注)今回は『真Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ』、『ペルソナ3』、『葛葉ライドウ対アバドン王』のネタバレがありますので、ご注意を。
間幕 悪魔考察
──悪魔とはなんなのか?
それは、悪魔への変身能力という力を手にしてから疑問に思い、考え続けてきたことだ。
変身能力を手にしてしまった俺にとって、それは真剣な悩みである。
なにせ封印魔法で死にかねない上に、悪魔には弱点となる属性も存在する。
故にこういった疑問を考察、分析し、改善や対抗策を練る必要があったのだ。 弱点の放置など、死亡フラグ以外の何物でもない。
そんな訳で、暇さえあれば悪魔について色々と考えていたある日のこと。ふと脳裏に、一つの疑問がよぎった。
「戦闘で悪魔を倒した際に、死体も残らず消滅するのは何故だ?」と──
それも悪魔『だけ』ではない。装飾品や手にした武器までも消える。
仲魔の悪魔も、やられた者は消えてストックに戻る。
それをストックから破棄する場合でも、死体を目にすることは無い…
普通にRPGをプレイしているだけならば、「ゲームの演出上の措置だろ?」と言われる位馬鹿馬鹿しい疑問だが、今の俺にはまごう
事の無い現実なのだ。
ここまで考えて、俺は一つの説に行きついた。『真・女神転生』の、『真Ⅲ』の悪魔は肉体を持たず、霊体や精神のみの存在で、物理
的な法則を超越した力と、強烈な意志で無理矢理に現実世界──人間界に存在し、干渉をしているのではないか? と。『スレイヤーズ』
の純魔族のように。
つまり、装飾品や武器の類も、等しく彼らの体の『一部』であるということだ。
そう考えると、ゲーム中における悪魔の謎にも説明がつく。例えば悪魔の外見だ。
物理的に、歩行どころか直立すら不可能な体型体格。
更には気体や、液状の体を持つ者。
このような連中も、精神体であれば物理的法則に縛られる筈が無い。
また、死んでも魔法一つ、アイテム一つで復活する因果無視の異常性についても、
精神力急激な消耗(所謂、ヒットポイントの枯渇)
↓
肉体の維持ができなくなる。
↓
消滅(死)残るのは、目に見えない悪魔の意識(魂?)のみ。
と考え、復活魔法やアイテムが精神力の回復させるものだと思えば矛盾がない。現に、氷川の計略でマガツヒを奪われ崩壊した
ゴズテンノウは、意識のみで生き残り続けて千晶と合一をはたし、魔丞として復活を遂げた。
さらにここから、マガツヒの力が単に創世──守護を召喚する為だけの、呼び水ではないことがわかる。
マガツヒとは、激しい感情や強い想念の発露によって生じる。言わば精神、心、意志の力そのものだ。
精神体である悪魔にとって、それはまたとない栄養素である筈。
ゲーム中でも、ゴズテンノウが決闘裁判に勝利した人修羅に与えた力は、マガツヒであることを言っていた。つまり、マガツヒ=経験値
ということだ。
──そう言えば、『スレイヤーズ』の純魔族も恐怖や怒り、悲しみ、苦痛等の、負の感情を喰うとされていた。
…マガツヒを取り込み、生物としての限界を超えた悪魔たち。
精神体であるが故に、己という『個』を、意識を保つ強固な意志のかたまりである。
しかし、それが故に頑迷で、柔軟な発想や思考がし難いのではなかろうか?
『悪魔にコトワリを啓く事はできない』
『真Ⅲ』でこう言われていたのは、そういう発想が悪魔にはできないからなのでは?
…まあ、フランクな悪魔や創世神クラスの悪魔もいるので、一概にそうであると考えてしまうのはいきすぎかもしれない。
しかし、この考えはあながち間違いともいえないかもしれない。そもそも、『東京受胎』を起こしてボルテクス界を創り、
反則級のナイトメア・システムを生み出したのも、氷川──人間だ。
人の知識とイメージは、時として世界を、悪魔をも駆逐する。
だから人の知恵と悪魔の力、その両方を持つ人修羅はボルテクス界の覇者となりえたのだと思う。
…『人が空想できる、全ての出来事は、起こりうる現実である』とは、『ワンピース』の学者の言葉だったか?
──さて、じゃあこれらの仮説を俺自身に当てはめて考えてみよう。
まず一つ目。俺が悪魔化した際の体は肉体か、精神体か。
これに関しては答えが出ている。ナインスターはジュエルシードが俺の悪魔化を防いでいると言った。しかし、マタドールの姿は
オリジナルと、俺の想像や記憶の入り混じった存在だ。
肉体である俺をベースにして、精神体である悪魔の姿をとっているということはその中間──人魔半々であるということだ。
これはメリットと捉えるか、デメリットと捉えるか微妙なところだ。
人修羅の驚異的な強さは上記の通り、悪魔の力と人の知恵が合わさった所にあると思っている。
つまり、俺もその状態にある以上、かの混沌王と同じ高みに至れる可能性があるということだ。
しかし、それと同時に大きな問題もある。それは蘇生魔法やアイテムで復活ができない、やり直しのきかない体であるという点だ。
これは『真・女神転生』シリーズのみならず、『ペルソナ』や『デビルサマナー』シリーズにも共通することだが、
人間や、半人半魔のような肉体を持つ存在は、蘇生魔法の対象外になってしまうのだ。
──例えば『真Ⅰ』の、ロウヒーローの彼女。
中途半端にボディコニアンにされた彼女は、反魂香で蘇ることなく消滅した。
──例えば『真Ⅱ』のベス
ダレスに殺されてから、生き返らせるという行動や選択がまるでない。
──例えば人修羅。
戦闘中に力尽きると、天へ召されていく。
やはり上記の通り、蘇生魔法とは意識のみにされた悪魔たちに、精神力を注入する為の魔法なのであろう。
昏睡や意識不明等であれば、電気ショックや気付け薬のような感じで使えるだろうが、それで終わりだ。
…肉体持ちの人物の復活も無い訳ではないが、そんなのは特例中の特例である。
ロウヒーローの場合は、復活自体が神のシナリオの臭いがするし、『if』の主人公とパートナーについては、これまた反則級の
ガーディアン・システムがあってのインチキだ。
(流石に回復魔法は肉体持ちでも効果はあるが、怪我や毒位は治せても病気等には効果が無い。
『アバドン王』の葛葉ゲイリンの結核や、『ペルソナ3』の荒垣真次郎の制御剤の副作用がその代表だ)
悪魔の回復力や耐久力はすこぶる高いが、調子に乗って無双なんかしていたら、「ポックリ逝っていました♪」なんてことになり
かねんな…復活や回復にリスクがつきまとう以上、悪魔の闘争本能に身を任せすぎないように気をつけなければ。
まあ、デメリットばかりに気をとられていても仕方が無い。メリットの方──人修羅並に強くなれる可能性について考えてみよう。
まず、ベースが人間である為に、俺はマガツヒの生成が比較的容易な点。
もっともこれは、ジュエルシードを介して供給されるアマラ深界からのものと比べれば、微々たる量だが。
とは言え、アマラからの呼び水としたり、自らを奮い立たせたりするという点では、無視できない力だ。
そしてなにより注視すべきは、イメージと知識、そして意志だ。
古今東西の伝承には生物はおろか、無機物や自然現象、神魔異形にまで変ずる者や、豆粒大から天を突く程の巨体まで伸縮自在の者
まで、多種多様な身体変化を見せる天神地祇や、魑魅魍魎ども──悪魔がいる。
狐狸の類が使うようなけちな幻術ではなく、変じた姿そのままの力を振るうそれは、イメージ──想像力の産物だろう。
精神体である彼ら悪魔にとって、質量や物理的法則は枷にもならない。
悪魔の体は精神体、そしてそれを形作っているのはイメージだ。それはマタドール化した際の俺の体が、イメージと記憶で補完されている
というナインスターの台詞からも証明されている。
ならば、俺の知識とイメージがあれば更に強い力を使うことも可能だ。
大切なのは意志。「できる」と思うこと。
「できて当たり前」と考えること。
『ジョジョ』でエンヤ婆も言っていた。『空気を吸って吐くように、HBの鉛筆をベキッ! とへし折るように、できて当然と思うこと
大切なのは「認識」すること。スタンドを操るという事は、できて当然と思う精神力』だと。
……強く在ることに、越したことはない。降りかかる災難を避ける為には、力は必要不可欠。
しかし、強さとは引力のようなものだと俺は思っている。大きければ大きいほど更なる力を、厄介事を引き寄せるのではないだろうか?
俺の考えすぎであればいいのだが…
間幕 悪魔考察 END
後書き
さて、今回は令示の持つオリジナル能力の、土台説明の回となります。
本編でやると説明だけでグダグダになりそうなので、お話の間の令示の思考というスタイルで、間幕という形にさせていただきました。
一応、魔法や悪魔の設定などはゲーム本編と矛盾が生じないよう気を付けたつもりなのですが、見落としがあるかもしれませんね、
なんせシリーズが多すぎますから…
それと、『本文に書くほどじゃないけど、疑問に思われるかな?』というものに関して、ここで説明しておきます。
Q1、戦闘後、悪魔が落とすアイテムの中には、明らかにグラフィックや伝承上で得物にしているものがあるじゃないか! あれは
体の一部で、消滅するんじゃないのかよ! (例 魔人デイビットのストラディバリ)
A この手のアイテムは『ストレンジジャーニー』のフォルマのような物だと作者は考えております。
使い手の念や魂が凝り固まった核のような物なので、悪魔消滅後も消えずに残っているというような感じで。
デイビットのストラディバリなんかも、バイオリニストにとってはバイオリンは命のような物ですから、不思議じゃないかなと。
Q2、ちょっと待て『真1』のガイア教徒とメシア教徒、『真Ⅱ』のガイアーズとメシアンは人間だけどCOMPに入るし、戦闘で倒したら
消滅するし、死体をストックから捨てる時もグラフィックはねーぞ! つーか、『真Ⅲ』のマネカタは!?
フトミミとサカハギは死体が残らねーけど、ゾウシガヤ霊園とか、マントラ軍本営ビル前の池とかに、マネカタの死体ゴロゴロしてん
じゃねーか! この説明は!?
A これに関しては勘弁してください…自分のキャパ越えています…とりあえず、フトミミとサカハギについては、戦闘能力から鑑みるに
悪魔に近い存在になっていた、マネカタの異端だと思っています。『真Ⅰ、Ⅱ』については…死体は見えているということにして下さい(汗)
とりあえず、現状で自分が思いつく疑問点はこんなところでしょうか? 他に補足があったら、追々書き加えていくことにします。
それと、4話終編を期待された方、申し訳ありません。VSフェイトの顛末は、現在鋭意製作中であります。
今回の話は、自分の脳内のオリジナル設定を整理する意味でもあったので、ご勘弁下さい。
では、次は本編でお会いしましょう。
追伸
最近知ったのですが、ドラマCD版『真Ⅲ』の千晶の声って、フェイトの中身の中の人だったんですね…