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No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
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[1318] 遠い国から 第十六話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/10/10 22:13
晩餐は比較的和やかに進んでいたが、しかし全てがうまくいっていたわけではない。
「ですけど閣下、私本当に傷ついたんですよ。初めてお会いした方にバケモノなんて言われたんですから。」
「いや、本当に申し訳ない。つい故郷の言葉が出てしまって…いけませんな田舎育ちは」
最初に会った時にポツリともらしてしまった言葉の釈明に追われていた。
「化け物」の前に「新型」とつける事により賛嘆の言葉になると言う事を納得してもらうのには時間がかかった。
「そういえば私、閣下の故郷は北の方だとお聞きしているのですが正確にはどちらの出身ですか?」
グラスに入ったワインを傾けながら、いかにもたった今思いついた事の様な感じで聞いてきた。
表面上はにこやかに話しているのだが目は笑ってない。
俺が言った「田舎」と言う言葉からの話題だろうが、どうやら一筋縄ではいかない女のようだ。
最初は巨乳だけに目を奪われたが、こりゃ甘く見ると痛い目にあいそうだな。
「ニッポンと言う島国の産です」
とりあえず正直に答えた。これでも正直者として(一部で)有名だった男だ、すぐにばれる嘘などつかん。
いや、まて…今回は嘘ついてもばれなかったか?


田中敬一郎二十代後半、ファンタジーな世界で外交の真似事までしなければならなくなった漢。



「しかしでかい。キューマルのエコーか、フォックストロットか、微妙な所だよな」


そんな彼は現代人だったのです。





遠い国から 第十六話 「決断」




俺は正直に答えたのだが、彼女はそうだとは思わなかったらしい。切れ長の目をさらに細めながら言った。
「失礼かも知れませんが私、初めて聞いたお国の名前ですわ。この大陸からは遠いのでしょうか?」
顔は笑っているが目がさらに細くなった。嘘をついてるとでも思ったのだろう。
…嘘じゃないんだがなあ。
「この世の果てにある国です、わりと自然が美しいのが自慢の小さな国ですよ」
この頃懐かしいおもいでとなりつつある過去を思いだし、しみじみと言った。
ああ、予約してたソフトももう駄目だろうな…引き取り期限が発売日から三日以内だしなあ。
「そうなのですか、ぜひ一度訪ねて見たいですね」
表情を和らげた金髪美人エルフは言った。嫌味か本気か判断に苦しむ所だ。
「私もぜひ招待したい所なのですが…遠い上に現在の国際状況と私の立場がそれを許さないのです。
非常に残念だ」
夏休みのアキバとか日本橋とかつれて行ったらすごいだろうなあ、コミケは入場できそうにないが。
「確かに今の国際情勢は厳しいですが、私閣下のお役に立てるかもしれませんわ」
そう言うと彼女はワイングラスを傾けた。実はこのワイングラス、この国には当初なかったものだが町にいた
ガラス細工職人とプロジェクトXな苦労をして作ったのだ。…ん?
「役に…ですか?」
俺が良く解らない、と言う感じで言葉を返すと彼女はさらに大きな笑みを顔に浮かべ言った。
「ええそうです、そもそも今回の混乱の原因はクルック師の一方的な独断で行われたものです。ましてやその後の
一方的な刑罰の確定、兵を用いた追跡などは明らかに越権行為です。彼は魔術師ですが裁判官ではありません。
我々としても一国民が一方的に断罪される事など到底納得の行かない事なのです」
そう言うと彼女はグラスの中のワインを一気に空けた。アレだけ喋ったんだ、のど渇いたんだろうな。
「私としては有難い事なのだと思うのですが申し訳ない、もう一つ良く理解できないんですが?」
俺がそう言うと彼女はまるで獲物を前にした猫の様な笑顔を浮かべ言った。
「オルフレア・イザキウムⅡ世陛下の名代としてお伝えします。魔術師タナカ、あなたを公正な人員による事件調査
によって塔の財宝の略奪犯人なのか調査し、公正な裁判を受けられるよう保護する準備があります。」






こうしてエルフ王国外交担当官ロウィーナ・ザムシュー嬢は台風のように混乱を撒き散らし、首都の宿へと戻っていった。
金髪美人の上に巨乳。いい女だったのだが、なぜだか好感が持てない女だった。と、言うかあの様な目つきの女は
久しぶりだった。彼女が馬車に乗り込んで門を出た所で背後に控えていたエマを書斎に呼んだ。
「エルフはいつから人権擁護団体になったんだ?」
今回の仕事を受ける時に周辺国についての情報はできるだけ集めた。エルフ王国についてはエマがいたので
他の国より情報には困らなかったぐらいだ。しかし今回の反応は完全に予想外だった。
最初エマから聞いていたのは
「分裂戦争で大被害をこうむったエルフは、以降の紛争には規模の大小を問わずに無介入を貫いた」
との話だった。
人間の争いには無関心、だから今回の反応はまったく想定外の物だった。
「わかりませんマスター。少なくとも昔は…」
そう言うとエマは顔を下にむけて黙り込んでしまった。いや、別に責めてるわけではないんだがな。
今回は事前の情報収集と情報の判断に致命的といって良いミスが有ったのだ。
無論エマの責任ではない。エマの情報だけで、その他の情報を碌に調べようとしなかった俺の責任だ。
「今後はエルフ領に対しても積極的な情報収集を行わなければならんな、とりあえず首都にいるロウィーナ嬢の動きだ。
人をやってできるだけ見張らせろ、誰と会うのか、何時間話したのか、何時に寝て何時に起きたのか全てだ」
そうしてまだ暗い表情で下を向いてるエマに言った。
「で、向こうは君の顔を知ってたようだが知り合いか?」
それを聞いたエマは顔を上げすごい勢いで話し出した。
「マスター、彼女は危険です。好意と公正と言う言葉は他種族にはあてはまらないと考える典型的なエルフの貴族です。
言葉どおりに信じるとひどい目に…」
「大丈夫、目を見て解った。ありゃ対等な交渉相手を見る目じゃない。どちらかと言うと実験動物に新薬を投与する
科学者の様な目だった。で?結局どういう関係だったんだ?」
そう言うと彼女は少し言いよどんだ後言った。
「一応幼馴染、と言う事になるのでしょうか?」
「…なんで疑問系なんだよ…」



「ロウィーナとは同じ年に生まれた事もあって、王都に進学したのも似たような時期でした。最初は仲が良かったのです。
同じ年齢で魔法と剣を習い始めた、良いライバルで良き友だったのです」
「で、何年生まれ?」
「しかし、三十年程すると次第に彼女との距離を感じるようになりました」
華麗にスルーされたよ、オイ。
「兄様程ではないのですが、魔力が有った私は魔法学の教室で主席の名誉を賜りました」
「エリートだったんだな。で、何年生まれ?」
「剣の方でも主席こそなれませんでしたが、次席のまま卒業致しました」
どうやら俺の疑問は徹底的に無視する方針らしい。
「魔力は努力よりも生まれで九割方決まっている物です。ロウィーナは平均よりも上でしたが、優れていると言うには
微妙な所でした」
「俺もいまだに碌に使えないからな。で、何年生まれ?」
「魔法に関してはロウィーナもある程度達観していたようです。負けず嫌いの彼女でも魔法学は手を抜いていたようです」
俺の質問はことごとく黙殺された、年くらい教えてくれても良いと思うんだがなあ。
「その分、剣術への打ち込み方には凄いものがありました。今思えば学問は彼女が圧倒的に上、魔法は私の方が上。
後は剣術の腕で決まる。ロウィーナはそう考えていたのかも知れません」
そう言うとエマは少し寂しそうな表情を浮かべながら話を続けた。
「三十年程たっても彼女の剣の腕は私に一歩届かない所でした。その頃からでしょうか、私と彼女の関係が段々おかしく
なったのは。ちょうど王都での生活にもなれて交友関係が広がったのも理由の一つかもしれません」
「三十年以上勉強やら修行に明け暮れる事ができる方が凄いと思うのだが、俺的に。いったい何年生まれよ?」
「伯爵家の一人娘であった彼女の元には比較的上位の貴族の子弟が集まるようになりました。代々王国の要職を勤める
ザムシュー伯爵家の一人娘。私は掃いて捨てるほどいる子爵家の、それも継承権を持たない娘だったのです」
この世界に来ていまだに慣れないのはこの貴族階級と言う奴である。知識として知ってはいるのだがもう一つ理解できない。
軍隊の階級なら一発なんだがなー。
「王都を立つ前に最後に話をしたのは、兄が塔の実験失敗で行方不明。おそらく死んだと聞かされた時でした」
そう言うとエマは下を向き、指の色が変わるほど強く手を握りながら言った。
「これで子爵家は貴方が継ぐ事になるのね、おめでとう。そう言った彼女の言葉は今でも忘れません」
うわ、最悪。
「今日会った時に目を見て解りました。ロウィーナは変わっていません。なのにあのような提案をするなんて、絶対に
何か隠しています。もし王国が善意から提案したのだとしても、その場合彼女がそれを伝えに来る訳がありません!」
いかんな、ほっといたら夜中に殴りこみかけて暗殺くらいやりかねんぞこりゃ。
「マスター、許可を下さい。身柄を拘束して吐かせましょう。場合によっては早めに処置…」
「まあまてエマ、考えようによっては今回の出来事はこちらにとっても非常に都合の良い事なんだ」
とりあえず落ち着かせて、暴発しないようにしなきゃいけないな。また犯罪者として追い掛け回されるのはゴメンだ。
「どこが都合の良い事なのですか!マスター、彼女は絶対に何か隠しています。私たちを罠にはめるつもりです。今のうちに
手を打たなければ取り返しのつかない事に」
「そうだな、今回は完全に後手に回った。完全に俺のミスだ。だけど奴らも致命的なミスを犯した。解るか?」
そうエマに問いかけた。久しぶりに激昂した彼女を見たが、怒りは更なるミスを呼ぶ。彼女には冷静になってもらう必要が
あるのだ。
「ミス、ですか?」
「ああ、そうだ。とんでもない大ポカをやらかした。俺も馬鹿だが上には上がいるらしい、世の中広いな」
「…解りません、少なくとも彼女は使者として完璧でした。彼女の家庭教師は優秀な者ばかりでしたし、彼女自身も優秀で
政治学やその他学問について私などでは口も挟めなかったのは事実です」
「おいおい、さっきエマが自分の口で言ったじゃないか。もう忘れたか?」
そう言うとエマは難しい表情を浮かべ考え込んだ。しかたない、少しヒントを出そう。
「君は言ったよな。彼女は危険だ、言葉どおり信じるとひどい目にあう、と」
俺がそう言うとハッとした表情で俺を見た。
「そうだ、もし今回の使者がエマの知らない奴だったらこの申し出に大喜びで飛びついていたかもしれん。だが彼女が
使者としてやってきた事で裏に何か有る事をあっさり見破られてしまった。大失敗だな」
エマもどうやら落ち着ついたらしい。さっきまでとはまるで違う、良い眼をして俺に聞いてきた。
「では、何が本当の狙いなのでしょうか?お話したように彼女が善意を伝えにわざわざ王国からやって来たとは思えません」
「じゃ、今わかっている情報をまとめて考えてみよう。エマ、今回の王国側の提案は誰が一番得をする?」
レポート用紙を一枚取り出し、ボールペンで「最大利益を得る者」と書いて横線を引いた。
「解りません、普通なら私達だと思うのですが…」
そう言ったのを聞いて横線の横に「?」を書き込んだ。その後枝分かれした四本線を引き、それぞれに「帝国」「王国」「ドワーフ」
「エルフ」と書いた上でまたエマに聞いた。
「でだ、今回の提案に乗った場合四ヶ国にはそれぞれどのような影響が出る?」
「帝国側はわかりません。彼らは今回の出来事と一番離れたところにいます。短期的に見た場合、この問題がどう片付いても
何の影響も無いでしょう」
頷きながら帝国の下に「影響なし」と書き込んだ。
「ドワーフ達は微妙です。引き続きマスターがこの国を指導されれば明らかに良い結果が出るでしょうが、最悪の場合問題後
マスターが王国に戻ると国内問題は棚上げになります」
紙に「影響なし」と書いてからエマに先を促した。なぜか不満そうな表情を浮かべていたのだがま、あんまりかわんないだろう。
「王国は厳しいと思います。王国だけで公正に裁けば面子はさほどつぶれませんが、耳長に干渉を受けて調べた真実が
アレでは生き急ぐ者…失礼、王国人はマスターやエルフに大きな借りを作ってしまいます」
百点、と言いながら内容を王国の下の所に書いた。
「そしてエルフですが、王国が一人で解決してしまえば特に影響は有りません。しかしエルフの働きかけで解決したとなれば
話はまったく違ってきます。仮にも貴族の一人を罪人扱いされたのです。相当な貸しを持つ事になります」
もう一度百点、と言いながらエマの言った内容を書き込んだ。
「しかし、この内容ではロウィーナが使者としてくる必然性が無いのです。それこそ準男爵か、継承権のない下位の貴族の子弟を
使者に立てれば済む話です。伯爵家の継承権を持つ者を王が派遣するわけがありません、彼女自身の意思でやってきたのです」
とりあえずその疑問点も紙に書き加えた。貴族とかについてはエマの方が遥かに詳しい。彼女がそう言うならそうなのだろう。
「じゃ、現在の疑問点はなぜロウィーナ嬢が使者を買って出たのか?と言う所まで絞り込めるわけだ。それさえわかれば今回の
騒ぎの全ての疑問点が解消するわけだが…なんとなく解ったような気がするよ、彼女の狙い」
エマは驚いた表情で俺を見た。つか普通ここまで言われれば、俺じゃなくても気付くと思うがなあ。
「エルフ王国首脳部の考えはエマの言った通りだろう。そしてロウィーナ嬢は王の方針に逆らうほど馬鹿ではないはずだ。
王の方針を守りつつ、自分の自尊心を満足させる方法。その手段を思いついたからここまでわざわざ来たんだろうなあ」
エマはまだ気がつかないようだ、じっと俺の言葉の続きを待っている。客観的に物事を見る事ができるのに、なぜ自分の事に
なるとこうまで鈍感なんだろうなあ。
「エマ、君の国では貴族の継承権を持つ程の者がただの平民。それも人に仕えるのは名誉な事なのか?」
俺がそう言うとエマは、驚きで目を瞠っていた。
「対象を過小評価するのは大きな過ちだが、過大評価しても大きなミスをする事になるよ」
エマは完全に納得したのだろう、いきなり礼をすると共に言った。
「申し訳有りません、マスター。私はマスターを過小評価していたようです。ご無礼、平にご容赦を」
そう言うと背筋をすっと伸ばし、いつものメイドさんの状態に戻ったエマは続けて聞いてきた。
「先ほどの御指示通り、首都に使いを立てロウィーナを監視致します。他に何か御指示はございますでしょうか?」
「食料の買い付けでエルフ領に行ってる商人に使いを出して、エルフの兵力動員についてさりげなく調査させろ。
さりげなくな、決して無理はさせるなよ」
あ、ニアが固まった。
「…マスター、エルフは我々と王国に貸しを作るのが目的ではなかったのですか?」
「うん、アレだ。目的は間違いなくそれだが、貸した相手が潰れちゃ貸しも何もないだろ?夜逃げ寸前の奴に金を貸す
金貸しがいないのと同じだ。」
「では…」
「潰れないようにテコ入れして、あわよくばもっと大きな貸しを作る気だろうな。その為には国家方針など多少融通を
きかせても問題無いんだろうし、そう考えれば全ての辻褄が完全に合うんだ」
「…至急手配いたします。」
そう言うとエマは俺が声をかける隙も見せずに部屋を飛び出して行った、早い早い。
「さて、ゲームのプレイヤーが増えるとなれば作戦は練り直した方が良いかな」
そう独り言をつぶやくと、あらためて椅子に深々と腰掛けた。
「ややこしくなってきたもんだ」




一階ホールに駆け下りたエマは信用の置けるメイドを呼んだ。
「ベランジェル、貴方は急ぎ宰相府に行きエルフの使者を四六時中確実に見張るように伝えなさい。マスターの命令です。
ルーダ、貴方はジョレッケ、リンゲス、フィカールにエルフの兵力動員がどの様な状態か探るように伝えなさい。
グリシア、貴方もです、ザムシュー、セルゲイ、ロコに同じように伝えなさい。報酬は十分に渡すと忘れずに伝える事」
そしてこの館では非常に少ない男性使用人に言った。
「ミオ、トリオ、ドーニィ、貴方達は彼女達の護衛です。失敗は許されませんすぐに動きなさい」
ニアは今深い充実感に包まれていた。家を継いで父の代わりに領地を運営してもこうは行かないだろう。
マスターについてきたのはやはり間違いなどではなかった。周りはどう言うかわからないが、知った事ではない。
まさに大樹のめぐり合わせだ。兄様が死んだと聞かされた時は正直存在を疑ったが、きっとこれが運命だったのだろう。
「アーリィ、マスターはお疲れです。さっきのワインと水差し、それにフルーツの盛り合わせを。私が持ってゆきます」
マスターには必ずこの世界に残ってもらわなければならない。長期的に見てそれがこの大陸にとって一番良い理想の道だ。
種族や地方の権益でもめている小物には、大陸を治める事などできはしないだろう。


その為ならば私は何だってするだろう、きっと。もう覚悟は決めた、逃がしませんわ絶対に。


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