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No.1318の一覧
[0] 遠い国から[kuruto](2005/04/18 00:30)
[1] 遠い国から 第一話[kuruto](2005/04/18 00:21)
[2] 遠い国から 第二話[kuruto](2005/04/18 00:27)
[3] 遠い国から 第三話[kuruto](2005/04/18 00:32)
[4] 遠い国から 第四話[kuruto](2005/04/20 03:51)
[5] 遠い国から 第五話[kuruto](2005/04/21 02:21)
[6] 遠い国から 第六話[kuruto](2005/04/21 02:15)
[7] 遠い国から 第七話[kuruto](2005/04/22 02:53)
[8] 遠い国から 第八話[kuruto](2005/04/26 18:22)
[9] 遠い国から 第九話[kuruto](2005/05/01 04:03)
[10] 遠い国から 第十話[kuruto](2005/05/01 21:31)
[11] 遠い国から 第十一話[kuruto](2005/05/02 19:20)
[12] 遠い国から 国力調査レポート[kuruto](2005/05/08 19:13)
[13] 遠い国から 十二話[kuruto](2005/05/22 01:27)
[14] 遠い国から 第十三話[kuruto](2005/06/14 20:19)
[15] 遠い国から 第十四話[kuruto](2005/07/11 14:03)
[16] 遠い国から 第十五話[kuruto](2005/09/06 03:31)
[17] 遠い国から 第十六話[kuruto](2005/10/10 22:13)
[18] 遠い国から 第十七話[kuruto](2005/11/20 11:37)
[19] 遠い国から 第十八話[kuruto](2005/11/21 11:40)
[20] 遠い国から 第十九話(仮UP) 正式版は家に戻ってから[kuruto](2009/01/02 03:03)
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[1318] 遠い国から 第十話
Name: kuruto 前を表示する / 次を表示する
Date: 2005/05/01 21:31
「しかしコリャ想像以上の酷さだな」
俺は今、エマと二人で馬車に乗りドワーフ領を巡察していた、南を除けばどうと言う事はないのだが・・・南部は酷すぎた。
「我々エルフも大戦の痛手を五百年かけてようやく癒したのです、百年前に全滅したわりには良い方では?」
エマが横から言ってきた、何でもエルフも五百年前は酷かったらしい、兵隊の半分が死んだそうな。
「つか全滅するまで戦うなよ、長まで戦死ってスパルタかっつーの!」
「同族ではない、人間相手に臆病な振る舞いを見せれなかったのでしょう」
これはエマだけでなく、エルフやドワーフの一般認識みたいだ、道理で魔法があるのにファンタジーな事やってるはずだ。
「領地運営だけでなく意識改革も必要だな、頭が痛くなってきた・・・」

田中敬一郎おそらく23歳、仁義無きファンタジーな世界に打ちのめされている男。


「ま、塔で殺されそうになった時に気付いておくべき事だったのかもしれんな」


遠い国から 第十話 「派遣」


「どうするのだ、先週決めた予定は完璧に頓挫したぞ!」


会議早々口を開いたのは北のモナリンだった。
「まあ、少々予定が崩れたと言ってもそう気にする事は有るまい」
比較的落ち着いた様子で言ったのは中央のコーレンだった。
彼が一番恐れていたのは魔術師が商人や職人と供に国外に出て行くことであった。しかし多少の資産はともかく
使用人達はこの中央に留まると言う、文句どころか大歓迎だった。
「それに多少話をしましたが中々良い男でした、余り無茶はせんでしょう」
東のエラストーだった。
「実際多少会話しただけだが欲に凝り固まった人間の目はしていなかった、まず大丈夫だろう」
「どうも話の論点がずれている気がするのだが、コーレン、エラストー、彼をこのまま国外に出してもかまわんのか?」
西のボバルトーは腕を組み、深刻そうな顔色を浮かべた。
コーレンはそんなボバルトーに笑いながら言った。
「ま、持ち出し資産に多少制限を加えれば大丈夫だろう、職人達も国を出たがるとは思えんしな」
ある意味正論だった、この国を出れば大勢の人間の下で働かないといけない、そうしたがるドワーフは少ないだろう。
良くて自分の半分、もしくはそれ以下の年齢の人間に命令されるのだ、気持ちよく受け取れるわけがない。
しかし、ボバルドーはそんな事を心配しているのではなかった。
周りを見渡し、一人を除き和やかな雰囲気で笑っている連中に心の中でため息を付いた。
俺一人だけと言う事は避けれたか。

「ボバルドーが言っておる事と大分論点がずれている様だな」


残りの一人、ボバルドーと同じく深刻そうな顔色をしていたバナリーが言った。
「つまりコーレンが言いたいのは魔術師がこの国を出た後どうするか?と言う事じゃ」
バナリーとボバルドーを除いた三人が怪訝そうな様子で周りを見渡した。
「確かにあの魔術師は信頼できそうだ、遺物の持ち逃げなんぞ濡れ衣だろうよ、横に居たエルフを見ればわかる」
爵位の授与の前に身元は洗った、プレートに刻まれた名前から王国の騒ぎにはすぐに気が付いた。
「王国の騒ぎが落ち着けば帰国するかもしれん、敵対してる帝国に移るかもしれん」
発言を句切っていまだに怪訝そうな顔色の三人を順番に眺めてから言った。
「魔術の研究、それを行う分にはまったく問題ない、しかし両国の首脳部が此処での働きを見て高位に取り立てて領地、
もしくは国の運営に参加させたらどうなる?両国供に現時点で我が国より国力は一回り大きいのだぞ」
三人の顔色が一気に変わった、ようやく気付いたらしい。


暫くの間、議場は重い沈黙に包まれた、それを最初に破ったのはコーレンだった。


「・・・・消すか?」
ポツリとつぶやいた言葉が全員の肩に重くのしかかった。
「物取りに見せかけか?相手が悪い、エルフと魔術師だ、伊達に王国の追っ手を振り切ってはおらんだろ」
バナリーはそう言ってエールを一口飲んで続けた。
「魔術師と違ってエルフの方は確認を取ってないが、守護者だったエルフだろう。たしか魔術よりも剣の方が
腕が立ったはずだ」
コーレンは身を乗り出して言った。
「軍を動かすか?包囲して一気にケリをつける、いかに魔術師といえど百も動かせば・・・」
ボバルドーが発言に割り込んだ。
「目立ちすぎる、隠し通せんぞ、それにあのエルフが守護者なら領主の娘を問答無用で抹殺した事になる、戦いになるぞ!」
再び重い沈黙が部屋を包んだ、今度は長かった、強硬手段は使えない、どう穏便に問題を片付けるか、皆が頭を悩ませた。
暫くして再びボバルドーが皮肉そうな笑みを浮かべて言った。
「厄介な事がまた増えたな、此処まで悩むのは南部の問題くらいだと思っていたが」
室内の中の空気少し軽くなった、コーレンやエラストーからも相槌があがる、そんな中バナリーが動きを止めた、顔色も悪い。
最初は明るい雰囲気に戻った室内もバナリーの様子を見ると、再び重苦しい雰囲気に戻っていった。


その重い雰囲気中バナリーが口を開いた。
「この問題を完璧に解決する方法を一つだけ思いついた、だがコレには諸君らの協力が必要になる」
バナリーの鋭い眼光が四人を貫いた、その異様なまでの迫力に誰もが口を閉ざした。
「この事は連合結成以来最大の政治的問題となるだろう、しかし予想通りになれば連合は以前の力を取り戻せる」
そう言った後黙り込んだバナリーに五分ほど経過した後、ようやくボバルトーが言った。
「で、そのプランは?」

結局会議は夜明けまで続き、散会した後に一頭の早馬が首都を駆け抜けた。

授与式から一夜明けた朝、氏族長会議から呼び出しの使者が来た。


まさか授与された翌日に召集が掛かるとは思わなかった、いきなり自国民の下っ端扱いとは・・・やってくれる。
とりあえずスーツに着替え、エマを伴い氏族長府へと馬車で向かった。どうせ碌でもない事なんだろうなあ、計画通りだが。
「さてエマ、コレであの鳩野郎を潰す力が手に入るぞ、苦労をかけたな」
まあ、出来るだけ高く売りつけて利用させてもらう事にしよう。彼らもそう考えているはずだ。
「正直申しまして、マスターが商売を始めた時は不安を覚えましたが、素晴しいお手並みです」
ニアも笑顔で横に座っている。
「最初は傭兵を雇って奴を倒す物だと思っておりましたが、私には想像すら付きませんでした。申し訳ございません、マスター」
彼女は偉く恐縮した様に言った、その方法は俺も考えたがのだがな。
「容易に思いつく策だと万が一にも奴を取り逃がす事もある、やるからには全力で、完璧を目指して殺るよ」
後はこの国がどこまで役に立ってくれるか、だな。

「つまりあなた方は私に領地の運営を任せる、と?」


各氏族長の顔を見る、二人ほど苦い顔をしている、どうやら満場一致ではなかったらしい。
「そのとおりだ魔術師殿、貴君の経営手腕、技術知識、供に南部の復興に一番役立つと結論が出たのだよ」
議長のバナリーが答えた、どうやら彼は自分の領地を任せることに関しては割り切ってるようだ。
よくまあ、自分の領地を他人に任せるなどと大胆な決断が下せたもんだ。
「ご存知かもしれませんが、私は依頼を受ける際に即答は致しません。不可能な事は引き受けるつもりは有りませんし、
この世の中には不可能な事は良くある事なのです、残念ながら」
一番良いのは横から口だけ突っ込める立場なんだがなー、無論責任なんて負いませんよ。
「その点は理解している、私の領地は自由に見てくれてかまわん、集められる情報も準備してある。無論外部には・・・」
バナリーが全部言う前に秘密保持誓約書を用意して言った。
「南部の情報だけでは不十分です、氏族連合の全領地の情報、巡察、他国の情報もあるだけ必要です」
あからさまにモナリンとボバルドーが顔をしかめた、顔色に出しすぎだよ爺さん。
「ともかく、南部の経営に他の氏族は関係ないと言う考え方は捨てるべきですな、現状がそれを示しています」
誓約書にサインした後、難しい顔をしているバナリーに渡し席を立ち言った。
「先ほど言った事に関して合意が出来ればお呼び下さい、今日はこれ以上無理でしょう、失礼させて頂きますよ」
結局3日ほど待たされた後に全領地の巡察許可が下りた、のんびりしてるのか、後がないのか・・・・。
後が無いとなれば、逃げ出す準備もしとかないといけないなー。

「エマ、資金は十分に積んでおいてくれ、夜逃げの準備も整えるつもりだから、場合によってはもう一回逃げるぞ」


逃げるときゃさっさと逃げるぜ、俺はチキンだからな。


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