外伝 黒歴史編 第一話 モラトリアム?いいえ、反省室です。※この物語は『第一話 見切り発車』の約7年前の物語です。俺は今、悩んでいる。原因は俺の新しい配属先である。俺は、ある補給基地の司令官に任命された。そして、階級も上がった。詰まり、ペトルーシャ・イースト中佐、あるいはイースト司令官などと呼ばれる事になると云う事である。通常なら嬉しい事のハズなのだが・・・・。問題は俺の配属先の補給基地にある。その補給基地は逆の意味で有名な所である。同盟の一般市民でその補給基地を知っている者はあまり居ない。だが、同盟軍人でその補給基地を知らない者は居ないだろう。俺の配属先、それは惑星『サイハテ』にある『アバシリ補給基地』だ。惑星サイハテは、常に吹雪に覆われている惑星だ。晴れる日を数えるなら、年間を通して両手の指で足りるそうだ。アバシリ補給基地の人員は司令官のみ、詰まり生きている人間は一人。後は無人の機械。副司令官も副官も参事官も居ない。そして、首都星『ハイネセン』から遠いど辺境である。ハイネセンから遠いと云っても、帝国側でもフェザーン側でも無く、戦略的価値も無く、特に天然の資源も無く(あるのは氷だけ)正直、補給基地の役割を果たしていない。いや、何かに補給している基地では無く、補給して貰っている基地と云う意味では同盟一の立派な補給基地だ。早い話が左遷先という事だ。とり合えず、俺は目の前にいるキートン・・じゃ無くてキャゼルヌ君に不満をぶつける事にした。「何故?!何故、俺が左遷されないといけない!!」「本来は左遷先という意味合いが強いが今回は違うらしい。」「違う?どういう事だ?」「簡単に言うと手頃な生贄が居なかったので、素行不良な誰かさんを更生させる為に使うらしい。 まあ、半年もすれば戻って来れるだろ。頑張って来いよ『イースト司令官』」「俺とお前と一体何処が違う!!お前だって同じ、毒舌家じゃないか!!!!」俺の魂の叫びは、俺達の居る部屋には響いたがそれ以外の所には特に響く事は無かった。と、云う訳で氷の惑星に一人で送り込まれる事になった俺は身の回りの整理をしながら赴任先の情報を集める事にした。惑星サイハテ。主に天候は吹雪。外はむちゃくちゃ寒い。軍の特殊な通信以外は使えない。(ネットは繋がらない。)赴任時に私物等は全て検閲官にチェックされるらしい。(経験者談)ある人は如何わしいグッツを持ち込んで検閲官(女性)にゴミを見るような目で見られた事があるらしい。(経験者談)補給は一ヶ月に一回来る。事前に欲しいものを注文して置くと一緒に持って来てくれる。ただし、注文した物は軍の記録に残るし検閲官もチェックするらしいので注意。(経験者談)基地司令官の主な仕事は、その日の天候や温度を記録し報告する事。基地内の掃除、補修作業。空いた時間は好きにして良いらしい。(経験者談)基地内(私室及びトイレ、風呂以外)には監視カメラがあるので注意との事。ある人は基地内に誰も居ないので常に全裸で行動していたらしい。その映像が監視カメラに記録され、補給にやって来た検閲官(女性)がそれをチェックした為汚物を見るような目で見られたらしい。(経験者談)・・・・・・・・・・・事前に知って置いて良かった。危うく再起不能にされる所だったぜ。同盟軍め、こんな恐ろしいシステムを作り上げるとはな。そんなこんなで、出発の日がやって来てしまった。「それでは、逝って来る。」「まあ、半年程度の辛抱だ。」「気をつけて下さい。あっ、それと・・・お土産期待してます」「・・・ああ。たっぷり、持って帰ってくる。(主に氷と雪を・・・・)」それにしても、見送りがキャゼルヌとアッテンボローだけって・・・・。俺は男二人に見送られながら、シャトルに乗り込んでいった。・・・・・・・つづく。