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No.13837の一覧
[0] DQD ~ドラゴンクエストダンジョン~ (現実→オリジナルDQ世界)[ryu@ma](2010/10/02 23:31)
[1] DQD   1話[ryu@ma](2009/11/10 23:28)
[2] DQD   2話[ryu@ma](2009/11/10 23:42)
[3] DQD   3話[ryu@ma](2009/11/11 23:03)
[4] DQD   4話[ryu@ma](2009/11/12 22:35)
[5] DQD   5話[ryu@ma](2009/11/14 00:01)
[6] DQD   6話[ryu@ma](2009/11/14 22:32)
[7] DQD   7話[ryu@ma](2009/11/15 23:14)
[8] DQD   8話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[9] DQD   9話[ryu@ma](2010/01/03 22:37)
[10] DQD   10話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[11] DQD   11話[ryu@ma](2010/01/03 22:38)
[12] DQD   12話[ryu@ma](2010/10/07 22:18)
[13] DQD   13話[ryu@ma](2010/10/07 22:19)
[14] DQD   14話[ryu@ma](2010/10/07 22:21)
[15] DQD   15話[ryu@ma](2010/10/07 22:22)
[16] DQD   16話[ryu@ma](2010/10/07 22:24)
[17] DQD   17話[ryu@ma](2010/01/31 22:16)
[18] DQD   18話[ryu@ma](2010/01/31 22:08)
[19] DQD   19話[ryu@ma](2010/02/07 22:28)
[20] DQD   20話[ryu@ma](2010/02/14 21:42)
[21] DQD   21話[ryu@ma](2010/02/28 23:54)
[22] DQD   22話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[23] DQD   23話[ryu@ma](2010/03/28 23:23)
[24] DQD   24話[ryu@ma](2010/03/28 23:24)
[25] DQD   25話[ryu@ma](2010/03/28 23:35)
[26] DQD   26話[ryu@ma](2010/05/10 23:13)
[27] DQD   27話[ryu@ma](2010/04/14 23:31)
[28] DQD   27.5話[ryu@ma](2010/05/10 22:56)
[29] DQD   28話[ryu@ma](2010/05/10 23:18)
[30] DQD   29話[ryu@ma](2010/05/28 22:28)
[31] DQD   30話[ryu@ma](2010/06/13 00:30)
[32] DQD   31話[ryu@ma](2010/07/06 22:16)
[33] DQD   32話[ryu@ma](2010/09/03 20:36)
[34] DQD   33話[ryu@ma](2010/10/02 23:14)
[35] DQD   34話[ryu@ma](2010/10/02 23:11)
[36] DQD   35話[ryu@ma](2010/10/02 23:21)
[37] DQD   35.5話[ryu@ma](2010/10/07 22:12)
[38] DQD   36話[ryu@ma](2010/11/21 00:45)
[39] DQD   37話[ryu@ma](2010/12/07 23:00)
[40] DQD   38話[ryu@ma](2010/12/30 22:26)
[41] DQD   39話[ryu@ma](2011/01/26 23:03)
[42] DQD   40話[ryu@ma](2011/02/09 22:18)
[43] DQD   41話[ryu@ma](2011/03/02 22:31)
[44] DQD   42話[ryu@ma](2011/05/15 22:07)
[45] DQD   43話[ryu@ma](2011/09/25 22:54)
[46] DQD   44話[ryu@ma](2011/12/30 21:36)
[47] DQD   45話[ryu@ma](2012/05/04 21:57)
[48] DQD   46話[ryu@ma](2012/05/04 21:50)
[49] DQD   47話[ryu@ma](2013/03/22 23:00)
[50] DQD   47.5話[ryu@ma](2013/03/22 22:57)
[51] DQD   48話[ryu@ma](2013/10/11 22:33)
[52] DQD   設定[ryu@ma](2010/10/07 22:13)
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[13837] DQD   26話
Name: ryu@ma◆6f6c290b ID:05cf0d5a 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/05/10 23:13
DQD   26話

迷宮から宿に帰ってきた時に、ビアンカたち三人がエルシオン学園卒業記念で集まっていたところにお招きを受けた。
美少女3人からのお誘い、断る理由などありはしない。
場所はビアンカの部屋。思えばビアンカの部屋に入るのはこれが初めてだ。いや女の子の部屋に入ること自体がトールにとって初めてのことだった。
そう考えて初めのうちは緊張していたが、用意してある食べ物やジュースなどを飲食しながら軽い雑談をしているうちに落ちついてきた。
三人の学園での思い出や、トールの迷宮での事などに話の花を咲かす。
学園での話を聞いているうちに、向こうでの学校生活を思い出し懐かしくなり少ししんみりしたりもした。

そんな時、ふと会話が止まったかと思うと三人は立ち上がった。

「「「これからよろしくおねがいします」」」

いきなり頭を下げる三人にトールは驚くが、彼女達なりのけじめと決意の表れなのだろう。なあなあで事を進めるよりもずっと良い。

「こっちこそよろしく」

トールは微笑みながら答える。

「でもまあ、それも明日から。今は気楽に行こうよ。今から肩肘張っても疲れるだけだし。気を抜くべく時には気楽にしないとね」

祝いの場で堅苦しくなるのは好きではない。
三人もそれが分かったのか、椅子に座りなおした。
だが雰囲気がまだ少し硬いような気がする。せっかくの集まりでこのままの状態なのも何だか悪い気がする。少し場を和ませた方がいいのかもしれない。

「三人とも、ちょっと手を出してくるかな?どっちでもいいからさ。手の平を上にしてね」

トールの突然の言葉に三人は少し困惑してお互いを見詰め合ったが、少しすると片方の手を差し出した。
トールはそれを確認すると、『大きな小袋』からある物を取り出して三人の手の平に乗せていく。

「卒業祝いと、冒険者になったお祝いだね。受け取ってよ」

「これって……」

「指輪……」

ビアンカとソフィアは呆然としたように呟き、フローラは少し顔を赤くした。

「中々の物だと思うから、身につけといてよ」

「ビアンカだけなら分かるけど、わたしやフローラにも……」

「三人ともにって……」

「こういう場合、どうすれば……」

三人はうつむいたままボソボソと呟く。

トールとしては何が何だか分からない。
今渡した物は元々卒業祝いとして用意していたものだが、本来なら迷宮探索に入る前に渡すつもりだった。ただ今日パーティーに呼ばれた事と今の雰囲気を払拭しようと言う思いから、急遽渡す事に決めたのだ。
渡した物は『命の指輪』。
『錬金釜』を使って作った物で【いのちのいし・いのりのゆびわ → 命の指輪】で出来上がったものだ。素材の二つともがカジノのコインで交換出来るもので助かった。

お祝いで何か送ろうと思った時、やはり冒険に役立つ物の方が良いだろう思った。そこで思いついたのがレシピとして思い出していた『命の指輪』だ。
歩いているだけでHPが回復すると言う、現実ではある意味チートと言える性能を持つ。お守り代わりにもなると思った。
これなら冒険者でいる間中、役に立つアクセサリーであるはずだ。

市販はしていないものだし、物珍しさの加わって驚いてもらえるとは思っていた。
実際に三人とも驚いてくれたようだったが、その後の反応がどうにも解せない。
三人とも何故か顔を赤らめている。そして俯いてお互いに顔を見合わせようともしない。

ただ指輪を渡しただけなのにどうした事なのだろう。
そう、女の子に指輪を渡しただけなのだ。


女の子に……指輪を……渡す……。

!!!!!!


トールは唐突に自分がした事を理解する。
男が女に指輪を渡すと言う行為、それの本来持つであろう意味、それが頭の中で繋がる。
瞬間、トールの顔も真っ赤になった。
そして彼女達が顔を赤く染めている理由も理解できた。彼女達がトールをどう思っているかはさておき、男性から指輪を送られれば顔を真っ赤にする事もあるだろう。
トールにしても確かに彼女たちに好意は感じているが、それが恋愛にまで達しているかと言えば『?』が頭の中に浮かぶ。
皆水準以上の美少女ではあるが、トールの目的の事を考えれば踏みこむ事に躊躇しているのが真実なのだろう。
ただ、今はそんな事は関係なく慌てていた。

「い、いや、これは……指輪、……いや『命の指輪』で、アクセサリーで、使えば、じゃなくて、使用じゃなくて、そう、身につければ、それで歩けば、回復して、癒すから、そうしてほしくて……」

トールはしどろもどろしながら奇妙な身振り手振りを付け加えて話した。
トールの慌てっぷりが逆に三人を落ちつかせたのか、何とかトールの話を理解してもらう事が出来た。

場を和ませようとした結果は、余計にグタグタになったような気がする。
でも何とか微妙な雰囲気脱する事が出来たので、まあ良い事にした。


****


あくる日からトールと三人のパーティーを組んでの迷宮探索は始まった。
少し浮かれたような感じではあったが、それも迷宮に入ると気を取り直し引き締まったものになった。
エルシオン学園での授業の賜物だろう。
迷宮内では一瞬の気の緩みが生死を分けることがある。その事を何度もいい聞かされていたためだ。
初めての正式な冒険で緊張している事もあるだろう。
だが自分に頼りきって変に余裕を持っているよりはいいのかもしれないとトールは思う。



トール、ビアンカ、フローラ、ソフィア、スラきちでパーティー登録をするが、実際に経験値を振り分けるときはトール、ビアンカ、フローラ、ソフィアの四人で均等に分け合う事になる。
スラきちだけでなく、仲間のモンスターはすべて主であるモンスターマスターの付属のように扱われる。
モンスターへの経験値はモンスターマスターが自分の得た経験値の中からどれだけをモンスターに振り分けるのかを決める。『魔物使い』の職にある者が他の冒険者よりもレベルの上がり方が特に遅い原因にもなっている。



パーティーを組む事で仲間のステータスが見る事が出来るので、今後のためにステータスを見る。


――― ステータス ―――
ビアンカ  おんな
レベル:4
職:魔法使い

・装備
頭:ヘアーバンド(守+2、攻魔+2)
身体上:皮のドレス(守+6、回魔+3)
身体下:赤いスカート(守+5、攻魔+3)
手:布のてぶくろ(守+1、器+5)
足:皮のくつ(守+1、避+1%)
アクセサリー:命の指輪(守+6、自動回復)
武器:皮のムチ(攻+7)
盾:うろこの盾(守+5)

HP:28
MP:13
こうげき力:36
しゅび力:34

魔法使いスキル:1(魔結界、ラリホー)
鞭スキル:4(鞭装備時攻撃力+5、らせん打ち、しびれ打ち、鞭装備時攻撃力+10)
慈愛スキル:0(自動レベルアップ)

特殊技能:エルシオン学園攻撃魔法科(メラ、ギラ)、エルシオン学園鞭術科(しばり打ち、鞭装備時攻撃力+5)





フローラ  おんな
レベル:2
職:魔法使い

・装備
頭:ぎんのかみかざり(守+6、攻魔+8)
身体上:みかわしのふく(守+13、避+3%)
身体下:ニーソックス(守+7)
手:皮のてぶくろ(守+2、器+15)
足:皮のくつ(守+1、避+1%)
アクセサリー:命の指輪(守+6、自動回復)
武器:まどうしの杖(攻+7)
盾:うろこの盾(守+5)

HP:21
MP:14
こうげき力:12
しゅび力:46

魔法使いスキル:1(魔結界、メラ、マヌーサ)
杖スキル:3(装備時MP+10、まふうじの杖、眠りの杖)
慈愛スキル:0(自動レベルアップ)

特殊技能:エルシオン学園回復魔法科(ホイミ、べホイミ、キアリー)





ソフィア  おんな
レベル:4
職:戦士

・装備
頭:はねぼうし(守+7、攻魔+5、回魔+5)
身体上:鉄の胸当て(守+16)
身体下:あつでのズボン(守+3)
手:皮の小手(守+3)
足:皮のブーツ(守+2)
アクセサリー:命の指輪(守+6、自動回復)
武器:兵士の剣(攻+13)
盾:うろこの盾(守+5)

HP:34
MP:13
こうげき力:52
しゅび力:57

戦士スキル:1(かばう)
剣スキル:4(剣装備時攻撃力+5、ドラゴン斬り、メタル斬り、剣装備時攻撃力+10)
盾スキル:1(ガードアタック)
ゆうきスキル:0(自動レベルアップ)

特殊技能:エルシオン学園剣術科(疾風斬り、剣装備時攻撃力+10)、エルシオン学園盾術科(盾ガード率+3%)



ビアンカは学園時代にも使って手馴れている武器を使い、防具は今のビアンカが武器屋で買える物で最も良い物を装備している。
フローラは父親から送られたものらしく一般的な冒険者が使う物を装備しているが、決して良すぎるわけでもない物だった。
ソフィアは既に冒険者になっている兄や幼馴染の使っていたお古を譲り受けた物らしかった。

三人とも第一層を探索するには申し分ない装備をしている。そして学園時代の修練で様々な特技や呪文を習得している。

レベルの差があるのは、レベルが上がるのに必要な経験値は個人によって違いがあるためそれが原因だろうが、装備やスキルや今までの修練からそれほどの差は感じられない。

余程のヘマや油断をしない限り心配することはないだろう。



トールは腰のモンスター袋からスラきちを出す。
スラきちは小柄でHPも少ないが、ステータスはそれなりにあるし防具もつけている。今どのくらいの事が出来るか見てみたかった。
1~5階の第一層ではステータスと見ても負ける事もないだろう。



――― ステータス ―――
スラきち  ?
レベル:15
種族:スライム
HP:18
MP:22
ちから:8
すばやさ:24
みのまもり:16
かしこさ:29
うん:31
こうげき魔力:6
かいふく魔力:6

装備:角つきスライムアーマー【功+8、守+25】、命の指輪【守+6、自動回復】

こうげき力:16
しゅび力:47

言語スキル:0
スライムスキル:3(自動レベルアップ、ホイミ、スクルト、ルカナン)


攻撃力の不安からモンスター道具屋でスライムアーマーを改良してもらった。
スラきちの大きさでは噛み付いたところで大したダメージを与える事はできないため、攻撃方法としては体当たりをする事になるだろう。
その事を考慮して作ってもらったのが『角つきスライムアーマー』だ。改良には1000Gほどかかった。
それでも攻撃力に関してはそれなりにあるとしか言えない。
ただ守備力はトールが第一層を探索していたときよりも高い。第一階層のモンスターなら、『おおきづち』の痛恨の一撃以外なら耐えることが出来る。それにトールの分として作っておいた『命の指輪』を今は身につけている。
問題はないと思う。



トールの装備も以前と少しだけ変わった。
『錬金釜』が使えるようになったことで、色々試せる事やレベルや階層制限があるため武器屋で買うことが出来ない物も手に入れられるかもしれない。
少し話を聞いて調べてみると、どうやら『錬金釜』としては、ⅧとⅨの性質あわせた物のようだ。錬金に素材を使うがそれは全て一個で事足りると言う事だ。
例を出すと、『命の指輪』の場合ゲームのDQⅨだと『いのりのゆびわ』1個と『いのちのいし』3個が必要だが、この世界では『いのりのゆびわ』1個と『いのちのいし』1個でいい。
ただトールが今使える2つのアイテムを合成出来る『錬金釜』では、作れるアイテムも少ない。やはり3つを合成出来る『錬金釜』を使えるようにならなくてはいけないだろう。

後、素材はあまり集められない。
ゲームのDQⅨのように世界を歩き回っていれば、光って素材がある場所を教えてくれるわけではない。仮に光って教えてくれるとしても、世界は広大だ。その光を視認出来る場所まで行くのにどれほどの苦労をするのか検討もつかない。
とりあえずは迷宮内の宝箱からも素材は手に入るようだし、モンスターからも手に入るようなのでそれに期待するしかないだろう。

まずは今出来る錬金をする事にした。

錬金釜:【いのちのいし・いのりのゆびわ → 命の指輪(守+6、自動回復)】4個
     【おしゃれのバンダナ・はやてのリング → しっぷうのバンダナ(守+11、速+20、回魔+5)】1個
     【スライムゼリー・きんのゆびわ → スライムピアス(守+4)】1個
使用料:60G

『命の指輪』だが、レシピを思い出していた時に初めに思い出したものだ。カジノで交換できるアイテムで出来るため直ぐに思い出せた。
『しっぷうのバンダナ』だ。鍵つきの宝箱から『はやてのリング』を手に入れた時に作るのを決めていた。
『スライムピアス』は何か目的があって作ったわけではない。思い出だしたレシピの中で今作れる物を作っただけだ。

現状で作れた物はこの3つだった。
『きんのゆびわ』と『きんのブレスレット』は『錬金釜』が使えると分かった時に道具屋で購入しておいた。


カジノで交換
いのりのゆびわ:Gコイン700枚×4個 計2800枚
いのちのいし:Gコイン300枚×4個 計1200枚


購入
きんのゆびわ(守+2):220G×5個  計1100G
きんのブレスレット(守+3):350×5個  計1750G


トールが作った3品は今までのレシピにはなかったらしく謝礼が貰える事になった。というよりも『錬金釜』でレシピがあるのは『上やくそう』などの道具類が殆どで、装備品等のレシピはごく少数しかないらしい。しかないらしい。
多くの冒険者はそれで満足してしまい新たなレシピを探そうとはしないらしい。組み合わせがどれほどあるか分からないのだから、それも当たり前かもしれない。
トールもDQでのレシピを覚えていなかったら、『上やくそう』等の道具だけで満足していただろう。

むしろ使い始めて早々に新たに3種類もレシピを当然のように発見したトールをロクサーヌは疑うようにじと目で見ていたが、特に何も言わなかった。
ただ今まで全く増えてこなかったレシピが突然一人の手によって増えるのだから怪しまれてもしょうがないだろうとは思う。
トールの知るレシピがこれからも当たっているかどうかは分からないが、今作った3種類のレシピから考えても、全く違うと言う事はないだろう。
今出来るのはこれだけだが、今後冒険で素材を見つけたときに直ぐに『錬金釜』で合成してしまっていいのかは、いずれ考えなければいけない事になるだろう。
このまま何も言ってこないようならそれで良いのだが、それが楽観である事はトールも分かっている。
ただ、とりあえず今はどうしようもないので考えない事にした。

謝礼は出来上がった物を、普段買い取る値段の5倍の金額が貰える。
トルネコ商会とすればこのレピシの情報を冒険者に売れば、直ぐにでも払った程度の金額は回収できるだろう。ただ当たり前の事だが、本人が作るのはともかくレピシの情報を他人に教えるのは禁止された。

謝礼金:『いのちの指輪』13000G、『しっぷうのバンダナ』:3400G、『スライムピアス』:1000G

思いがけない収入を得る事になった。とは言っても『命の指輪』を作るのに『いのりのゆびわ』や『いのちのいし』をカジノのコインで交換しているので、コインの原価の事を考えると損をしているように思えるが、元より予定にはなかったものだからやはり得をしたと思っても良いだろう。



こうして多少だが装備を変えた。
だがこのまま三人と一緒に探索をしようとは思わなかった。
トールは『破邪の剣』と『ライトシールド』を『大きな小袋』に片付け、ついでにアクセサリーもスカウトリングに換える。
両手を素手にしたのは『素手スキル』を修めてみようと思ったからだ。


こうげき力:112 → 57
しゅび力:93 → 78


少し前、正確にはトラウマで剣を持てなくなった時から、自衛の手段として『素手スキル』で格闘が出来るようになるべきではないかと思っていた。
剣が使える状態で戦うならいいが、いつでも剣があるかは分からない。何かあったとき自分の身一つで切り抜けられるようにするべきじゃないのか。
幸い『素手スキル』は盗賊の職でも上がりやすいスキルだ。
流石に現状で探索するべき階を剣を使わずに戦う自信はない。だが第一層となるなら別だ。
『素手スキル』を上げるためだけに第一層を歩き回ろうとは思わない。その分強いモンスターと戦いレベルや剣スキルを上げた方が良いからだ。
だが今回のように第一層を歩き回る機会があるなら、素手で戦っても良いのではないかと思う。
レベルが上がっているおかげで、素手で戦っても第一層をクリアーした時の攻撃力よりも高くなっているし、戦いの経験も増えた。もしもの時は『闘気法』もある。
力任せに殴るだけでも十分に戦える。
この階層のモンスター相手に遅れを取る事はないだろう。


****


戦士、魔法使い、魔法使い。
職種だけでみればこの三人のパーティーはバランスが良いとは言えないが、使う武器やエルシオン学園で習い収めた技術がその欠点を失くしていた。
戦士であるソフィアが前衛で剣と盾を持って戦い、魔法使いのビアンカがムチや魔法を使いながら中盤で戦う。
同じく魔法使いのフローラは学園で回復魔法を収めているため僧侶役を兼任している。また装備している『まどうしの杖』は道具として使うと『メラ』としての効果があるため、『まどうしの杖』を使って後方から戦いのフォローをする。レベルの低いうちの魔法使いはMPが少ないため呪文を多くは使えないが、『まどうしの杖』がある限りその欠点を補う事が出来ていた。

地下一階で戦うのを見ていたが、トールの出る幕はない。
そもそも彼女達三人はエルシオン学園の実習としてこの迷宮の地下1、2階は経験している。
その時は職無しであったが、今は冒険者になり職を得てこの迷宮を探索しているのだ。戦闘については何の心配も要らなかった。
スラきちが前衛として参加しているため、更に戦闘には隙がなくなっていた。
トールは基本的に『盗む』をして、時折素手の攻撃でフォローをするなどしていた。

迷宮内の探索についても、学園で学んできているため特にトールが口出しするような事はない。
以前アリーナの護衛として同じような感じで迷宮に潜ったが、戦闘はともかく迷宮探索自体は素人だったため色々フォローをしたが、三人は危なげなく迷宮を進んでいた。
学園で迷宮や冒険者の事を習い、そして実際に迷宮で実習もしてきたのだ。ある意味このくらい出来て当然なのかもしれない。

(僕がいる必要ないんじゃないか)

一瞬こう思ったが、彼女達も初めてで緊張と不安があるのも分かる。
トールの存在は一種の保険のようなものだと考えればいい。その存在があるからこそ彼女達は何の心配もなく、遺憾なく実力を発揮できるのだ。


****


昼時になるとお弁当を出しての昼食となった。
トールが一人で探索する時は、宿で朝食に用意されているパンを二つ三つ貰っていき、それを昼食代わりに食べる。腹を膨らますことが目的でゆっくり食べるような事はしなかった。
だが彼女達はお弁当を用意してきたようだった。呑気なように感じるが息抜きというのは必要だと思う。勿論時と場所は選ばなくてはいけないが、今は何の問題もないだろう。
薄暗い迷宮の中でおかしな感じだが、ピクニックのように思えてしまった。
迷宮内の小部屋の中でシーツを敷きお弁当を並べる。
トールは一応『トヘロス』を唱えておく。自分より低レベルのモンスターを寄せ付けない呪文だ。これで一時間ほどはこの階層のモンスターなら近寄ってくる事はないだろう。
不意をつかれても負けることはないが、食事時にモンスターに来られるほど鬱陶しい事はない。
自分一人ならこんな事はしないが、彼女達と一緒に食事を取るのだ。これくらいはするべきだろう。



敷かれたシーツの上に並べられたお弁当。聞けば今朝の内に三人で作ったものらしい。
弁当を囲んで座る。正面にビアンカ、右にフローラで、左にソフィアが座る。スラきちはトールの膝の上だ。勿論スライムアーマーは外している。

「いただきます」とは言ったものの誰も手をつけない。というより三人ともトールを見つめる。
これは即ち、まずはトールから手をつけて下さい、とのメッセージだろう。
何というか、期待のこもった眼差しを感じる。
色々な種類のサンドイッチにサラダ、揚げ物に焼き物。
意を決すると、とりあえずはハムサンドと思えるものに手を伸ばし食べる。

「うん、美味い」

普通に美味しい。絶品と言うわけではないが、文句をつけるところはない。まあ、もし不味いとしても、ここでそれを正直に口に出せたかと言えば、多分言えないだろう。
手作りを頂くのだ。余程不味いものでないのなら全て平らげるのが男と言うものだ。

トールの言葉にフローラが嬉しそうな笑顔になる。どうやらこのサンドイッチはフローラ作のようだ。
ふと、ビアンカとソフィアの方を見れば、期待したような眼差しが更に強くなるのをトールは感じた。ならばここでトールがするべき行動は一つだ。
他の種類のサンドイッチに手を伸ばし、探るように宙を漂わせるとチーズと野菜のサンドイッチのところでソフィアがピクリと動いた。それを確認してからそのサンドイッチをトールは手に取って食べる。

「うん、これも美味しい」

正直な感想だ。ソフィアも笑顔に変わる。
また弁当の上で探るように漂わせると今度はから揚げの上でビアンカの様子が変わった。
トールはから揚げを手に取り食べる。

「これも美味しいよ」

ビアンカの料理は宿でも食べるため腕前は分かっていた。その時は熱々のもので美味しかったが、こうしてお弁当用の冷めたものでも美味しかった。その言葉にビアンカも満足したように笑顔になった。

「じゃあ、わたしたちも頂きましょ」

「そうね」

「はい」

ビアンカの言葉にソフィアとフローラが答えて、三人も食べ始める。

よく考えれば女の子の手作り弁当なんてこれが初めてだ、とトールは気がつき少し気恥ずかしく感じながらも食事を続けるのだった。


『盗む』:やくそう(7個)、毒けし草(5個)




――― ステータス ―――

トール  おとこ
レベル:21
職:盗賊
HP:158
MP:63
ちから:57
すばやさ:54+10+20(+10%)
みのまもり:26
きようさ:59+20+30(+10%)
みりょく:34
こうげき魔力:26
かいふく魔力:31+8
うん:42

・装備
頭:しっぷうのバンダナ(守+11、速+20、回魔+8)
身体上:かくれみのふく(守+20、避+5%)
身体下:ブルージーンズ(守+11)
手:たびびとのてぶくろ(守+4、器+30)
足:エンジニアブーツ(守+6)
アクセサリー:スカウトリング

こうげき力:57
しゅび力:78

言語スキル:3(会話2、読解、筆記)【熟練度:52】
盗賊スキル:5(索敵能力UP、常時すばやさ+10、ぬすむ、器用さ+20、リレミト、ピオリム、しのびあし)【熟練度:7】
剣スキル:6(剣装備時攻撃力+5、ドラゴン斬り、メタル斬り、剣装備時攻撃力+10、ミラクルソード、はやぶさ斬り)【熟練度:67】
ゆうきスキル:4(自動レベルアップ、ホイミ、デイン、トヘロス、べホイミ)【熟練度:24】

特殊技能:闘気法(オーラブレード、ためる)、スカウト

経験値:43142

所持金:11343G (預かり所:30000G)

Gコイン:30120

・持ち物『大きな小袋』
道具:やくそう(12個)、上やくそう(8個)、特やくそう(5個)、毒けし草(24個)、上毒けし草(5個)、きつけそう(6個)、おもいでのすず(5個)、スライムゼリー(1個)、せいすい(6個)、いのちのいし(5個)、まほうのせいすい(8個)、モンスター袋、従魔の輪、リリルーラの粉、オクルーラの秘石

装備品:バンダナ(守+1)、皮のぼうし(守+3、回魔+2)、布のふく(守2)、たびびとのふく(守+4)、あつでのズボン(守+3)、けいこぎズボン(守+5)、布のてぶくろ(守+1、器+5)、皮のくつ(守+1、避+1%)、皮のブーツ(守+2)、竜のうろこ(守+5)、スライムピアス(守+4)、ひのきのぼう(攻+2)、銅の剣(攻+7)、破邪の剣(攻+40)、ライトシールド(守+10)、ドラゴンシールド(守+25)

――― 仲間のステータス ―――
本文中のステータスと同じ




――― あとがき ―――

ビアンカ、フローラ、ソフィア、三人との冒険が始まりました。
三人とも学園で経験している階層での探索のため、まだ余裕があります。
迷宮探索はこれからです。


人の仲間のステータスについて、アリーナの時と少し変えました。よく考えれば仲間のHPやMP等が分からないことには、色々と援護などに不都合が出る事に気が付きました。アリーナのステータスついても追加しました。

トールのステータスの表記に装備に関する事を追加しました。

25話での錬金釜を使った際の使用料や道具の数について修正しました。

トールのしゅび力の誤っていたところを修正しました。

宝箱ですが『やくそう』等の道具場合は、複数入っている場合もあります。


それでは、また会いましょう


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