<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.13840の一覧
[0] 【ネタ・完結】NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~[熊雑草](2013/09/21 23:12)
[1] 第1話 八百屋のヤオ子[熊雑草](2013/09/21 21:27)
[2] 第2話 ヤオ子のチャクラ錬成[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[3] 第3話 ヤオ子の成果発表[熊雑草](2013/09/21 21:28)
[4] 第4話 ヤオ子の投擲修行[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[5] 第5話 ヤオ子と第二の師匠[熊雑草](2013/09/21 21:29)
[6] 第6話 ヤオ子の自主修行・豪火球編①[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[7] 第7話 ヤオ子の自主修行・豪火球編②[熊雑草](2013/09/21 21:30)
[8] 第8話 ヤオ子の悲劇・サスケの帰還[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[9] 第9話 ヤオ子とサスケとサクラと[熊雑草](2013/09/21 21:31)
[10] 第10話 ヤオ子と写輪眼[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[11] 第11話 ヤオ子の自主修行・必殺技編①[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[12] 第12話 ヤオ子の自主修行・必殺技編②[熊雑草](2013/09/21 21:32)
[13] 第13話 ヤオ子の自主修行・必殺技編③[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[14] 第14話 ヤオ子の自主修行・必殺技編④[熊雑草](2013/09/21 21:33)
[15] 第15話 ヤオ子の自主修行・必殺技編⑤[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[16] 第16話 ヤオ子とサスケと秘密基地[熊雑草](2013/09/21 21:34)
[17] 第17話 幕間Ⅰ[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[18] 第18話 ヤオ子のお見舞い①[熊雑草](2013/09/21 21:35)
[19] 第19話 ヤオ子のお見舞い②[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[20] 第20話 ヤオ子のお見舞い③[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[21] 第21話 ヤオ子の体術修行①[熊雑草](2013/09/21 21:36)
[22] 第22話 ヤオ子の体術修行②[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[23] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編[熊雑草](2013/09/21 21:37)
[24] 第24話 ヤオ子の中忍試験本戦・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[25] 第25話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅護衛編[熊雑草](2013/09/21 21:38)
[26] 第26話 ヤオ子と木ノ葉崩し・自宅壊滅編[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[27] 第27話 幕間Ⅱ[熊雑草](2013/09/21 21:39)
[28] 第28話 ヤオ子の新生活①[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[29] 第29話 ヤオ子の新生活②[熊雑草](2013/09/21 21:40)
[30] 第30話 ヤオ子の新生活③[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[31] 第31話 ヤオ子の下忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 21:41)
[32] 第32話 ヤオ子の下忍試験・実技試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[33] 第33話 ヤオ子の下忍試験・サバイバル試験編[熊雑草](2013/09/21 21:42)
[34] 第34話 ヤオ子の下忍試験・試験結果編[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[35] 第35話 ヤオ子とヤマトとその後サスケと[熊雑草](2013/09/21 21:43)
[36] 第36話 ヤオ子の初任務[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[37] 第37話 ヤオ子の任務の傾向[熊雑草](2013/09/21 21:44)
[38] 第38話 ヤオ子の任務とへばったサスケ[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[39] 第39話 ヤオ子の初Cランク任務①[熊雑草](2013/09/21 21:45)
[40] 第40話 ヤオ子の初Cランク任務②[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[41] 第41話 ヤオ子の初Cランク任務③[熊雑草](2013/09/21 21:46)
[42] 第42話 ヤオ子の初Cランク任務④[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[43] 第43話 ヤオ子の初Cランク任務⑤[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[44] 第44話 ヤオ子の憂鬱とサスケの復活[熊雑草](2013/09/21 21:47)
[45] 第45話 ヤオ子とサスケの別れ道[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[46] 第46話 幕間Ⅲ[熊雑草](2013/09/21 21:48)
[47] 第47話 ヤオ子と綱手とシズネと[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[48] 第48話 ヤオ子と、ナルトの旅立ち[熊雑草](2013/09/21 21:49)
[49] 第49話 ヤオ子と第七班?①[熊雑草](2013/09/21 21:50)
[50] 第50話 ヤオ子と第七班?②[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[51] 第51話 ヤオ子の秘密[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[52] 第52話 ヤオ子とガイ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:51)
[53] 第53話 ヤオ子と紅班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[54] 第54話 ヤオ子とネジとテンテンと[熊雑草](2013/09/21 21:52)
[55] 第55話 ヤオ子とアスマ班のある一日[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[56] 第56話 ヤオ子と綱手の顔岩[熊雑草](2013/09/21 21:53)
[57] 第57話 ヤオ子とサクラの間違った二次創作[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[58] 第58話 ヤオ子とフリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:54)
[59] 第59話 ヤオ子と続・フリーダムな女達[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[60] 第60話 ヤオ子と母の親子鷹?[熊雑草](2013/09/21 21:55)
[61] 第61話 ヤオ子とヒナタ班[熊雑草](2013/09/21 21:56)
[62] 第62話 ヤオ子と一匹狼①[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[63] 第63話 ヤオ子と一匹狼②[熊雑草](2013/09/21 21:57)
[64] 第64話 幕間Ⅳ[熊雑草](2013/09/21 21:59)
[65] 第65話 ヤオ子とヤマトの再会[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[66] 第66話 ヤオ子とイビキの初任務[熊雑草](2013/09/21 22:00)
[67] 第67話 ヤオ子の自主修行・予定は未定①[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[68] 第68話 ヤオ子の自主修行・予定は未定②[熊雑草](2013/09/21 22:01)
[69] 第69話 ヤオ子の自主修行・予定は未定③[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[70] 第70話 ヤオ子と弔いとそれから……[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[71] 第71話 ヤオ子と犬塚家の人々?[熊雑草](2013/09/21 22:02)
[72] 第72話 ヤオ子とカカシの対決ごっこ?[熊雑草](2013/09/21 22:03)
[73] 第73話 ヤオ子の居場所・日常編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[74] 第74話 ヤオ子の居場所・異変編[熊雑草](2013/09/21 22:04)
[75] 第75話 ヤオ子の居場所・避難編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[76] 第76話 ヤオ子の居場所・崩壊編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[77] 第77話 ヤオ子の居場所・救助編[熊雑草](2013/09/21 22:05)
[78] 第78話 ヤオ子の居場所・死守編[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[79] 第79話 ヤオ子がいない①[熊雑草](2013/09/21 22:06)
[80] 第80話 ヤオ子がいない②[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[81] 第81話 幕間Ⅴ[熊雑草](2013/09/21 22:07)
[82] 第82話 ヤオ子の自主修行・性質変化編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[83] 第83話 ヤオ子の自主修行・能力向上編[熊雑草](2013/09/21 22:08)
[84] 第84話 ヤオ子の自主修行・血の目覚め編[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[85] 第85話 ヤオ子の旅立ち・お供は一匹[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[86] 第86話 ヤオ子とタスケの口寄せ契約[熊雑草](2013/09/21 22:09)
[87] 第87話 ヤオ子の復活・出入り禁止になった訳[熊雑草](2013/09/21 22:10)
[88] 第88話 ヤオ子のサスケの足跡調査・天地橋を越えて[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[89] 第89話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ①[熊雑草](2013/09/21 22:11)
[90] 第90話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ②[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[91] 第91話 ヤオ子のサスケの足跡調査・北アジトへ③[熊雑草](2013/09/21 22:12)
[92] 第92話 ヤオ子のサスケの足跡調査・状況整理[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[93] 第93話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁①[熊雑草](2013/09/21 22:13)
[94] 第94話 ヤオ子とサスケ・再び交わる縁②[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[95] 第95話 ヤオ子とサスケの新たな目的[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[96] 第96話 ヤオ子と小隊・鷹[熊雑草](2013/09/21 22:14)
[97] 第97話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・マダラ接触編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[98] 第98話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦編[熊雑草](2013/09/21 22:15)
[99] 第99話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・深夜の会話編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[100] 第100話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・作戦開始編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[101] 第101話 ヤオ子とサスケの奪還作戦・奪還編[熊雑草](2013/09/21 22:16)
[102] 第102話 ヤオ子とサスケの向かう先①[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[103] 第103話 ヤオ子とサスケの向かう先②[熊雑草](2013/09/21 22:17)
[104] 第104話 ヤオ子とサスケの向かう先③[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[105] 第105話 ヤオ子とサスケの向かう先④[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[106] 第106話 ヤオ子の可能性・特殊能力編①[熊雑草](2013/09/21 22:18)
[107] 第107話 ヤオ子の可能性・特殊能力編②[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[108] 第108話 ヤオ子と砂漠の模擬戦[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[109] 第109話 ヤオ子とイタチの葬儀[熊雑草](2013/09/21 22:19)
[110] 第110話 ヤオ子とサスケの戦い・修行開始編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[111] 第111話 ヤオ子とサスケの戦い・修行編[熊雑草](2013/09/21 22:20)
[112] 第112話 ヤオ子とサスケの戦い・最後の戦い編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[113] 第113話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・筆記試験編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[114] 第114話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・サバイバルレース編[熊雑草](2013/09/21 22:21)
[115] 第115話 ヤオ子とサスケとナルトの中忍試験・本戦編[熊雑草](2013/09/21 22:22)
[116] 第116話 ヤオ子の八百屋[熊雑草](2013/09/22 01:07)
[117] あとがき[熊雑草](2010/07/09 23:40)
[118] 番外編・ヤオ子の???[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[119] 番外編・サスケとナルトの屋台での会話[熊雑草](2013/09/21 22:23)
[120] 番外編・没ネタ・ヤオ子と秘密兵器[熊雑草](2013/09/21 22:24)
[121] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と①[熊雑草](2013/09/21 22:25)
[122] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と②[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[123] 番外編・没ネタ・ヤオ子と木ノ葉と砂と③[熊雑草](2013/09/21 22:26)
[124] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第1話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[125] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第2話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[126] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第3話[熊雑草](2013/09/21 22:27)
[127] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第4話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[128] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第5話[熊雑草](2013/09/21 22:28)
[129] 番外編・実験ネタ・混ぜるな危険  第6話[熊雑草](2013/09/21 22:29)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[13840] 第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編
Name: 熊雑草◆890a69a1 ID:9b88eec9 前を表示する / 次を表示する
Date: 2013/09/21 21:37
 == NARUTO ~うちはサスケと八百屋のヤオ子~ ==



 サスケの中忍試験本戦が始まり、それが終わればいつも通りの生活スタイルに戻っていくはず。
 ヤオ子の体術修行は終わりを迎える。
 ヤオ子はリーに丁寧に頭を下げる。


 「リーさん。
  長い間、ありがとうございました」

 「ヤオ子さん。
  今回、教えたのは基礎です。
  そして、ヤオ子さんは絶対的に筋力が足りません。
  しっかり修行してください」

 「そうですね。
  このままでは、サスケさんを亡き者に出来ません」

 「は?
  今、何と……?」


 ヤオ子は笑って誤魔化す。


 「あはは……。
  気になさらず。
  あたしは、あのドSに一発かましたいだけですから」

 「確か……。
  まだ、一回も当てられてないんですよね」

 「そうなんですよ。
  まあ、当たった時がサスケさんの命日ですけどね」

 (『爆殺! ヤオ子フィンガー!』で……)

 (この子に体術教えちゃいけなかったんじゃ……)


 リーは体術を教えたことを少し後悔した。



  第23話 ヤオ子の中忍試験本戦・観戦編



 中忍試験・本戦当日……。
 本戦会場にて、ヤオ子は原作キャラクター達とかなり離れたところに居る。


 「サクラさんやヒナタさんに挨拶したかったんだけど……。
  凄い込み具合で離れたところに来ちゃったな」


 ヤオ子の周りには、上忍、中忍、下忍を問わずに観戦席が埋まっている。


 「しかし……。
  何で、あたしの周りには忍者しか居ないの?
  一般人は? 木ノ葉の庶民は?」


 ヤオ子がキョロキョロと周りを見回す。


 「もしかして……。
  席が空いてたのって、皆がこの人達を避けていたからでは?
  ・
  ・
  面倒臭いからって、弟を蔑ろにしなければ良かった……。
  何か一人だけ場違いなところに居る気がする」


 ヤオ子は溜息を吐く。


 「それにしても……。
  もう、他の選手の皆さんが集まっているのに、
  サスケさんの姿がありませんね?
  ・
  ・
  気配をこの会場とは別のところに感じます」


 ヤオ子はトラウマにより、サスケの大体の位置を把握できる。


 「きっと、ワザとですね。
  サスケさんの新手のギャグです。
  一人だけ目立とうとしてもバレバレです」


 ヤオ子が両手を膝に乗せて頬杖をついていると、本戦会場に三代目火影の声が響く。


 「えー……皆様。
  この度は、木ノ葉隠れ中忍選抜試験にお集まりいただき、
  誠にありがとうございます!
  これより、予選を通過した八名の本戦試合を始めたいと思います!
  どうぞ! 最後までご覧ください!」


 中忍試験本戦開始の演説と共に、会場に歓声が沸く。
 己が里の忍の力を見せ付けるための試合でもある中忍試験の本戦……各国から集まった人々の盛り上がりも一入力が入っていた。
 しかし、そんな事情など知らないヤオ子は、ただ三代目火影の演説だけに見入っていた。


 「優しそうなお爺さんですよね。
  あれが火影とは思えませんよ」


 感想は淡白なものだったが……。
 そして、第一試合が始まろうとしていた。


 …


 会場の真ん中には、うずまきナルトと日向ネジが残る。
 ヤオ子は、日向ネジを見るのは初めてである。


 「あの人の目……ヒナタさんに似てますね」

 「日向一族が相手か……」

 「ん?」


 ヤオ子は名も知らない隣の忍者の声に聞き耳を立てる。


 「日向一族秘伝の柔拳に、
  あの子が何処までやれるか」

 (そうです……。
  ナルトさんはアカデミーを出て数ヶ月でした。
  ・
  ・
  ただ……うちのドSが波の国から帰って来た時に、
  かなり人間離れして帰って来ましたからね。
  同じ班のナルトさんも、もしかしたら……)

 「しかも、日向の方は下忍の任務を一年こなしている。
  これだけでも経験に差がある」

 (中々の情報通ですね……隣の方。
  続きの解説をお願いします)

 「問題は日向の柔拳で攻撃される……なんだっけ?」


 ヤオ子はこけた。
 情報通だと思っていたのに、いきなり解説が途切れた。
 ヤオ子の隣の忍者Aは、忍者Bに質問する。


 「オレが知るかよ」

 「え~っと……」


 ヤオ子はイライラする。
 そして……。


 「点穴!」

 「そう! それ!」


 忍者A,Bが、ヤオ子を見る。


 「す、すいません!
  昨日、
  『日向危機一髪! 怒りのサマーソルトキック!』
  という本を見たので……つい!」

 「凄いタイトルだな……」


 ヤオ子は咄嗟に嘘をついて誤魔化した。


 「あはは……」

 (我ながら何という酷い嘘を……。
  あのタイトルのセンスはないです。
  サマーソルトキックって……。
  柔拳は、何処に行った……)


 忍者Aが続きを話す。


 「柔拳でその点穴を正確に突くとチャクラを止めることが出来るらしい。
  問題は対戦相手がどうやって防ぐかだ」

 「なるほどな」

 (なるほどです。
  ナルトさんの作戦が鍵のようですね)


 開始の合図が掛かると、ナルトとネジが少し会話をしているようだった。
 会話が終わり、ネジが構えを取るとナルトは影分身の術を使う。


 「分身か……」

 「的を絞らせない気だな」

 (ナルトさん!
  四対一でフルボッコです!)


 しかし、ヤオ子の心の声援も虚しく、攻撃を仕掛ける影分身はネジに次々に倒されていく。
 あまりにも呆気なく倒されるので、ヤオ子は忍者Aに質問する。


 「すいません」

 「どうした? お嬢ちゃん?」

 「さっきの攻撃……。
  何で、後ろからなのに躱されたんですか?
  白眼って経絡系を見極めるだけじゃないんですか?」


 忍者Aはネジを見ながら語る。


 「いや……見えているんだ。
  白眼の視界はとてつもなく広いらしい」

 「じゃあ……後ろも?」

 「多分な」


 ヤオ子もネジに視線を移すと、死角なしという状態に唾を飲み込んだ。
 そして、律儀に説明してくれた忍者Aに頭を下げる。


 「ありがとうございました」

 「他にも気になったら聞きな」

 「ありがとう、お兄さん」


 ヤオ子は大胆な(図々しい)性格で忍者Aと協力関係を結んだ。


 「それにしても、日向の体術は凄いな。
  四対一を何でもないように」

 (確かにそうなんですよね。
  影分身が消えたのは柔拳叩き込まれて
  内蔵バーンなんでしょう。
  ・
  ・
  あたしもリーさん達のお陰で、
  少しだけ動きを追えるんですが……早いです。
  そして、綺麗です。
  一直線に相手の急所を刺すみたいに……。
  ・
  ・
  ナルトさん……)


 ナルトがネジの柔拳に対抗するため、一気に影分身の数を増やす。
 忍者Bが、それを見て呟く。


 「だな……。
  四人で無理なら手数を増やすしかない」

 (凄い……。
  あんなに分身してる)

 「でも……あれ高等忍術の影分身だろ?
  チャクラは大丈夫なのか?」

 「「考えてないんじゃないの?」」


 忍者Bの疑問に、ヤオ子と忍者Aの声が重なった。


 …


 ヤオ子の目から見ても実力の差があり過ぎる気がした。
 多人数相手でも平然と動き続けるネジ。
 ナルトの囮作戦で決定的な瞬間を作るも、秘伝体術の回天で全て弾き返される。
 そして……。


 「柔拳法……。
  八卦六十四掌」


 ネジの繰り出す高速の突き。
 ナルトは柔拳により全身の点穴を突かれてしまった。


 「終わったな」

 「ああ。
  点穴を突かれた。
  もう、チャクラを練れない」

 「…………」


 ヤオ子は点穴を突かれても、尚も立ち上がろうとするナルトに声援を送る。


 「ナルトさーん!
  頑張れーっ!」


 ヤオ子の声援は、八卦六十四掌の決まった歓声に掻き消されてしまった。
 それでも何も出来ないここで、声援を送るだけでもしたかった。


 「お嬢ちゃん。
  もう、無理だと思うぜ?」

 「いいんです。
  あたしは、ナルトさんの友達だから応援するんです」

 「でもなぁ……」


 ナルトがゆっくりと体を起こし始める。


 「おいおい……。
  まだ、やるのかよ」

 「いい加減諦めろよ」


 ヤオ子はカチンと来る。
 簡単なことだが、ヤオ子はナルトを友達だからという単純な理由でしか応援してない。
 故に、勝手に自分の中で知らないネジは敵、師匠であり友達のナルトは味方の構図が出来ている。
 ヤオ子は奥歯を噛み締め、呟く。


 「まだ……分からないじゃないですか」

 「どうして?」


 ヤオ子と忍者A,Bの会話とはお構いなく、会場の中央ではナルトに問われたネジが日向の憎しみを語っている。
 その会話がヤオ子達に届くことはなかった。


 「ひ、瀕死の状態からセブンセンシズが目覚めて
  コスモが爆発するかも!?」

 「何? セブンセンシズって?」

 「あと……コスモ?
  分かんないんだけど?」

 (ううう……。
  聖闘士星矢を知らないなんて……)

 「じゃ、じゃあ……。
  怒りによって目覚めるとか?」

 「何が?」

 「……っ!」


 ヤオ子は何も言えずに押し黙る。


 (悔しいです!
  言い返したいけど何も言えない!
  ・
  ・
  ナルトさん!)


 『んで……それが何?』と、ナルトは呟くとチャクラを練り始めた。


 「……っ!
  師匠とあたしにだけあるエロパワーが目覚めんですよ!」


 ヤオ子の憤慨に忍者A,Bが大笑いする。
 その時、会場の中央でナルトは九尾のチャクラを練り始めた。


 「な、何だあれは!?」


 忍者Aが声をあげる。


 「見ましたか!?
  あれがエロパワーです!」


 大きな間違い。


 「点穴を突かれているのにチャクラが!?」

 「エロに不可能はありません!
  ナルトさん! 頑張れーっ!」


 そして、九尾のチャクラを練り終えたナルトが攻撃に移る。
 その動きに忍者A,Bどころかヤオ子も絶句する。


 「「「は……早い!」」」

 (何これ!?
  いきなり早くなった!?
  サスケさんが足にチャクラを集中させた時より早い!?)


 手裏剣が飛び交い、両者の投げたクナイがぶつかり甲高い音を会場内に響かせる。


 「これエロパワーとかじゃ
  説明つかないだろう!?」

 「エロパワーですよ!
  エロパワー以外にどうやって説明するんですか!?」

 「何にしても信じられないぐらいの
  チャクラを練り込んでいる!」


 やがて、最後の衝突が起きるとナルトとネジが弾け飛ぶ。
 その衝突で弾かれた二人は互いに地面に激突し、会場内は砂煙に覆われた。


 「……生きてんのか?」

 「……どうなった?」


 砂煙が晴れると両者ノックダウンしている。
 そして、ネジが先に立ち上がると何か呟く。
 しかし、そのネジを地面からナルトが突き上げた。
 直後、ノックダウンしたと思っていたナルトが煙となって消えた。


 「影分身だったのか……。
  日向が……負けたのか?」

 「そうなんじゃないですか?
  あの審判の人が言ってますよ」

 「凄いな……。
  結局、何が何だか分からなかったが」

 「全ては、エロパワーの恩恵です!」

 「本当か? お嬢ちゃん?」

 「はい。
  あのチャクラの感覚は、
  あたしのチャクラの感覚に通じるところがあります」

 「…………」


 この会話のせいでナルトの九尾の力はエロパワー説が一部に流れたとか流れないとか……。

 ヤオ子達の話とは別に会場は大歓声に包まれている。
 傍から見れば見応えのある試合だった。
 そして、ナルトが九尾の力をコントロールして使ったことは、木ノ葉の里の大人達を驚かせている。
 覚めやらぬ会場の中で、本戦は次の試合の準備に移行していた。


 …


 いい試合を見た後で、思わず息を吐き出す。
 ヤオ子と打ち解けてしまった忍者A,Bが会話をする。


 「いい試合だったな」

 「ああ。
  驚いたな」

 「…………」

 「どうしたんだ?
  静かになって?」

 「ちょっとした疑問なんですけど……。
  お二人は、中忍の方ですか?」


 忍者A,Bが頷く。


 「下忍であれだけの破壊力でしょ?
  お二人は、もっと凄い化け物なんですか?」

 「「一緒にするな」」

 「違うの?」

 「合格基準が毎回違うんだ」

 「そうなんですか?」

 「ああ。
  試験官も毎回違うしな」

 「何で?」

 「余所の里と合同でしているんだから試験官が毎回木ノ葉だったら、
  贔屓してるんじゃないかって思われたりするからじゃない?」

 「なるほど」

 「だから、時には戦闘能力じゃなくて
  分析能力が評価されて合格したりして要素は様々だ。
  中忍は、隊のリーダを任されることもあるから、
  リーダーとしての資質も重要視される」

 「へ~。
  もう一ついいですか?」

 「いいよ」

 「今回、本戦に八人だけですよね。
  それから、更に削られるんですよね?」

 「まあな」

 「…………」


 ヤオ子は眉間に皺を寄せて考え込む。


 「どうした?」

 「中忍試験って大名呼んだり、他国から人呼ぶのを考えると、
  年に十回も二十回もやりませんよね?」

 「当たり前だろ?」

 「…………」


 更にヤオ子は考え込む。


 「どうした?」

 「いや、素朴な疑問なんですけどね。
  忍者って死が付きまとう危険なお仕事じゃないですか」

 「そうだな」

 「それなのに中忍になる人数が
  これだけって少な過ぎません?」

 「…………」


 忍者A,Bは沈黙する。


 「だって、木ノ葉だけじゃなくて他国と合同でしょ?
  八人全員合格しても中忍増えない国もあるじゃないですか。
  しかも、合格する人数少ないし……。
  需要と供給のバランスは取れているんですかね?
  どこかでインフレが起きてんじゃないですか?」

 「確かに……。
  もし戦争でも起きて中忍が百人死んだとする。
  年二回中忍試験あったとして、合格者八人を毎回他国と取り合ったら……。
  里の中忍を百人増やして元に戻すのに一体何年掛かるんだ?」

 「でしょ?
  それだけじゃないですよ。
  毎年アカデミーを卒業する下忍は、
  中忍に合格する人数より多いはずでしょ?

   火影
   ↓
   上忍
   ↓
   中忍
   ↓
   下忍

  の三角形の下忍だけ、すん……ごいことになると思いません?
  しかも、木ノ葉だけじゃありませんよ?
  他国もですよ?」

 「……この里、大丈夫なのか?
  いや、忍者のこの構図は大丈夫なのか?」

 「不安が増すでしょ?」

 「オレ、今まであまり気にならなかった」


 ヤオ子は右手の人差し指を立てる。


 「多分ですけど……。
  きっと、裏で掴ませてますね」

 「「掴ませる?」」


 ヤオ子は指で丸を作る。


 「マネーです」


 忍者A,Bが吹いた。


 「それはない!」

 「何で?」

 「そんなことしたら他国との関係が狂うだろ!」

 「じゃあ……こっそり暗部行きですかね?」

 「「え?」」

 「下忍から、いきなり引き抜いて暗部に入れるんです。
  火影直轄だから記録も分からず真相は闇の中です。
  そして……条件はやっぱりマネーです」

 「だから……ないって!」

 「ないですか?」

 「ああ」

 「じゃあ……」

 「まだ、考えてるのか?」


 ヤオ子は頷く。


 「かつての忍界対戦の時に勢いで上忍と中忍の役職を
  あげすぎちゃってデフレ状態になってしまったとか?」

 「「は?」」

 「よく中小企業にあるじゃないですか。
  役職が微妙なところ。
  評価の対象がないから、皆、主任か副主任にしちゃうヤツ。
  もしくは、~補佐とか、~代理とか。
  あれがあるだけで月々に少し手当てがつくんですよ。
  それで会社は『勘弁してね~』ってなるんです。
  ・
  ・
  それと同じで活躍した忍者に給料払えなくなった里の上層部が、
  上忍と中忍の役職をバラ撒いて手当てだけつけたんです。
  だから、今の時代は上忍と中忍が溢れ返っているから、
  中々、中忍になれないんです」

 「世知辛いな……」

 「ああ……」

 「忍界対戦後には各里に上忍と中忍は溢れ返っていますから、
  各里共に『中忍いらねーよ』って状態です。
  そこで『合同で中忍試験やって合格の門を狭くしねぇ?』みたいな話し合いが起きて、
  今のように中忍試験が行われているのです」

 「……微妙な説得力がある」

 「……頼むから、そんな理由でないことを望む」

 「まあ、気になさらずに。
  もし、あたしが言った通りなら、
  お二人は狭き門を通ったエリート忍者ですよ。
  それこそ昔の中忍の人よりも」

 「素直に喜べない……」

 「火影様の笑顔の裏には、
  そんな腹黒い設定が……」

 「あれ?
  もう、試合終わりそうですね」

 「え?」

 「何?」


 三人が会場の真ん中を見ると、シカマルがテマリを影真似の術で拘束していた。


 「ああ……そうだな。
  もう、どうでもいいや」

 「そうですか?
  ・
  ・
  それにしても……。
  相手を影で捕まえて同じ行動を取らせるなんて、
  とても面白い術ですね」

 「あの女が馬鹿なんだよ」


 三人はシカマルがテマリを縛るまでの過程を見ていない。
 そして、シカマルが手を上げる。


 「ギブアップ」

 「…………」

 「「「何でだーっ!?」」」


 理由も何も分からない三人は、揃って声をあげた。
 一番大事なものを見逃した三人には、何が何だか分からなかった。
 そして、残すはサスケと我愛羅の試合だけになった。


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.05498194694519