第三十八話 名将?謎将?迷将? 前回までのあらすじ ロイエンタールは真の名将だった。 以上、あらすじ終了「・・・全艦追撃中止、シュラー、バルトハウザーの両艦隊にも追撃中止命令を出せ。」「宜しいのですか?」「これ以上の追撃は敵中に孤立する危険がある。・・・・敵はあのペトルーシャ・イーストだ。 どんな罠を仕掛けてあるか分からん、それにあの小艦隊での追撃は我々を誘い出す為の罠の可能性だってある。 ここはビッテンフェルトに纏わり付いていた五月蝿いハエを追い払っただけで良しとしよう。」「了解しました。」オスカー・フォン・ロイエンタールは『明確に目的を持ち、それを達成したら、執着せずに離脱する。』真の名将であった。その名将っぷりと、ペトルーシャ・イーストの巨像(虚像?)が第11艦隊への追撃を中止させる事になった。どうも、ペトルーシャ・イーストです。ロイエンタール艦隊に追撃をくらっていたと思ったら、いつの間にか追撃が終わっていたでござる。そんな訳で、第11艦隊の本隊は後退を完了させ、アップルトン提督の援護をしていた分隊との合流を済ませた所だ。アップルトン提督の艦隊も他の艦隊の援護で安全圏まで後退した。まあ、パッと見た限りでは艦隊はボロボロだったが。「提督!!大変です。」はいはい、提督ですよ。何ですか?まあ、大体内容の想像は出来るけど。ペトルーシャ・イーストがロイエンタールの追撃から開放された頃同盟軍艦隊の背後を突くべく、別働隊を率いて迂回していたキルヒアイス艦隊がアムリッツァ星系に到着した。そこに無事?復活を遂げたキルヒアイスがいた。・・・・ただ、キルヒアイスの後頭部には大きなコブが出来ている事を除けば。「閣下、前方空域に宇宙機雷群を確認しました。数、およそ四千万。」「予想通りですね。指向性ゼッフル粒子を。」「はっ。」キルヒアイスは機雷群の中央に指向性ゼッフル粒子を使い、艦隊の通れる道を作り出しそこを通って同盟軍の背後を攻撃しようと考えた。(ゼッフル粒子について ゼッフル博士が発見した粒子。一定以上の高温で発火。レーザーやビーム砲などで発火、エンジン噴射では発火はしない。気体爆薬の『ような』物。)「主砲、発射。」工作艦に積み込まれた指向性ゼッフル粒子発生装置により、ゼッフル粒子がキルヒアイス艦隊前方の機雷群に撒かれた後艦隊主砲により発火し、機雷を巻き込みながら巨大な炎の道となった。そして、炎の道が消え去ると同時にそこに在った機雷も消え去っていた。こうして、キルヒアイスは前方の機雷群に道を作り出す事に成功した。だが、この炎の道の発生は同盟軍にも観測される事になった。 機雷原とキルヒアイス艦隊------------------------------------------------------------ жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж жжжжжжжжжжжжжжжжжжжжж ▲▲▲ ▲▲▲▲ ж=機雷原 ▲=キルヒアイス艦隊------------------------------------------------------------「イースト提督、大変です。背後に敵艦隊が現れました。」「機雷原は突破されたのか?」「巨大な炎を確認しました。恐らくゼッフル粒子を使ったものと思われます。」「やれやれ、一息つく暇も無いな。」やっとこ、ロイエンタールから逃げて来た所なのにキルヒアイスには、もう少し空気を読んで欲しい。「それで、背後の敵艦隊の数は?」「およそ、三万隻です。」三万隻とは結構な数だが、想定の範囲内だ。幕僚たちも驚いているし、これでアムリッツァ会戦の勝敗は決したと云っても過言では無い。まあ、後は被害を少なくして逃げる事に集中するべきだと思う。まずは、キルヒアイス艦隊の足止めをして置く。「機雷と一緒にばら撒いた『自爆装置』のスイッチを入れろ。」「はい。」『自爆装置』とは例の『偵察用無人衛星』の事だ。ビュコック提督が撤退時にお世話になった偵察用無人衛星の事を「素晴らしい『自爆装置』じゃな」と、誉めていたので空気を読んだ俺は「はい、素晴らしい『自爆装置』でした。」と、賛同したら、いつの間にかアレは『自爆装置』と呼ばれる様になっていた。ちなみに、機雷と一緒にばら撒いた奴は第11艦隊やビュコック提督の第5艦隊以外の艦隊が持っていた『自爆装置』だ。第11艦隊と第5艦隊の分は、先の撤退時に全部自爆してしまった。何はともあれ、これで少しは時間稼ぎが出来るハズだ。その隙を突いて撤退だ。「全艦隊に通信を送れ。敵に傍受されても構わない。『戦術コンピューターのT-1000回路を開け』。」「了解しました。」「キルヒアイス提督、大変です。」「どうかしましたか?」「前方の機雷原より強力なジャミングが発生し、レーダーが使用不能です。 それだけではありません。所々で爆発音を感知しました。」「・・・どうやら、敵も此方の機雷原突破を予測していた様ですね。現在の状態で、機雷原を渡るのは危険です。 艦隊を一時後退させます。工作艦は再度、指向性ゼッフル粒子を前方に散布して下さい。」「敵も一筋縄では行きませんね。」「その通りです。」ペトルーシャ・イーストの『自爆装置』もとい『偵察用無人衛星』を使った足止め工作により機雷原に広大なジャミングが発生し、更には『自爆装置』の自爆が散発する事になった。その為、キルヒアイス艦隊は機雷原の横断を一時中断せざるを得ない状況に陥った。一方、同盟軍第13艦隊では(先ほどまでの戦況に置いては、僅かに同盟軍が有利だった。 そこに背後に回った別働隊が来襲し、一気に帝国軍有利に傾いた。 だが、背後の別働隊が機雷原を渡って来る所を狙えば少数の艦隊でも足止めは可能。 逃げるべきか、戦うべきか、現状で判断を下すのを非常に難しい)旗艦の艦橋で難しい顔をしながら戦況を眺めていたヤン・ウェンリーだったがそこに副官から、ある報告が入る。「閣下、第11艦隊より通信が送られてきました。」「どんな内容だい?グリーンヒル中尉。」「『戦術コンピューターのT-1000回路を開く様に』との事です。」「ならば、それを開くとしようか。」ヤン・ウェンリーは一時的に思考を放棄し、戦術コンピューターの中身に関心を向ける事にした。だが『T-1000回路』の中に、ヤンや第13艦隊の面々の期待に応える様な壮大な戦術は無く、だた一文『オペレーション・ケーロク』とだけ、書いてあった。・・・・つづく。 チラシの裏で新しく始まった銀英伝を読みながら『読んでないで、早く書け』と、自分に突っ込みを入れている今日この頃です。