を考えると、影分身が増えて一番効率がいいのは体術の達人ではないでしょうか?
 ナルトの影分身が全部ガイなら、凄い威力じゃないかなと思いました。
 ちなみにネジも候補に上げましたが、柔拳はチャクラを放出するのが基本のため、影分身がチャクラ切れを早期に起こしそうなので次点と考えました。


 …


 ※※※※※ 下忍の任務について(働く期間編) ※※※※※

 感想欄と重複部分がありますがご容赦ください。

 例によって、リーの一年目の経歴を用います。
 Dランク26回 Cランク11回

 ・Dランクについて
  原作通りのイメージです。
  場合によっては、一時間掛からないんじゃないかというイメージです。
  一日一個だと、全然働かないと思いました。

 ・Cランクについて
  サスケ達が波の国まで護衛するのが、本来、Cランク。
  その後、忍者が暗殺者とわかり、Bランク以上と判明。
  そして、最終的には、木ノ葉崩しの時にカカシがサクラに言った時は、Aランク。
  確かにCランクの護衛のみで考えた場合は、往復だけで1週間程度かそれ以上掛かったと思われます(1,2日で終わる可能性もありますが)。
  Cランク一回を一週間と設定して計算しますとCランク11回ですので、11週……。
  それにDランクの26日を足して……3~4ヶ月?
  土日の休暇なしで、下忍の一年の修行期間は……。

  仕事期間:3~4ヶ月 自由な修行期間:8~9ヶ月

  妥当なのかどうか?


 …


 ※※※※※ 下忍の任務について(給料編) ※※※※※

 感想欄を確認してから、色々と考えてみました。
 ネットを調べますと、ナルトの中忍試験時の任務回数は、Dランク7回、Cランク1回の計8回でした。
 そして、これだけの仕事量で自来也と綱手を捜索する時には、財布がパンパンでした。
 この事から、ナルトは給料を貰って働いていると思っていましたが、ご指摘にあった通り、ナルトの年齢は十代前半です。
 しかし、忍という特殊な職業を考えればありかもしれません。
 カカシ……6歳で中忍昇格。
 戦時中かもしれないので何とも言えませんが、幼いながらも自活できるのかもしれません。
 そして、上忍とか中忍と分けている以上、年齢給というより実力給っぽいです。

 話を下忍のお給料に戻します。
 Dランクに変な任務が多いのは、漫画で確認済み。
 下忍と中忍の間には、かなりの開きがあるように感じます。
 そして、下忍は利益を考えると足を引っ張る存在な気がします。

 もしかして……というか……やっぱり、下忍は固定給のある月給制なのでは?

 下忍のうちは、アカデミーを卒業したとはいえ、実力をつけなくてはいけません。
 任務ばっかりしていたら、実力がつきません。
 だから、里としては、利益が出なくても固定給を支払うと考え直してみました。
 そこで予想……。
 あくまで想像……。

 アカデミー:
 このSSの根本を壊してしまいますが……。
 もしかしたら、授業料を払うとかはないのかもしれません。
 木ノ葉の運営で授業料免除、もしくは、下忍前の忍者……試用期間としての賃金が支払われるのかもしれません。
 このSSでは、家庭から学費を支払われることになっています。

 下忍:
 固定給 + 任務手当て で支払われる。
 Dランクの仕事は、正直、あまり利益になるとは思えません。
 あくまで下忍に仕事を認識させるための仕事慣らしの意味合いが高いのでしょう。
 そして、アカデミー以外での忍者として必要な部分を修行する期間と考えます。

 中忍:
 中忍手当て + 任務手当て の実力給。
 恐らくこの段階から、下忍で先行投資した固定給の回収が始まると思われます。
 里に支払われる任務の報酬を『里:個人=?:?』で分配すると思われます。

 上忍:
 上忍手当て + 任務手当て の実力給。
 受ける仕事のランクも難易度も高いため、報酬も大きいと思われます。
 里に支払われる任務の報酬を『里:個人=?:?』で分配すると思われますが、里は大分差っ引いているのではと思われます。

 大名達からの援助:
 忍者の数は、恐らく下忍が一番多いと思われます。
 私の考えでは、かなりの出費が出てしまい、全てを上忍・中忍の給料で補うのは難しいと思われます。
 木ノ葉の里の商店から税金を吸い上げても、やはり難しい。
 そこで初めて国単位の考えが出ます。
 火の国を治める大名達からの援助です。
 大国である以上、国の軍事力は重要です。
 国を守る木ノ葉隠れの里を潰すわけにはいきません。
 里を維持するのに必要な援助や発展のための資金が大名達から送金されると思います。
 また、大名達が木ノ葉に援助するのは、軍事力の維持だけではありません。
 波の国のタズナの依頼を受けたように、他国との良い関係を築く仲介役にもなるからです。
 火の国は、木ノ葉を通して外交の一部をしていると考えられます。

 以上、あくまで予想という名の妄想です。


 …


 ※※※※※ ナルトとサスケの幼年期について ※※※※※

 現代では家族で暮らすのが当たり前が大半ですが、NARUTOの世界では、どうでしょうか?
 白や長門達の幼年期を読むと、孤児として生きていました(例外的な要因も多いですが)。
 NARUTOの世界では、現実は厳しいようです。
 そのため、子供でいられる期間も少ないのかもしれません。
 何度も例に出して申し訳ありませんが、『カカシの6歳中忍昇格』。
 そして、『イタチの13歳での暗部分隊長就任』。
 結構、幼い時から一人立ちや自立といったものを迎えているのかもしれません。

 では、ナルトやサスケの時代は?
 忍界大戦が終わり、安定し出した時期かと思います。
 サクラとサスケの最初の方の会話で、『親に怒られて……』なんてことをサクラが言っていますので、割りと家族と居るのが当たり前の時期と思われます。

 さて、安定し出した時期の中で幼年期のナルトとサスケは?
 二人とも家族が居なくなって、一人です。
 また、漫画の描写のところから、ナルトはアカデミーの前ぐらいには一人暮らしをしていた可能性があります。
 最近になって親が四代目と判明しましたが、特に親戚とか孤児院に預けられた描写はありません。

 そうなると……やっぱり、一人で逞しく生き抜いた?
 仮に三代目火影が面倒を見ていたら、もう少し描写が違うと思えます。
 イルカ先生もアカデミーからの付き合いな気がします。

 ナルトの一人暮らしの生活費用に関しては、問題ないと思っています。
 四代目火影の遺産が残っていると思われるので、三代目火影あたりが貯蓄を切り崩していたと想像できます。
 問題は、生活部分です。
 炊事洗濯家事掃除全般……。
 逞し過ぎる幼年期……。
 でも、また頭を過ぎる『カカシの6歳中忍昇格』。

 サスケにしても、どうなのでしょうか?
 家族が居なくなってから、一人で生き抜いたのか?
 炊事洗濯家事掃除全般……。
 逞し過ぎる幼年期……。
 でも、また頭を過ぎる『カカシの6歳中忍昇格』。

 分かりません。
 しかし、何か……独力で生き抜いた感があります。
 故に彼等は、分かりあっていたからライバルになったのでしょう……本当?
 そして、木ノ葉が二人をほっぽったままと考えるとかなりのドS主義ですが、漫画の描写を考えるとそういうところがないとも……。
 その分、イルカ先生やカカシ達は、家族で居ることの大切さを大事にしている(してくれている)ような気がします。
 そろそろコミックだけでは、分からないところが増えてきました。
 ファンブックも読まなきゃ無理かもしれないです。


 …


 ~ 『おまけ的なネタ』 番外編 ある日のヤオ子とヤマトの休憩中の会話 ~
 2009/12/6 初投稿
 2009/12/10 改定


 「ヤマト先生」

 「何だい?」

 「ガイ先生のところのリーさんって……。
  ・
  ・
  ニートなんですか?」

 「…………」

 「だってね。
  365日の中で26日しかDランクをしてないんですよ?」

 (ボクも……。
  そんなものだったような気がする……)

 「それで、お給料入るんでしょ?
  Dランクって、そんなに給料いいの?」

 (犬の散歩なんかが高いはずがない……)

 「変でしょ?」

 (激しく変だ……)

 「で、でも!
  ・
  ・
  忍者は実力をつけることも本分……のはずだよ」

 「苦しい言い訳ですね?」

 「…………」

 (言い返せない……)

 「まあ、あたしもヤマト先生を困らせるつもりで
  こんな話をしたわけじゃありません。
  理由を考えたので聞いて欲しかったんです」

 「そうなんだ」

 (ごめん……。
  君を諭さないといけないはずなんだけど……凄く気になる)


 ヤオ子がゆっくりと指を立てる。


 「きっと……ですね。
  火影さんが裏で大名から闇金を貰っているんです」


 ヤマトが吹いた。


 「そして、ドロドロとした口にも出せない闇の仕事……。
  『暗殺』『誘拐』『恐喝』なんかをしているんです!
  いわゆる必殺仕事人!
  木ノ葉の裏の黒い影!」

 「そんなことしてないよ!」

 「そうなの?」

 「当然だよ!」


 ヤマトは、頭が痛かった。


 「じゃあ、下忍の出費は出世払いですかね?」

 「……何それ?」


 質問するのも何処か疲れる。


 「Bランク以上の支払われる報酬が大幅に差っ引かれて、
  下忍の給料に反映させられるんです」

 「え?」

 「つまり、本来ならば、もっと貰えるはずの『Bランク』『Aランク』『Sランク』の報酬を
  里が黙って大幅に差っ引くんです」

 「…………」

 「それがニート同然の下忍達の給料に還元されるのです」

 (そうかもしれない……)

 「それでね……言い難いんですけど。
  ヤマト先生には、悲しい事実を伝えなければなりません」

 「何を?」

 「ヤマト先生達は……働けば働くほど損をするんです。
  だって……。
  難しい任務ほど、差っ引かれるから!」


 ヤマトは項垂れた。


 「だから!
  中忍、上忍と役職を貰えますが、
  里にとっては、金を生み出す道具なのです!」

 「ヤオ子……。
  もう、やめて……。
  働く意欲がなくなっていく……」

 「そしてね。
  もっと、怖いのが……。
  中忍試験を共同でやっている以上、
  全ての隠れ里で、皆、当然のように行なわれている事実です!」

 「やめてくれーっ!
  火影様達は、そんな黒くない!」

 「まあ、真相を知っている火影様も秘密を抱いたまま永眠されてしまったので、
  真実は闇の中ですけどね……」

 「…………」

 「どうして、君はそんなやる気を削ぐようなことを言うんだ……」

 「気付いたけど、話せる相手が居ないから」

 「それでボクが生贄にされたのか……」


 ヤオ子は笑いながら頷いた。
 そして、ポンと手を打つ。


 「そうだ!
  今度は、ヤマト先生がこの話をカカシさん達に話して、悦に浸っては?」

 「そんなことを話したら、里で内部分裂が起きそうだよ……。
  しかも、噂を流した主犯はボクじゃないか……」

 「ダメそうですね?
  ・
  ・
  では、この話は、あたしの胸に黒歴史として封印しましょう」

 「そうしてくれ……」


 ヤマトは溜息を吐いて補足する。


 「少しだけ忠告するよ」

 「はい」

 「まず、下忍の本分を忘れちゃいけない」

 「本分?」

 「そう。
  下忍は、まだまだ未熟だ。
  しっかり修行して危険な任務を
  危険じゃないようにする努力をしなければいけないよ」

 「分かりました。
  がんばって中忍にならないように、
  下忍でがんばっていきます」

 「……違うよね?」

 「…………」

 「上忍の影に隠れて
  危なくないようにがんばります」

 「……だから、違うよね?」

 「…………」

 「絶対に中忍になりません!」

 「違うよ!」


 ヤオ子は溜息を吐く。


 「ヤマト先生……。
  何をわけの分からないことを言っているんですか?」

 「ボクが、おかしいの!?」

 「だって、危険じゃないようにするんでしょ?」

 「そうじゃない……」


 ヤオ子が首を傾げた。


 「いいかい?
  下忍はニートじゃない。
  仕事が少ないのは、
  きっと、実力をつけるだけの時間を与えられているからだよ」

 「そうなの?」

 「そう。
  だから、ヤオ子が言ったような暗黒面ばっかりじゃない」

 「ヤマト先生も
  暗黒面を少しは感じているんですね」

 「…………」

 「下忍は実力をつけて、一人前の忍者になるための期間だ」

 (無視して締めた……)


 ヤオ子は、また口を開こうとする。


 「でもさ──」

 「ヤオ子。
  言い訳だけじゃだめだよ」

 「そうじゃなくて……。
  結局、里の力が回復するまで雑務だから、
  あたしの実力向上なんて無理じゃないですか?」

 (そうだった……)

 「しかも、あたしは中忍になりたくないし」

 (そういう子だった……)


 ヤマトは少し悲しくなった。


 「まあ、元気出してくださいよ。
  暫くは、体術と体力アップが目標ですから」

 「新しい忍術とか覚えなくていいのかい?」

 「ええ。
  忍術を使うにも、チャクラを増やさないと練習出来ませんから」

 「目標があるだけいいか……」

 「でも♪
  エロ忍術だけは開発しますよ♪」


 ヤマトがこけた。


 「ボクには無理だよ……。
  ヤオ子を立派な忍者になんか出来ないよ……」

 「では、立派なエロ忍者に……」

 「そんなの嫌だよ!
  教え子がエロ忍者なんて!」


 ヤオ子の話は、真面目なヤマトには精神的ダメージが大きかったらしい。
 数日の間、このことが頭から離れなかった。


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