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No.11947の一覧
[0] クリティカルヒットは勘弁してください(現実→wiz5)[炯](2009/11/15 00:55)
[1] 第二話[炯](2009/11/15 00:55)
[2] 第三話[炯](2009/11/15 00:56)
[3] [炯](2009/11/16 00:37)
[4] [炯](2009/11/15 00:57)
[5] [炯](2009/11/15 00:57)
[6] [炯](2009/11/15 00:58)
[7] [炯](2009/11/15 00:58)
[8] [炯](2009/11/15 00:59)
[9] 10[炯](2009/11/15 00:59)
[10] 11[炯](2009/11/16 00:43)
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[11947]
Name: 炯◆7c1373d4 ID:140f0f98 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/11/15 00:59
「おい、ジロウ、起きろ!そろそろ行くぞ!」
サラの叫び声で漸く目が覚める。なんとなく体がだるい。昨日は着せ替え大会in ボルタックを行っていたのでその所為だろう。ああいうのは精神的に疲れるなーと、思いながらのっそりと次郎はベッドから起き上がった。
どうやらサラやマナの傷はマユルのディオス(最低ランクの回復魔法)のおかげで完全に直ったらしく、朝から元気良く過ごせているらしい。

「あー、はいはい、分かった。わかりましたよ。今行くからちょっと待っててくれ。」

ぐずぐずしながらも、寝巻きから普段着へと着替える。そうして、次郎はまずは食事、と階下に向かった。一階にある食堂ではもう皆は朝食を食べ終わっていたようでワイワイと歓談していた。
「お、ジロウ。はよーっす。今みんなに昨日の話ししてたとこなんだよ。」
紅茶であろうか?コップの中身をちょびちょび飲んでいるイチエイ。

食堂のおばちゃんから朝飯を受け取ると、ジロウも皆と同じテーブルに着いた。
「昨日のか……正直疲れたぜ、昨日は」

「それで、ジロウは本来なら装備できないはずのものを装備することが出来たというのは本当なのか?」

興味津々、といった感じで聞くサラ。

「どうせイチエイの冗談でしょう?」

こちらは懐疑的なマナ。常識的に考えればこう考えるだろう。何せブレスのかかった装備の扱いの難しさは、かなり有名だ。本来は司祭の資格が無い人間が、不遜にも高度なブレスのかかった袈裟を着たとたん、布で出来ているはずの袈裟が鉛よりも重くなって動けなくなった・・・などというのは昔からの御伽噺でもよく話される有名な事実だからだ。

「いや、ホントだよ。なんか俺、そういう頚木から外れてるみたい」

焼き立てよりも少しだけおくれてしまっているが十分においしいパンをちぎって食べる。たまにスープなどにも漬けてみながら話す。
「昨日はボルタック商店で一人装備ショーやらされたからな。あれはきつかった。精神的に。次から次に持ってくるからさー。ホント、何回着替えさせられたことか。」

はぁ、とため息をつく。まだ疲れが抜けきっていないようで少し隈が出来ているようにも見える。

「なんと、本当にそんな人間がいるのか!!私はデゼルの城で色々な吟遊詩人から話を聞いたり、本もたくさん読んだが、そんな人がいるなんて初耳だ。もう一度確認するが、嘘なぞついてはいないな?」

「別にこんなこと嘘付いても意味ないじゃん」
ばっさりと答えるジロウ。確かに、嘘をついてもすぐにわかるし、意味も無い。

「…・・うらやましい・・・・・」
ボソッとマユルがつぶやく。

「ホントですよねー。私たちマジックユーザーにとっては本当に心底うらやましい話ですよー。」
タニヤもうんうん、とうなずく。
僧侶、司祭、魔法使いは前衛職のモノに比べて装備できるものは圧倒的に少なく、また貧弱だ。特に魔法使いはほぼ装備できるものが無いため、万が一間違って前衛の戦いに巻き込まれたらあっという間に死亡するだろう。

「いや、ホント、うらやましいやつだよな。こいつさ、そんなわけで将来性見込まれたんだろな、ケチで有名なボルタックの爺さんから色々貰ったんだよ。」





「ああ、そうそう、忘れてたよ。まるたて、ロングソード、あと、皮の兜くれたんだ。マナとサラはさ、後で俺の部屋にきてくれよ、渡すからさ。」
そういえば、といった感じで話す次郎。多めにある朝食を漸く半分くらい片付けられた。

「え、しかし、お前が貰ったものなんだろう?」
戸惑うマナとサラ。


「だけどさ、今んとこ前衛で働かない俺が貰っても意味ないだろ?あ、ロングソードの方は二人とも持ってるみたいだし、これは俺がちゃんと使うよ。」

「いや、しかしな、贈答品というものはだな・・・・・・・」
渋面を作るサラ。

「生き延びるため、それがまだまだレベル1の俺たちにとって必要なことなんじゃないかな?誰がもらったとか気にして貧弱な装備のまま洞窟行ってあんたたちがやられたら、イチエイは別にして他のやつも死んじまうじゃないか。だから気にせず使ってくれよ、俺のためでもあるんだからさ。」
ジロウは真面目な顔で押し通す。実際、変な気を使って一人でも前衛に死なれると、高確率で雪崩現象の死路への旅が始まることになるだろう。

「そ、そうか。有無、確かにそういわれれば、そうかも知れぬ。ありがたく貸していただくことにしよう。な、マナ。」
「ハイ、確かに理解しました。ジロウありがたく貸してもらうぞ」
意味のない遠慮はあの洞窟では足を引っ張るだけだと前回の経験が示唆していた。二人はそれを認めて常識からは少し離れたが、意義のある答えにたどり着いた。

「みんな、ごめんな、漸く食べ終わったよ。それじゃ、装備しなおしたら洞窟に行こうか。」
やっとボリューム満点の朝の定食を食べ終わったジロウ。腹もくちたし、冒険の時間だ!






結局まるたてはマナ、皮の兜はサラが装備することにした。
マナは二つともサラがつけることを一応提案したが、君主たるべしを日ごろから心掛けているサラは一つずつ装備することを頑なに主張した、という一幕もあった。




「そういえばさ、なんでジロウって装備制限が無いのか心当たりって無いのか?」
洞窟までの道のりでイチエイが何気なく言う。

ジロウは遂に来たか!と思った。昨日の夢への入り口で突然聞こえた『ボーナスさ』という声、あれが聞こえたからには恐らくは例の『声』達の仕業であろうが、それを話すならば自身の様々なことを説明せねばならない。これらを軽々しく明かすわけにはいけない。
「…いや、特に無いよ。強いて言えば俺、前も言ったけどボーナス配分神様に勝手に決められてたんだ。しかも、なれる職業が盗賊だけっていう変なステータスでさ。それの所為かも」

ジロウはとにかく今は細かな真実を喋ることをしないことを選択した。いくら冒険の仲間であるといってもまだまだ作りたてのひよこパーティであるから、仲間の各人がどのような反応をするのか判らない。
 
 「へえ、お前の変なステータスだと、確かに戦うのには不向きだもんな。それを補うために神様が気を使ってくれたのかもな、まあ、それにしても不公平だと思うくらいの補い方だけどなー。俺も生まれが貧民でさ、男ならやっぱり、ここリルガミンに来たら侍かロードになって故郷に錦を飾りたいって思ってたんだわ、ボーナスの奇跡の事とか種族適正知らずにさ。」
 男の生まれたからにはやはり一度は剣の道に憧れを持つものだ。それはホビットであっても当然あることだった。
 
 「でも、まぁ実際にはボーナスも1桁で、盗賊になったけどな。他の職業選んでも、まともにパーティ組んでくれそうなやつらが出そうに無かったからさ。死にたくは無かったからなー。」
 
 たしかに、力の無いホビットの戦士はめったに見かけない。突き抜けた存在である忍者にでもなればホビットでも存在するが。それほど、種族に対する職業適性というのは大きいものだ。
 
 「お前みたいに俺も装備の制限から抜け出た存在だったら、どんだけいいことか。」

さびしそうに言うイチエイ。自分の種族、職業に心のそこでは未だにどこかで納得できない部分があるのかもしれない。

「ま、いまでは盗賊でよかったと思ってるけどな!レベル上がるときもすばやさと運ばっかり上がるしさ。やっぱ適性あったんだろうな。自慢になっちまうが結構器用だし」
迷いを吹っ切るように明るい、大きな声で締めるイチエイ。愚痴っぽくなってしまっているから、それを晴らすためだ。やはりかなり気を使うタイプの人間らしい。




「迷宮に着いたようだな、では各人準備体操!」
リーダー的な役割のサラの号令の下、準備体操をする。
「では、おさらいだが、タニヤはすぐにカティノ。マユルは危なくなった仲間にすぐにディオス。イチエイ、私、マナは壁になりつつ敵を殲滅、ジロウは隠れて奇襲攻撃。みんな、いいな?」

まずは階段を下りてまっすぐいき、右手にあるドアをあける。空けた瞬間に出てくることもあるため絶対に油断しないように気をつける。まずは一つ目……!何も出なかったようだ。次に二つ目……また何も出てこない。
さて、次は三つ目だ・・・・・・何もでない………


っといきなり魔方陣のような模様が扉近くの地面から浮き上がりモンスターが出てくる!もう出てこないとものと思っていた一向は対処が遅れる!
かみつかれそうになるマナ、しかし、まるたてをバックラーのようにして捌く。尻尾でサラをなぎ倒そうとする『何か』!しかし、ロングソードで受け止める!他の『何か』の攻撃をイチエイが華麗に避ける。流石にレベルが違う。
「一旦後ろに下がって体勢を立て直すぞ!」サラの指令が響き渡る。

「イチエイ、これはなんだ?」どのようなモンスターかたずねるマナ。
「リーチリザードだ!安心しろ、そんなに強いやつらじゃない。とにかく、作戦通りに行こうぜ!」興奮した声で答えるイチエイ。雑魚相手とはいえ奇襲攻撃を受けた所為で大分興奮したらしい。

「カティノ」
タニヤがすぐに眠りの魔法を唱える。五体中三引きが行動不能になる。残りの二体をイチエイとマナで相手をし、眠っているものをサラが攻撃する。次郎はその間に大きく回りこんで隠れる。
サラの攻撃は眠りについていたリーチリザードの真ん中を突き刺し絶命させる。そしてマナとイチエイが一撃ずつ加えて一体を殺す。残りの一匹が仲間を殺された恨みの唸り声を上げながらマナたちに襲い掛かるが、何とか突進を交わせるよう重心を準備する。マユルは万が一を考えていつでもディオスを掛けられるように精神を集中させる。
っと隠れていた次郎が突進攻撃をしようとしていたリーチリザードに攻撃を加え、見事に倒す。

全ての敵が光になったことを注意深く確認する。どうやら全てが消え去ったようだ。ふーっと緊張を解くための呼吸をする。レベル1のメンバー達のパーティで初めての奇襲を受けたのだ、そのプレッシャーたるや相当なものだ。
「……宝箱」目の前に現れた宝箱を報告するマユル。

「よし、それじゃ解除だな。んー。これは……」じっくり観察するイチエイと次郎。

「どう思う?次郎?」      

        『罠はないよ』   
 また声が聞こえてきた。しかし、自分の意見とも一致する。
「たぶん罠自体何もかかっていないようにおもえる」
幾分自信がなさそうに答える。なにせ訓練所では罠の無い宝箱など殆ど無かったからだ。

「やっぱりお前もそう思うか。俺も罠はないと思う。」
盗賊二人の鑑定が一致するのだ、まず大丈夫だろう、と宝箱はイチエイの手によって開けられ、無事、中の金は回収された。


「タニヤ、カティノはもう一回使えるな?」サラがたずねる。

「はいー、サラ様。先ほどは一回しか使いませんでしたからー」
それを聞き、ウムとうなずく。
「どうだろう、イチエイ。先ほどはまったくダメージを受けなかった。もう一戦してもいいと思うんだが。」

「そうだな、いきなりの奇襲にも対処できたし、もう一戦くらい行ってもいいかも知れんな。」
実際、初めての奇襲戦にしては上手くいったと思う。ボルタックで貰ったまるたてが活躍してくれたし、運がいい。こういうときは攻めるのがいいかもしれない。保険として俺もいるしな、とイチエイは考えた。

「じゃあ、つぎ行こうと思うが、反対のヤツいるか?」
一応確認を取るが、先ほどの戦闘の勢いか、やはり反対するものはいない。

「よし、次だ。」






この決断が間違いだったことを思い知るのはすぐ後であるのだが、勢いに乗ろうとしていた彼らにそれを知る由は無く、後に大きな教訓ともなった。






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