――雨が降っている
それはまるで、絶望した者をさらに打ちのめすかのように、激しく降り続いた
その雨は、交差点にいる1人の少年を濡らしていた
少年の周囲には半壊したトラックが一台、近くの電柱に刺さっていた
その周りに集まってくる人の波で、交差点は騒がしくなった。
しかし、少年の耳にそんな雑音は聞こえていなかった
まるで少年の周りだけ、静寂が包み込んでいるかのように
さらに追い打ちをかけるように、雨は勢いを増してきた
まるで……2人から熱を奪うように
その少年はうつむいて、傷ついた少女を抱きしめていた
少女の青い制服はボロボロで、体のほとんどが赤で染まっていた
――真っ白いシャツでさえも
少女を抱いている少年の手もまた……
赤く、より赤く染まっていた。