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No.13727の一覧
[0] 【習作】 英雄たちのその後って? 【現実→AD&Dっぽい異世界】【チート能力】[ぽんぽん](2013/07/06 08:18)
[1] 01 TRPG[ぽんぽん](2011/01/03 07:02)
[2] 02 現状の確認[ぽんぽん](2011/01/08 18:19)
[3] 03 準備[ぽんぽん](2011/01/15 10:10)
[4] 04 森からの脱出[ぽんぽん](2011/01/30 10:42)
[5] 05 森からの脱出02[ぽんぽん](2011/02/11 08:35)
[6] 06 ウォウズの村[ぽんぽん](2011/03/05 18:23)
[7] 07 夜の酒場[ぽんぽん](2011/03/19 18:09)
[8] 08 魔法[ぽんぽん](2011/03/26 15:54)
[9] 09 治療[ぽんぽん](2009/12/13 09:46)
[10] 10 想い[ぽんぽん](2009/12/13 09:55)
[11] 11 正体[ぽんぽん](2009/12/19 14:04)
[12] 12 黒聖処女[ぽんぽん](2010/02/28 09:03)
[13] 13 葛藤[ぽんぽん](2009/12/27 09:16)
[14] 14 来訪[ぽんぽん](2009/12/30 11:51)
[15] 15 引き渡し[ぽんぽん](2010/01/02 14:51)
[16] 16 旅立ち[ぽんぽん](2010/01/11 12:04)
[17] 17 城下町エドラス[ぽんぽん](2010/01/16 14:11)
[18] 18 戦乙女[ぽんぽん](2010/01/23 16:57)
[19] 19 冒険初心者[ぽんぽん](2010/01/31 11:59)
[20] 20 見極め[ぽんぽん](2010/02/28 09:01)
[21] 21 戦闘[ぽんぽん](2010/02/19 06:00)
[22] 22 ただいま勉強中[ぽんぽん](2010/02/28 11:38)
[23] 23 ハイローニアスの使い[ぽんぽん](2010/03/14 11:45)
[24] 24 依頼[ぽんぽん](2010/04/11 07:59)
[25] 25 地下墳墓(カタコンベ)[ぽんぽん](2010/04/17 09:01)
[26] 26 地下墳墓(カタコンベ)02[ぽんぽん](2010/04/25 18:01)
[27] 27 地下墳墓(カタコンベ)03[ぽんぽん](2010/05/09 10:22)
[28] 28 地下墳墓(カタコンベ)04[ぽんぽん](2010/05/23 10:00)
[29] 29 地下墳墓(カタコンベ)05[ぽんぽん](2010/06/06 10:06)
[30] 30 地下墳墓(カタコンベ)06[ぽんぽん](2010/06/27 17:24)
[31] 31 タエ[ぽんぽん](2011/02/26 04:35)
[32] 32 思い[ぽんぽん](2010/07/18 12:09)
[33] 33 海沿いの街・セーフトン[ぽんぽん](2010/08/01 11:10)
[34] 34 海沿いの街・セーフトン02[ぽんぽん](2010/08/15 12:04)
[35] 35 海沿いの街・セーフトン03[ぽんぽん](2010/08/29 11:00)
[36] 36 戦乙女(ヴァルキュリア)[ぽんぽん](2010/09/26 16:41)
[37] 37 戦乙女(ヴァルキュリア)02[ぽんぽん](2010/10/03 11:24)
[38] 38 戦乙女(ヴァルキュリア)03[ぽんぽん](2010/10/16 20:28)
[39] 39 告白[ぽんぽん](2010/10/31 10:40)
[40] 40 またね[ぽんぽん](2010/11/14 10:23)
[41] 41 白蛇(ホワイトスネイク)[ぽんぽん](2010/11/27 18:26)
[42] 42 サーペンスアルバス[ぽんぽん](2010/12/11 19:27)
[43] 43 日常[ぽんぽん](2011/02/26 04:36)
[44] 44 日常02[ぽんぽん](2011/01/08 18:22)
[45] 45 3ヶ月[ぽんぽん](2011/01/22 18:11)
[46] 46 イル・ベルリオーネ[ぽんぽん](2011/02/26 04:41)
[47] 47 顔合わせ[ぽんぽん](2011/03/19 14:08)
[48] 48 旅の準備[ぽんぽん](2011/03/19 14:09)
[49] 49 ケア・パラベルへ[ぽんぽん](2011/04/09 10:28)
[50] 50 ケア・パラベルへ02[ぽんぽん](2011/04/02 18:00)
[51] 51 ケア・パラベルへ03_カスピアン[ぽんぽん](2011/04/23 17:48)
[52] 52 ケア・パラベルへ04_ソランジュ[ぽんぽん](2011/05/03 17:57)
[53] 53 ラクリモーサ[ぽんぽん](2011/05/14 17:56)
[54] 54 ケア・パラベルへ05_待ち伏せ[ぽんぽん](2011/05/28 17:51)
[55] 55 ケア・パラベルへ06_芽生え[ぽんぽん](2011/06/11 20:15)
[56] 56 旅の少女[ぽんぽん](2011/06/26 07:08)
[57] 57 確信[ぽんぽん](2011/07/16 18:51)
[58] 58 痴漢[ぽんぽん](2011/08/06 07:42)
[59] 59 兄妹[ぽんぽん](2011/08/15 04:15)
[60] 60 強くなるために[ぽんぽん](2011/08/27 16:49)
[61] 61 蠢動[ぽんぽん](2011/09/10 17:52)
[62] 62 開幕[ぽんぽん](2011/10/01 15:44)
[63] 63 前哨戦[ぽんぽん](2011/10/15 17:36)
[64] 64 決意[ぽんぽん](2013/03/02 06:41)
[65] 65 回顧[ぽんぽん](2011/11/19 17:17)
[66] 66 一騎当千[ぽんぽん](2011/12/10 16:57)
[67] 67 一騎当千02[ぽんぽん](2011/12/29 15:53)
[68] 68 想い交錯[ぽんぽん](2012/01/15 12:40)
[69] 69 英雄への想い[ぽんぽん](2012/02/26 07:14)
[70] 70 急転[ぽんぽん](2012/02/26 08:43)
[71] 71 防衛[ぽんぽん](2012/03/10 11:33)
[72] 72 反撃[ぽんぽん](2012/03/31 19:58)
[73] 73 魔王[ぽんぽん](2012/04/21 11:33)
[74] 74 魔王と白蛇[ぽんぽん](2012/05/20 12:37)
[75] 75 チート[ぽんぽん](2012/08/17 11:06)
[76] 76 決着[ぽんぽん](2012/08/17 11:09)
[77] 77 黒い悪魔[ぽんぽん](2012/08/17 11:09)
[78] 78 黒い悪魔02[ぽんぽん](2013/03/02 06:50)
[79] 79 黒い悪魔03[ぽんぽん](2013/03/02 06:51)
[80] 80 黒い悪魔、白い騎士[ぽんぽん](2012/11/03 10:19)
[81] 81 悪を討つ一撃[ぽんぽん](2013/03/02 06:55)
[82] 82 援軍到着[ぽんぽん](2013/03/02 06:57)
[83] 83 妙子と勇希[ぽんぽん](2013/03/02 06:58)
[84] 84 愛しさ切なさ悲しさ[ぽんぽん](2013/04/29 12:19)
[85] 85 異様過ぎる何かとの遭遇[ぽんぽん](2013/06/23 09:03)
[86] 86 異様過ぎる何かとの遭遇02[ぽんぽん](2013/06/23 09:10)
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[13727] 26 地下墳墓(カタコンベ)02
Name: ぽんぽん◆d1396e89 ID:9fc8f5b1 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/25 18:01
「はっ――!!」


銀の片手剣による一閃。
一筋の真っ白な光が放たれる。
光は大ネズミの牙を一瞬で永遠に奪い去っていく――


「そこです――」


鉄製フレイルによる風を裂く重い音が響く。
鉄の先端部が大ネズミの下腹部にめり込む。
大ネズミの声にならない声――


-----------------------------------
◇大ネズミ(Rat)

社会構成:群れ
食性  :腐食性
知能  :極めて低い
性格  :トゥルニュートラル(イビル)

生態
・ネズミの最も重要な目的は餌を得ることである。
・大ネズミは墳墓や地下迷宮といった地下に巣くっており、新しく埋葬された死体をグールよりも先に食い荒らす。
・大ネズミにかまれた傷口からは、衰弱を引き起こす病気に感染することがある。
-----------------------------------


さすが、ドーヴェンさんとイアンさんです。
お二人の攻撃を受けた2匹の大ネズミは、あっという間に逃げ出していってしまいました。
周囲に居た残り5匹の大ネズミも、勝てないと感じたのでしょうか。
あっという間にバラバラになって去っていっちゃいました。

ドーヴェンさんの戦い方は相手の隙を逃しません。
まずは自分の身を守る。
その上で相手の動きを観察する。
敵の弱点(もしくは攻撃部位)を見つけたら、徹底して其処を突いてきます。

一方、イアンさんは全く真逆と言えます。
相手が動くより先に攻撃を仕掛ける。
徹底した先手必勝です。

ただ共通しているのは、お二人とも安定した動きだということです。
わたしは後方を中心とした周囲の警戒だけで済んじゃいました。


「やれやれ、だ。
 入って数メートルでこんなお出迎えとは。
 先が思いやられるよ」


ドーヴェンさんが銀の片手剣を鞘に収めながら呟きます。
その言葉に、わたしも含めて苦笑です。


「何事も前向きに考えることが大事ですよ、ドーヴェン。
 ここは良い準備運動になったと考えましょうか」


イアンさんも微笑しながらフレイルを腰に留めました。





-----------------------------------
026 地下墳墓(カタコンベ)02
-----------------------------------


地下墳墓(カタコンベ)に入ってすぐに大ネズミと遭遇しました。
それを難なく追い払った後、地下墳墓(カタコンベ)の探索を開始です。

内部は、わたしが想像していた以上にヒンヤリしています。
どこからか水滴が落ちてくるような音が、絶え間なく聞こえてきます。

ぴちょん。
ぴちょん、と――。

そんな中を、案内係のエミールさんの指示に従って進みます。
前に進めば進むほど、空気は冷気を帯びてくるのがわかりました。


「イアン。
 私はココへ来るのは初めてなのだが、大ネズミのようなモンスターもよく出るのかい?
 祖先を参るために、確か一般人もよく来る場所だったように記憶するが」


ドーヴェンさんがイアンさんに向かって質問されます。
確かにイアンさんもお墓参りに来た人が襲われたって言っていた記憶があります。


「はい。おっしゃるとおりですよ、ドーヴェン。
 ここは亡くなられた方々と、生きている方々が心の中で話すことができる神聖な場所。
 先に現れたモンスターなど出現することはありませんでした」

「過去形なのが残念だね。
 ふむ、なるほど。
 そういった意味でも、変わりつつというわけか」

「……ええ」


気がそがれない程度に会話をしつつ、一本道をずっと奥に進んでいきます。
一本道の為か、ドーヴェンさんとイアンさんのチェインメイルによる音がいつもより大きく聞こえる気がしました。


「わ、ここは――?」


思わず声を上げてしまいました。
細い一本道を抜けた所に、突如、とても大きな広間になったからです。
天井もすごく高くて、まるで学校の体育館に入ったような感じ。
無論、雰囲気は大きくかけ離れていますが……


「これより先が多くの方々が眠る場所となります。ノア様」


わたしの言葉にイアンさんが応えてくれました。


「エミール、ノア様に説明を――」

「は、わかりました」


コンティニュアルライトストーン入りランタンを持ったエミールさんが、広間の奥を照らすように手を奥に向けました。
光が届き、最初に目に付いたのは祭壇、でしょうか……?
装飾が施された台のような物が目に入りました。


「エロールのノア様。
 あそこに見えるのが儀式用の祭壇になります。
 祭壇を囲うように我々からみて左、祭壇向こう側、右に扉がございます。
 右側は倉庫部屋です。多くの祭具が置かれている部屋です。
 左側の扉は、ご遺体を納める予定の拡張場所になっており掘削中です。
 正面が、さらに先に続く道となります。
 そこから先にも多くの遺体が安置されているものにあります」


祭壇というのはあっていたようです。
またこの大広間の壁の窪みには多くの遺体が安置されていました。
ほとんどが白骨化しているようです。
奇麗な服を着て、手を組んでいるさまは、なんだか……
気持ちよく寝ている様を想像させました。
白骨ではあるのですが、見送られたご家族の気持ちがそうさせているのでしょうか。
不思議と恐怖といったものはありませんでした。
それと、やっぱり[ブレス【祝福】]の効果と[ノア]のおかげもあると思います。


「このあたりは街の方々が眠られる場所です。
 特別な身分の方だと、正面の奥の方へと安置されていきます」


エミールさんは、正面側の扉を指差しながら説明してくださいました。


「やれやれ。
 死んでまで身分が関わってくるのか。
 なんだか世知辛いと言わざるを得ないな」

「ドーヴェン、違いますよ。
 身分というと語弊があります。
 エミール、言葉は正しく使いなさい。
 エドラスの発展に貢献した職人や知識人達が眠られているのですよ。
 貴族とか、そういった意味合いはありません」

「はは、それはいいね」


この大広間ですが、念のために異変が無いか確認することになりました。
何かあっては大変なので4人で周囲を簡単に探索します。
……
……が、特に何は荒らされた様子もなく、おかしな点は見あたりませんでした。


「ノア君、そっちはどうだい?」

「わたしの方にも……
 特におかしな点というのは……
 ……
 ……うん、見あたりません」


シークレットドアでもあるかな、と、ちょっと意識をしてみましたが、特におかしな点は見られません。
わたしはドーヴェンさん、またイアンさんとエミールさんにも聞こえるように返答しました。


「どうするイアン。
 もっとこの辺り探してみるかい?」

「先発隊も予定では最深部に向かうはずでした。
 我々も先に進んでみましょう」

「ああ、了解だ」


イアンさんの指示で、わたし達は祭壇を挟んで向かい側の通路に進むことに決めました。

大広間から向かい側の通路に入った瞬間、奥から強い風を受けました。
バサバサと、わたしの髪の毛が後ろになびきます。
風の通り道にでもなっているのでしょうか。

それはとてもとても。
とても冷たく感じられました。





通路はゆるやかな下り坂でした。
螺旋状にぐるぐると回るように、どんどんと地下に進んでいく形です。


「これって……」

「ん、どうしたんだい、ノア君?」

「あ、いえ! な、なんでもありません」


思わず呟いてしまった声に、ドーヴェンさんに心配をかけてしまいました。
ただ……
今の状況って、あまり芳しくありません。
わたし達は今、どんどん下に向かっています。
なんて言ったらよいのでしょう。
その、ビルにある立体駐車場を上のフロアからぐるぐると回って下っているとでも言うのでしょうか。
そのために、今のわたし達は大分下の階層にいるはずです。
今、たぶん地下5,6階ぐらいでしょう。

そうなると――

「D&D」のルールでは、地下に下れば下るほど手強いモンスターが出現します。
すでにエンカウントモンスターでも結構な強さの敵が出てもおかしくありません。


「全てを貫く神槍、我が手に――」


わたしは歩きながら、そっとグングニルを呼び出しました。





「鉄の扉?
 これはまた装飾に手が込んでいるね」


螺旋状の通路が終わりました。
その先には見るからに重々しそうな両開きの装飾が施された鉄製の扉が控えていました。


「イ、イアン様、よろしいでしょうか……?」


ドーヴェンさんの言葉に、エミールさんが
なんだか震えているような感じでした。


「許可します。
 どうかしましたか、エミール?」


そんなエミールさんに、イアンさんは優しげに言葉を返されました。


「はい、この場所には、こんな扉なんてありません。
 それに、こんなに深く、ずっと下るなんて聞いたこともありません。
 なんだか、な、なんだか奇妙と言いますか、その……」

「わかりました。ありがとうございます、エミール」


エミールさんの言葉を受けて、イアンさんはフレイルを手に取りました。
またドーヴェンさんも鞘から剣を取り出しました。
一気に緊張感が増してきたのがわかります。
わたしもグングニルに「きゅ」っと、少し力を込めた時――


Wooooooooooooooooooooooooooo……

Uxooooonnnnn……


扉向こうから「何か」が聞こえてきました――!
風の音というか、なんというか、鳴き声のような――


「さ、いよいよって感じなんだろうね。
 イアン、どうする?」

「わかっているでしょう、ドーヴェン。
 ここまで来て、何も見ないで引き返す選択肢はありませんよ」

「ああ、同感だね」


イアンさんが振り返り、わたしとエミールさんと目が合います。


「エミール、良いですね。
 ここからが、我々にとって本当の試練の始まりとなります」

「は、はい……!」


エミールさんの唾を飲む音が、はっきりと聞こえてきました。


「ノア様。
 本当にご迷惑をおかけして申し訳ありません。
 ノア様は後方にて、我らの行動を見届けください」

「イアンさん……」


イアンさんは本当に優しげに語りかけてくださいました。
これが本当の[僧侶]なのかな、なんて思えました。
心にストンと言葉が入ってくる感じです。

わたしは自然とグングニルを握る右手に力が入るのがわかりました。


「ドーヴェン、お願いします」

「ああ。まかされたよ。
 ただ期待しないでくれ、わたしは本業では無いのでね」


鉄の扉前に片膝を突くような感じで、ドーヴェンさんは握り手部分を調べ始めました。
これはシーフのスキルのファインドトラップ?
罠が無いとも限りません、調査されているのでしょう。
ただ、ドーヴェンさんはシーフ職ではないので、普通に調べているだけになるのでしょうか?
でも、絶対に、何もやらないよりは、やった方がいいとは思います。


「よし、特に問題はないだろう。
 いいね、開けるよ」


ドーヴェンさんが立ち上がり、わたし達に確認を求めました。


「ええ、お願いします」

「は、は、はい!」


イアンさん、エミールさんは力強く返答されました。
続いてドーヴェンさんがわたしを見つめてきます。
わたしは大きく頷きました。
そんなわたしに、ドーヴェンさんも微笑されながら頷きました。

見るからに重そうな鉄の扉。
軋む音を立てながらゆっくりと動く。
次第に開ける視界。

そこは――


「戦闘準備――!」


ドーヴェンさんの声!
改めてわたしはグングニルを構え直す。
ドーヴェンさんとイアンさんの背中越しに見える世界。
そこは豪華に装飾された画廊のような場所。

そして壁際には――
法衣を着た【白骨】が武器を携えて両端に一列ずつ並んでいて――!
その数は数十体――


「みんな、スケルトンだ――!!」


-----------------------------------
◇スケルトン(Skelton)

社会構成:集団
食性  :なし
知能  :なし(0)
性格  :トゥルニュートラル

生態
・スケルトンは魔法により作られたアンデッドモンスターである。
・スケルトンには社会生活も興味深い生態も持っていない
・スケルトンには全く知能が無いために、創造者の命じる単純な命令に従うことしかできない。
----------------------------------


「イ、イアン様……!
 あ、あのスケルトンが身に纏っているローブ……!」

「え、ええ……
 ……
 ……我ら、ハイローニアスに仕える者達が纏う法衣……!」


エミールさん、イアンさんの声が震えています。
これって、もしかして、もしかしなくても――!!
ここにいるスケルトン全てが……
……
……
……ハイローニアスの僧侶さん達……!?

イアンさんが一歩前に出ました。


「ジュール。
 いつも言っているではないですか。
 ネックレスは禁止ですよ。
 いくら奥方からのプレゼントとは例外はありません……」


震える声でイアンさんがスケルトンに呼びかけて――


「イクバール。
 貴方のフレイルは相変わらず奇麗に手入れされているのですね。
 一目でわかります。
 良い習慣です。そのままお続けなさい……」


声は様々な感情がミックスされていて。
聞いているわたし達が辛くなるもので――


「ジェイン。
 法衣がほつれていると前に言ったでしょう。
 まだそのままなのですね。
 エドラスの街の方々に笑われてしまいますよ。
 早く直しなさい。何度も言わせないでください……」


イアンさんの声。
初めて見るスケルトンなんかの驚きとかそんなものよりも、なんて言えばいいのか……
……
ココロに突き刺さって――


「お前達……
 なぜ、なぜ、このようなことに――!?」


------------------
ナゼダッテ――?
キマッテルダロ
俺ガ楽シムタメの余興ジャネエカ。
------------------


「誰です――!!」

「何処からだ?」

「な、なんなのでしょうか? い、今の声は――!?」


わたしにも聞こえました。
どこからとも無く、無機質な声が――

------------------
サア、俺ヲ楽シマセロ。
デナイト、サッサト死ヌダケダゼ。
------------------


「何処です!?
 姿を見せなさい!!」


イアンさんの叫び声が地下墳墓(カタコンベ)に響き渡る。


------------------
ソウ、アワテナサンナ。
オ前ノタメニ特別なゲストモ用意シテイルンダ。
サア、イッテヤレ。
------------------


整然と並んでいたスケルトン。
その中の1体がカタカタとした動きで前に出てきました。
そのスケルトンはチェインメイルの上に法衣を纏い、右手にはモーニングスターを握りしめていて――


「……!!!!!」


イアンさんの声にならない声――!?


------------------
気ガツイタカ?
立派、立派、サスガニゴ立派ジャネエカ。
アア、感動ノ対面ッテヤツダナ。
気ガキクダロ?
------------------


「ム、ムハンマド――!!」


カタカタ。
カタカタ。
カタカタと一歩一歩と近づいてくる。
イアンさんがムハンマドと呼びかけたスケルトンが、歩み寄って来ます――!


------------------
ケケケ。
カカカ。
ザマネエナ。
俺ハズットオ前ノソンナ顔ガ見タカッタ。
堪ラネエ。
オオ、最高ダ、マジ最高ダ――!
------------------


不快極まり無い下品な声が響き渡る――


「黙りなさい……!」


響き渡るのをイアンさんの声が遮って――


「イアン・フレミング。
 ハイローニアスに誓いましょう……
 ……
 ……貴方を徹底的に排除しつくすと――!」


------------------
ヨクイッタ!
ヨクイッタ!
サア、パーティノ始リダ!
イケ、俺様の亡者達ヨ――!
見セテクレ、友達同士トヤラの殺シアイヲ――!
ッテ言ッテモ、テメエノ友達ハ死ンデイテ骨ダケドナ――!
------------------

どこからとも無く聞こえてくる声。
多くのスケルトンが反応しだしました。
カタカタと、一斉にこちらに近寄ってきます――!


「多勢に無勢だ、ここは戦いやすい通路まで退くぞ!」


ドーヴェンさんの大きな声で指示が飛ばされる。
……けれど……!!


「イアン様――!!」


イアンさんが下がりません。
モーニングスターを抱えたスケルトンと対峙し合っていて――


「何をやっているんだ、イアン!!
 ここじゃ不利だ。
 今は引くぞ!!」


全く動く気配がありません――!
聞こえていないはずは無いと思うのですが――!
スケルトンと見つめ合っていて――!


「ちっ!
 エミール、引きずってでもイアンのやつを――!」


ドーヴェンさんの強い指示の言葉がでます。


「ド、ドーヴェン様、申し訳ありません……
 わ、私はイアン様に従います……。
 今、イアン様はムハンマド様と会話されているのですから……」


震えながらの、エミールさんの言葉――


「馬鹿を言うな――! あんな数のスケルトンに――」


友達……
そして大切な仲間……
……
……
それがこんな事態になっていたら……!
おにいちゃんや、妙子姉、ベルさんがなっていたら……
……
……
わたしは――!


「ドーヴェンさん!
 無理に引き下がらせても、お互い隙だらけになります――!」


せめて、せめてわたしは。
力になりたい。


「ドーヴェンさん、エミールさん!
 イアンさんのバックアップをお願いします!
 他のスケルトンはわたしが――!」

「な――、ノア君!?」

「エ、エロールのノア様!?」


わたしは無力だ。
今、イアンさんは泣いているんだ。
なんの手助けも出来ない。
でも、だからこそ、少しでも力になりたい――!


「大丈夫です、こう見えてもわたし結構強いんですよ」


わたしはエミールさんに向けて笑顔を作ります。
安心してもらえるように――


------------------
コレダ、コレダ、言ウト思ッタゼ。
ダカラ、ハイローニアスのクソ坊主ノ次ニ、テメエはムカツク!
アア、ソレデコソ魔女ダ。
魔女ノ名にフサワシイ。
サア、ドウスル?
今度ハ前ノヨウニハイカネエ。
コイツラニハ身体ガ無インダ。
蛇ノ毒トカはキカナインダゼ?
ココハ出口ガ無イ地下墳墓(カタコンベ)。
俺様ノ城ダ。
今度ハ、俺ノ領域(スフィア)ダ。
テメエの味方ハ誰モイネエンジャネエカ――?
------------------







「D&D(第4判)」では森の女神は[アローナ]でした!
なんか私はずっと勘違いをして[エロール]と書いていました。
うぅ、すみません。
何と勘違いしたのでしょうか。さっぱりわかりません……???


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