【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第59話 徐州的日常。広陵(こうりょう)へ。(NAISEIにもなってない)。広陵へ向かうため、下邳(かひ)から6千ほどの兵と数人の武将が出立して行った。高順一党と、その配下である。変わったのはそこに干禁と高順の父母がいないということか。閻柔と田豫、臧覇も広陵へ向かうので、本当にその3人だけである。高順は出立する前に、張遼に「干禁の事、頼みますよ」と頭を下げておいた。張遼も鷹揚に頷き「任しとき!」と胸を叩いて請け負った。干禁にも父母にもけっこうな額の生活資金を渡しておいたし、次に会えるのがいつか解らないが・・・恐らく大丈夫だろう、とは思っている。不安があるとすれば、彼女達と共に働く侯成・宋憲・魏続である。一度だけ彼らが下邳へやってきたのだが、その時の状況。「我ら、呂軍三羽烏! 侯成!」「宋憲!」「魏続だフンガー!」「・・・。」←呂布軍武将の反応。侯成は女性。宋憲は瘦せっぽちな男。魏続は・・・なんつーか筋肉なのか贅肉か解らないが大柄な男。彼らを見た瞬間、高順は彼らをこう呼ぶことに決めた。「タイムボカ○3人組」あるいは「三馬鹿」と。ちなみに、曹性はというと・・・。「いやはや、皆様ご苦労様です! ・・・はぁっ! い、胃がっ・・・」・・・中間管理職そのままの苦労性なおぢさんであった。同じく苦労人の高順は「ああ、気が合いそうだ」と思ったとか何とか。ともかくも、広陵へ向かう高順一党。特に邪魔があるでもなく、賊の襲撃があるでもなく。淡々と進んでいくだけである。1週間もせず到着したが、全員「こんなにあっさりと到着できたのって初めてじゃないかなぁ・・・」と思うほどあっさりとした旅であった。城門を潜った一団だが、街の人々の視線はどことなく冷たく、或いは何かを期待するような視線。正直に言ってしまえば呂布軍と言うのは侵略者に近い。陶謙の圧政に苦しみ、そのせいで笮融(さくゆう)の乱に巻き込まれ、それを討った呂布軍・・・。自分達にこそ正義があるといえるわけでもないが、それでも無用な戦を終結させた、という点で言えば呂布軍は完全に侵略者とも言い切れない。人屋も所々壊れていたり、焼かれていたりしていまだ復興途中である事がわかった。街の人々もどう応対すればいいかわからないのだろう。高順は「この人たちに認められるかどうか。そこが勝負どころなのかねぇ?」と思いつつ城へと向かっていった。城の前まで進んできた高順隊を出迎えたのは文官・武官達、そしてその一番前で拱手する一人の女性であった。遠目から見たが、割と美人だ。どことなく周喩を連想させる風貌で、眼鏡が似合いそうな知的な女性である。高順隊は全員下馬。高順は1人その女性の目の前まで歩いていく。彼が目の前までやってくるのを待った女性がおもむろに口を開いた。「高順様ですね。お迎えにも行かず・・・」「いや、構わないさ。俺達のせいで街が滅茶苦茶になったからね。皆はそれぞれの仕事をこなしてくれれば問題は無い。」「・・・ははっ。」目の前の女性は深く頭を垂れた。「それで、貴方は? 見たところここの責任者っぽい感じだが。」高順は普通に聞いただけだが、女性は視線を厳しくする事はないが注意をするように話し始めた。「・・・太守様、そのような言い方はよろしくありません。」「え?」「この広陵の責任者は貴方です、太守様。私はあくまで代理です。」「・・・あー。うん。御免なさい。」「謝る必要もありません。では、早速案内をさせて頂きたいのですが宜しいでしょうか?」うーん。なんか厳しそうな人だ。厳しいと言うか、てきぱきとしていると言うか。自分の職務に忠実なだけかも知れないけど、自分にも他人にも厳しいって感じだろうか?「ん、ところで、貴方の名前は?」高順の言葉に、女性は首を傾げて「ああ、名乗り忘れていたかな?」とばかりに頷いた。「これは失礼を。私の姓は陳、名は羣。字を長文と申します。」「陳羣(ちんぐん)・・・なるほど。」道理で真面目だと思った、と高順は納得した。「じゃあ陳羣さん、案内よろしく。」「はい。」陳羣は部隊の振り分けやら何やら・・・高順達を受け入れる態勢をほぼ完璧に整えていた。高順らの居住部屋の割り振り、兵士達の宿舎、勤務日程などなど、多岐に渡る項目をほぼ全て。街の視察やら、重要項目の決定などは高順がいなければできないからそれ以外、ということになるだろうか。正直に言って、決定するかしないかの判断をする以外にやることがなくて・・・高順はいらない子であった。ただし、高順は「今まで民に課していた租税の率を教えてほしい」とか「戦で家、家族を失った人への救済措置はどうか」と、民を第一に考えた事を陳羣に聞いていた。それくらいは太守になれば当然なのだが、最初は高順を「ただの武辺者」と聞いていた陳羣は少しだけ評価を変えた。高順は民の声を聞きたがり、直接の陳情があったときは馬(虹黒のこと。陳羣に限らず、高順を迎えた人々は皆その巨体に驚いていた)から降りて民と同じ目線で話をする。随行している陳羣は「太守とあろうお方が」と文句を言ったのだが、高順は「民を大事にできなけりゃ人の上に立つ資格はないよ」と言い切って相手にしなかった。高順は税の引き下げなども視野に入れているのだが(今までが妙に取り立てすぎていた)、それは段階的に、ということで結論を出した。その代わりに、戦で家を失った人々には1年間税の取立てをしない、と言うことは決定された。豪族の利益を図ってやったり、民の数・収入状況などを考えつつ徴兵をしたり、街の実力者と会議を開いたり・・・。と、一武将であれば考えなくてもいい事まで考えさせられる羽目になった高順であったが、毎日が何かしら発見があって忙しくも楽しく思えていた。(そりゃ、丁原様も人材が足りないー! って言うよなぁ・・・)と、妙な納得の仕方までしている。陳羣という名政治家が殆どをこなしているのでそれほど大変には見えないが、丁原はこれを自分で実行していたのだから。楽進や趙雲らもきっちりと兵の訓練を行い、賊の討伐を行い、と忙しい日々を送っている。また、個人的訓練と言う格好だが臧覇が高順達に師事をしている。全員が忙しいので常に教えてあげることは出来ないけれど、という条件で槍・弓・馬術を教えているが中々筋が良い。長ずれば一隊を与えてみるのもアリかなぁ、と考えているし沙摩柯も「本人が望むのであれば」と口出しをしないことにしたようだ。そして、塩商売。これは広陵の民には好意的な反応を示した。質の良い塩を安く入手できるように、かつ利益が出るように・・・というさじ加減が難しい。輸送費などもかかるし、同じ塩を扱う業者から妨害が来る事も予想される。味噌などもそうだが、高順はこういった商売の責任者に閻柔と田豫を起用した。自分が忙しいせいで商売に集中できないからだし、彼女達もかなり荒事を体験してきているので・・・と任せてみたのだ。干禁と同じように帳簿をつけたりしていた時期も長かったし、高順同様に私欲が薄い2人なので任命したのである。彼女達は期待に応えて安くなりすぎず、高くなりすぎず。のラインをきっちり見極めて商売に励んでいる。僅か数ヶ月でけっこうな財産を築く高順だったが、兵や武将、官吏の給金等必要な分を除いてほぼ全てを国庫に放り込んでいた。商売の邪魔をされることも多々あったが、それを「財力」と影による「情報力」で圧倒して完全に黙らせてもいた。黙らされた側はあまり質の良くない塩を高値で、という輩も多かったので遠慮はしていない。中には良心的な商いをしている者もいて、そういう人々は保護したり傘下に置いたり。戦後であったためにそれほど裕福ではない広陵が瞬く間に、とまで行かなくても少しずつ活気を取り戻していく。そのあまりの復興速度に高順は「内政どころかNAISEIだよ。陳羣さん本当内政チートの1人。」と抜かしていた。陳羣を始め、復興に多大な働きがあった内政官(に限らないが)に、高順は多額のボーナスを出している。与えられた1人、というか筆頭である陳羣はその金額を見て「・・・え・・・は!?」と絶句していた。こんなに多額の金子を頂く訳には・・・と陳羣は躊躇していたが「それだけの働きをしてくれたんです、受け取ってくださいつーか受け取らないと泣く。」と説得か何なのか解らない言葉で無理やり受け取らせたのであった。事実、この復興は彼らの力あってのものなのだ。歴史に名を残さないような、「縁の下の力持ち」そのままの人々が頑張っているからこそ、というのを高順は理解している。駄目な奴も多いだろうが、それでも仕事をこなす人々が多く居て・・・というのを丁原に仕えた経験からよく解っていたのだ。この一件以降、官吏から高順への評判、評価がまた違うものになっていた。陳羣も最初は同じだったが「ただの武辺者」から「部下の働きを正当に評価できる太守」とか「金稼ぎが上手い」とか「欲がなさ過ぎて困る」だの。良いのか悪いのか解らない評価も混じるが、概ね高順一党は広陵の官民に認められ始めたといっても良い。さて、高順が太守として認められた頃。高順は虹黒に跨って街中を視察していた。周りには陳羣、蹋頓、楽進など。陳羣は人をからかって遊ぶ悪癖のある趙雲とはそりが合わないようで、少しだけ距離をとった対応をしている。逆に、楽進はほぼ大抵の物事に関して真面目であり陳羣から評価されている。趙雲もその悪癖さえなければ・・・と、陳羣も頭を痛めている。趙雲はきっちりと仕事をこなすので、その点は評価されているらしい。その陳羣は、この数ヶ月で高順と言う男を「変わった人だな」と感じていた。これは人間性のみを見ての評価だ。個人でアレだけ大量の資金を持ち、武の人でありながらまず民衆ありき、を実践する。前政権の陶謙はお世辞にも良い統治者とはいえなかった。高順も政治力はあまり無いようだが、それを補える人材が側にいれば・・・元々優しい性格が上手く作用するのか、良い方向へと進みやすい。人の良さを漬け込まれる心配は大いにあるが、そこらは陳羣が諫止すればいいだけだ。優しい人だが、時折冷酷な判断を下すこともある。高順の意に従おうとせず、利権ばかりを主張する豪族連中を一手に集め、一斉に抹殺するなど凄みを利かせることがあって、そこが「変わった人」という評価になるのである。陳羣のほうが政治的な目があることは解っているので、高順は陳羣の意見を素直に聞く。陶謙のような統治者の下では上手く発揮できなかった陳羣の能力だが、高順はそれを使いこなすとまでは言わなくても、きっちりと引き出している。ともかく、高順は街の視察をしていた。民も声をかけてくれたり、子供が群がってきたり。そんな中、一人のボロを纏った少女が近づいてきた。「・・・ぶるっ。」「ん?」周りに人が大勢いるので気付きにくい状態だったが、虹黒が鳴いたので、高順も「何だ?」と気付いたようだ。見れば、裸足の少女・・・手と足も擦り傷だらけと言った風貌で、まるで足を引きずるかのような歩き方で近づいてきたのだ。高順は慌てて虹黒から降り、少女へと駆け寄った。「ちょ、まってください、隊長!?」置いていかれた形の楽進達も追いかけていく。「おい、大丈夫か!? どっかで喧嘩に巻き込まれでもしたか?」高順は少女の前でしゃがんで、同じくらいの目線にあわせる。ボロを纏った少女は幾分か困惑しているようだ。「え? あの、ちがっ」「じゃあ、暴行か? 警備兵は何をやって・・・」「あ、あの、違うんです!」少女は思わず叫んでしまった。「え?」「違うんです、あの、私・・・太守様にお願いがあって。」「お願い・・・。よし、聞かせてくれ。その前に、君の名は?」「あ、あ。申し送れました。私は・・・姓は闞、名を沢。字を徳潤(とくじゅん)と言いますっ」少女の言葉を聞いた高順は思わず硬直した。闞沢(かんたく)・・・って。・・・マヂデ?~~~楽屋裏~~~番外編にでもしたほうが良かったかもしれない、あいつです。さて、陳羣出してみました。チョイ役ですけどねー。そして、何故ここで闞沢出るの!? と思われる方も多いでしょうね。・・・私も思ってます(おいこら!?「詳しい方」は解ってるかもしれませんねw広陵にまで逃げた反乱軍首魁は誰でしたっけ・・・?さて、もしかしたら内政官が1人増えるかもしれません。陳羣は・・・まあ、あの人の元へ行くのだろうと予測。それでも高順一党からすれば・・・貴重な人材になるのでしょう。あと、あいつはゲームとかのNAISEIしか知らないのでこんな程度の低い話になってしまいました。申し訳ありません(土下座「民心掌握」「米・金銭収入」「兵士増加」とかそんな程度なんですよ。今回の話もそんな程度ですし;で、実際にこんなに早く復興は出来ません。何事も直ぐ復興の兆しを見せる原作世界を元ネタにしているのでそれに倣って・・・orzさて、次回はちょっぴりだけ広陵の後始末・・・で、そろそろ奴らが介入してくる頃でしょう。ではまた次回。