第三十五話 彼を知らず、己を知らざれば、戦う度に必ず敗れる。 前回までのあらすじ ペトルーシャはアッテンに無茶を言った。 以上、あらすじ終了「アッテンボロー提督(暫定)、敵が近づいて来ます。」「よし、敵が射程に入る直前に無人艦一千隻を突っ込ませろ。文字通り体当たりだ。なぁに、責任はイースト中将閣下が取って下さる。」「それなら安心ですね。」「ああ。」アッテンボローは無茶を言ったペトルーシャ・イーストに責任を押付ける気でいた。一方、ビッテンフェルトは前方の艦隊が無人艦隊だと気付いていなかった。「ビッテンフェルト提督、敵艦隊の一部が突出して来ます。」「ふん、高々千隻程度ではないか。一気に突き崩せ!!」「はっ!!」そして、シュワルツ・ランツェンレーターの猛攻により、無人艦隊から突出した千隻は瞬く間に壊滅した。その様相は、まさに鎧袖一触であった。「見たか!!我がシュワルツ・ランツェンレーターの力を!!」しかし、その一方的過ぎる戦果がビッテンフェルト提督を初めとするシュワルツ・ランツェンレーターの将兵の心に慢心と緩みを作る事になった。そして、突出した無人艦隊は確かに『壊滅』したが『全滅』では無かった。通常の艦隊なら壊滅から壊走、あるいは投降、自沈など各司令官や艦長の意思に従い様々な行動を取る事になるハズであった。だが、この艦隊は無人艦であり、その無人艦達は当初の命令通りに敵に向って突撃を続けた。この無人艦隊の残党による突撃は、結果としてシュワルツ・ランツェンレーターの隙を上手く突く事になった。だが、如何せん絶対数で遥かに劣る突撃の為、シュワルツ・ランツェンレーターに大きな損害を与える事は出来なかったが僅かな足止めと混乱を与える事には成功した。そして、その間に同盟軍の各艦隊は反撃の狼煙をあげた。まず、第11艦隊本隊がクロスファイアポイント作り出した。(偶然に)後日、ペトルーシャ・イースト提督が「別々に後ろに下がってから、別々に撃ったら出来た。今は反省している。」 と、語っていたとか、いないとか。次に体勢を立て直したボロディン提督の艦隊がシュワルツ・ランツェンレーターの側面に攻撃を開始し更に、迂回完了した第11艦隊分隊がシュワルツ・ランツェンレーターの斜め後方より攻撃を開始した。これによってシュワルツ・ランツェンレーター対する半包囲網が出来つつあった。 現在の第11艦隊周辺図------------------------------------------------------------ ◆■■ ◆ ▲▲ ◇ ▲▲ ◇ □ △ △ △=第11艦隊本隊 ◆=第11艦隊分隊 ■=アップルトン艦隊 ◇=ボロディン艦隊 □=無人艦隊 ▲=シュワルツ・ランツェンレーター------------------------------------------------------------「あー、死ぬかと思った。」アッテンボローが上手く足止めしてくれなかったら、今頃は第11艦隊の本隊はシュワルツ・ランツェンレーターに突き破られていたと思う。優秀な諸提督たちのお陰で半包囲網を作れたし、一先ずは安心といった所か?「イースト提督、上手くいきましたね。これで敵艦隊を殲滅するのも、時間の問題ですね。」「・・・確かに、時間の問題だ。」フック・カーン大尉の言う通り、時間の問題だ。いや、時間『が』問題って所か?この戦場に存在している敵がシュワルツ・ランツェンレーターだけなら何の問題も無い。だが、この戦場には他にも敵や味方が存在し、各々戦闘を繰り広げている。ビッテンフェルト一人に時間を掛け過ぎ、気付いた時には大ピンチって事にだって成りかねない。実際、アップルトン提督の艦隊はシュワルツ・ランツェンレーターの突撃をかわす為に前方に移動し、現在、ロイエンタール艦隊を初めとする帝国軍艦隊の攻撃を受けまくっている。第11艦隊分隊の一部がアップルトン提督の援護に回ったが焼け石に水だ。だからと言って、シュワルツ・ランツェンレーターに対する包囲網を緩めるのは危険だ。ちなみに、ヤンやビュコック提督達も戦っている様だが第11艦隊とは少し距離があるので正確には把握出来ていない。きっと、「閣下、アップルトン提督の艦隊が」「そいつは一大事。」「閣下!!」って感じの夫婦漫才を展開している事だろう。そんなどうでも良い事を考えながら、戦況を変える出来事を待っていた俺の所に『ある報告』が飛び込んで来た。そして、その『報告』が後に戦況を一変させる事になるとはこの時点では誰も気付いては居なかった。シュワルツ・ランツェンレーターへの半包囲網が完成しつつあった頃、アッテンボロー率いる無人艦隊は被害を出しつつ、半包囲網の要として何とかその場に踏みとどまっていた。「アッテンボロー提督(代行)、少し艦隊を後退させては如何ですか。全体的に前に出すぎです。」「ああ、わかっているさ。だが、ココで艦隊を交代させては折角完成しつつある半包囲網を崩す事になる。」「・・・・確かにそうです。ならば旗艦だけでも後退を「直撃、来ます!!」なにっ!!」「くっ、回避しろ!!」「っ!駄目です、間に合いません!!」丁度、その時だった。アッテンボローの乗っている旗艦に不幸の流れ弾が飛び込んで来た。・・・・つづく。三姉妹「「「私たちの出番は?」」」豆「しばらくは無いです。」 こんにちは、作者の豆です。今年の夏はメチャクチャ暑いですね。ウチにはクーラーが無いので、部屋では基本下着でそれ以外の所では上半身裸で過ごしています。先日、地元の議員さんの秘書が挨拶回りに来たのですが上半身裸で応対したのは、流石に不味かったかな?と思いました。