受付に戻り、結果を受け取る。
……。
『シオン=ラークをギルドのFランク傭兵に認定します』
ほっ。一応は受かったな。
しかし、Fランクか…。
Fは最低ランク、やっぱり危なかったみたいだ…。
でも、あの成績じゃギリギリ合格でも仕方ない。
自分で納得できてしまう。
「ギルド加入おめでとうございます。
それでは、ギルド加入の詳しい説明をさせていただきます。
既にご存知でしたら、説明は省かせていただきますが?」
「あ、知らないので説明お願いします。」
「はい。まずはさきほど試験を受ける前に此方の物ですが…」
あの蒼い球か。
やっぱりなんか意味あったんだな。
「こちらに触れると、触れたもの魔力の性質を記録し、数値にして出力します。
魔力の性質は一人一人必ず違っていますので、
数値を確認することで指名手配犯などの登録や、傭兵の二重登録を防いでいます」
ふむ。ってことは各国のギルド内でデータベースみたいなものがあって、
ネットワークで共有でもされているのかな?
この世界で、通信手段があればだが。
「では、次にランクの説明に移ります。
ギルドに来た依頼は、難易度に応じてギルドがA~Fのランクを付けます。
基本的にランクが上がるほど危険で報酬が高い仕事になります。
また、自分のランクより上のランクの仕事は請けられません」
「ランクを上げる方法は?」
「ランクを上げる方法は2つあります。
一つ目は自分のランクと同ランクの仕事を10こなすこと。
二つ目は国からの推薦を受けること。
どちらの場合でもギルドの試験を受ける必要があります」
国から?
「国家からの依頼もあるんですか?」
「ええ、ギルドは知っての通り、国の支援を受けて運営されております。
よって、国による大規模な魔物退治、盗賊討伐等の依頼が来ることがあります。
強制参加というわけではありませんが、報酬は格段に高いものですし、
成果によっては士官への道も開かれますし、先ほどのようにランクアップにも近づきます。
勿論、安全性の確保のために依頼のランク以下の方は参加できませんが」
できるだけ受けとけってことか。
ま、今の俺には関係ないけど。
「それでは続いて、依頼についてです。
依頼を受けるときは此方のカウンターで、
現在あなたが受けられる依頼の一覧をお見せします。
その中から、自分の目的に合った物をお選び下さい。
一度に受けられる依頼は3つまでになります。
ただし、どの依頼にも期限がありますので、必ず期限以内に終了させてください。
依頼が成功した場合は、ギルドのカウンターに報告することで報酬を受け取れます。
失敗した場合は違約金を支払っていただくか、ギルドに奉仕活動をしていただきます。
失敗したからといって報告しないで逃げ続けていると違約金が膨れ上がりますので、
失敗したとしてもすぐに報告をお願いします。
あと特殊な事例なんですが、有名な方になると名指しで依頼が来ることもあります。
いつかあなたが高ランクになったなら、できるだけその依頼は受けてくださいね」
「指名された依頼は絶対に受けなくてはいけないんですか?」
もしそうならギルドの依頼は自由に取れる、とはいかなくなる。
指名されるほどの有名人だと他の依頼が受けられないんじゃないだろうか?
「そのようなことはございません。
ただ、ギルドとしてもなかなか名指しの依頼を受け入れる訳にも行きません。
そうでもしないと高ランク傭兵にばかり依頼が偏って、彼らは休む暇もなくなりますからね。
ですので、めったにそういう依頼は認めないのですが、それでも必要だとギルドが判断するときがあります。
指名された方だけが持つ特殊な技術が必要な場合、特定の国や組織からの秘密厳守が必要な依頼です。
どちらの場合も必ず依頼を受ける必要はありませんが、
ギルドからの信頼や、依頼組織等に恩を売ることを考えれば、受けて損はありませんよ?」
秘密って…。口封じに殺されたりしないんだろうな?
「最後に施設の利用についてです。
このギルドには怪我をしたときの医療施設と訓練場があります。
基本的に無料ですのでご自由にご利用下さい。
何処の街のギルドかによって、施設の種類も異なっております。
行った事のない街に着いたら、まずはギルドの施設をご確認下さい」
無料とはまた、太っ腹だな。
医療費用だってかかるだろうに。
「以上で説明は終了です。
他になにかご質問はありますか?」
「いえ、特には」
「それでは此方のカードをお受け取り下さい。
こちらがあなたのギルドの登録証になります。
中にあなたのランクやクエストの情報が入っていますので、
依頼を受けるとき、結果を報告するときに必要になりますので必ずお持ち下さい」
薄い緑色の板を渡された。
特に何も書かれてないし、おかしいところもない。
…どうやって確認するんだろうな?
[称号”ギルドのFランク傭兵”を手に入れました。称号数が変化、技能限界が50上がります]
おお!?
技能の限界が上がった?!
「それでは、本日の依頼一覧をご覧になりますか?」
あいにくと今はそれどころじゃない。
断って外へ出る。
ギルドを出て、すぐにステータスを確認。
確かに限界が1050になっている!
さらに、称号欄が追加されている。
称号を選択すると一覧が出た。
今はさっきの”ギルドのFランク傭兵”しかない。
とりあえずこれをセット。
む、全ステータスが+1された!
変化はステータスだけ。
どうやら着けた称号でステータスに変化が入るようだ。
称号を集めればいい事尽くめってことか。
とりあえずFランクで称号が来たみたいだから、
ランクを上げればまた称号が増えるだろう。
ギルドランクを上げる意味も出てきたな。
さてと、登録も終わったし、当初の予定通り倉庫でも借りるか。
それが終わったら、もう一度地下の訓練場に行かなくちゃな。
強くなる必要が出てきたからな…。