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No.1283の一覧
[0] ジーナ![あむぁい](2005/07/15 22:21)
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[1283] ジーナ!
Name: あむぁい
Date: 2005/07/15 22:21
受験まであと3ヶ月。
ぼくは追い込みに燃えていた。
自慢じゃないがぼくは学年でもトップクラスの成績だ。
成績の良さは頭の良さと勉強の量の積で決まる。
正直なところ頭の良さ自体で言えばぼくよりも良い奴はもっとたくさんいる。
だが、それはぼくのせいじゃない。
ぼくの両親のせいだ。
ぼくの偉いところはそこを埋めるべくちゃんと努力するところだ。
だから、音楽の時間なんかは当然さぼるのだ。
そんで保健室で勉強するのだ。
保健室へ行くまでの廊下でもこうやって歩きながら参考書を読んでいるのだ。
なに、危ない事はない。
こんなの慣れればどうって事……うおっ!?
何か柔らかいものに蹴躓いて、ぼくは思いっきり転ぶ。
「うわぁぁぁ」
まずいっ。ぼくはすばやく怪我を確認する。
よし、大丈夫。
ぼくは少し安心する。
この大事な時に怪我をしては一流大学に入って一流会社に入るというぼくのパーフェクションな計画が台無しだ。柔らかいものがクッションになったのが良かったんだな……
……
……
ぼくは手の先にある柔らかいものから目が離せない。
指を動かすと指の隙間から肉がはみ出てその弾力がとても気持ちいい。
「あんっ」
「う、うわぁぁぁぁ」
ぼくは慌てておっぱいから手を離す。
「ごめ、ごめ、ごめんな、うわぁぁぁぁ!」
慌てて手を離し、謝るぼくは彼女が全裸なのに気づいて更にパニックに陥る。
なんで男子校の学校の廊下にこんなのがいるんだ!?
その顔も、ぼくが今まで会った中ではダントツの一番。
それどころか、熊田曜子や入江紗綾や相武紗季といったテレビアイドルに比べても遜色は無い。
栗色の髪は可愛くショーットカットで、ぐっときてしまう。
腕は細くって、腰はきゅっとくびれてて正に男の理想っ。ところでどうして男の子と同じようなものの筈なのに、女の子のオヘソはこんなに可愛らしいのか? 何故だ?
そして忘れちゃいけないのは、おそらく巨乳と言っていい大きさのおっぱい。色といい形といい、美の女神の寵愛を受けたとしか考えられない素敵なおっぱい。ちょっと小さめの乳輪が、なんとも可愛らしいおっぱい。すぐに手を離してしまったのが大変惜しまれ、ぜひぜひもう一度触りたいおっぱい。まだぼくの手にその感触と温もりが残っているおっぱ……
ぼくは彼女の頭から生えている、こげ茶色のネコミミを凝視する。
コスプレ……だよね。ぼくはそーっと、ネコミミに指を伸ばして引っ張ってみる。
ぎゅーっ。
「痛いです。止めてください」
「うわぁぁぁ。ほ、ホンモノォ!?」
ぼくは女の子の上から飛び起きる。
女の子はゆっくりと立ち上がる。
黒と茶色のふさふさした尻尾でほこりをはたきながら。
絶対何かが間違ってるよ!
もちろんぼくは勉強が忙しいからアニメとかは週に1時間しかみていない。
だが、そんなぼくでもネコミミ少女の存在自体は知っている。
けど、それはあくまで漫画やアニメや同人誌の話であってそんなのが現実である筈が無い。
非現実的なネコミミ美少女はにっこり笑いながらぼくに近づきつつ言った。
「ねぇ、して」
「うわぁぁぁぁ」
ぼくは脱兎のごとく逃げ出した。
おかしいっ。
こんなはずは無いっ。
なんでぼくがもててるんだ?
受験3ヶ月前のこの極限状況で!
これは罠?
悪夢?
それとも勉強しすぎのノイローゼ?
わからーん!
どんっ。
衝撃にぼくは尻餅をつく。
「「いてぇ」」
声がはもる。
ぼくにぶつかったのはぼくの学年の中で成績は345人中297番でIQ89の大田勇だった。ぼくの成績は345人中2番でIQは137だから全く取るに足らない存在だと言えよう。恐らく、彼は受験に失敗し、その結果就職もできず、不幸な人生を送るのだろう。そうに決まっている。だが、しかしこんな奴でも裸のネコミミ美少女(尻尾付)から逃げていると言う非現実的な状況ではぼくの精神の安定に寄与する貴重な存在と言えよう。
「い、今っ。そこの道路にっ。裸のっ。ネコミミ美少女がっ」
「ははは。俺の学年で成績が345人中2番でIQは137の国崎くんともあろうものが、何をパニックになってるんだい?」
ぼくは大田のぼくを馬鹿にした態度にむっとする。こいつ、345人中297番でIQ89のくせにっ。
「お前、そんな事言っても裸のネコミミ美少女だぞ!?」
そのとき、大田はにやりと笑って首の下、左の方に右手を伸ばして何かを掴む。
「その美少女は……」
大田の腕が弧を描き、びりびりと言う嫌な音がする。
「こんな顔だったかな?」
「うわぁぁぁぁ」
ぼくは驚いてひっくり返る。
大田の顔の下から出てきたのは、さっきのネコミミ美少女の顔だ!
「うわぁ。うわぁぁぁぁ」
必死でぼくは後ずさりする。
ネコミミ美少女の顔をした大田は両手を鎖骨の辺りに伸ばして何かを掴む。
そして、両手を勢いよく広げる。
びりびりびりびりっ。
ぷるんっ。
学生服と、皮を引き裂いて。
そこに現れたのは懐かしくって美しいさっきのおっぱい、もとい美少女の裸だった。
こきこきと肩を鳴らして、もと大田だったネコミミ美少女はぼくにじりじりと近寄る。
「ねぇ、して」
「うわぁ。うわぁぁ」
ぼくは必死で後ずさる。
彼女が近づくとなんだか良い匂いがする。
そしてその瞳でぼくをじっと見つめる。
ぼくはこんな可愛い娘から見つめられた事なんか無かったから。
なかったから。
いかん、いかーん!
ぼくは何とか立ち上がると必死に逃げ始める。
大田が、大田が、ネコミミ美少女にっ。
そ、そんな馬鹿な。
それに、して、だって?
なにをするんだ!
ダメだ、ダメだっ。
ぼくは自分に言い聞かせる。
今が一番大事な時なんだ。
ここで人生が全て決まるんだ。
一流大学に入って一流会社に入って、一流のお嫁さんを貰う。
このパーフェクションなプランの為には一時の快楽に負けてはダメなのだ。
勉強して、勉強して……
どんっ。
衝撃にぼくは尻餅をつく。
「「いてぇ」」
声がはもる。
ぼくにぶつかったのはぼくの学年の中で成績は345人中173番でIQ101の佐々木正治だった。ぼくの成績は345人中2番でIQは137だからぼくよりは劣るがまあ、平均的な存在だと言えよう。恐らく、彼はそこそこの大学には入るが、たいした就職もできず、ぱっとしない人生を送るのだろう。現在の就職事情はつらいのだ。そうに決まっている。だが、しかしこんな奴でもクラスメートがネコミミ美少女(尻尾付)に変身してぼくに迫っていると言う非現実的な状況ではぼくの精神の安定に寄与する貴重な存在と言えよう。
「聞いてくれ、佐々木っ。今そこで、大田の奴がっ。ネコミミ美少女に変身してっ」
「ふん。それがどうした?」
「信じてくれっ」
佐々木はゆっくりと立ち上がると、右手を首の下に伸ばして何かを掴む。
「そのネコミミ美少女って言うのは……」
「うわぁぁぁぁ」
ぼくはじりっ、じりっと後退する。
「こんな顔だったかな?」
「ひぃぃぃ」
佐々木の顔の皮がはがれると、そこから現れたのはさっきのネコミミ美少女だった。馬鹿なっ。そんな馬鹿なっ。ぼくが目を見開いている前で、佐々木は両手を鎖骨に伸ばすと何かを掴んで、思いっきり両側に手を開く。
びりびりびりっ。
ぷるるんっ。
ぼくは呆然とその胸の動きをしっかりと目に焼き付ける。
その隙にぼくは手をにぎられてしまう。
「ねぇ、して」
ぼくは何故だか泣きそうになる。
裸のネコミミ少女にぎゅっと手を握られる。
こんな良い事が今までの人生であったろうか。
ぽろぽろと涙がこぼれてくる。
成績さえ良ければいいんだ。
学歴さえ良ければいいんだ。
ひねくれて育ったぼくも、ひょっとしてこの娘となら生まれ変われ……
いかん、いかーん!
ぼくは、あわてて全速力でその場を逃げ出すっ。
いけない。
いけない。
いけない。
不味いっ。
冷静になれ、ぼく。
今ここで、受験に失敗すれば、ぼくの今までの努力は……
どんっ。
次にぶつかったのは、ぼくの学年の中で成績は345人中53番でIQ109の鈴木伸太郎だった。ぼくの成績は345人中2番でIQは137だからぼくよりは劣るがまあ、成績は良い方だと言えよう。恐らく、彼は運が良ければ割りと良い大学に入って、そこそこの就職ができるが、会社の中で出世競争に敗れてうだつの上がらないサラリーマンとして愚痴をこぼしながら安酒をあおるのが関の山だろう。そうに決まっている。
「鈴木ぃ、まさかお前も美少女に変身するんじゃなかろうなぁ?」
ぼくは恐る恐る切り出す。
「なにぃ、国崎っ。お前もネコミミ美少女を見たのか。あれは一体……」
しゃべっている最中の鈴木の目が急に焦点を失い、体がぶるっと震える。
そして、鈴木の右手が首の下に伸びる。
「その美少女って言うのは……」
「うわぁぁぁぁ」
ぼくはじりっ、じりっと後退する。
「こんな顔だったかな?」
うわああああーん。
悪夢だっ。
ぼくは全速力で逃げ出そうとする。
しかし、ぼくは勉強は得意だが運動は苦手なので、もう息も上がって、足ももつれて来ている。
ぼくは背中から美少女に抱きつかれてしまった。
背中にあたる柔らかい触感。
これは何かと言うと。
美少女のおっぱいの感触なのです。
ばんじゃーい!
思わずにんまりしたところを、美少女の指がぼくのズボンのチャックに伸びる。
チィー。
あ。
な、なにをするの……ですか?
って、いかんいかーん。
ここで負ける訳にはいかない。
負けてたまるかーっ!
ぼくは必死に彼女を振り切って走る。
今、ここでネコミミ美少女とHな関係になったりしたら。
しかも場合によっては複数のネコミミ美少女とラブラブな関係になったりしたら。
ぼくはネコミミ美少女に溺れて受験に失敗してしまうに決まっている。
それほどあのネコミミ美少女は魅力的な存在なのだ。誰だってそうなるだろう。
受験に失敗したら、一流大学に入って一流会社に入って、一流のお嫁さんをもらって、そのお嫁さんの目を盗んでびくびくしながら一流のネコミミ美少女とHな関係になると言うぼくの夢が台無しだ。
……
……
あれ?
何かがおかしいような。
ぼくは自分の感じた違和感について頭をめぐらせる。
なんてったってぼくは頭が良いのだ。
お?
おお?
ひょっとして、今ネコミミ美少女とHな関係になった方が効率が良くありませんか?
ぼくはノートを取り出し、地面に置いて計算を始める。
ぼくが一流大学に入れる確率をAとしよう。ぼくが一流会社に入れる確率をBとする。そしてぼくが一流のお嫁さんを貰える確率をCとする。そしてさらにそこから一流のネコミミ美少女とHな関係になれる確率をDとすれば……
なんてこった!
今、この場でネコミミ美少女とHな関係になった方が、確率的にもぼくが必要とする努力の上でもはるかに効率的ではないかっ!
まさにコロンブスの卵的発想っ。
発想のコペルニクス的転回っ。
さすがはぼくだ!
ぼくは思わず顔をあげ、ガッツポーズ。
そもそも、よく考えれば。
ぼくがもてなかった今までの方がおかしかったのだ。
ぼくの様に頭がよくって、一流大学に入れる可能性が高くって、一流会社に入れる可能性が高い人間がもてて当然っ。
そうでなきゃおかしいのだ。
大田や佐々木や鈴木の奴らが急に美少女に変身してびっくりしたが、よく考えれば本当は彼らは元々美少女で。ぼくとお近づきになるチャンスを狙ってたんじゃないか?
それなら辻褄もあう。
うん。謎は全て解けた!
どんっ。
「ぐえっ」
だ、だれだ、学年で成績は345人中2番でIQは137のこのぼくを踏みつけるのは……
「あ、く、国崎っ、大変だっ。美少女が。裸の美少女がっ」
ぼくは無言でその男、千葉良平を見つめる。
千葉は学年の成績は345人中でダントツの1番でIQは145もある。ぼくよりも高い確率で一流大学に合格し、一流会社に就職し、一流のお嫁さんをもらう事だろう。そうに決まっている。
「ど、どうしたんだ国崎っ?まさかお前も?」
あ、あれ。今なんかぼーっとして……
ぼくは落ち着いて良平をみつめる。
「なあ、良平。お前なら、ぼくより成績良いし、きっと幸せな人生が待ってるだろう」
「な、何を突然。しっかりしろ」
「うん。だから、お前はもてて当然なんだよ。お前と恋人になれば幸せな人生が約束されたも同然なんだから」
なんだか首のあたりがむずむずして来た。
「な、なるほど。俺も俺がもてないのは何かが間違っている気がしていたが……」
ぼくは深く頷く。
千葉良平に比べればぼくは成績も頭も悪い。努力しても彼に勝つ事はできないだろう。そうに決まっている。
それならっ!
ぼくは首の下、左側にあったそれを右手でつまんで思いっきり引っ張った。
びりびりびりっ、と音がして元の顔がすっぽりと抜ける。
風。生まれて初めて風が頬にあたっているかのような新鮮な刺激。
頭がすっきりはっきりする。
ボクはジーナになったんだ。
究極の美少女に。
男に愛を与えてその代わり養ってもらう生命体に。
ボクは両手を鎖骨の辺りに持っていって何かをつまんで思いっきり両側に引っ張る。
びりびりびりびりっ。
ぷるんっ。
皮をやぶってボクの新たな肢体が現れる。
完璧なプロポーション。
ボクはズボンを脱ぐようにおヘソまで破けたボクの皮を脱ぐ。
ぶちっと小さな音がして、おちんちんが取れる。
うごめく可愛らしい尻尾。

じゃーん!
可愛く決めポーズ!
そして、彼がクラッと来た隙にボクは良平に飛び掛って押し倒すのに成功するっ。
「うわ、国崎っやっぱりお前もっ」
「にゃははは。して欲しいニャア」
ボクは可愛く良平を誘惑する。
ボクが自分で努力するより、良平のお嫁さんになる方がはるかに効率的なんだニャ。
ボクは顔を近づけて無理やりちゅうしようとするけど、良平は手を突っ張って必死に抵抗する。
「女の子に恥をかかせるニャよ」
ボクもここが勝負どころだから手加減はしない。
ふふっ。逃がさないニャ。
もう少しで熱い口づけっ。
しかし、ボクは後ろから羽交い絞めにされて無理やり良平から引き剥がされる。
「な、何するニャ」
「抜け駆けはずるいですよ」
「そうですよ」
「千葉くん。俺は前からキミの事が好きだったんだ」
「俺も」
「僕も」
いつの間にかボクらはネコミミ美少女ジーナの大群に囲まれていた。
しまったぁ!
「うわぁぁぁ」
たちまち千葉良平はジーナたちにもみくちゃにされる。
手が、足が、引っ張られ、服が引き裂かれる。
「良平クンと結婚するのはボクだニャ」
ボクもあわてて争奪戦に参戦する。
肉団子状態で、どれがボクの手でどれが別の少女の手なのか訳がわからない。
その肉団子の中からずたぼろになりながら良平は脱出に成功する。
最早、パンツ一枚。
「ばか、お前ら正気になれっ」
必死の顔で貞操を守ろうとする良平。
しかし多勢に無勢。
ボク達はじりじりと包囲網の輪を縮める。
その時っ。
校内放送が全校舎に響く。
「全てのジーナは校庭に集合せよ。なお、未だ男のままの者がいれば強制的に仲間にしろ」
その声にボク達ジーナは聞きいってしまう。
この声は。
ニャントロ星人さまの声。
ニャントロ星人さまは地球人なんかよりはるかに頭が良くって。
IQも平均1300とかあるのだ。
ニャントロ星人さまにお使えするのがジーナの使命。
ニャントロ星人さまと結婚するのがジーナの幸せ。
早く、ニャントロ星人さまの元へ……
と、その前に。
ボクたちは冷たい目で良平を見つめる。
首を押さえて、必死に首を振る良平。
「ニャントロ星人さまのご命令なのニャ」
「ごめんねー」
「良平もジーナになりましょー」
「い、嫌だー!止めろー!」
ボク達はいっせいに良平に襲い掛かる。
みんなで四肢を押さえる。
ボクが馬乗りになる。
嫌がる良平の首のあたりをまさぐると……
あった!やっぱり良平も感染してたんじゃん。
ボクは爪を立てて、そっときっかけを作るとびりびりと顔を脱がしてやる。
「ああっ。あああ」
「にゃはは。はい。キミもぼく達の仲間さー」
勝ち誇るボク。しかし、その瞬間、良平は渾身の力でボクを跳ね除け包囲から逃れようとする。
「ぐげっ!?」
「きゃああ」
しかし、たちまち周りから爪を伸ばされる。
手の皮が破かれる。
肩が。足が破かれる。
うわー、あの娘。ちんちん引っ張ってらー。
ボクが狙ってたのに。
あ、ちぎれた。
「あああっ」
とても悲しそうな顔をする良平。
しかし、その隙をボクらは見逃さない。
たちまち全身の皮を剥がしてしまい、良平は全くボクらと全く同じジーナの姿になる。
「そ、そんなぁ。女の子になっちゃうなんて」
ボロボロになってしまった自分の皮を未練気に掻き集めながら良平は泣き言を言う。
「さあ、早くニャントロ星人さまの元へ」
「いやだ。いやだよう。あ、ボクのおちんちんが。あ、転がってく。大変」
まだぐずる良平をボクらはずるずると引っ張って校庭へと連れて行った。
はぁ~。
ボク達は壇上に上がったニャントロ星人さまをうっとりと見つめる。
ニャントロ星人さまは思ったとおり、とっても頭が良くって。
恒星間飛行までできちゃうのだ。
ボク達はもうメロメロだ。
おまけに顔や手足から多数の触手がうねうね出ていてとってもセクシー。
素敵な瞳も3つも有って、赤と緑と青に綺麗に光るのだ。
「ククク。実験は成功のようだな。やはり私の理論どおり、地球人はジーナに改造する事ができるのだ。これで、我が星の少子高齢化問題も救われる」
お声もクールでしびれちゃう。
「よし、そこのお前っ」
ニャントロ星人さまがびしっと指、のようなものをさす。
へ?
ボ、ボク?
「こっちへ来い」
ボクは言われるままに壇上に上がる。
ああっ。ニャントロ星人さまとこんなに接近してるなんて。
どきどき。
「好きなタイプは?」
「あ、頭の良い人だニャ」
ボクは正直に答える。
頭の良い人は大好き。
「……ニャって何?」
へ?
「ネコミミだから、語尾にニャを付けるべきかニャと」
「ネコミミでは無いのだが……、可愛いから許すっ!」
褒められちゃった。
ニャントロ星人さまの触手がボクの肩を抱き寄せる。
お?
「早速、繁殖だ」
「ニャ」
は、繁殖ですか!?
すごくどきどきしてきた。
緑色の舌が2つもあるぬめる唇がボクに近づく。
ボクは頬を染めて、目をつぶる。
お母さん。
ボクは幸せになりますっ。
どきどき。
ボクは思わず目をつむる。
どきどき。
どきどき。
あれ?
するすると力を失い触手がボクの体から離れる。
薄目を開けたぼくが見たのは大きな岩を持って肩で息をしている良平と頭から血を流して倒れているニャントロ星人様だった。
壇の下にいるジーナの大群も息を飲む。
「何て事をっ!」
「ああっ、これから誰に食べさせてもらえればいいの?」
「折角、良い男だったのに」
「玉の輿がぁ」
ボクは、ニャントロ星人さまに駆け寄り、脈、のようなものを取る。
「ニャントロ星人様、死亡確認」
「いやー!」
怒号が飛び交う。
犯人の良平はふぅ、とため息をつき、よろよろと岩をそばに下ろす。
「良平、お前なんて事を……」
詰め寄るボク。良平はボクの瞳をじっと見つめる。
「国崎、好い加減正気に戻れ」
「正気?ボクはいつだって正気だ。お前、こんなに素敵なニャントロ星人さまを……」
ボクはナマコからミミズやヒルが生えているような感じの黒くて臭い死体がすぐそばに寝っころがってるのに気付いて腰を抜かしそうになる。
きもっ。
何これ?
「ニャ、ニャントロ星人さまは?」
良平は無言でナマコを指差す。
「ええっと。はうっ」
ボクはあまりの事に戻しそうになる。
「大丈夫か。操られてただけだ。お前は悪くない」
良平が肩を擦ってくれる。
ボクはただ肩を震わせて声も無く泣くしかできなかった。

こうして、ニャントロ星人の地球人奴隷化未遂事件は幕を閉じた。
ニャントロ星人がぼくたちの学校にばら撒いたウィルスは人間の遺伝子と価値観を書き換えて、姿を美少女に、自分よりより頭が良い者に盲目的に従うようにする効果が有ったのだ。
だが宇宙人にも計算外の事が有った。
何故だかウィルスは良平には不完全にしか効かず。
結局、それが原因で滅びたのだ。
ちなみに人間を操るタイプの宇宙人は肉体的には脆弱なのがお約束と言うものらしい。
「つまり愛の前に悪の宇宙人は敗れたって訳さ」
ぼくは目の前のネコミミ美少女、良平に言った。
「いーよなー。お前らは元の姿に戻れてよー」
ジト目でぼくを睨む美少女。
ぼくは頭をぽりぽり掻く。
皮を探し出して、着たら元の姿に戻れました。
やったね。
しかし、良平の皮だけはぼくらがびりびりに破いてしまったので最早二度と男の姿には戻れないのだ。

まぁ、しょうがないよね。

ぼくはうっとりと良平の姿を見つめる。
本当に可愛い。
こんなに可愛くなっても未だに良平は学年でダントツNO.1の成績をキープしてるのだ。
「畜生、さっさと脱げよ!」
良平がすねるので、ぼくは顔の皮をにゅーっ、と脱ぐ。
そこから現れるのは宇宙人の愛玩美少女ジーナの顔。
ぼく達はそっと顔を近づけ、唇を重ねる。
失礼な事に男とキスなんかできるか、等とおっしゃるのだ。
しかし、定期的にこうやって良平の体液を体に入れないとジーナの本能が目覚めて、ぼく達は自分達より頭の良い人に全裸で迫ってしまうのだ。通りすがりのエリート官僚や、エリートサラリーマンなんかに迫ったら、むこうもこっちも偉い事になるのだ。
抗体の抽出と量産を科学者のみなさんがやっていて、ぼく以外のジーナ達は与えられた価値観を取り去って元の価値観を取り戻せた、らしい。
だがぼくだけはどうしても、与えられた価値観を取り去る事ができなかったのだ。
科学者のみなさんが何度チェックしてもダメだったのだ。
良平がぼくの肩を掴んで引き離す。
「もう良いだろっ。好い加減にしろっ」
真っ赤になって怒った顔も可愛いのだ。
「ん。まだダメみたい」
ぼくは更に唇を重ねる。
もう少し抗体を分けてもらわないと。
だって、まだぼくは良平の事が大好きみたいだから。

<おしまい>


と言うわけで小泉八雲の名作、むじな をモチーフに作成したTS小説ジーナ!でございます。お気に入りましたらHPの方にも是非いらして下さい。


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