さて、今日から外で戦いに行くわけだが。
…その前に、ギルドにいく必要がある。
ボルドーさんにグレイの無茶をとめてもらわなくてはおちおちと鍛錬も出来やしない。
まあ、実は格闘訓練であそこに行く必要は、もうほとんどないんだがね。
熟練度を上げたければ、外にでて木でも叩いていればいい。
しかし、ギルドに行ったときに顔を合わせる可能性は結構高い。
念を押して損は無いはず。
外に出るための準備としてフラスコをありったけと、
毒と赤ポーションを5個ずつ作り、外へ出る。
まぁ、やっぱり作成はどちらも2個ずつ失敗しただけど。
ギルドの受付にて、ボルドーさんの所在を聞くと、
今日は射場にいるとのこと。
教官役は一日置きで交代なのかね?
…
……
射場にいたボルドーさんに昨日のことをすぐさま相談。
昨日の鍛錬の様子を聞いてもらうと、
「まさか、グレイに弟子入りするとはなぁ…。
あいつは悪いやつじゃないんだが、熱くなると周りの意見が耳に入らなくなっちまう。」
と、溜息をついた。
「よし、いいぜ。
俺も知り合いが潰されちまうのを、みすみす見過ごしたりはしたくねえ。
昼休みにでも話つけてやる、期待してろ」
…これでOKだ。
あとはボルドーさんの手腕に期待するしかない。
さてそれじゃ、外に…
「まあ、待て。外に出るんならせっかくだ。
簡単な依頼でも請けてったらどうだ?
別に目的があるわけじゃないんだろ?」
あ、そりゃそうだな。
とりあえず薬草を採っては調合、採っては調合を繰り返して
技能を上げて帰ってこようと思ってたんだが、
街の周りでできそうなクエストなら受けておいて損は無い。
初クエストだからって下手に難しいの取らないようにしなきゃな…。
「そうですね、なにか請けてから行くことにしますよ。
くれぐれも、グレイさんには強く注意しておいてくださいね!」
念を押しておくことも忘れない。
「お前さんの初依頼だ、準備を入念にな!」
あ~、逆に念を押されてしまったよ…。
言われた通りに、受付に来たのはいいが、
意気込んで見たFランクのクエスト一覧は採取系ばかりだった。
よく考えればわかることだったが、
自分のランクはFクラス、ギルドの最低ランクだ。
そんなに難しいクエスト請けられるはず無い。
戦闘系技能を手に入れたからって、ランクが上がった訳じゃないもんな。
ちょっと残念だが、仕方ないか。
一覧の中から、請けたクエストは2つ。
街の市場からの依頼で『牙ウサギの肉を手に入れろ』
コレは常時依頼されているもので、幾つでも買ってくれるらしい。
一応Fランクの魔物なので一つ50ガットもらえる。
頻繁に出て来る位置を教えてもらった。
もう一つは『研究用の素材調査』
街周辺から土を取ってくればいいらしい。
最低5箇所以上集めて、取ってきた場所ごとに土を分けておけ、とのこと。
土を素材になに作るんだ?土器か?
…採取用の道具も一緒に受け取った。
とりあえず、街の周辺で何とかなるものを選んだ。
クエストを請け負った後、各ランクの魔物と、
それから取れる素材が書かれた一覧表を見せてもらえた。
そこで技能ゲット。
『魔物素材採取』の技能を習得した。
図書館に無い訳だな…。
魔物の素材を集めるようなやつは一度はギルドに行くだろう。
だから、ギルドで直接教えられるって訳か。
まぁ、魔物素材採取はこの世界では持っていて損は無い。
何時調薬に魔物の素材が必要になるかわからないし。
そろそろ行くか…。
練習で使っていたのと同じショートボウと、矢を100本ほど買って街から出る。
…
……
………
これでいいかな…。
まずは街の周辺を回って、土を集めた。
次は牙ウサギの生息地に向かうのだが、その前に。
…そろそろアレやっとくか。
「スキル『調剤』」
レッドポーション(小)を25個。
リフレッシュポーション(毒)を10個作成する。
当たり前だが途中で薬草も採集している。
結構な数が集まり、熟練度も25を超えた。
クエストだけじゃなく、当初の目的も果たしておかないと損だしな。
赤ポが多いのは、販売用じゃないからだ。
コレはこれから戦いに行く、自分用。
まぁ、こんなに使うことはおそらくないだろうが、
Fランクモンスターだからと油断は禁物だ。
それぞれ17個と6個成功。
やっぱり成功率はあまりよくない。
失敗したフラスコが無くなるのが一番痛いな…。
回復手段も用意したことだし準備万端。
…後は戦うだけだ。