珈琲にミルクを入れてかき混ぜてたら、あの人を思い出した。木星人だと言っていた。占星術のそれか、ほんとに木星から来た人なのか、それは聞かなかった。「もくさん」と呼んでいた。もくさんは、珈琲の中でかき混ぜられるミルクが嫌いだった。ミルクがいつか珈琲に溶けて、キャラメルみたいな色になるのを見て、木星の自転が停まるのを想像していたらしい。あれ? やっぱり、ほんとに木星から来た人だったのか。もくさんと一年ぐらい付き合った頃に「これで私たちって一年ぐらい付き合ったんだね」って言ったら、「まだ一ヶ月ぐらいですよ」と言っていた。