== NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==
途中まで和やかだった久しぶりのサスケとヤオ子の時間……。
しかし、買い物のあと、サスケは直ぐにヤオ子と別れた。
少し前まで着ていた、同じデザインの服をヤオ子が着ていたから。
「さて、あたしも帰ろうかな?
ホルスターを改造しないと」
一方のヤオ子はサスケに十分な報復もでき、忍者らしい服にご満悦。
その日、ヤオ子は早めに帰宅し、ホルスターの改造に精を出した。
ちなみに、今日のことでサスケによる強制修行のトラウマは、優先順位の置き換えで発生することがなくなった。
しかし、ヤオ子はトラウマが少し解消されたことに気付きもしなかった。
第36話 ヤオ子の初任務
翌日……。
朝の手裏剣術の修行を終えて、ヤオ子はヤマトと約束したアカデミーに向かっていた。
服装は見事なまでのサスケ二号である。
しかし、昨日仕立てた時と違い、今日は増えたものがある。
自作したホルスターを両足に付いているのだ。
「新しい服って嬉しいな。
サスケさんと同じデザインだから、忍者の服装として間違いないだろうし。
・
・
結局、ホルスターは材料余って両足に……。
これだけが変ですね……。
誰かにあげようかな?」
目的のアカデミーに向けてテクテクと歩いていると、ヤオ子は後ろから声がする。
「その髪の毛の纏まり具合……ヤオ子か?」
ヤオ子が振り返る。
「おはようございます。
ガイ先生。
・
・
ちなむに、世間一般にはポニーテールと言います。
前田大尊もメロメロです」
「ああ。
おはよう。
ポニーテールか……。
覚えておこう。」
ガイはヤオ子の姿を見て、両手を腰に当てる。
「服が変わると随分と雰囲気が変わるな」
「はい。
気持ちも引き締まります」
「そうか。
今日から忍者だもんな」
「あれ?
知ってらしたんですか?」
「当たり前だ!
オレを誰だと思ってる!」
「さすが、ガイ先生です」
ヤオ子はガイに色んなことを突っ込んではいけないことを学習済みである。
新しくなったヤオ子の服装を見て、ガイは首を傾げる。
「しかし……その服装。
つい最近、何処かで見たような……」
「サスケさんを意識しています」
「そうだ!
中忍試験予選の時のサスケの服だ!
・
・
しかし、何故?」
「リーさんと同じです。
リーさんが尊敬するガイ先生を慕うように、あたしもサスケさんを尊敬しています。
サスケさんが、あたしに忍術を教えてくれたんですよ」
「そうだったのか。
君のような頑張り屋には、
これをプレゼントしたかったのだが……」
ガイが懐から例の通気性抜群の服を取り出す。
「ガイ先生もリーさんも尊敬していますけど。
サスケさんが悲しむので」
(本当は、サスケさんで遊びたいだけなんですけどね)
「いい話だ」
「プレゼントしていただけるなら……。
それが欲しいですね」
「ん?」
ヤオ子が指差したのは、ガイのレッグウォーマー(?)だった。
「ほう。
いいところに気が付いたな」
「いや~。
それほどでも」
「よろしい!
プレゼントしよう!」
「いいんですか!?」
ガイが懐からレッグウォーマーを取り出した。
(あの懐には、一体何が詰まっているんだろう?)
「さあ、足を出せ」
「い、いいですよ!
自分でやりますから!
恐れ多いです!」
「気にするな、ヤオ子。
ん? お前、素足に直接靴を履いてるじゃないか。
靴擦れするぞ?
ちゃんとバンテージを巻いておけ」
ガイがヤオ子の足にバンテージを巻いてレッグウォーマーを付けてくれる。
ヤオ子の服装に、また新たなパクリファッションが追加された。
「ガイ先生。
どうもありがとう!」
「な~に、気にするな!」
ナイスガイポーズで、ガイが歯を光らせた。
そのガイに、ヤオ子はお礼を言おうと一歩前に出る。
「あれ? 何か足が重い……」
「特別サービスしといたぞ!」
「へ?」
ヤオ子が膝に妙な感触を感じた。
叩いてみる。
「……金属っぽい音がする」
「その通りだ。
重りが巻いてある」
「え?」
「まあ、片方6キロだ。
直に慣れる」
「はい?
・
・
そんな市販のお米並みじゃないですか!」
「安心しろ。
バランスが悪いからな。
腕にもパワーリストをつけてやる」
「いらない!」
「大丈夫だ。
腕は、たったの500グラムだ」
ガイはヤオ子の腕の保護具を捲くり、装着すると保護具を元に戻す。
筋力では、ヤオ子はガイに適わない。
「足がドムになった気分です……」
「じゃあ、がんばれよ!」
「待ってください!」
「ん? 何だ?」
「あたし、今日から任務みたいなんで、
リーさんのところに頻繁に行けなくなりました。
本当は自分の口で言いたいんですが、ガイ先生からお伝え願えませんか?」
「そうか……そうだな。
分かった伝えておこう」
「ありがとうございます」
「では、今度こそ!」
ガイは、その場から姿を消した。
「相変わらず元気ですね。
・
・
しかも、重りまで持ち歩くとは……。
木ノ葉上忍のジャケットには、
四次元ポケットでも付いているんでしょうか?」
ヤオ子は新装備を身に着けてアカデミーへと向かった。
…
八時三分前……。
ヤオ子がギリギリの時間でアカデミーの前に現れる。
そこでは、ヤマトが腕組みをして待っていた。
「おはようございます。
ヤマト先生」
「また……ギリギリだね」
「時間には正確なんですよ」
「決して褒めてないよ」
ヤオ子は片手をチョイと捻る。
「もう、先生ったら~。
男を待たせるのは女の甲斐性ですよ。
反対がNG」
ヤマトは溜息を吐く。
「随分とよく回る舌だね」
「八百屋は客商売ですから。
お客さんとお話出来ないと」
「分かった。
もういい……。
行こうか?
・
・
と、その前に……。
額当ては?」
あれだけ装備が充実したのに、ヤオ子は額だけをしていなかった。
「額当ては、洗濯したんで干してあります」
「何で、新しいはずだろう?」
「血で染まりました」
「……返り血じゃないことを願うよ」
「安心してください。
自分の血です」
(……それはそれで安心できない)
「もういい……。
行こう……」
ヤマトに連れられ、ヤオ子はある建物に向かうことになった。
…
ヤオ子の目の前には、木の葉で一番目立つ建物が目に入っていた。
ここには他の忍達も足しげく通っている。
「○火のマーク……。
火影さんのアジトですよね?」
「まあ……。
そうとも言うのかな?
ここの一室で任務を言い渡されるんだ」
「へぇ」
(そういえば……。
ここの正式名称って何だろう?
火影邸?)
「本来は火影様自ら任務を言い渡されるが、
今は緊急執行委員会が取り仕切っている」
「へぇ」
ヤマトの簡単な説明が終わると、二人は建物の中へと入る。
そして、ヤマトはある部屋の前に立ち止まり、中に入る。
ヤオ子も続いて入室する。
目に入るのは手書きの吊り幕。
「皆さんガンバ……。
任務受付はこちらまで……。
舐めてんの?」
ヤマトは苦笑いを浮かべると、火影代理の緊急執行委員に話し掛ける。
「本日から任務を受け持つ、八百屋のヤオ子と担当のヤマトです」
「話は聞いています。
まず、これを」
担当の人間が置いた二冊の本を、ヤマトとヤオ子はそれぞれ手に取る。
「これであなたも経理の達人?
火の国の簿記、全て教えます?
・
・
ヤマト先生。
何に使うの? この本?」
「さあ?
・
・
任務を教えていただけますか?」
「今回の任務は、Dランク任務です。
XXXという中小企業の経理です」
「…………」
ヤマトは顔を引き攣らせた。
「あの……人選ミスでは?
簿記なんて、ボクも任務でやったことありませんよ?」
「任務は午後からになりますので、頑張ってください」
「いや……あの、ちょっと!?」
「次の方!」
(ヤマト先生……無視された)
ヤオ子とヤマトが指令の巻物と簿記の本を持って、無言で退室する。
ヤマト達は直ぐに休憩所に移動した。
「最悪だ……。
簿記なんて分からないよ。
午後までに覚え切れるのか?」
「無理だと思いますよ。
減価償却費とか売掛金とか未払い金とか……。
その他諸々の意味をちゃんと理解しないと会計なんて出来ません。
しかも、電卓でそれらを手早く処理しないと時間も掛かりますし」
「…………」
ヤマトは不思議そうにヤオ子を見る。
八歳児の口から専門用語が出てきた。
「ヤオ子……。
意外と詳しいね?」
「うち八百屋です。
月末近くになると木ノ葉の役所に書類提出があるんで、
店の売り上げから利益から損失まで纏める必要があります」
「……もしかして、何とかなりそうかい?」
「あたしはね。
・
・
問題は先生です」
ヤマトは改めて渡された本を見る。
「この本……厚いね」
「まあ、全部は使わないでしょう。
中小企業って言っているので、
そこで扱う商品と関わり合う会社によって使う計算式に制約があるはずです。
うちの場合の例ですと……うちは貧乏でしたから、減価償却するようなものはありませんでした。
よって、減価償却費を算出することはありません」
「ごめん……。
ついていけない」
「とりあえず、商売するなら必ず発生する項目をあたしが教えてあげます」
「助かるよ」
ヤオ子は簿記の本を捲る。
「では、時間まで頑張りましょう。
目次を見ると……1章から必須ですね」
(何か立場が逆な気がする……)
ヤマトは頭を悩ませながらも、ヤオ子の説明を聞いて必死に勉強した。
…
午前中の短い時間で最低限の知識を叩き込む。
ヤマトは憔悴しきっていた。
そして、目的のXXX社に向かう時刻になった。
「疲れた……。
Bランクの任務より疲れた気がする……」
「ヤマト先生は素直でいい人ですよ。
とっても物覚えが早くて。
はっきり言って、うちの馬鹿親の脳みそとトレードして欲しいです」
「ありがとう……。
ボクも君が簿記を知ってて嬉しいよ」
「……信じられるのは自分だけです。
うちの親に任せたら追徴課税や過少申告加算税や延滞税とかがわんさか湧いて、
一ヵ月分の利益が消えた悲しい過去が……。
・
・
その時に簿記を少し覚えたんです……」
「本当に切ないね……。
君の過去って……。
まだ八歳だよね?」
「基本、うちの両親とも馬鹿ですから。
変態としての能力は高いんですけどね。
特に母親が……」
「何だかなぁ……」
「あ。
着きましたよ」
ヤオ子とヤマトの前に、今にも倒れそうな三階建てのビルがある。
「幽霊でも出そうですね」
「いや、地震でも起きたら倒壊しそうだよ」
「…………」
二人は暫しボロビルを見上げ続けた。
「行こうか?」
「はい」
ヤオ子はヤマトに続いてビルに入って行く。
古びた階段を上り、三階の社長室をノックする。
暫くすると温和な老人が顔を出した。
「お待ちしておりました。
早速ですが、お願い出来ますか?」
「はい」
ヤオ子達は社長に続いて、二階の奥の部屋に入る。
そこでヤオ子とヤマトは絶句する。
「…………」
「汚ねーっ!」
沈黙の後に、ヤオ子は絶叫した。
「じゃあ、お願いします」
部屋を出ようとする社長の肩をヤオ子が掴む。
「待て……。
何ですか?
この部屋は?」
「保管庫です……」
「総業何年ですか?」
「……二年ですが」
「ほう……。
安ビルを買い取っての新規事業ですか……」
「え、ええ…まあ……」
ヤオ子は社長の肩を離すと、床を踏みつけた。
「アホかーっ!
何だ! この部屋は!
領収書をただ積み上げれば、
妖精さんが勝手に処理してくれるとでも思ってんのかーっ!?」
「ひィィィ!」
「ヤオ子! ストップ!」
社長に掴み掛かるヤオ子をヤマトが後ろから押さえ込む。
「これ任務! 任務だから!」
「木ノ葉も馬鹿か!
こんな自己管理も出来ない会社なんか切ったって問題ないですよ!」
「そ、そこを何とか!
会社の経営が傾いて経理の人材を雇えないんです!」
「ボランティアやってんじゃないんですよ!」
「ひィィィ!」
ヤオ子がヤマトの拘束を振り解くと、腰に手を当てる。
「ったく!
・
・
何社と取引きしてるんですか?」
「さ、三社……」
「はぁ……。
社長、バインダーありますか? 沢山?」
「え、あ……ああ」
「ヤマト先生。
やりましょう」
「……ああ」
(何だったんだ?
さっきの暴走と今の静寂は?)
ヤオ子の剣幕に押され、社長は部屋を走って出て行った。
その間にヤオ子は山積みでごちゃごちゃの部屋をゆっくりと回り、紙の束の一番上を確認して行く。
(一応、規則性はありますね)
「ヤマト先生。
廊下に全部出します」
「え?」
「三社ごとの取り引きと、この会社自身の経費等で区分けしましょう。
それを年代順に並べます」
「最近のものだけでいいんじゃないのか?」
「利益とか借金とかが前年度から残ってれば繰り越しますから」
ヤオ子がチャクラを練り込み、印を結ぶ。
「影分身の術!」
ヤオ子は二体の影分身を出す。
「部屋には三人がやっとですから、
ヤマト先生は廊下に並べてくれますか?」
「今回は、君に従うよ。
ボクの方が素人だ」
「では、始めますね」
ヤオ子が影分身と一緒に紙の束を持って何度も出入りする。
外に運んだ束をヤマトが指示通りに整理する。
外に運び終えたところで、日は傾き出していた。
ヤオ子は溜息を吐いて、廊下に並んだ紙の束に目を向ける。
「二年間で、何で、こんなに一杯になるんですかね?
いくらなんでも多い気がするんですよ」
「これのせいじゃないの?」
ヤマトが散乱する紙を指差す。
「ん?」
「この会社の人達、領収書をそのまま保存して、
一枚の紙に纏めることをしてないよ」
「保存するのは間違いじゃないけど……。
資料に纏めたら別で保存しましょうよ……。
資料も纏めますか……」
「仕方ないね」
その後、社長の持って来たバインダーに全ての資料を挟み込む作業へと移行する。
その間に影分身の一人は部屋を徹底的に掃除していた。
「ちゃんと背表紙にタイトル入ってますね?」
「ヤオ子の言う通りにしたよ」
「あたし、今までの作業でヤマト先生と戦友になった気分です」
「同感だ……。
あとは、簿記の本見ながらか……」
これからが本来の任務の開始だった。
暗くなり始めた空を見て、ヤオ子がヤマトに提案する。
「役割分担しませんか?」
「ん?」
「ヤマト先生は簿記完璧じゃないです。
領収書の類を纏めてください。
あ、本の例題通りで。
あたしは役所に提出する書類を埋めます」
「まだまだ時間が掛かりそうだね」
「いえ、あと少しですよ」
ヤオ子が追加で出した影分身と一緒に、椅子に腰掛けてバインダーごとの経理を始める。
そして、電卓を弾き出すと部屋にはボタンを叩く連続音が響き出した。。
「は……早い。
・
・
あ! ボクも急がないと!」
ヤオ子のスピードに合わすために、ヤマトは木分身で数を増やして対応する。
「何処で電卓の早打ちなんて覚えたの?」
「余裕ありますね。
ヤマト先生」
「分身で数を増やしたからね」
「あたしは、家の事情です。
親が馬鹿なんで……。
アイツら、間違ったの気付いても突き進むんです。
だから、一枚として正確な書類が出来た試しがありません。
故にあたしが電卓を正しく打てるようにならなくてはなりませんでした」
「一人暮らしして、大丈夫なの?」
「休みを利用して処理して来ます」
「大変だね」
「まあ、ちゃんと纏めてれば、
次からそれほど大変じゃありません。
よっぽどのことがない限り、パターン化されますから」
「なるほど」
「さっき、社長を怒ったのは悪いことを認識させるためです。
うちの場合は、相当口酸っぱく言って直しました」
「本当に苦労人だね……」
「あの社長はうちの親より気が小さいから、
きっと、一回で直りますよ」
(策士だな……)
「ここまで綺麗にしておけば、もう呼ばれることもないでしょうね。
木ノ葉の依頼が減っちゃいましたね」
「いや、減って結構だ。
こんな依頼、二度としたくない」
「はは……。
そうですね」
その後、綺麗に纏められた書類と経理し直した結果を社長に手渡した。
時刻は夜の八時なっていた。
「本当にありがとう。
これで、今月は何とかなりそうです。
いや、それ以上の仕事をしてくれた」
社長がヤマトとヤオ子に順に握手する。
「もう、汚くしちゃダメですよ?
ちゃんとバインダーに挟んだんですから、
纏めて管理してください」
「約束するよ」
ヤマトが腰の道具入れから巻物を出す。
「終了のサインをお願いします」
「はい。
・
・
書けました」
「確認しました」
ヤマトが巻物を仕舞うと、社長が頭を下げる。
「また、お願いします」
「専門家を雇った方がいいんじゃないの?」
「小さい会社ですからね。
中々、そこまでお金を出せなくて」
「気持ちだけは痛いほど分かります。
うちも貧乏ですから……」
社長とヤマトが微笑む。
「では、我々はこれで」
軽く会釈をして、ヤオ子とヤマトはXXX社を後にした。
…
帰り道……。
「ヤマト先生」
「ん?」
「確かに、こんなことしてたら、立派な忍者の育成の妨げですね」
「本当だね……。
仕事を選んで欲しいよ。
経理できる忍者なんてそうそう居ないよ」
「しかも、Dランク……」
「Dランクじゃないと、
あの社長さんは雇えなかったよ」
「もしかして……。
あれだけやってアルバイト並のお給金?」
「多分ね……」
ヤオ子が溜息を吐く。
「しかし、今日一日で随分と簿記の力が付いた気がするんですよね?」
「そうなのかい?」
「はい」
影分身を解いた時の経験値蓄積能力が働いたためである。
ヤオ子は忍者と関係ない簿記能力のレベルがあがった。
「でも、忍者雇う理由はありますね」
「うん?」
「分身です。
一人で数人分の働きです。
あの社長さんみたいな人が一人分で雇うには最適です」
「そうかもね。
・
・
そうだ。
君が遅く着たから、言い忘れていたことがあるんだ」
「何ですか?」
「この小隊……暫く二人だ」
「何で?」
「今回の合格者の人数が一人だけ半端なんだ」
「それで、あたし? 何で?」
「他の子は影分身できない。
つまり、さっき言った君の方法を取れないんだ」
「覚えればいいじゃないですか?」
「多重影分身は、本来禁術なんだよ」
「……嘘?」
「本当。
それに誰でも出来るわけでもない」
「そうなんだ」
(何で、あたし出来たんだろ?
・
・
ああ。
エロパワーです。
人の限界を超える力……エロパワー。
時にそれは、人に奇跡を与える力になります。
偉大ですよねぇ……)
「ヤマト先生。
そうなると、あたしは影分身で人数を補えばいいんですか?」
「お願い出来るかな?」
「いいですよ。
丁度いいです」
「丁度いい?」
「修行時間が減りますからね。
影分身でチャクラと術の修行になります。
自由時間は手裏剣術と体術に回します。
効率的でしょ?」
「大したもんだ……」
このあと、任務の報告を無事に済まして、ヤオ子の初任務は終了した。