【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第76話 孫家的日常。孫策と周喩。現在、この世界の中華の実力者というのはかなり絞られてきている。寿春を陥落させ、袁術の勢力を手にした孫策。袁紹を倒し、公孫・張。そして烏丸の北方同盟を組み込み最大勢力となった曹操。荊州の豪族に立てられ、戦を避けて平和を保つ劉表。地盤は少なくとも精悍無比の騎馬隊を持つ涼州の馬騰。漢中にあって、益州の劉璋と争う張魯。他にも小勢力はそこそこあるが、それらは大勢力に従って、或いは駆逐されていくだろう。袁術を倒し、勢力基盤を整える孫策。未だ忙しいはずの彼女は城の中庭にある小さな休憩所で周喩と2人きりで椅子に座っている。彼女らの目の前にある机には酒杯と酒の入った器、ツマミ・・・どころではなく、そこそこ豪華な食事。ささやかながら2人きりの酒宴を開いていた。孫策と周喩は、杯に酒をなみなみと注いでから「乾杯」と杯を重ね、一気に飲み干した。「ぷふあぁ~・・・五臓六腑に染み渡るわ~・・・」「まだ一杯目だろう?」「解ってるってばぁ。私はそう簡単に潰れませんよーだ。」「どうだかな・・・」本当は、やることは沢山ある。あるのだが、孫策が「あたしたちの新しい門出よ!」とか言い出して、無理やり押し切られて酒宴となっている。周喩も酒を嫌うわけではなく、どちらかと言えばかなり飲める。普段はそういったところを見せないだけで、案外に酒飲みなのだ。「まぁ・・・目的の場所までは遠いが、その足がかりを得ることは出来たのだからな。たまに浮かれるくらいは仕方ないか。」「そーそー♪ 楽しみなさいよ?」「雪蓮(しぇれん)、貴方は浮かれることが多すぎる。もう少し自制するべきね。」「あぅ。」こんな遣り取りをしながらも、周喩もまた感慨深げである。孫策と出会って、早10年以上が経った。自分と孫策が幼い時に交わした「天下を取る」という約束。正確に言えば、自分は天下を取る孫策を支える、というものだが・・・それが少しずつ現実になりかかっている。先代、つまり孫策の母親である文台(孫堅の字)が逝き、途方にくれていた日々。袁術に兵も物資も奪われ、少ない資金でなんとかやりくりをして、数多の戦場を駆けずり回ってきた。報われることなど殆ど無かった。体の休まる日々もなく、次から次へと厄介ごとばかりが舞い込んでくる。周喩の、苦労の滲んだ何とも言えない表情に孫策も感じるところがあって、こんな事を言う。「母様が逝ってから・・・苦労の連続だったわよね、ホント。」「そうだな。雪蓮と私。文台様の遺した四天王。まだ幼かった蓮華(れんふぁ、孫権の真名)様と小蓮(しゃおれん、尚香の真名)様。」「どうしたものか、って皆で途方に暮れたもんねぇ~・・・」「ああ・・・。」黄巾党との戦い、反董卓連合。玉璽、多くの武将と兵の参入、高順一党の加入、そして袁術を打ち倒して。ようやくに、追い風が吹いてきたといった所だ。「あの頃は何もかもが足りなかった。資金も、食料も、兵も無い。」「玉璽を質草に出したあたりで漸く・・・だもんねぇ。」「そうだな。・・・ん、あれは。」なんとなく暗い話題だったが、周喩は廊下を歩く人物に目をやった。今は物々しい鎧を着ていないが、あの巨槍を見れば一目でわかる。高順だ。「あら、高順じゃない。おーい、こーじゅーん!!!」呼ばなくても良いだろう、と周喩は思うのだが呼んでしまったのは仕方が無いし、別に困るようなものでもない。そういえば、高順とは仕事や戦の話ばかりで雑談らしい雑談はあまりしたことが無いな、と思い出す。たまにはこういう機会があっても良い。「何ですか、孫策殿。」「ん、別に用ってほどじゃないけどねー。何してたの?」「周倉や楽進と訓練をした帰りです。しかも孫権殿に「貴方にも水軍の修練をしてもらう」とか言って連れ回されるし・・・」見れば、高順の顔には擦り傷や青痣の跡が残っている。「ああ、そういえばそうだったな。確か「まずは水夫からやらせてくれ」と言ったのだとか?」「ええ。こういうのは一番下からやってみないと解りませんからね。そっちは・・・酒宴ですか? 周喩殿が飲むのは初めて見たような。」「やれやれ。私はどう思われているのやら。」高順の言葉に、周喩は思わず苦笑した。「私だって酒くらいは飲むぞ。どこかの誰かのように限度を理解せずに飲むということをしないだけでな。」「え、祭(さい、黄蓋の真名)の事?」「筆頭は貴方よ、雪蓮。」「断言された!?」「そんな事はどうでもいいだろう。ところで、高順は酒は飲まないのか? 高順が酒を飲んでいる場面こそ、見たことが無いぞ?」周喩の質問に、高順は「あー。俺、お酒が全然飲めないんです。ほんの一口で酩酊するんですよね・・・」と遠くを見つめた。この癖のせいで、韓遂とおかしな会話をした結果・・・馬騰がヒィヒィ言ってるのだが、本人は殆ど覚えていない。「そんなに弱いのか・・・それでは宴会に参加するのが辛いだろう。」「周りが賑やかだから、あまり気になりませんよ。飲むのは水とかお茶ばかりですしね。」とくに趙雲さんとか蹋頓さんが賑やかで・・・と、またどこか遠くを見つめる高順。「しかし、何故2人で酒宴を?」高順はちょっと話題を切り替えた。「袁術から独立できたからよん♪」「我らの夢の一歩に立ったから・・・とは雪蓮の談だが。それを祝って、ということだな。」ふふ、と周喩は笑う。それなりに酒が入って彼女も機嫌はよいらしい。が、高順は「そうですか・・・じゃ、俺は帰りますよ」と踵を返す。「えー、なんでー? 少しは付き合ってくれてもいーじゃないのさー?」「俺がその「夢の一歩」の祝杯に付き合えるわけがないでしょ。酒だって飲めない俺に参加する資格はありまs「こきゃっ!」クホゥッ!?」「もー、頭が堅いんだから。硬いのは素敵だけど堅いのは駄目だぞ♪」「・・・こふぉっ、首、首の骨が・・・」「・・・・・・。」孫策に首を変な方向に曲げられ、なんだか寝違えた人みたいになっている高順。凄い勢いで距離を詰められて反応できなかったらしい。普段はこんな弱いのに、いざ戦となれば心強いのだからなんともおかしな男である。いや、戦だけではないか、と周喩は思い直す。孫策が袁術の元から脱却した直後、迎え入れることに成功した高順だが、周喩から見れば彼は単純な戦馬鹿ではなかった。脱却したとはいえ、資金も食料も心細いあの時に気前良く「いつか返してもらえば良いですよ」とあれこれと支援をしてもらえたのは本当に有り難かった。高順は率いる兵の給料も自分で出すから、孫家の懐具合はさほど痛まない。ある程度の商売権利を与えればいつの間にか資金を稼いでくる、という強かさもある。これは高順の部下である「影」が掴んでくる情報と、それをうまく使う闞沢(かんたく)の商売の上手さが主な要因だが、高順一党の強みである人材の多さと優秀さが際立っている。廬江で民の為に食料の援助をして欲しい、と頼んだ時も快く受け入れてもらえた。それで自分が得をしたわけでも、得をするわけでもないのにである。なのに、若い武将からは降将と白い目で見られていたのだから立場が無いだろう。本人は、それに胃痛や疲れを感じても恨み言を口にはしない。時折、蹋頓に弱音を吐いているようだが。ちょっと話は変わるが、同じく降将である太史慈とは仲が良いようだ。宴席でも下座でよく隣同士になって話をしている姿を見かける。高順は首が折れ曲がったまま、逃げるように宴席を後にした。「むー、折角酔わせてあんな事やこんな事をして弱みを握ろうとしたのになー。」「はぁ・・・。」どうも、孫策は酔っ払いすぎて訳が解らない事になっているようだ。後で頭を叩いておこう。多分それで治る。(?)という冗談はともかくも。。「雪蓮、本当は何をするつもりだった?」「えー? 言葉通り弱み握っちゃおっかなーって。」「弱みを握ったところで意味は無いぞ。大体、あの男の本当の「泣き所」など」家族とか近しい存在しかいないだろう、と周喩は酒杯に残った僅かな酒を飲み干し、新しい酒を自分で注ぎ始めた。「そっかぁ・・・でもさぁ、曹操のとこに家族が数人仕えちゃったんでしょ?」「ああ。高順が「曹操に仕えたくないー!」と言っているからな、自分の手の届く場所に取り戻そうとしているのだろう。」「じゃあ、私達が利用されて・・・な訳ないか。自前の力が欲しいだけなんだろうなぁ、あの子。」「言葉は悪いが利用して利用されている、だ。正しくはないかもしれないがな。高順が思う以上に孫家はあれを受け入れているつもりなのだが・・・で、引き止めようとした理由は?」「えー、何の事か解らないなー♪」「はぁ・・・高順の立場の悪さを何とかしようとしている。そんなところでしょう」んっふっふー♪ と、孫策は機嫌良さそうにぐいぐいと酒を煽る。だが、すぐに表情は引き締められていて、それほど酔っていた訳ではないようだ。孫策は静かに酒盃を机において、指を組んで何かを考えるような素振りを見せる。「高順にだけ肩入れしているわけじゃないけど、あれはちょっとね・・・そりゃ、精神的に磨り減りもするわよ。」「虞翻か?」「それもあるけど。高順の事を良く知らない連中。」周喩は「ああ・・・」と納得して見せた。というのは、例えば・・・宦官や小役人である。この宦官だが、孫家では漢王朝のように政治的権利は何1つ与えない。例外も無い。仕事が出来ても給料を高くする程度で、政治とは切り離して扱っている。その宦官や一部の小役人が、降伏者である高順をけなすことで孫策の歓心を得ようとしていると言えば解りやすいだろうが、そんなものを信じるほど孫策は耄碌していない。同じく太史慈も悪く言われがちであるが、彼には名声があり、そして孫策が自ら捕らえ、自ら縄を外して遇したという事で一目置かれてもいる。高順は、要請があって加わったとはいえ孫家の主要な面々以外に知れ渡っていた訳ではないし、そういった人々に解りやすい話も無い。反董卓戦を知る面々からは一定の扱いを受けているがそれを知らない人々からは「何故あのような扱いを受けられるのだ?」ということだ。袁術戦でその武威を見せ付けて、その戦場にいた若い武将を自力で納得させた高順だが、宮仕えをする連中にはその武威は見えていない。名士でもないのに金を持っている、ということも敵視される理由の一つに数えられているかもしれない。「本人は胃痛は感じても、恨んでいるようには見えないから今は大丈夫だろうけど・・・ね」「その言い方は、不安があると言っているのと同義だ。まだ何かありそうだな?」周喩の言葉に、孫策は「うー・・・ん」と唸る。「もしもさぁ、そーいう小物の悪口雑言が高順の家族に及んだらどうなると思う?」「・・・。ふむ、それは怖いな。」家族、というのは蹋頓を始めとした人々なのだが、そこには一部異民族が混じっているし、兵も異民族が多い。孫策らは異民族でも何でも能力があって忠誠心があれば起用に迷う事はない。ただ、一部の人間はそれですら高順への攻撃に使う可能性がある。もしそうなれば、温厚な高順でもどんな怒り方をするか・・・と、周喩は少し恐ろしくなったが、それは頭の片隅に置く。「良い。誰にでも解る勲功を立てさせればよいだけだ。その辺りは私に考えがある。任せておけ。」「はいはい、冥琳にお任せしますよーだ。でもさ、もう1つあるんだけど。」「ん?」「曹操が「高順が降伏しないと家族殺すわよー」とか脅迫してきたら、どうなると思う?」「高順が余計に態度を硬化させるだけだろう。しないだろうが、もし実行すれば曹操の息の根を止まるか自分が死ぬまで戦おうとする・・・くらいは想像がつくな。」「そっかぁ・・・そうだよねぇ。」「さっきから、何を言いたいのか良く解らないわね。何を考えている?」あー、ごめんごめん、と孫策は笑った。「さっきも言ったけどさぁ、高順は家族を大事にする。で、その家族が曹操のところにいるし、道理も知らない奴らの誹謗中傷で嫌になって・・・もしかしたら孫家を辞す、ということあり得るかなぁ?」「ふむ・・・。」「本人は自覚してないでしょーけど、資金的にも戦力的にもいなくなられるのは困るのよね。どうにかして孫家に残ったほうが利益がある、或いは残らないといけない理由を作るべき、と思うわけ」「それは高順にのみではなく、大多数の武将に当てはまるものものだがな・・・で、何か当てがあるのか」「前にちょっぴり思ったんだけどさ。あの子って金とか物とかに靡くような性格じゃないのよねぇ。欲がモノに向いてない感じ。だから、モノでは釣れない。となると・・・女?」「ふっ。・・・解りやすいな。しかし、あれだけ多くの愛人がいるのに、それでも女を欲しがるものか?」「言い方を変えれば、こっちで嫁用意すればいいんじゃないかなー、と。でも、そうなると誰を候補にするかなのよねぇ。あの子、甘えられることが多いみたいだから甘えさせてくれる女性・・・く、ふふふふ・・・」「やれやれ、宴席だというのにこんな事ばかり考えて。昔から、性急というか何と言うか・・・」小声でちょっと怖い事を呟く孫策を、心持冷ややかに見つめる周喩。そんな周喩の視線と言葉など気にせず、孫策はずんずんと杯を進める。「ぷふぁー。孫家の高官と夫婦にしとけば出て行きにくくなるかしら。そうなると、祭でもいいかも・・・案外相性は良いみたいだしね」黄蓋は高順の事を昔から評価している。袁術戦の時も組ませてみたのだが、中々に上手く連携していたようだ。「あの祭殿を高順の元に、な・・・ふ、尻に敷かれると言うか、上手く行きそうと言うか・・・おい、雪蓮。それは何杯目だ。既に瓶が1つ丸々、空になって・・・!」「(聞いてない)ちょっとぉ、何「自分には関係が無い」みたいな顔してんのよ。あんただって候補なんだからね?」「なに・・・?」「あれ、そうなると高順があたしの義弟に・・・? うーん、嫌じゃないけど厚遇しすぎになるかな? でも、本人はそういうことで権力握るの拒否しそうだし・・・」「おい、雪蓮。ちょっと飲む速度を落とせ、飲みすぎだぞ!?」「(やっぱり聞いてない)でも、そうなるとあたしの愛しい冥琳が高順のエロい牙にっ。そして、あたしと高順が冥琳を取り合っての三角関係・・・いや、祭も、そして趙雲達も加わってそりゃあもう何重にも重なる多角関係。ふ、くふふふふふふ・・・孫家を舞台にしたドロドロの愛憎劇・・・(酔」「・・・・・・・・・。」とりあえず殴っておいた。 by周喩~~~番外編。その頃の華陀~~~華陀と袁紹一行。彼らは陳羣(ちんぐん)の好意により手配された楊州行きの船を降りて、とある街へと腰を落ち着けていた。「ふぁぁ・・・船旅も悪くありませんでしたが、やはり普通の生活のほうがいいですわ・・・」とある街のとある宿・・・と言っても酒場兼用のようなものだが。袁紹はその宿の2階。自分達に宛がわれた部屋の寝台に寝転がって溜息をついていた。「悪くない、というより悪かった気がします。船は揺れるし、文醜は船酔いでずっと倒れこんでいるしで。はぁ・・・」審配が、寝台に倒れこんで「おぅぅぅ・・・」と未だに気分が優れない文醜をチラリと見て、溜息をついた。「そんなことより、華陀さん達はどこへ行きましたの?」袁紹の言葉に「そんなことなんだ・・・」と、心の中で呟く顔良であるが、この質問には答える。「人探し、って言ってましたよ。」「人探しですの?」はて、情報に当てがあるのでしょうかね? と袁紹は首を傾げる。「さぁ。まあ、久しぶりのきっちりとした宿なんです。今日は休ませてもらいましょうよ、麗羽様。」「全部華陀さん任せというのが申し訳ありませんけど・・・手伝えそうな事はありませんしね。」そうさせて頂きますわ、と首肯した。その頃の華陀。彼はあちこちで「高順と言う男を知らないか?」と聞き込みをしていた。しかし、結果は不調で「聞いたことが無い」という答えしか返ってこなかった。参ったなぁ、と華陀は少し休憩をして考えている。参った、というのは「ここに高順がいないかもしれない」と言うことと「もしかしているのかもしれないが、普通に知れ渡っていない」という2つの可能性があるからだった。前者であれば益、或いは交州まで足を延ばさなければならないし、後者であればその話が出てくるのを待つ、つまり受身にならざるを得ない。どちらにせよ時間がかかる。どこかに、高順の足跡が残っていれば良いのだが・・・。だが、そんなに都合よく高順の居場所が見つかる訳でもなし。彼らが高順と出会うのにはまだまだ時間がかかりそうだった。~~~楽屋裏~~~文量足りないですかそうですかあいつです(挨拶ここからしばらくは、原作改悪拠点フェイズが続きます。心の底から期待しないでください(ぁぁ順番は特に考えておりませんが・・・ふと日付を見るともう8月。この小説(もどき)が始まったのは確か去年の9月か10月。もうそろそろ1年にもなるのですねぇ・・・それを考えると「良く続いたよなぁ、良く皆さん読んでくれるなぁ」と。余談ですがBASARA3とメタルマックス3のおかげで更新鈍りそうです(何~~~まだまだ続く番外編、もし高順が北に行けばどうなった?~~~呂布が徐州にて破れ、その配下であった高順は公孫賛、或いは烏丸を頼るために北へと向かった。南へと行きたかったが、曹操の侵攻が思いのほか早く進路を妨げられてしまっていたのだ。それならば、と高順は北・・・つまり、劉備領である下邳(かひ)へと進発。劉備は曹操と共にいたので守りが薄いと見越して一気に北へと進んだのである。その下邳の留守を預かるのは諸葛亮。だが、彼女もまた高順の預かる広陵へ、戦力を封じ込めて篭城戦へもつれ込ませるために進軍している。結果、北へと進む高順隊5千と遭遇。策を弄することなく、真正面からの戦いであれば・・・諸葛亮如きが高順に勝てる可能性は皆無である。なにせ、趙雲や楽進と言う一騎当千の猛者が揃う高順隊。諸葛亮側に勇将といえる存在は殆ど居らず、遭遇してすぐの正面突破であっさり隊を崩されている。何とか逃げおおせた諸葛亮だが、高順も行く方向が一緒だったため猛追撃。なんかもう嫌がらせとか弱いもの苛めの域に達していたが、劉備勢の為に酷い目にあったのだから誰もが「問題なし!」と思っている辺りちょっと怖い。こうやって諸葛亮を下邳へと追い返し、自分達はまんまと北進。そんなこんなで北へと向かう高順一党だが、やはり問題があった。公孫賛のいる北平に行くには、このまま北海を越えて平原、南皮を北へ抜ける必要がある。そして、この時は袁紹が平原、南皮を支配下にしていたのである。それを超えないと公孫賛の元へ行く事はできない。虹黒の背に乗って進軍をしている高順は「さて、どうするべきかなぁ・・・」と思案していた。さて、その袁紹。彼女は曹操との対決に向けて人材を欲していた。その中には公孫賛も含まれていたが、彼女と、彼女の元にいる韓馥遺臣は納得しないだろう。そうなれば、矛先は自然曹操の方へと向くのだが・・・。どうも、自分の配下には「戦える武将」が少ない、ということで袁紹は悩んでいた。顔良・文醜・麹義は強いし、審配・朱霊なども悪くない。対して、曹操陣営では夏侯姉妹。袁紹はあまり知らないが許褚、典韋に曹操本人。武勇のみに優れた者もいれば、統率力にも優れた者がいる。その曹操の武将に、袁紹の配下武将で、夏侯姉妹に勝てる者は? と聞かれたら「いない」と答えるしかない。「さて、どうするべきでしょうねぇ・・・」自室で思案に暮れる袁紹。そんな時である。田豊が「失礼しますぞ」と入室してきた。「あら・・・翁ではありませんの。態々足労せずとも、呼び出してもらえばこちらから足を運びましたのに。」「ほほほ、主君にそのような事をさせるわけには行きませぬな。」二人は穏やかに笑い、袁紹はどうぞ、と田豊に席を用意した。「おお、すみなせぬな。歳を取ると足腰が弱りまして。あ、どっこいせ」「おやめなさいな。貴方の目も耳も足腰も壮健なのは知っていますわ。・・・で、今日はどのような用件で?」「おお、忘れる所でしたな。」とぼけるどころではない人の癖に、このお人は。と袁紹は苦笑した。「北海と平原の間辺りに、5千ほどの騎馬隊が通過中と報告が入りましてなぁ。どうしたものかと」「・・・どうしたものか、じゃありませんわよ。」ふぅむ、と袁紹は思考を巡らせる。それだけの規模の部隊が何故? と。騎馬隊が5千なのだから、盗賊の類ではないと思う。賊ではそれだけの馬があっても維持する金が無い。加えてあの当たりの治安は悪くない。「その騎馬隊、誰が率いておるかまでは解りませぬな。ただ、どこかに被害を出す訳でもなく北へと向かっておる様子」如何なさいます、と老人は袁紹の顔を見る。「その騎馬隊、町や村に略奪を行って・・・?」「報告によればしておりませぬな。きっちりと統率をされておるようで、住民に迷惑をかけぬような動き方をして居るとのこと。」「翁、顔良さんと文醜さんを呼びなさい!」「こんな事もあろうかと、既に派遣しております。兵を200ほどつけておりますし、絶対に攻撃を仕掛けるな、とも。」いけしゃあしゃあと言う田豊。「何ですって!?」「独断で動かしたのは申し訳なく思いますがのう。」「・・・いえ、むしろ良くやってくれましたわ。」田豊は現在、袁家の宰相であり多少は人事の権利を持っている。袁紹が詳しい情報を欲して間者を派遣するであろうと見越して、既に手を打っておいたのである。袁紹でなくとも思うだろうが5千の騎馬隊が整然と北へ向かう、というのは少しおかしい。公孫賛の手の者か、それとも烏丸の者か。或いはまったく別の・・・例えば曹操の配下か。一番可能性として高いのは公孫賛絡みだろう。曹操配下であればどこぞを荒らして行くはずだし、曹操もまだ自分とは事を構えたくはあるまい。その騎馬隊を率いる者の情報が欲しいが、何にせよ5千の騎馬隊、だけでは情報があまりに少なすぎる。顔良と文醜、というのが少し不安で、文醜が訳のわからない行動をして顔良を引っ張っていきそうだが。幾ら何でも200で5千に挑むことはしないだろうから、大丈夫だろう・・・。大丈夫と思いたい。いや、ものすごく不安だ。どうも、自分が出て行かねばいけないような気がする。「・・・翁」「そう言うと思って既に1000ほどの兵を出撃できるようにしておりまするが。」「何ですのその先読み!?」「おお、それと・・・今から出ても遭遇するのは南皮あたりになるでしょうな。早くしませぬと、北平まで行くやもしれませぬぞ」「解っておりますわ、留守は頼みましたわよ!?」「ほっほっほ。」袁紹は「まったく、あの翁は手際が良すぎですわ・・・」とぶつくさ言いながらも、慌しく走っていくのだった。~~~楽屋裏~~~さて、こっちは「高順が袁紹に仕えたら?」というIFの出だしですね。前に袁紹に仕えるIFを~みたいな感想があったので、文字埋めででっち上げました。つーても、まだ出会ってもいないのですけどね・・・さて、BASARA3とメタルマックス3(ryそれではまた次回。