「ご奉仕推奨波!!」
「ぐふうっ!!」
「クリティカルヒット!アンド、ダウン!
勝者メイ!!」
沸き上がる歓声と怒号。
むう……放出の系統別修行の代わりに念弾だけで攻撃したけど………イマイチだったな、威力も相手を10メートルくらいぶっ飛ばす程度だし。
何発かは車椅子からオーラを放出する回避技で避けられた。
スピードは遅い、威力も込めたオーラ量より低い。
放出は向いてないかもな。頑張るけど。
孤独感溢れる葬式から約1ヶ月、俺は天空闘技場で自分を見つめなおしています。
7話
ヒソカが言った通り、天空闘技場で金を稼ぐのは楽だった。
オーラを解いた状態でも、200階クラス未満の連中は適当に近づいて蹴ったり殴ったりで勝てた。
むしろ手加減が難しい。これは200階クラスでもそうだ。
たいていの奴らは、そこそこの力で攻撃するだけで波動球を喰らったみたいに観客席まで飛ぶ。
200階クラスに来てからは、比較的早く身障者の三人組(さっき戦ったのが最後の一人)と試合ができたが、戦績の割に弱くて驚いた。
能力使う必要が全然ない。
だから、今回の試合には自分で制限をつけた。
念弾だけで倒す。
オーラを飛ばすこと自体はキングも修行していたことだからできた。ヒソカクラスの奴と闘う時とかには到底役に立たないと思うが。
それでも勝てた。
俺、結構強いのかもしれない。
でも、あの三人ってハンター試験の試験官連中と比べるとオーラが弱いんだよな。
プロハンターが強いのか、ここのレベルが低いのか………?
まあ、試験官でも会長以外には負ける気はしなかったのだけど。
結論から言うと、俺は平均よりは強い。これは確か。
そして、ヒソカも強い。
もう少し詳しく言うと、今まで会った人間で俺より総オーラ量が多いのは会長くらい。しかも、差はそこまで大きくない。
ハンター協会の会長に近い総オーラ量、つまり、総オーラ量だけで言えば俺はかなりのもののはず。
しかし、戦闘技術ではヒソカに劣るし、顕在オーラ量自体にヒソカと大きな差はなかった(能力のおかげで攻撃力、防御力は共に上だったが)。
よって会長とは比べることもできないし、本気のヒソカ相手だと多分負ける。能力もまだ分からないし。
それが今の俺。
ヒソカと本気で敵対した時やアイツより強いヤツと敵対した時に備えて修行をしておこう、そう思った。
そして修行。
この1ヶ月修行しただけで顕在オーラ量が増えた。肉体自体はまだ経験値を積んでいなかったんだろうな。
まだまだ伸びるぞ。
修行内容。
基本的には纏と練の修行や応用技の修行、隠がクソムズいです。
さらに放出系の修行。
念弾が最低限実戦に使えるレベルになったら『手』とかと合わせて能力開発をしようと思う。
やはり遠距離の攻撃手段は欲しい。威力は高くならないだろうが、牽制にでも使えれば上出来だ。
打倒ヒソカ!!
……向こうが俺に興味を持たないのが一番だけどね。
長々と語ったが要約すれば、「自分が強い方だとは分かったけど不安だし、やることもないから修行してるぜ!」って感じ。
………このままじゃな…。
修行は大事だけどね、ハンターとして生きるなら。
だが俺はハンターとして生きる気があるのか?
ハンターライセンスは必要だから手に入れた。それだけだ。
もともとハンターになるために頑張ったとかではない。
じゃあ前世でやりたかったことをやるか?
それもない。ただなんとなく大学に通ってたようなやつに夢なんてない。
ただ漠然と生きているだけの人生だった。
それを考えれば、生きるためには修行する必要のある今の生活は充実しているのではないか?
それも違う。やりたいことをやっているのではなく、やらなきゃいけないことをやっているだけだからだ。
つまり、プロハンターとして働いてみるか別にやりたいことを探すか。
最近はこれで悩んでいる。
プロハンターの仕事自体が多岐に渡るから、その中から見つかる可能性も高いが。
そういうわけで、今は闘技場のファミレスでアルバイトをやってます。
200階クラスだと試合ごとの間が広いし仕事もできる。
ファミレスでのバイト自体は前世でもやっていたことだし、とりあえず何でもやってみよう精神を出して働いている。
ていうか、制服は着れない、なんてアホなこと言う女を雇ってくれるこのファミレスはすげえ。
俺のスカートの中身を盗撮しようとしてカメラが爆発した馬鹿な客が10人ほど来たりしたけど。
そう、メイド服で働いています。
最近気づいたが、これって制約と誓約だよな。
厄介なような、楽なような………
「メイさーん!三番テーブルのオーダーお願ーい!」
「はーい!」
おっと、仕事仕事。
「失礼します。ご注文の方は御決まりでしょうか?」
「あれ?」「げ!」
ん…………あ!
「…今年のハンター試験で会いましたね。ゴンくん、キルアくん」
「確か……メイさん!
こんなところで何してるの?」
人なつっこい子だな。
キルアくんは超警戒してるのに。
「何って……アルバイトですよ。
私はここの200階クラスの選手なんですけど、時間には空きがあるので自己を見つめなおすために働いているんです」
「え!そうなの!
俺たちは今100階にいるんだ」
「ほう………小遣い稼ぎですか?」
「それもあるけど……強くなりたいんだ。
ヒソカに借りを返すために」
進んでヒソカに関わらない方がいいと思うんだけど………
「……ヒソカもここの200階クラスの選手ですよ。
休みがちらしいですが」
「「本当(マジで)!?」」
俺もこっちに来てから知った。
あの野郎………。
「やっぱり最上階を目指すのは間違いじゃなかったんだ……」「うまく行き過ぎだけどな」
…………てか、なんでキルアくんいるんだろ。
ゴンくんが巧く御家族を説得できたのだろうか?
「テンション上がってるところ申し訳ありませんが………今のあなた達では200階に来ても死ぬだけですよ」
「「!!!」」
忠告ぐらいはしてやろう。
「まだ早いんですよ。もう少し勉強してから来てください」
「どういう意味……?」
キルアくんが訊いてくる。
「そのまんまの意味ですよ」
「ネン、ってやつ?」
「知ってるなら分かるでしょう?」
「……やっぱり何かの技なのか」
はっ!誘導尋問!?
「知らなかったんですか……?」
「名前は知ってる。多分兄貴が使ってるのもそれだ。
…ただ、どういうものなのかは全然知らない」
知りたくて堪らない顔してやがる………こりゃあ注意しても200階にエントリーに来るかも。
「……忠告はしましたよ」
「分かったよ。あ、俺ハンバーグ定食」
「俺はカレーライス!」
「はい!ハンバーグ定食が一点、カレーライスが一点…ご注文は以上でよろしいですか?」
「いいよー」
「かしこまりました!それでは、少々お待ちください」
………ゴンくんたちが来てるのを知ってて、200階に行かせたりしたらヒソカに殺されそうな気がする。
これは対策を立てねば。
あれから一週間と少し。
二人とも200階に来る資格を手に入れたらしい。
今日中にエントリーするだろう。
よし、エレベーターのところで待機…………って!
「やあ◆」
「お久しぶりですね………もしかしてゴンくん達の動きを追跡してましたか?変態さん」
「そうだよ◆二人がここに来てたのは知ってたけど、200階で闘ったら壊されかねない◆
だから、ここで待ち伏せして……」
「オーラを向けて動けなくさせるんですね。
ちょっと過保護じゃないですか?」
「壊れるにはとても勿体ない玩具なんだよ◆
それに……君だって止めに来ただろう?」
「……………」
お前が来たことに驚いてるんだよ。
まあ、俺は保身のために止めに来たわけだけど。
「…来たようです。私は行きますね」
「そうかい◆
………君も成長してるみたいだね◆」
「舌なめずりしないでください。訴えますよ」
その後、ゴンくんたちは念を覚えて200階に上がってきたらしい。
何故分かるかって?
それは…………
「新人のゴンと、『メイド帝』のメイの試合だよー!!
大穴のゴンに賭けるヤツはいないかい!?」
「馬鹿野郎!あのメイドがガキに負けるかよ!!」
いや、試合日は『いつでもいい』にしてたけどさ……………何故準備期間を使わないんだ…………。
纏使えるだけなんて、戦闘じゃ全然意味ないだろ。
ヒソカの視線が怖い。
…………適当に苛めて終わらせるから、そんな殺気向けないで!!
<続く>
新能力はそのうち御披露目します。
読み返すと、確かに勘違いものっぽさがありますね。
これからもそういう雰囲気はあると思います。
どうにも、作者の書き方が悪かったのかメイが弱く見られてますね。実際、超強いつもりですよ。
強化系能力を防げない、っていうのはリッパーサイクロンとかで上昇した威力までは軽減できないよってことです。防御力自体は上がってるので致命傷とかは喰らいません。
操作は完全無効だし、他の系統の能力も効果を軽減したり防いだりできる。
防御系の能力ではかなり強いほうだと思います。
まあ、護衛軍とか見た後だと最強ものとは言えませんね。
この作品はメイドものとします。