【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第57話 徐州へ。その3。賈詡(かく)のもとに派遣した馬日磾(ばじつてい)が、伝言を預かって高順のいる下邳へと戻ってきた。内容は「承知した。我々はこれより笮融(さくゆう)が篭る広陵(こうりょう)へと進撃する」というものだった。高順の伝言を聞いた賈詡は、華雄率いる7千と小沛から出撃させた軽騎兵・輜重を含めた8千を合流させ、広陵を目指す。攻撃部隊には呂布・陳宮に、彭城(ほうじょう)を抜け出した華雄の率いる総数1万5千ほど。広陵に篭る軍勢は少ないようで、数は1万もいないのだという。それなら、攻める兵数がもっと多くするべきでは、と思うのだがすぐに「ああ、呂布がいるからな」と心配することをやめた。呂布一人で一万・・・どころか、もっと多くの働きができるだろう。黄巾3万をほぼ一人で殲滅したというのは伊達ではない。小沛(しょうはい)があっさりと陥落したのは、彼女の働きも大きい。最初こそ戦う気満々であった笮融だが、様子見で繰り出した先遣隊2千が呂布一人に蹴散らされた事に肝を冷やし、軍勢を纏めて逃げ出したのだという。追撃を考えない訳ではないが、陶謙に占領されるのも困るし、将兵も疲労している。自分達の足場にするつもりなのだから、とまずは小沛に入城した、という流れだ。この時点で、曹豹率いる徐州軍は彭城へ到達していない。小沛守備隊に張遼・陳宮。そして、この時点では死亡した事にされている董卓親衛隊の張済・張繍兄弟。また、小沛攻略時にそこそこ活躍したらしい曹性(そうせい)・魏続(ぎぞく)・宋憲(そうけん)・侯成(こうせい)といった面々も武将として採用されてた。兵力も2万ほどであり、守るだけならば問題の無い程度だ。賈詡は広陵を攻め落とした後、直ぐに彭城へと向かうつもりであった。その頃には、恐らくだが曹豹が彭城を制圧しているだろう。約束を守らなかった、という名分をもって彭城に篭る軍勢を広陵・小沛から出撃させる軍勢で挟み、そのまま攻め落とす。然る後に下邳の戦力を封じ込めている高順の元に援軍を向かわせ、できる限り短時間で下邳を陥落・・・というのが現状における賈詡の考えである。陶謙がそこまで大人しくしているか。自分の目論見どおりに彭城を落とし、高順の元へ援軍を派兵できるか。陶謙を倒し、まともな政治を行えば徐州の民が不満に感じることは・・・最初はあっても直ぐに忘れるだろう。。豪族連中も重用してやれば文句を出す事もない。もっとも、彼らは未だに敵であるし、陶謙政権を打ち倒して登用すれば大きな態度は出来ない。最初からこちらに寝返るなりしていれば権益を確保してやったり、と色々と五月蝿い事になるのだが、幸か不幸かこちらに協力しようとする徐州の豪族は未だいない。この戦い、既に賈詡は勝利を確信している。呂布に勝てるはずも無い笮融、半ば孤立しかかっている曹豹。高順隊6千に囲まれ、動きを封じられている陶謙。高順が上手く押さえ込めなければ小沛まで撤退させればそれで良い。速攻での勝利は達成できないが、それだけだ。それ以降の戦いで他勢力の介入が無ければ絶対に勝てる。もっとも、と賈詡は心中で付け加えた。陶謙如きが、「陥陣営」を向こうに回して、どうにかできるはずもないでしょうけど、ね。その頃の下邳。高順は着々と攻城準備を進めていた。投石機から打ち出すために大量の石を運び込んでいるが、下邳側からは見えないように布やら天幕やらで隠している。下邳の城門は東西南北4箇所。「兵力」では高順側が大きく劣るが「戦力」で考えれば高順側が陶謙よりも勝る。一気に2万3万の兵力で攻められれば、勝ちは難しいかもしれないが、同数程度ならば打ち負かせる自信はある。また、高順本隊が陣を敷いているのは南西に近い場所だ。これはいつ呂布の援軍が来てもいいように・・・直ぐに合流できるように、ということだ。兵力は約2千強。他の城門には500ずつ、一方面に付き一武将を配置。投石機も大岩発射型と拡散型一門ずつ、合計二門・・・と、本気の布陣だ。高順の陣地のみ拡散型である。南には高順隊。西・楽進。東・干禁。北・李典。(ここまでが兵力500)趙雲隊は遊撃隊として、苦戦する陣があればそこへ向かう。彼女の兵力数も2千強。約6千だが、彼らの半数は輜重隊を兼ねてもいる。対して陶謙側の兵力は約3万。曹豹率いる1万が主力部隊だが、陶謙は守備だけならば2万あれば充分と考えている。城外に布陣する高順隊が総数6千前後であるし「攻城に必要な人員は守備側の3倍以上」の考えからすれば、それはそれで間違ってはいない。だが、そうとは限らない場合もある。3倍以下の兵数で城を攻略した事象が無い訳でもない。高順にしても本気で攻め落とせるとは思っておらず、少しずつでも陶謙の戦力を削げば・・・程度の認識だ。が、落すともりはなくても攻撃する気は満々らしい。数を削げば削ぐほど後がやりやすくなる。さて、下邳側というと、いつ呂布に攻められるかと戦々恐々としていた。陶謙本人は「あんな若造に負ける訳が無い」と考えているようだが、陳登や糜竺らはそう思っていない。彼らが積極的に呂布軍を攻める意見を出さないのも、陶謙と呂布、どちらがより徐州を治めるに足る人物か、と天秤にかけている側面もある。もっとも、趨勢はほぼ呂布に決まった感がある。相手を甘く見てしまいがちな陶謙を支えてきた陳登達だが、ここまで追い詰められて方策が浮かんでこないというのは致命的だ、と思い始めている。呂布を厚遇して、上手く自分のコマに・・・という当初の指標を「やはり、奴らに徐州3郡を渡すのが惜しい」と自分であっさり覆し、いらぬ反感を買って・・・と、どうしようもない状態だ。その上、目の前にいる高順隊を懐柔できるでもなく、むしろあの程度の猿知恵に振り回されて、ではどうしようもない。それでも、呂布が3郡を取り戻すまで待ってから用意の整っていない隙を突いて奪還、という策を取るのならばまだしも・・・。まだこちらの用意すら整っていない状況でご丁寧に戦力を分散させてしまっている。このままでは、各個撃破されて余計に追い込まれる。というのも解らなくなるほど耄碌しているようにしか見えない。彼ら徐州豪族は「徐州をよりよい方向へ治めてくれれば」呂布であろうと受け入れるだろう。陶謙には政治的能力が無く、周りの臣下によって経営されている状態でもある。陳登、そしてその親である陳珪は「高順と渡りをつけるべきか。それとも、彼らが城を攻める前に土産を持って降伏でもするか?」と考え始めていた。彼らが陶謙を見捨てる考えを持ち始めた頃に、下邳からは夜影に紛れて脱出を試みる人間が増え始めた。いや・・・脱出、というよりも陶謙の手の者による、他方への救援要請の密書を持つ工作員というべきか。自分と争っていた曹操、平原の劉備、袁術・袁紹・・・誰彼構わずであった。それも高順の手元にいた楊醜と馬日磾。そして、未だに陣中にいる華陀(というか卑弥呼と貂蝉)によって全て阻止されていた。その時の状況:「何だか今日はやけに騒がしいなァ」「お前初めてなんだろ? 力抜けよ。」「やめてくれええええええっ!」「ぎゃああああぁァッー!!?」・・・。聞かなかった事にしてください。そうやって工作員を狩り続けた高順の手にも、当然密書が渡る。内容は「暴虐な呂布に攻められて困ってます。誰かプリーズヘルプミー(意訳)」というものである。笮融の問題を呂布に丸投げして、その問題が終わっていないというのに呂布を排除しようとしている、ということだ。高順も怒るよりまず呆れてしまった。それなら自分で何とかすれば良かったじゃないか・・・。とは誰もが思うだろう。人を見る目がないというのか、老化して史実の孫権の如くボケたのか。これだけで攻める口実はできたも同然だがどうするか。このまま攻めても袋叩きにされるだけだが、さて・・・呂布を待つか、それとも独力で攻めてみるか。名分が必要にもなるだろうが、これだけ馬鹿にされて黙っているつもりはないし、人・物資の流通を妨げているのも「陶謙のせいですからー」と言いふらしてもいる。影が噂を流してけっこうな時間も経つし・・・攻めない理由も無い。陶謙からしても、全ての工作員が狩られたと解った様で「城外の部隊を殲滅してから」という気持ちになった。こうして、お互いに開戦を決めた頃・・・。呂布軍が広陵に立て篭もる笮融を攻め滅ぼし、同時期に彭城を占領した曹豹の部隊に対しての押さえとして、自身が5千の軍勢と共に再出撃。小沛からも張済・張繍兄弟が6千ほどの兵と共に彭城へ向かう。華雄隊は若干の守備隊を広陵に残留させ、高順隊の後詰として出撃。その数は約5千。攻め落とすつもりの後詰ではなく、呂布軍が彭城を落とすまでの時間稼ぎ。そして、華雄らが下邳へと向かっている最中。陶謙は糜竺の弟である糜芳に1万の兵を預け城外へと繰り出していた。当然、重臣連中は止めたが「これ以上は黙っておれん!」と無理やり出撃させたのだ。これで、後に退く事は出来なくなったか・・・と、心ある人々は自分達を待つであろう暗い未来に溜息をつくばかりであった。~~~下邳城外~~~李典は城門が開き、兵が打って出てくるのを見ていた。「おーおー。出てきよったなー。」東西南北の格門から3千弱の兵が出撃している。まともに戦えば袋叩きにされるだろうし、門向こうにはまだ控えの軍勢がいるかもしれない。しかし。「ぬっふっふ、うちらが下邳に向けて陣地構築したんは無駄やなかった、ちゅーわけやな。」李典は後方に控える投石部隊に手を振って合図を送る。大岩発射型は遠くに、拡散型は近くに配置してある。李典だけではなく、干禁、楽進、高順の陣も同じように投石機が配置されている。高順達は陶謙への嫌がらせだけをして過ごしていた訳ではない。虎牢関の戦いの時に「どの角度で発射すればどの距離まで届くか」というデータくらいは取ってある。それにあわせて角度と距離を調整しつつ、陣の構築を行っていたのだ。拡散型は陣地の前面、つまり陶謙の兵と交戦をする場所に岩が落ちるように。大岩発射型は、岩が城門の直ぐ目の前に落ちるように。ある程度狙いが外れるのは仕方なく、実戦で誤差修正を行う。拡散投石で相手は間違いなく驚くし兵力も削げる。それだけで相手の足は鈍るだろう。何十にも柵を巡らせてその後ろから矢を放ち、趙雲率いる騎馬隊・・・機動部隊と言っても良いが、彼女の部隊が苦戦している部隊を援護する。李典の部隊は他の部隊よりも射線・射角を読んで誤差修正を計ることが出来るし、投石部隊も正確にその攻撃力を発揮できるだろう。楽進は自身の気を使用した散弾で遠距離からの攻撃が出来る。高順の部隊は・・・もう、言うまでも無いような気がする。ああ見えて戦い方が上手いと言うか何と言うか。高順隊の強さは、武将の行動に兵がきっちり従うというところにもある。高順が前に矢を打てば兵も同じように前に矢を放つ。左に打てば、左に。右であろうと同じ。部隊全員が1つの行動をきっちりとこなす、ということができる部隊である。兵が自分勝手な戦いをしない、というところが強みといえる。そんな中、一番苦戦するのは干禁だろうと思われる。彼女はどんな分野でも才能を発揮できるがこれといった何かが不足している。兵を扱うのも上手だし、戦闘力も高い・・・が、他の武将に比べて凄みが足りないというべきだろうか。だから、というわけでもないが・・・。彼女の陣には本当にどうした事か、卑弥呼・貂蝉・華陀がいた。「沙ぁ和ぁちゅわぁんっ! 何があろうとあたしたち、真の漢女に任せておけば安心よぉうっ!」「我々が参加する謂れは無いが・・・。だぁりんが「怪我人が出るのを解っていて放っておけるか」と言うのでは仕方ない! 我ら真の漢女道継承者の力(だぁりんに)見せてくれよう!」2人に挟まれた格好になる干禁は頭を抱えていた。「あうぅう・・・どうしてこんな事にぃ・・・。」卑弥呼と貂蝉は誰でも普通に真名で呼ぶ。「すまないな、干禁。だが・・・卑弥呼の言うとおり、怪我人が出るのを解ってて去ることなどできないしな。俺達も手伝わせてもらうぜ!」一人まともな華陀だったが、彼は積極的に戦闘に参加する訳ではない。あくまで救護班、衛生兵のような扱いだ。もっとも、華陀本人もかなりの強さである。そうでもなければ旅などできるはずも無い。だがもう1人、呼ばれてもいないのに出てくる奴がいた。楊醜である。「良い事思いついた。お前ら、俺と組め。」と卑弥呼たちに言って、即席であるが3人で組んでいるのだ。「ふっはっは! 楊醜、貂蝉! ワシの心は今、赤く萌えておるっ!(性的な意味で」「んっふっふっふぅ♪ 楽しみねぇ(性的ry」「きっと良い気持ちだぜ(性ry」おかしな笑みを浮かべる3人を見て、干禁は泣きそうであった。「高順さんの馬鹿ぁあああぁああーーーー!!!」・・・ある意味、干禁の陣地に向かってくる「男性」兵士が一番哀れと言えるかも知れなかった。「ふん、もう我慢の限界ってか。頭の悪いお子ちゃまとそう変わらんな。」自分から嫌がらせをして、嫌がらせを返されたらぶち切れる。この程度で音を上げるようではな・・・と、虹黒に跨り馬上の人となった高順は冷たく笑った。見れば、敵勢は矛を構えてこちらに進んでくる。これでもう、向こうは言い訳が出来ない。完全に手切れとなったわけだ。遠慮はしないからな、と呟いてから高順は手を上げた・・・いや、他陣地の主将も。「投石部隊、撃てーーー!」手を振り下ろしたと同時に(高順の部隊のみ拡散型だが)大岩発射型・拡散型が岩(石)を飛ばした。その岩は、東・西・北の城門に命中・・・せずに、城門の直ぐ目の前に着弾。「城門の開け閉めが出来ない」ようにした。また、遠間から握り拳大とはいえ大量の石が下邳から出撃した部隊へと降り注ぐ。悲鳴と怒号と混乱が陶謙軍を駆け抜ける。「う、うわ・・・何だ、何で岩・・・うわ、また来た・・・ぎゃあぁっ!?」幾度となく降り注ぐ石の塊に打ち抜かれ、1人、また1人と命を失っていく。陶謙軍の混乱を見て取った李典は思わずガッツポーズをした。「っしゃあ、大当たりや! 今のうちや、撃て! 撃って撃って撃ちまくれーーー!」「おーーー!」李典の命令どおり、兵はありったけの矢を混乱しきっている陶謙軍へと打ち込む。楽進隊・干禁隊・高順隊も矢を放ち、趙雲隊も騎射を行う。投石部隊も石を積み込んでは放ち、を繰り返す。陶謙軍もただ混乱してばかりではない。騎馬隊は各門出撃部隊に1000ずつはいる。開戦から僅かな時間で各部隊は百以上の兵を失っていたが、数の多さを恃んで一気に柵を突破しようとする。だが、南門の軍勢以外、引く場所が無い事に気付いた者は少ない。騎馬隊は、馬を駆り一気に防御柵へと突進。歩兵隊も続き、城門の上にいる守備隊も矢を放つ。しかし、防御柵は幾重にも張り巡らされており、一段抜こうが二段抜こうがそれほどの影響は無い。その柵の防衛部隊が長槍を構えているので容易に近づく事もできない。長槍に阻まれて怯んでいる内に矢で射抜かれ、落馬、あるいは絶命していく陶謙騎馬隊。足の遅い歩兵隊も投石器の餌食になる者ばかりで、守備隊の放つ矢にいたっては高順隊に届いてすらいない。「・・・曹操・孫策・劉備相手だったらこうは上手くいかないだろうな。」高順はきわめて正統な感想を口にしていた。後方に下がりつつ引き込んで、火計に巻き込む、とか考えていたのだが。こっちから突撃をするまでもなく、あっさり崩れていく陶謙軍。南門から出撃してきた部隊は既に退き始めている者さえいる。連合軍の弱い諸侯ですらもっと手応えがあったな・・・と、嘆息しつつ、北・東・西から逃げてくるであろう陶謙軍の残存兵力を待ち構える高順であった。同じ頃、李典・楽進の部隊も高順同様「こんなに楽に勝てた事は一度も無かったな」と思うほどの完勝を収めていた。岩に阻まれ、門を通る事ができないので南に逃げるしかないが、そこを趙雲隊が追撃。散々に斬り散らしていく。ただ、干禁だけはそうはいかなかった。干禁に不利な状況だった、というわけではない。どちらかと言えば陶謙軍にとって不利と言うべきだったが・・・。以下、ダイジェストでどうぞ。「ぬっはっはっは、足を踏ん張り腰を入れんかぁっ!そんな程度では弱い漢女のワシ一人すら倒せんぞ!」「うわあああ、化け物だ! 矛も戟も刃が通じねえええっ!?」「だぁれが、筋肉モリモリの花も枯れ地もやせ衰える化け物ですってぇええぇっ!?」「んな事誰も言ってねえし意味わかんねぇよっ! ・・・って、うわあああ、こっちにも腰をカクカク動かす変態がぁああァッー!!!」「や ら な い か? 」「あおおっー!」(ヘブン状態で崩れ落ちる陶謙軍兵士)「もういやあああああああああああああああああ!!! 誰か、誰かあああああああああああああっ!!!!?」「う、うわわ・・・さっきまで後ろにいたのにいつの間にか前にーーー!」「全門の虎!」「肛後門の狼ってところかしらぁん?」「字が違うような・・・た、たすけて・・・かーちゃああああああぁぁあんっ!!!」「・・・。」←呆然としている干禁。「・・・・・・。」←同じく呆然としている兵士達。「あの三人、随分頑張っているな・・・。」←よく解っていない華陀。・・・。まさに、阿鼻叫喚。地獄絵図そのものであった。 と、まぁ・・・こんな訳で、下邳城攻防戦は終わりを告げた。「陥陣営」という名を発揮するまでもなく、あっさりと終わったのだ。南門以外を全て塞がれてしまった下邳。兵を出して岩をどかすには、雲梯(はしごの様な物)で城壁から降りるか、南門から出るしかない。が、雲梯で兵を降ろそうにも矢や投石で狙われ、南門には高順・趙雲隊が待ち構えている。何度か兵を繰り出そうとしては阻止される、と言うことが続いて最終的には城に篭ってしまっている。今回の攻防戦で討たれた陶謙軍の兵士は二千とも三千とも言われる。負傷、降伏したものはもっと多かった。高順隊にも少なからず死傷者は出たが、それでも陶謙に比べれば僅少といえる。その辺りは華陀らに任せているのだが、時折、負傷者を収容した天幕からは「助けてえええええっ」「もう嫌あああぁぁあ」など、悲鳴に近いものが聞こえてくる事が多々あった。悲鳴の聞こえてきた天幕で治療行為に当たっていたのは卑弥呼と貂蝉である。それは置いておき、高順としても悩みがあった。降伏・負傷者を受け入れたのはいいが、食料や飲料水に不安が出てきた。その辺りは後続として進軍している華雄に頼めばいいのだが・・・もう1つ。夜毎、下邳から高順側と接触を図る陶謙の配下が出始めたということだった。兵士の逃亡も多く、陶謙としては高順以上に頭を悩ませるのだが・・・接触を図ってきた中には陳登、今回の戦いで完全に打ち負かされた糜芳と、その兄である糜竺や孫乾という、後に劉備を支えた人々までも。もしも彼らを信じるのであれば、この時点で陶謙は完全に徐州豪族から見放された、と言っても良い。高順は半信半疑であるが、一週間を越えた頃に華雄が合流。更に数日後、彭城を攻略、曹豹を下した呂布が賈詡を伴って下邳に到着。張遼は投降兵を伴って小沛に帰還。その後に下邳へ向かうらしい。広陵は、張遼から離れた張済・張繍兄弟が守備。高順との間に先端を切り開いて数週間。下邳は完全に囲まれた。下邳の残存兵力は逃亡兵が相次いだ事で1万以下。臣下と運に見放された陶謙に打つ手は無く、その上、配下である元黄巾の将であった張闓(ちょうがい)に捕縛され、降伏の手土産にされてしまう凋落ぶりであった。こうして、徐州はほぼ呂布の手に落ちた。だが、西隣には曹操。南では大なり小なり、野心を持った群雄がしのぎを削っている。まだまだ予断を許さない状況であるが、ようやくに呂布は確固・・・と言えないまでも大きな足場を得た。そこに曹操や劉備が介入を果たしてくるのは、もう少しだけ先のお話。~~~楽屋裏~~~・・・例の三人、やりすぎ。あいつです(挨拶なんか、母上どころじゃないほどのアレっぷりですが・・・まあ、うち2人は原作でも暴れまわってますしね!このシナリオで華雄姐さんが強いのも化け物2人を同時に相手にして、ほぼ互角だったからです。・・・ほんと、華雄姐さん凄いなぁ。陶謙を捕らえる汚れ役は、徐州大虐殺の一端を作った奴に務めて頂きました。汚れ役がいるのはすばらしいですね?・・・ちなみに、陶謙さん。多分処刑されたのではないでしょうか。次の話で書くの面倒なのでw或いは、呂布の眼光にびびって心臓が止まったり。いい所なし。・・・さて、次回からは徐州的日常ですかな?ちょっぴりだけ戦後処理・・・するかなあ(笑では、次回お会いいたしましょう。(ノシ( ゚∀゚)o彡゜・・・あれ?(汗