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No.1235の一覧
[0] ムギュギュ[終日 朔名](2004/07/05 09:30)
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[1235] ムギュギュ
Name: 終日 朔名
Date: 2004/07/05 09:30
 第一の一話 朝
『出逢うことは既に定められていたこと―――必然―――であり、出逢わないという可能性はどこにも存在しないのです』
『だから、だから……早く、起きてくださ―――いっ!』
唇を舐めるザラついた何かはすこし湿っていて、不思議と嬉しさを伴った心地よさがある。
くすぐったさを感じて目を開けると、仔猫がいた。
雪色の毛並み、金色の瞳、俺の目が覚めたことに気づいて鳴いた。ベッド代わりのソファーから起き上がって、転がり落ちていく仔猫を抱き上げる―――軽いな。

「おはよう。今日もよろしくな、ミオ」

あいさつを返すようにミオ―――美桜―――は鳴いて俺の唇にその鼻をあわせる。
『よろしく』…何をよろしくすればいいのかわからないが、習慣となってしまったあいさつなので気にしないでおこう。

「それじゃ、着替えるから餌でも食ってな」

キッチンへのドアを開けてやると、ミオは俺の腕から跳び降りる。
俺は振り返ってソファーのそばの床―――フローリングだ―――に昨晩から、脱ぎ捨てたままの半袖ワイシャツと黒のスラックスを着て、その上に青のジャケットをはおる。
開け放したままのドアを入ると、和食のオンパレードの先、桃色の長い髪が振り返る。

「おはよっ、お兄ちゃん。今日は早いんだね」

堀江○衣によく似た声が嬉しそうに、『は』を激しく強調する。

―――早起きすんのがそんなに珍しいか? まあ、一月で寝坊しない日がほとんどないけどな……。

「うんうん、自覚してるならもっと、自力で、早く、起きて、ほしいな?」
「ムリ。……で、考えてることを読むな」

ジト目で睨むと、逆に青い瞳に睨み返される。

「……朝食抜き」

―――うぐっ、ごめんなさい、俺が悪かったです。

兄の威厳はどこに旅立ってしまうのだろう? と考え込んでしまう朝だった。


P.S. 朝食は美味かった。


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