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No.1306の一覧
[0] ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 21:42)
[1] Re:ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 20:49)
[2] Re[2]:ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 21:00)
[3] Re[3]:ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 20:56)
[4] Re[4]:ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 20:56)
[5] Re[5]:ある家の話(大幅編集)[karakisidame](2005/10/30 20:57)
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[1306] ある家の話(大幅編集)
Name: karakisidame 次を表示する
Date: 2005/10/30 21:42
~11月23日 金曜日 朝5時30分~
今日も今日とて太陽が元気よく昇っていき始める午前5時30分。
今日もこの家の主、歩は起きだすはず・・・なのだが。

「ZZZZ・・・」

寝ています。
この寝ているやつは水無月 歩 ♂。
この昔ながらの和風の家の持ち主(仮)である。
築二十年だが3年前に全面リフォームをした。
外見は古きよき和風の家、内装は次世代空間。
なんともミスマッチの家だ。
ちなみにこの家はリビングや台所などを除いて10室以上の部屋がある。
部屋の大きさは各々の部屋によって違うが平均して15畳はある。
なぜこの家が無駄に広いというと、間借しをしているからだ。
今この家には合計7人の間借り人がいる。
家賃は5万、光熱費、食費その他もろもろ込みだ。
キッチンは共同、リビングは住人の話し場となっている。
お風呂は大浴場が一つと男と女用の浴場が一つずつ。
住人たちは追々説明するとして、歩がなぜ大家をしているかというと。
もともと両親が大家をやっていたがある事情で引き受けることを余儀なくされた。
ある事情といっても死んだわけではない。
二人で北海道に住むとほざきだし、勝手に歩に押し付けていってしまったのだ。
しかもそれはいきなりの出来事で歩が承知する前に出て行ってしまった。
なんだかんだ言って最後には引き受けてしまう歩の性格を知っての行動か、ただの強行突破かは定かではない。
我々はただの強行突破に1票を入れたが。
そんなこんなで大家をやることになった。

ジリリッリリッコラッ!
歩愛用の目覚ましが鳴り出す。
少し音が変なのはご愛嬌。
その騒音で起きたのか歩が薄く目を開けて目覚ましを掴み取る。
目の前に目覚ましを移動させて頂点にある突起物・・・ではなく裏にあるスイッチをオフにする。
オフにして音が次の日まで鳴ることが無くなった目覚ましを元の場所に戻す。

「う~~~」

歩は上半身だけ起こして体を伸ばす。
そしてベットの上で体をスライドさせて床に足をつけて立ち上がる。
着替えの服をクローゼットから取り出して寝巻きのまま廊下へと出る。
迷路のような廊下を歩いて辿り着いたのは大浴場と書いてある扉の前。
歩は取っ手に手を掛けてドアを引き、中へと入る。
数メートル先に一応掛けてあるのれんをくぐって前を見る。
そこで前方を見ながら歩は足を止める。
歩が見ている前方には着替えている途中の女性がいた。
下半身はちゃんとズボンを履いているが上半身が丸見えだ。

「き」

女性が口を開く。
歩は動かない。
まだちゃんと目が覚めていないのだ。

「今日は遅いな。どうしたんだ歩?」

「ん? 理香か。今日は少し遅めに目覚ましをセットしたんだ」

そう言うと理香の隣を通って隣の脱衣用の籠に着替えを放り込む。
理香は気にする事無く着替えを再開する。
歩は上着を脱いでズボンに手を掛けようとしたところで止まる。

「ん? どうした? 脱がないのか?」

「着替え終わったんだから出て行ってくり」

「なんだ? 慣れたんじゃないのか?」

「見るのは慣れたけど見られるのは慣れてないの。ほら、お婿に行けな
くなっちゃうでしょ」

「分かった。リビングに行ってるぞ」

「おうよ。春さんと重さんにお茶を淹れてやってくり」

「はいはい」

理香が出て行ったのを確認してズボンを下ろす。
下着も同時に脱ぐと浴場へと入っていく。
大浴場は24時間湯が張ってあり、いつでも入れるようになっているが掃除が大変だ。
先ほど理香が入っていたからか湯気が大きな浴槽を包んでいる。
歩は髪を洗うために数多くあるシャワーの中のひとつの前に立って湯を出す。
彼特有の白い髪の毛を濡らしてシャンプーを使って髪の毛を洗う。
泡立った髪の毛をまたお湯で洗い流して目の前にある鏡を見る。
緑色の瞳が自分を見つめる。
昔、彼はこの白い髪と緑の瞳で虐められたことがある。
あるとは言っても小学校低学年の頃だが。
そのときは少しコンプレックスになったが、今はどうってこと無い。
この髪の毛はそうではないが瞳は“いいな”といつも言われている。
そのため、この目と髪を歩は誇りに思っている。

「やべっ! こんな事している場合じゃない」

歩は急いでコンディショナーとリンスで髪を洗う。
そして頭から冷水を一気に浴びると脱衣所へと戻る。
急いで着替えてリビングへと向かう。
リビングのドアを開けるとそこにはいくつかあるソファーに座った春さんと重さんがいた。

「あらあら、おはようございます」

「おはよう春さん」

「おう、おはよう歩」

「おはよう重さん」

二人はお茶を飲みながらニュースを見ている。


二人は歩が生まれる前からここに住んでいる老夫婦だ。
重(しげ)さんは今も工場の工場長をしているがほとんどを息子に任しているためにほとんどこの家にいる。
春さんはこの家の庭で家庭菜園をやっているため、いつもこの家にいる。
ちなみに苗字はなぞである。
重さん宛に郵便物が来ても郵送先は重さんとしか書かれていない。
それでよく引き受けるものだといつも歩は思う


キッチンに向かおうと体を向けるとテーブルの席に着いて本を読んでいる理香がいた。


夕弥美 理香(ゆうやみ りか)は歩と同じ大学、同じ学科に通っており、いい仲間だ。
少しきつい所もあるが慣れればどうってこと無いことである。
彼女は去年ここに来たばかりである。
たまたま隣に座った歩が理香が呼んでいる本を横から見たところ住むところを探しているぽかったので話し掛けてみた。
その時、自分の所に住まないか?と言ったのだ。
初めは少し疑いの目で見られたが両親に紹介したところで信じてくれた。
まあ、住み始めた次の日から今朝のイベントが毎日行われるようになったが。
これも慣れればどうってことない。


「改めておはよう理香」

「ああ、おはよう。料理をするのならついでに冷蔵庫から私のお茶を持
ってきてくれ」

「はいはい」

歩はキッチンへと入って二つある冷蔵庫の住民用を開く。
中には名前が書かれた食べ物やら飲み物が沢山ある。
その中から理香と書かれた紙が張ってあるお茶のペットボトルを取り出す。
リビングに向かう途中でコップを取り、理香に渡す。

「ありがとな」

「なに、大したことじゃないさ」

そしてまたキッチンへと入って手を洗い、調理材料用の冷蔵庫を開ける。

「卵、買ってこないとな。あっ そういえば豆腐を買ってこないと。牛乳も無いし」

そう言って卵とシーチキンの缶詰を出して台の上におく。
次に野菜室を開けて大根とトマト、レタスを取り出す。
鍋に水を入れて火にかけて今日の朝食の準備を始める。
今日の朝は味噌汁とご飯とサラダと目玉焼き、スクランブルエッグ、玉子焼きを作る。
今日は目玉焼きが3人分、スクランブルエッグが2人分、玉子焼きが2人分だ。
数がひとつ少ないのは歩自身はあまり卵は好きではないので食べないからだ。
サラダをチャチャっと作って、卵料理に入ろうと思ったところで服の端が引っ張られた。
歩がその服の端のほうを見ると小さな女の子がパジャマのままで目を擦りながら歩を見上げていた。

「おはよう。那留」

「・・・おはよう」

那留が目を擦りながら答える。
歩は那留と同じ目線になって笑顔を浮かべる。

「さあ、顔を洗いに行こっか」

「うん」

歩は那留を抱き上げる。
キッチンから出る前に大根を千切りにして入れた沸騰中のお湯の火を止めてから出る。
そしてリビングにいる理香や重さんに声を掛けてから洗面所へと向かう。
リビングから出て右に行き、しばらく歩いて正面のドアを開ける。
洗面所に入ってから那留を降ろすと那留は自分で歯を磨き始める。
歩はその間にタオルを用意する。
歯を磨き終わったのか那留が口に水を含んで吐き出す動作を繰り返す。
それを確認した歩は那留の後ろへと移動する。

「那留。顔を洗うよ。目を閉じて」

歩がそう言うと那留は目を閉じる。
タオルを水に濡らして十分に絞ってから歩は那留の顔をタオルで拭く。
那留はまだ水を顔にかけるのは慣れていないために歩がいつもこうして顔を拭いている。
一通り顔を拭くと待機させていたもう一枚のタオルを取ってまた那留の顔を拭く。
水気を完全に拭き取ってからタオルを洗濯用の籠へと放り込む。
そしてまた那留を抱き上げて廊下へと出て行く。
リビングへはまだ半分というところで歩は那留に話しかける。

「那留、お母さんはどうしたの?」

「お母さん。まだ寝てる」

「はぁ、またか。那留、お兄ちゃんはお母さんを起こしに行ってくるか
ら先にリビングに行っててくれないかな」

「分かった」

那留がそう言うと歩は那留を床に降ろす。
床に降ろされた那留はすぐにリビングに向かって走り出す。
歩は見える範囲で那留がリビングに入ったことを確認すると那留の部屋へと向かう。
洗面所の隣にある階段から二階へと上がってすぐ手前にドアの前に立つ。
そのドアには重さんが彫った鳴海というプレートがぶら下がっている。
コンコン
歩はそのドアをノックする。
しかし、いくら待っても返事は無い。

「美琴さん。入りますよ~」

歩は一応断ってドアをゆっくりと開ける。
部屋の中はシンプルで必要最低限の家具があるだけだった。
その中でも窓際に陣取っているベットへと歩は向かう。
ベットは少し乱れているがそれは那留がベットから出たという証拠である。
その中で頭だけを出して規則正しく上下をしているふくらみに向けて歩は呼びかける。

「美琴さん、起きて。那留ちゃんはもう起きましたよ」

「スー、スー」

歩の言葉に美琴は規則正しい呼吸を返すだけだった。
その光景に歩はため息をついてから掛け布団を握って取っ払う。
するとぬくろみを無くした美琴が身震いをする。

「うう~、歩ちゃん。夜這いはいいけどこれじゃあ、朝這いなっちゃうわよ~」

「美琴さん、脳が太陽系第三惑星にいっちゃってるような発言をする暇があったら起きてください」

「う~、分かったから私の着替え出しといて」

「分かりました。その間にちゃんと起きて下さいね」

「は~い」

美琴の疑わしい返事が聞こえる中、歩はクローゼットに向かって美琴の会社の制服を出す。
その制服を持って美琴のベットに戻ろうとするとすぐ後ろに美琴はいた。

「はい、制服です。今日クリーニング屋に持っていくんで脱いだら俺に
渡してくださいね」

「分かったわ」

そう言うと美琴が着替え始める。
その横で歩は那留の着替えを出してドアへと向かう。
ドアに手を掛けたところで歩が急に振り返る。

「そうそう、美琴さん。今日は目玉焼きでいいんですよね?」

「ええ。その前に歩君、私の着替えている姿を見ているのだから少しは
恥ずかしがったらどうかしら?」

「俺を襲った人が何を言いますか」

「ん、それもそうね」

美琴が歩の答えになっていない答えに納得しているうちに歩は美琴の部屋を出る。
那留の着替えを持ったまま階段を下りてリビングへと向かう。
そして何事も無くリビングへと辿り着くと那留が小走りで駆けてきて歩の前に止まる。

「さあ、那留着替えようかっと言いたいところだけど・・・」

歩が時計のほうを見る。
そこには6と7のちょうど真ん中あたりにある短い針と6をさす長い針があった。

「すまないけど理香に着替えを手伝ってもらってくれないかな?」

「分かった」

そう言うと那留は理香へと走っていく。
那留が理香に話しかけるところまでを確認して歩はキッチンへと入る。
ボールを二つ出してそれぞれに卵を割る。
そしてシーチキンの缶を開けて片方のボールへと入れる。
二つともかき混ぜてからフライパンを熱する。
フライパンが暖まる前に大根を千切りにして入れたお湯に味噌を溶かす。
数分で味噌を溶かし終わるとちょうどいい具合にフライパンが熱せられていた。
そのフライパンに卵を入れて玉子焼きを作り、皿に置く。
そして今度は目玉焼きを作ろうと少し小さめのフライパン取ったところでリビングのドアが開く音が聞こえた。
歩がそちらを向くと美琴がリビングに入ってきたところだった。


鳴海 美琴(なるみ みこと)、鳴海 那留(なるみ なる)は親子であるが父親は那留が生まれてすぐに事故で死んでしまった。
それから美琴は那留を一人で育ててきたが仕事と子育てを両立するのは不可能だった。
ついに家賃が払えなくてマンションを追い出されてしまい公園で途方にくれているところで歩と歩の母親の香恋に声を掛けられたのだ。
そこで美琴は事情を話したところ、香恋が“私の家に来なさい。家賃はしばらくはいいから”と言ったのだ。
そんなことがあって美琴とそのとき一歳だった那留はここに住むことになった。
今は金融会社に勤めていて家賃もちゃんと払えるようになっているが色々と歩には世話になっている。
那留のこととか・・・那留のこととか・・・朝のこととか・・・料理とか。
歩にとっては面倒なことだがあの時の美琴がこんなに笑顔を浮かべるようになったと考えるとうれしくて思ってしまう。
そのため、那留は美琴に続いて歩にはよく懐いている。
歩もその事には悪い気がしないし逆にうれしいとも思えている。


「歩く~ん、お茶ちょうだ~い」

「分かりました。少し待ってください」

歩はさっさと目玉焼きを完成させてお茶を淹れる用意をする。
お茶を淹れて美琴に渡すとまたリビングのドアが開いた。

「あっ おっはよ~、兄貴」

「おはようございます。お兄様」

「おはよう。空ちゃんと奈美」

「いつも思うけどさ、何で空はちゃんを付けるのに何で私は呼び捨てな
のさ?」

「なんとなくだ」


この歩と何気ない挨拶を交わしている二人は双子の神前 空(かんざき そら)と神前 奈美(かんざき なみ)だ。
二人は父親が転勤で九州に行く予定だったが東京の高校に行きたいと言い出した。
そこで二人の母親が友達だった歩の母親の香恋に相談してここに住むことになった。
一応二人は双子であるのだが性格は全然違う。
昔、二年ぐらい二人は離れて暮らしたことがあるらしくそこでこの違いが出たと歩は推測した。
二人は今高校二年生であり、歩とは3年間の付き合いだ。
ちなみにショートカットのほうが奈美でロングのほうが空であるが歩はすでに声を聞いただけでどちらか分かるようになっている。


「お兄様、もう七時ですけど大丈夫なのですか?」
「おっとやべぇ、早く用意しないと」

歩がまたキッチンの中へと消えていく。
歩は最後にウインナーを焼いてリビングのテーブルにそれらを並べていく。
すべてを並び終えるとそれぞれの場所にいたみんなが自分の席に座る。
歩も手を洗ってから自分の席に座る。
そして両手を合わして。

「いただきます」
「「「「「「「いただきます」」」」」」」

今日もいつもの朝が始まった。


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