<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[1318] 遠い国から 十二話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/05/22 01:27
「しかしマスター、本当に此処まで事を大きくしてかまわないのでしょうか?」
老人会の面々が帰った後エマが唐突にそう言った。
「しかしもかかしも無い、奴は領主付き魔術師で、こっちよりも魔力だけは上だ、残念な事にな」
椅子に腰掛け蝋燭の明かり越しにエマを見ていった。
「言った筈だ、奴より絶対有利な力を得て思い切り粉砕してやるとな、老人会もある程度気が付いていて声を掛けてきたんだ、
そこら辺は向うも勘定済みだろうよ。ハト野郎は事態悪化の崖をヒモ無しバンジーだ」


田中敬一郎自称24歳、ゲームじゃない国家経営シュミレーションプレイ中。


「ハトの野郎がいなけりゃメイドさんで十分だったんだがなあ」




遠い国から 第十ニ話 「日常」




「しかし魔法っつーのは使えねえなあ、大体資料に目を通したけどほとんどが攻撃か防御だけじゃん」
ドワーフ達の持っていた魔術書に目を通しながら言った。
「魔法とは元来その様な物だと思いますが?」
エマがお茶を入れながら答えた、南部でようやく生産のメドが立った換金作物だ。
「通信一つにしろ、部屋いっぱいに魔法陣書いて投影用の水晶玉だぞ、大使館ぐらいにしか置けねえっつーの、使える奴自体少ないし」
お茶をすすりながら言った、俺、あんな魔方陣書けねえよ、不器用だし。
「確かに皆が使える訳では有りませんが、皆が使えるようになると別の意味で危険なような気が致しますが?」
「まー、夫婦喧嘩で家をすっ飛ばされたりしちゃたまらんがなあ、どうしてこう使い方が攻撃に特化してるのか・・・・」
もう少し別の意味で有効利用しようとする気は誰も考え無かったのだろうか?
「もっと生産的な魔法は誰も考えなかったのかねえ・・・・おかげで南部の復興に苦労するわ・・・」
嵐を呼ぶ大規模魔法は有っても嵐を避ける大規模魔法は無いのだ、魔法の嵐ならアンチマジックがあるが自然だと無理、役にたたねえ。
おかげで復興は既存の技術を使う事になった。馬の数を増やし、馬鋤の改良、肥料、自動種蒔、自動刈り取り機の開発。
無論自動刈り取りと言ってもトラクターみたいにエンジンは付いてない、人力、もしくは馬で引くと車輪が回って撒いたり刈ったりするのだ。
なにせ人口が増えない、そうなると労働力に余裕を持たせるくらいしか方法は無かった。一番手間が掛かるのは生産、特に畑は手間がかかる。
「何でみんな小麦なんだよ、米食え米、作付面積あたりの収穫高低いんだよ、モロコシよりマシだけど」
「はあ」
エマが困ったような返事を返す、ま、一般人はあんまり気にしないよな。
「それに人口の半分以上は字が読めないんだぞ、布告すらまともにできやしねえ、くそっ、戦争ばっか好き放題やりやがって!」
義務教育3年は今年から始まった、読み書き、四則計算、ソロバンの生産と使用方法の教育。最初は反対が多かったが学校給食の無料で釣った。
もちろん欠席、遅刻が多いと有料になるのだ、給食は無論米食メイン。
「くそっ、いっそ行政府の名前GHQに変えてコーンパイプでも咥えてやろうか、つーてもわからんだろうなー」
「はあ」
「それになんだ、あいつらは、バナリー以外みんな戦争に行きやがって、全部俺に押し付けか!くそ!」
報告によると楽しく戦場ライフを満喫してるらしい、どうやらどれだけ村を焼けるか競争してるみたいだ。おかげで改革は進むのだが。
(なにせ反対する長がいない、俺より上はバナリーだけだが彼は南部の長だ)
私は執務机の上にお茶の御代わりを置いた、確かにこの一年、マスターは良く働いたと思う。農業の手間を減らし南部で魚を取らせた。
無論それだけでは「食べるものが増えた」程度でしかない、マスターは東部や西部から食用油を仕入れて魚をそれに漬けて出荷したのだ。
痛みやすい魚を干したり、塩漬けにしたりして運ぶのは見た事があるがこんなのは初めてだった。
今ではビールのツマミにドワーフ領で大流行している。これを見た南部の経済難民は南部地方に帰還しつつある、もともと油の生産は南部が
一番盛んだったらしい。
それに私も始めて食べたのだがドワーフ領の南部では米を食べるらしい、他の領地では「南部人の米食い」と言ってバカにしてたらしいが。
マスターは他の領地でも米の生産と消費を推し進め、余った小麦は戦争中の両国に高く売りつけている。
そして一番の驚きは戦争は儲かる、何を作っても高く売れるのだ、マスターの宰相就任と供に始まった連合の改革による空前の好景気は領民には
奇跡の様に見えたらしい。最初は人間人間とバカにしてた様だが、今では町の酔っ払いが万歳と叫ぶ声が聞える。
マスターはそれを聞くと「・・・愚民どもが・・・」と、なぜか窓辺で日頃は飲まない強い酒を飲みながらつぶやいた。この頃のマスターは本気かどうか
良く分からない、だがそうとうストレスを溜め込んでいるのは間違いないようだ。
先ほどから私は「はあ」としか言ってないのだが良く分からない事をしゃべり続けている、・・・・・本当に大丈夫なのだろうか?
とりあえず麦が足らん麦が、戦時急造で船も作って、他の大陸にまで麦などの食料を買い付けに行かせたが戻ってくるまで時間が掛かる。
「くそう、俺はストラテジーよりタクティカルなんだ、つーか一晩で思いついた戦略使うなってんだ、くそっ」
「ますたー?」
「ボードゲームも日露止まりだ、RSBCなんざやっちゃいねーんだ、PCゲーでも戦略級はDくらいだっツーの!てかエロゲのプレイ数の方が圧倒的に多いんだ、葉鍵系より調教系な、
なのになんでシムシティーどころかシムアースのような事をやらにゃならんのだ、くそっ」
「マスター、先程何かおかしな事を…」
「全部あの鳩野郎のせいだ、停戦交渉で絶対奴をギロチンにかけてやる、いや、高く吊るした方が良いか?フランス式かイタリア式か?どちらにするか問題だ、うん問題だ」
「…マスター、書類の方が溜まっておりますが?」
「ああ、すまん、ちと考え事をしててな、つい現実逃避しちゃったよ、で、次は何の書類だっけ?」
「型示通信に関しての報告です、当初の予定道理、首都から各領地中央都市までは開通致しました。
前線までは流石に無理でしたが…」
「そうだよ、通信だよ、モールスもねーっつーのはどうよ!碌に作戦もたてれねーよ、即応部隊があっても碌に動かせねーよ、おまえら今まで
どうやって戦争やってたんだ、船なんざ戻ってくるまで無事かどうかもわかんねーよ、ビスケット叩いて虫出しますか?」
エマは心の中で思った、「ああ、今日の仕事はもう終わりだな」
その頃エラストーとコーレンは王国軍主力の横で野営していた、邪魔な王国の顧問もいない、二人だけで天幕の中に居た。
「しかし今回の戦争、最初思ってた以上に面白いのう、被害がほとんど出ないのが最高じゃ」
エールを飲みながらごきげんなエラストーが言った。軍を動かしている間はあまり飲めなかった酒が飲み放題である、言う事なしであった。
「うむ、最初「火をつけるだけだ、それ以外はなにもするな」と言われた時には正直腹が立ったが、知っとるか?王国騎士団がどうなったか?」
久々の焼きたてのパンとチーズを食べながらコーレンが聞いた。
「王国騎士団…そういやこの頃やつらの噂を聞いておらんな、どうした?」
「俺たちの真似をしてな、後方の町を襲いに行ったのよ」
「その割には話に聞かんな、迷子にでもなりおったか?」
「大きめの町を襲ってな、ちょっと抵抗されたもんで調子にのって略奪虐殺やらかしたらしい」
「それはまた…酒の不味くなる話だが・・・落城した町では良くある事じゃろう」
エラストーは顔をしかめながら答えた。
「そこからだ面白くなったのは、エラストー、話だけでなく奴らを見てないだろ、この頃」
「そういやそうだが、まさかまだ後方で暴れてるのか?」
「まさか、その逆だ、調子に乗って略奪やら何やらやってるうちに俺たちを追っかけてる帝国の騎士団に追いつかれたのよ」
「そいつはまた…ご愁傷様というかなんというか…」
「で、逃げようとしたら略奪品が重くて半分方やられたらしい」
「完全な自業自得じゃな、そりゃ」
完全にあきれたエラストーは、バカにしたような顔つきでエールを注いだ。
「今首都の方まで戻って、騎士見習いを大慌てで騎士にして補充しとるらしいぞ」


コーレンは炙った鳥肉にかぶりつきながら付け加えた
「この頃王国の連中、食料や何やらは首都まで行かないと手に入らんらしい、モナリンやボバルドーも頑張ってるようじゃ」
「そりゃまたご苦労さんなこった、開戦前に補給優先の取り決めをしといてよかったのう」
「エラストー、笑い事ではないぞ、昨日補給担当の奴が来て飯の配給を減らすとか言ってきた」
「無論断ったんじゃろ?」
「当たり前じゃ、減らすなら国王から書簡で通達しろと言って叩きだしたわい、もし支給が減ったら撤退すると言ってな」
「完全な脅しじゃな、ま、補給優先の約束が破られたら全ての取り決めは破棄になるわい」
「しかし、よくもまあこんな陰険と言うか効果的と言うか…思いつくな、あの魔術師」
「うちの領地からな、最初の二ヶ月は「なんで人間の言う事なんぞ」と文句の書簡ばかりきておったが…」
「うちも同じよ、今では大喜びしとるがな、何せ税収が倍以上だ、戦争やっててこれは…たまらんのう」
そう言って二人顔をあわせ「グフフ」と笑った。
「最初「兵隊を八割削減する」と言った時なぞワシも正気かどうか疑ったが、エラストーはどうだ?」
「同じだ、戦争だと言うのにな、狂ってるかとも思ったが・・・今では全部解体したいくらいじゃ、なにせ働き手が足りん」
「働き手の不足だけはなあ…」
「わしらドワーフだからなあ、こういう所だけはポコポコ増える人間がうらやましいわい」
「しかし、こうなるとますます奴を手放す訳にはいかんぞ、最初は財産だけ置いていってくれればどうでも良いと思っとったが」
「うむ、そこらは皆で打ち合わせせねばならんな」
コーレンは食事のパンとチーズを全て胃袋に収めた後エールをジョッキに足しながら言った。
「しかし王国の魔術師とは正反対だな、この間の会議で食い物が足りないと言ったら…」
「「魔法も戦争も精神力です、ヤル気が足りんのです!」ときたものだ」
「魔力は強いが、クソの役にもたたんな、アレは…」
「しかし奴のおかげであの魔術師がうちにきたのじゃ、礼は言わんとな」
「その通りだな、ワッハハハハハハ」そういって二人はエールのジョッキを合わせた。


「優秀な魔術師を紹介してくれた」
「王国の魔術師に」


「「乾杯!」」


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.026550054550171