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No.1278の一覧
[0] OUT CHILDREN[緋鎖義](2005/06/16 23:54)
[1] Re:OUT CHILDREN<2>[緋鎖義](2005/06/17 00:07)
[2] Re[2]:OUT CHILDREN<3>[緋鎖義](2005/06/17 00:11)
[3] Re[3]:OUT CHILDREN序章から血の獣弐までのあとがき[緋鎖義](2005/06/17 00:24)
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[1278] OUT CHILDREN
Name: 緋鎖義 次を表示する
Date: 2005/06/16 23:54
OUT CHILDREN

     序章 炎上




 201×年5月9日午後の日ざしが暖かな日であった。


 日本の首都であり、若者の町でもある新宿には、その日も多くの若者がたむろしていた。買い物に来ている者、学校をサボっている者、家出をしたもの、薬に手を出すもの、犯罪に手を染めているものと、今日も多くの若者達が街の中で様々な人生を歩んでいる。



   そんな場所に、僕はいた。



「ふー。」
 そこら辺にあるベンチに座り缶コーヒーを片手に持ちながら、僕は、ため息を漏らす。どうしてこんな事になったんだろう。今年の春大学を卒業し、小さい頃からの夢であった警察官となった。でも今の警察は、派閥争いや汚職、今まで夢見ていた警察官のイメージが壊れてきて、僕は疲れてきて、今日に至る。



「はぁ。」
 また僕はため息を漏らす。今日は、非番なのにどうしてかスーツを着て、学生時代よく友人達と遊びに来ていた新宿に来ている。
「はぁ、なんでこんな格好で来ちゃたかな。習慣て、怖いな。周りから浮きまくりだよ。」
 僕はため息や愚痴をこぼしながら手に持っていた缶コーヒーを飲んだ。ふと、前を歩く若者達を見やる。どこにでもいる若者達、親に反発したり、世間に反抗したような子やら様々(さまざま)な若者達が僕の前を通り過ぎて行く。そんな若者達の中に1人の少女が僕の前を通り過ぎる。流れるような長い黒髪、その横顔はどこか大人びた顔立ち、そして黒いセーラー服に身を包んだ少女であった。周りの若者とは違う何かを彼女はかもしだしていた。僕はいつの間にかベンチを立ち、彼女の後を追っていた。どうして彼女の後を追うのだろうか、警察官として平日にこんな時間帯に遊びに来ている子に対する指導、いや違うな。他にも制服で遊びに来ている子は沢山いる。彼らに指導する気はさらさら無い、僕はただ彼女だけを見ていた。そんな風に考えながら前を歩く彼女を追って、少しばかり歩いた頃。不意に、彼女は歩みを止め、そして僕の方を振り向いた。振り向いた彼女は、本当に美しかった。綺麗な長い黒髪、高校生らしい年頃の少女だが、彼女はそれ以上に大人びていた。彼女の制服のリボンは、まるで血のように赤く、黒いセーラー服を着た彼女に合っていた。その時ヤマトナデシコとは、彼女のような人ではないのかと僕はこんな時になぜか、考えてしまった。彼女の綺麗な唇が動く。

「何か、私によう。」
 彼女は、僕を見ながら言う。僕は少し戸惑い感じ何も言えなくなった。
「ようが無いなら私はいくわ。」
 冷めた(さめた)感じの声で僕に言うと、彼女はまた歩き出した。
「あ、待ってください。」
 僕は、どうしてかわからないが彼女と話したかった。彼女は、また振り向いて僕の方を見た。
「何、早くして。」
「あの、その、僕は、警察の者なんだけど。」
「警察の人間がなにかよう。」
 さっきまで冷めた声だったのに、その声には少し怒気を含み、彼女の瞳の色が変わり、その色は、敵意を持った瞳の色へと変わっていった。僕は、少し息を呑んだ。
「あ、その今日は平日なのに君は、学校に行かなくて言いのかい。」
「他にも私と同じような人間は、この街に沢山居るんじゃないのどうして私だけにそんな事をいうの。」
「あ、その、君だけでも、てーそうじゃなくて、確かに警察官としては、他の人も補導しなきゃいけないし、でも今は、エーと、うーん、あーもう分けわかんないよう。」
 僕は、喉をからからにして、自分の考えがまとまらずパニック状態になり頭を抱えてしまう。そんな僕を見て彼女は、
「クス。」
 と、小さく笑う。彼女の瞳から敵意の色が消えていた。
「あなた、変わってる。」
「はい、同僚や友達からお前は変わっているて、よく言われている。」
 彼女はなにかを探るように僕を見る。この時僕は、ただ年下の女の子に、見つめられてドキドキしていた。しかし彼女は、その時違う何かを考えていた。そして彼女は何か決心したかのようにちょとうなずき僕に言う。
「着いて来て。」
 そう僕に言うと彼女は歩き出す。僕も彼女の後を追って歩き出す。彼女の後姿は、どこか寂しげだなと考えながら彼女の後を追った。そうこうしているうちに、僕たちは新宿の中にあるひとつの公園にたどり着いた。公園には、アベックや酒やら飲む若者、ホームレスなどがたむろしていた。彼女は立ち止まりボクの方を振り向く。その瞳はなにか決意した色を示している。
「あ、その名前言ってなかたよね。僕の名前は、風祭(かざまつり)、風祭和馬(かずま)。君の名前わ。」 「あの、春風さん。」
「明日香でいいわ。」
 明日香はぶっきらぼうに言う。
「じゃぁ、明日香さんどうして僕をここに連れてきたの。」
 僕は疑問を口にする。明日香の表情は無表情であった。
「あなたに証人になってもらうは、ただ一人の。」
「証人?」
「そう、承認これから起こる悲劇を起こす人間を知る、そして残るものとして。」
 そう悲しく言うと明日香は後ろを向く。明日香の言っている事に僕は、なにを言っているのか判らなかった。もしかして彼女は、なにか薬でもしているのか。様々な憶測が僕の中に駆け巡る。僕はちゃんと話を聞こうと、彼女の肩をつかもうとする。


バチン


「いた。」
 明日香は、僕の手を弾く。
「触らないで。」
 明日香は怖い表情で僕を睨む。彼女の肩は小刻みに震えている。
「私は、この町が嫌い。」
 明日香の肩の震えが消えていく。
「私は、警察が嫌い。」
 明日香の声はどんどん冷めていく。まるで氷のように冷たく鋭さをましていく。
「だから。」
「だから?」
「だから、壊すの。」


 バン、バン


 二発の音が響く、足が熱い。明日香の手には何時の間かに拳銃が握られ、拳銃からは硝煙をだしていた。
「これで動けないわ。」
 両足を撃たれた僕は、立っている事ができず、座り込んでしまう。
「どうしてこんな事をするんだ。」
僕は、足の痛みを抑え明日香に問う。彼女は、無表情に僕を見る。
「嫌いだから。この街が嫌いだから。この街に居る人間が嫌いだから。何もかもが嫌いだから。だから、私は、私達OUT(アウト) CHILDREN(チルドレン)は、世界を壊すの。」
「アウトチルドレン…?」
 彼女は制服のポッケトから黒いライターのような筒を取り出す。
「さ、見ておきなさい、この街の最後。」
 そう言うと明日香はライターのような筒についた赤いボタンを力強く押した。



 それと同時に辺りから爆発が起こる、真っ赤な炎が辺りを包み、その炎が新たな爆発を生む、ビルは粉々に散り、人々の叫び声が辺りに響く。そんな信じられない現実が、目の前に起こっている。その大惨事を引き起こした少女が僕の目の前に居る。



「それじゃ、さようなら。」
 そう言いながら明日香は、炎上する街の中に去っていった。僕は彼女を追おうとしたが、足を怪我して後を追うことができなかった。けほけほ、辺りに炎のせいで、立ち込めた。そして僕は、気を失った。



201×年5月9日その日、新宿の街はすべてが炎に包まれ、何もかも燃えていった。炎は、多く命を呑み込みその日は、東京に夜は訪れず昼だけが続いた。そして新宿に居たすべての生き物がその日死んだ。


僕1人残して。




これが僕と明日香、アウトチルドレンの最初の出会いだった。




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