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No.13832の一覧
[0] ウィザードリィにはまる人たち(らき☆すたキャラ→ウィザードリィ1)[T.SUGI](2009/11/10 20:54)
[1] 序章 出会い、そしてはまる人たち[T.SUGI](2009/11/12 17:38)
[2] 第一章 ギルガメッシュの酒場[T.SUGI](2009/11/12 17:39)
[3] 第二章 ワードナの迷宮地下一階[T.SUGI](2009/11/12 17:40)
[4] 第三章 ワードナの迷宮地下二階[T.SUGI](2009/11/14 15:30)
[5] 第四章 ワードナの迷宮地下三階[T.SUGI](2009/11/15 17:32)
[6] 第五章 ワードナの迷宮地下四階[T.SUGI](2009/11/19 17:38)
[7] 第六章 モンスターアロケーションセンター[T.SUGI](2009/11/22 17:33)
[8] 第七章 ワードナの迷宮地下九階[T.SUGI](2009/11/22 17:32)
[9] 第八章 ワードナの迷宮地下十階[T.SUGI](2009/11/23 17:31)
[10] 最終章 邪悪な魔術師ワードナの事務所[T.SUGI](2009/11/24 18:11)
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[13832] 最終章 邪悪な魔術師ワードナの事務所
Name: T.SUGI◆c9cd9219 ID:63fdbecb 前を表示する
Date: 2009/11/24 18:11
「おおっと、テレポーター」

 ワードナの迷宮、地下十階を探索中に、宝箱の罠、テレポーターを作動させてしまった、コナタ達一行。
 強制的に飛ばされ、いずこかの回廊に実体化する。

「ふー、石の中への実体化は免れた様だねー」

 冷や汗を拭う、コナタ。
 ナナコも、大きく息をついて居た。

「石の中?」

 分かってない様子のツカサに、説明する。

「ワードナの迷宮、地下十階は、岩をくり抜いて作った回廊と玄室をワープゾーンでつないだ物だからね」
「つまり、この階でテレポーターの罠を動作させてしまった場合、石の中に飛ばされてしまう可能性もある訳や」
「げ、そうなったら……」

 カガミは理解した様だった。

「多分、ヒイラギ姉の想像で合っとるで」
「もうおそい! 脱出不可能よッ! 無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァーッ」
「っちゅう訳や」
「ええっ」

 ツカサにも、事の重大さが理解できたようだった。

「しかし、ここはどこや? 何や、見覚えが無い気がするんやけど」

 回廊を進んでいく一行。
 そして、玄室の前の壁の標識には、

 邪悪な魔術師ワードナの事務所。
 営業時間は午前9時から午後3時。
 今、ワードナは、在室中。

「はああああっ!?」
「思いっきり、ワードナの本拠地でした。ありがとうございました」

 意図せずに、ワードナの元へと辿り着いてしまった一行。

「ま、まぁ、みんなマスターレベルを超えてて良かったね」

 コナタが取りつくろう様に言う。
 僧侶と魔術師が、七階の魔法すべてを覚えられるようになるのが、レベル13。
 コナタ達は、レベル14に達していた。

「それじゃあツカサ、幻姿(マラー)で脱出してよ」

 テレポート呪文の幻姿(マラー)は、魔術師の魔法の奥義。
 最上位に位置する魔法だ。
 しかし、

「私まだ、その呪文、覚えてないよ」
「なんですって!?」

 驚愕の声を上げるカガミ。

「青ざめたね…… カンのいいカガミは悟った様だね」

 コナタはカガミの内心を指摘して見せる。

「ここから脱出するにはテレポートするしかないのに、ツカサはその為の呪文を覚えていない。この状況を見て、恐ろしい結末になるのを気付いた様だね」
「逃れる事はできんッ! ウチらはチェスや将棋で言う詰み(チェック・メイト)にはまったんやッ!」

 絶望の声を上げるナナコ。

「う…… ウチのせいや。ウチがテレポーターの罠を動作させてもうたんや!」
「も、もう私達が助かる方法は何も無いのッ? わ、私達はワードナ配下のヴァンパイアの食料になって滅びるだけなのッ!?」

 カガミの言葉に、コナタは言う。

「ワードナの魔除けには、幻姿(マラー)の呪文が込められていたはず。それを奪う事ができれば脱出できるけど」
「それは! で、でも勝てると思うの? 今の私達の力で?」

 カガミは、

「私は、メイス+2にプレートメイル+2。後は、シールド+1に、ロッドオブフレイム。僧侶の七階の呪文は全部覚えたわ」

 一方、コナタはと言うと、

「私は、ロングソード+2に、プレートメイル+2、ヘルメット+1。後は、店売りのシールド+1と銅の小手だけだね。あ、あとロッド・オブ・フレイム」

 ナナコは、

「ウチは、ショートソード+2。鎧は最高グレードのレザーアーマー+2。盾は、シールド+3イービルや。ロッド・オブ・フレイムに、体力を自動回復させるリング・オブ・ヒーリングも持っとるけど」

 最後にツカサは、

「私は、静寂の空気(モンティノ)の杖にローブ。ロッド・オブ・フレイムに、致死の空気(マカニト)の護符だよ。あと、ロードの衣装、ガーブ・オブ・ロードを背負い袋の中に畳んで入れてるよ。持っているだけで体力が自動回復するから。呪文は、幻姿(マラー)以外は全部覚えてる」

 こんな具合。
 高い呪文無効化の能力を持ち、魔術師の最高位の呪文、核撃(ティルトウェイト)さえも使うと言うワードナには、よほどの奇跡でも起きない限り勝つのは無理という物。
 しかし、

「いや! 策はあるよ!」
「え!?」
「何やて? イズミ」
「たったひとつだけ策はある!」
「たった一つだけ?」

 カガミ達に向かって力強くうなずくコナタ。

「うん、とっておきのやつだよ!」
「とっておき?」

 そして、コナタの意図に気付くツカサ。

「はっ、コナちゃん! ま…… まさか! そのとっておきって言うのは……!?」
「いい、レベルが続く限りとことんやるよ!」
「レベルが続く限りですって? どういう事よッ!」

 言い募るカガミに、不敵に笑うコナタ。

「フフフフフフ」

 ツカサの両肩を、グッと握りしめる。

「変化(ハマン)だよォォォーッ!」
「や、やっぱりそれーっ?」

 変化(ハマン)とはッ!
 ひとつ、魔物をテレポートさせる!
 ふたつ、魔力を回復させる!
 みっつ、パーティーを治療する!
 よっつ、魔物を黙らせる!
 いつつ、パーティーを回復させる!
 そしてその効果は、ランダムに現れる三つの内の一つから選ぶことができるが、使う度、術者のレベルを1下げてしまう魔術師の呪文だ。

「という訳で、行くよ、みんな!」
「分かったわ、覚悟を決めたから!」

 ワードナの玄室の扉を蹴り開けて、中に突入するカガミ達。
 中にはワードナと、配下のヴァンパイアロード、そして護衛のヴァンパイア二体が居た。

「ワードナに攻撃を集中するんや!」
「気の毒だが、私達のためだ! ワードナの魔除け、殺してでもうばいとる!」

 ワードナを攻撃するナナコ、そしてコナタ。

「な、なにをする。きさまらー!」

 そして、ツカサの呪文、変化(ハマン)が発動する。

「よし、ツカサ、アナザーディメンジョンだよ! ワードナ、お前はこの先、異次元の世界を永遠にさまよい続けるのだ……  ハーッハッハ!!」

 丸っきり悪役の台詞だが、ツカサは首を振った。

「魔物をテレポートさせる効果は、現れなかったよ」
「なら、魔物を黙らせて!」
「うん!」

 変化(ハマン)の効果で、沈黙させられるワードナ達。
 呪文が唱えられなくなる!
 そしてカガミの、僧侶の最強呪文が炸裂した。

「激怒(マリクト)!」

 その呪文は、高い呪文無効化の能力を持つワードナに幸運にも効いた!
 そして、

「核撃(ティルトウェイト)!」

 ツカサの魔術師最強呪文が、ヴァンパイアロードを、ヴァンパイアを灰にする。

「ラスト!」

 コナタの剣が、ワードナに止めを刺す!
 こうして、戦闘は終わった。

「うう、レベルが一つ下がっちゃったよ」

 落ち込むツカサだったが、禁呪である変化(ハマン)の力が無ければ、ワードナには勝てなかっただろうし、生きて地上に戻る事もできなかっただろう。

「あった、これがワードナの魔除けだね」

 手に入れたワードナの魔除けを使って、地上に戻る一行。
 入り口の警備の兵が、ワードナの魔除けが奪還されたことを知らせに走ると、一人の屈強なドワーフが現れて告げた。

「おめでとう。君達は大君主トレボーの試験に合格した。ワードナの魔除けを取り戻したことにより、トレボーは諸君らに50,000の金と経験値を与えた上に諸君を近衛兵の将校に任命しました。誇りを持って階級章を付けるように」

 階級章を受け取るカガミ、そしてツカサ。

「やったわね、ツカサ。これで例の縁談も無かった事にできるわ」
「うん、ありがとうお姉ちゃん」

 こうしてカガミ達は、奇跡の生還を果たすと同時に、思いがけず当初の目的だった、トレボー王の親衛隊への入隊を果たしたのだった。
 だが、冒険はそれで終わりではない。

「ただし、諸君は更なる鍛錬を続けなくてはならない。トレボーは限りなくレベルの高い衛兵を必要としているのです。そしてそれは…… 新たなる冒険への準備でもあるのです」
「はい」

 失われたレベルを上げる為に。
 そして、まだ見ぬアイテムを手に入れる為に、一行は、ワードナの迷宮にチャレンジし続けるのだった。

「ほな行くでー」
「カガミ、ツカサも早く早く」
「待ちなさいってば」
「うう、私だけレベルが低い……」


ウィザードリィにはまる人たち 完


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