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No.12203の一覧
[0] ヤツの名は————[*井義人](2009/09/25 17:05)
[1] 魔法の豚 1[*井義人](2009/09/25 17:43)
[2] 魔法の豚 2[○井義人](2009/09/25 19:54)
[3] 魔法の豚 3[○井義人](2009/09/25 21:16)
[4] 魔法の豚 4[○井義人](2009/09/25 23:42)
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[12203] ヤツの名は————
Name: *井義人◆fadd4155 ID:31cfef67 次を表示する
Date: 2009/09/25 17:05
爆音。続いて轟音。まさにそこは地獄であった。
地は爆せ、建物は吹き飛び、黒煙が世界を支配していた。

街であったその場所は、最早地獄となり果てていたのだ。

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ...っ......ハァ、ハァ...ハァ...ハァ...」

だが、ただひたすらに生を求め、虫のように逃げ惑う彼女には関係のないことだった。
ただ本能に従ってひた走り、安全な場所をみつけるまで。彼女の思考が戻ることはないだろう。

...本来ならば、彼女はここで死していた。彼女は物語には直接関係のない、ただのその他大勢でしかなかったのだから。
しかし、その必死の形相で歪んでいるにも関わらず、綺麗に整った顔立ちが彼女を救った。...おそらく。

「待て」

「!?」

本来ならば無視しているだろうその声に、彼女は驚き足を止めた。

道を塞ぐように目の前に佇む声の主は、なんかこう......アレだったのだ。

「な...何...?」

悠長に話などしていられない状況下でも、そう訊かずにはいられなかった。今この瞬間にも、辺りには爆音が鳴り響いている。一刻の猶予もないような状況。しかし、この空間だけには、何もないような時間がのほほんと流れていた。

「助けて欲しいか」

「...ハァ...ハァ...」

息が乱れて声が出ない。
このクソみたいな狂った状況から救ってもらえるのなら、藁にだって豚にだって縋ってやる。

「た、助け...コホ、コホ...」

今にも倒れそうになりながら、彼女は本当に藁にも豚にも縋る思いで途切れ途切れに言葉を紡ぐ。

「だが私は正義の味方ではない。救い料を払わなければ救ってやらん」

「コホ...すくい...りょう......?」

金だろうが何だろうが、本当に助けてくれるならいくらでも払ってやる。
生存本能しかない今の彼女には、選択肢などなかった。

「ハァ、ハァ...いくら...?」

彼女がそう言うと、ソイツはニヤリと目と鼻?を歪ませ...


「10億万円だ!!!」


しばらくの間、豚の笑い声と彼女の沈黙が時間を支配した...




続く...


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