200X年。とある国のとある建物のとある一室。
「銀メダルに終わった感想などを聞かせてください。」
その部屋には多くの報道陣。彼らの視線の先には一人の少年がいた。
「・・・・・・」
その少年は俯いたまま何も答えない。
「あの~。」
たまらずその記者が声を掛ける。
「あ、すいません・・・。」
少年は顔を上げた。その目に映ったのは沢山の人の顔、そしてその誰もが残念そうながらもどこか冷ややかな目だった。
「あの、俺、なんていったら良いか・・・。」
そう言って少年は周りを見渡す。多くの人たち、多くの目、それが無言のプレッシャーとなって少年に圧し掛かる。その時、抑えていた感情が一気に噴出した。
「う・・・。お、俺、皆さんに期待されてたのに・・・。日の丸背負ってたのに・・・。う、う・・・。」
少年はまた俯き、そして人目をはばからず号泣していた。そもそもどうして彼がこうなってしまったのか。それは数時間前にさかのぼる。