【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第55話 徐州へ。呂布軍は兗州(えんしゅう。陳留などがある)を抜け徐州へ向かった。もしかして、曹操や連合軍の都市残留部隊と鉢合わせをするか、とも思えたが数万からなる軍勢に手出しをするつもりも無かったようで案外楽に通過できた。呂布側としても、いきなり城攻めをして周りを刺激する事もないし、できる余力も無い。当面の懸念があるとすれば3つ。まず、食料だ。今はまだ何とかなっているが、このような流浪状態が続けば兵を食わせていけない。どこかの村を襲って、と考えたところで数万の軍勢を養える食料があるはずも無い。そして2つ目。兵の逃亡が相次いでいるという事。これはどちらかと言えば仕方のない話だ。これから先の展望が望めない、と離れていく兵士。もともと官軍で董卓や呂布に仕える義理の無い兵士。(高順もだが・・・色々と事情はあったが、当初は6万を越えた軍勢も今は4万以下にまで減っていた。そうやって離反していった兵士が村落を襲う盗賊となってしまう可能性も高い。兗州で逃亡した兵が多いので、曹操が呂布を攻める口実にもなりかねないな、という話でもある。3つ目は、陶謙(とうけん)の態度。徐州に入った後に、陶謙から接触を図ってきたのである。一応の渡りをつけるために、賈詡は(名目上の総大将である)呂布と張遼、兵士5千を引き連れて下邳(かひ)へと向かっているが、内心で「何を考えているやら・・・ある程度はわかるけどね」と考えている。残りの人々は、と言うと小沛(しょうはい)よりも何十里も東に野営している。小沛は下邳よりも西にある土地で、その付近にいるというのは一応、陶謙に遠慮をしたからである。ただ、何と言うか・・・小沛を通り過ぎたのは異様な雰囲気を感じ取ったという事もある。陶謙も陶謙で呂布に接触を図ったのも目論みあってのことだ。陶謙という男、人を取り立てることは好むが、その一面で悪人を重く用いたり、人物の起用を根っこから間違えてる事が多い人だった。軍事能力にはある程度長けていたし、賊を信任したというのも利用して簡単に捨てられるという事もあったのだろうが・・・。黄巾の残党や盗賊を使って他州を荒らしたり、と殆ど盗賊の親玉のような人物である。高順にしても「裏はあるだろうな。・・・お互いに利用しあおうとしてるのだろう。」くらいは想像がつく。「何とか小沛とかに入って、早期に陶謙除いて徐州取れればねぇ・・・。」割と恐ろしい事を言う高順である。と言うのも、彼も自分の提案を却下されてあっさりと譲ったのも別の着地点を考えたからだ。史実では曹操と陶謙のいがみ合いで、助けを求められた劉備が徐州へ向かう。そして、手薄になった曹操の根拠地を呂布が攻め獲る、という流れだった。その後に、劉備が徐州を譲られたり、結局は曹操に負けた呂布が劉備を頼ったり、ということもあるのだがそれはともかく。今は順番そのものが大きく違っている。曹操と戦わずに呂布は徐州入りを行っている。何とかして地盤を得て、下邳も奪える事ができれば。劉備を迎えずに徐州統一を果たす事ができれば。当然そう上手く行くはずもないが、劉備・曹操・呂布の三つ巴にならず、劉備か・・・可能性として高いのは隣の曹操だが、そのどちらかのみを相手にする、という流れならばまだ何とかなる公算がある。この頃の曹操も、それほど外部に対して積極的に動く事が出来ないはずなのだ。(逃亡した呂布軍の兵士が何をするかわかったものではないが、それはともかく)また、袁術の影響力が史実より大きいという事にも着目している。こちらが膝を折ることになるだろうが、曹操に対しての牽制を仕掛けさせることが出来ればもっとやりやすくなるのではないか、と考えているのだ。ここで負ければ自分ひとりの命ですまないのだから、と高順は色々と考えている。(まぁ、自分でも考え付くのだから賈詡先生が考え付く無い訳が無いよな・・・。さて、と。)色々と考えながら高順は華雄の天幕へと向かっていった。 天幕にて。華雄は座り込んでじっと自分の手を見つめていた。何があるわけでもない。今の彼女は汜水関で孫策に敗北を喫したとき以上に打ちのめされていた。ずっと自分に付き従ってくれた華雄四将のうち、三人に先立たれた。残っているのは徐栄のみ。しかも、三人揃って自分に許可無く勝手に逝った。徐栄も落ち込んでいるが、自分が落ち込んでしまっては華雄様に更に辛い思いをさせる、自分がしっかりしなければ、と半ば強がって平静を装っている。家族同然に思っていた戦友達を、いつの間にか殆ど失ってしまった・・・、と、落ち込んでしまった華雄。当初は華雄も下邳に赴く予定だったが、こんな状態では連れて行けないと判断されて置いていかれたのだ。高順も周りから「何とか慰めてあげて欲しい」と言われているが、ここで慰めたところでどうしようもない、と高順は考えている。同じ痛みを知っているからこそ、したり顔をせず何も言わないほうが良い、と言うときもある。こればかりは自分の中で整理をつけるしかないのだ、と思って何も言わないようにしている。それでも側にいて見守る、ということはする。ほぼ日課になってしまったそれをする為に、高順は静かに天幕へ入った。「・・・。」「・・・。」お互いに何も言わない。高順は華雄の隣に座り込んだ。もう、何度と無く同じことをやっている。最初は急に涙を流したりと精神的に不安定だった華雄も今は多少落ち着いている。時間が過ぎていく中、不意に華雄が口を開いた。「なぁ、高順。」「ん・・・何です、華雄姐さん。」「お前も今の私と同じ気持ちを・・・ずっと、今も抱えているんだよな。」「・・・そうですね。」華雄は家族同然の戦友を。高順は敬愛する主君と友人、多くの仲間を失った。あの時の辛い気持ちと、もう2度と皆には会えないのだ、という胸にぽっかりと空いた空虚な何か。高順は今も尚、その気持ちを抱え続けている。なのに何故、自分は今ここにいて、そして張遼と関係を持ってしまったのか、と考えると苦笑したくなってくる。「・・・。辛いな。」「ええ・・・。」その日交わした言葉はそれだけだったが、ある程度持ち直したのだろう。この日以降、僅かに元気を取り戻し始める華雄だった。さて、下邳・政庁では。「・・・と、いうことでしてな。我々も困り果てておるところで。」腹に一物も二物も抱えていそうな顔の老人が玉座に座って、賈詡と話をしている。陶謙である。周りを武官で固めているが、賈詡の側にいる呂布相手では話にならないだろう。少しでも交渉を有利に、と張遼と兵士5千も下邳の外に待機させているのだから、おかしな真似はすまい。「なるほど。つまり、賊を退治していただきたいということね?」賈詡の言葉に陶謙は頷く。「本来は我々の仕事ですがの。戦力が乏しくてそれすらもできぬのです。」作り笑顔で笑う陶謙。(ちっ、ボケ老人め。よくもまあわかり易い嘘をつくものよね・・・)賈詡の考えどおり、全くの嘘である。黄巾残党を一部取り込み、反董卓連合に参加しなかった徐州には戦力があるはずなのだから。唾を吐き捨てたい衝動に駆られながらも賈詡は話を続けた。「では、確認を。小沛を主にした反乱軍・・・名は笮融(さくゆう)かしら。彼らの占領した徐州三郡(小沛、彭城、広陵)に篭る反乱軍を討てば、三郡そのまま譲っていただける、と。」「ええ、その通りです。」「随分と大盤振る舞い・・・と言いたいところだけど、主力となる数部隊を残せと言うのはどういうことかしら?」これは、陶謙が最初に提示した条件である。「ほっほっほ。それは当然でしょう。小沛はこの下邳と程近い。もし笮融が軍勢を派遣すればどうなるのです?」「それこそ、陶謙殿ご自慢の曹豹(そうひょう)殿・・・彼の率いる丹陽兵の出番ではありませんか。」丹陽というのは主君である陶謙の出身地だ。そして、陶謙と曹豹は同郷。陶謙にとっては股肱の臣であり徐州軍の最高指揮官であるといっても良い。「ほっほっほ、そうは申されましても困りますな。我々だけでは守りきれぬ、ということでもあるのです。お受けできぬのであれば、この話は無かった事にしてもいいのですぞ?」「・・・。」ならば頼むな、と言いたいところだが・・・悔しいが、陶謙の言うとおりである。あくまで自分達は保護を求める立場なのだ。向こうの言い分に従わなければならない。「・・・はぁ、良いでしょう。それで? どの部隊を残せというのかしら?」「高順一党ですな。」「・・・!」そういえば、高順は一時期徐州に身を置いていたという話を聞いた事がある。その際に蹋頓らを迎えたと聞いているし、陶謙に招かれて断ったと言う話も聞いた。しかし、その時に断られたと言うのにまだ根に持っていたのか、それとも高順を本気で迎えようとしていたのか・・・。賈詡としても、できれば乗りたくない提案である。李典の扱う投石機とその部隊は城攻めにどうしても欲しいし、野戦となれば呂布隊に勝るとも劣らない高順・趙雲騎馬隊の攻撃力に期待しているからだ。「宜しいのですか。高順一党にはあなたの嫌う異民族が多いのですよ?」「何々、防御戦力としてならば全く構いませぬ。」「では本人達に了解を」「いやいや、ここで答えをお聞きしたいですな。」にやにやと笑って陶謙は返答を迫る。本人からは断られる可能性のほうが高いと自分でもわかっているのだろう。陶謙は呂布軍を飼いならそうとしている。その為に高順隊を手元において人質としても戦力としても活用するつもりなのだ。高順隊が戦力をすり減らそうが、徐州軍にとっては痛手にもならないのだし。「・・・そうですか、どちらにせよ決めるのは我が主。どうするのです、呂布殿。」その笑みに嫌悪感を隠そうともしない賈詡の言葉に、呂布は少し迷った素振りを見せる。彼女も高順一党が使用できないと言う状態が苦しい事態になるのがわかっているからだ。だが、受けねば他の部隊、兵士の住む場所も確保できない。ソレを思えば、「・・・受ける。」としか返答の仕様が無かった。「おお、受けていただけますか! では、兵糧を必要な分お譲り致しましょう。早速出陣してくだされ。」陶謙は「いやあ、良かった良かった」と言っているが、呂布はちくりと一言言うのを忘れなかった。「・・・こーじゅん達に危害を加えるのは許さない」と。「むっ・・・」呂布は、人づてに陶謙の人柄を聞いていた。高順が誘いに応じなかったのは、陶謙の性格を知っていたからだ、とも聞いている。実際、陶謙は自分の登用に応じない者を獄に繋ぐ、という事をしている。もし、高順達を呂布軍から引き抜こうとしたら。それを断られた腹いせに彼らに危害を加えたら・・・。殺す。「ひっ・・・!」呂布の殺意の篭った視線に射抜かれて陶謙は恐怖した。「賈詡、帰る。」「へ、あ、・・・うん」政庁全体に寒気を感じさせるほどの純粋な殺意を叩きつけて、呂布と賈詡(彼女も真っ青になっていた)はその場を去っていった。「・・・う、くっ・・・」曹豹を始めとした武官も金縛りにあったような状態に陥り暫く動けないでいた。ようやく動けるようになった曹豹は慌てて陶謙の元へと走りよる。「と、陶謙様・・・はぁっ!?」陶謙の姿を見た曹豹は愕然とした。陶謙は白目になってよだれと鼻水をたらし、しかも・・・小さいほうだが漏らしていた。「へ、へへっ・・・へひひっ・・・。」「のおおお!? と、陶謙様ーーー!?」おかしくなったのか、変な笑みを見せて時折「びくっ!」と震える陶謙であった・・・。~~~野営地~~~「ふっ・・・ふざけるな!」事の次第を賈詡から聞いた趙雲や楽進は彼女に詰め寄り、或いは掴みかかった。「うくっ・・・」「そんな大事な事を我々に一言も聞かずに決めるなど・・・! どういうつもりなのだ!?」「せや! うちらを何や思てるねん!」「幾らなんでも扱いが酷すぎるの!」「・・・確かに、許容できる話ではありませんね。」皆、思い思いに文句を言う。だが、賈詡にせよ呂布にせよ、納得してこの話を受けたわけではない。状況が許すのであれば自分達が文句を言いたいところなのだ。「やめなさいって、」「高順殿・・・なぜそう落ち着いていられる!?」見かねた高順が止めに入る。趙雲に睨まれたが高順は恐れを感じていない。「陶謙ですよ? ある程度こうなる事も予想できましたって。俺達と数万の兵士。どっちを取るかと言われれば決まっているでしょう?」「ですが・・・」「それに、笮融を討っても実際に三郡を譲って貰えるとは限りません。難癖付けられて追い出されるとかになりますよ、きっと。」賈詡もそれには同意である。こちらを利用して不要になれば捨てようと言うのだろう。わかり切っている事態だからこそ対処も考えうる。「・・・ところで、笮融というのは何者だ。兵力とかは解らないのか?」沙摩柯の質問に、賈詡は自分が聞いた情報を話しはじめる。「元々、食糧輸送などを担っていた陶謙配下よ。でも、自分の権限で好き勝手をして、小沛の相になってからはソレが更に酷くなった。」そして、この時代ではそれほど知られていなかった仏教を信奉しており、大規模な寺院を建てて「お布施」と称して民衆から金を巻き上げてもいる。仏教の布教、と言えなくも無いが私利私欲で動いているに過ぎない。その兵力はさほど多くないが、宗教で繋がっている連中とはとにかく厄介だ。信仰心を最大の武器にしていた黄巾賊に漢王朝が大いに苦戦した、という前例もあるので賈詡は油断をしていない。そのような相手に3万の軍勢で戦わないといけないので苦戦は免れないな、という覚悟もしている。「・・・しかし、我々は納得できぬ。そのような大事を何故勝手に決めるのだ!」事情はある程度わかるのだが、趙雲はまだ怒りが収まらない。蹋頓ですら機嫌が悪そうにしている。「・・・ごめんなさい。でも、こうする以外に何かやり方はあったと思う?」「それは・・・。」言い争いをする両者の間に入るように、高順は会話に割って入った。「はいはい、不毛な争いをしないの。・・・でも、賈詡先生。これは貸しにしますからね。」「高順・・・。」「高順殿・・・!」「さっさと行ってさっさと片をつけてください、そうすりゃ何とでもなりますって。呂布がいるんだからおかしな事にはならんでしょ。」話を向けられた呂布は「うん」と頷いた。色々とこんがらがったが、とにかく呂布軍は小沛へと進撃した。高順隊は東・・・下邳へと向かっていく。何も言わずに進んでいく高順だったが、周りの人々は当然と言えば当然だが、未だに不満を露にしている。「・・・隊長。今回ばかりは納得できません。」「左様、この頃は我らの事を軽んじているように見受けられます。呂布も、高順殿も。」楽進と趙雲が言い募ってくる。「そうだな・・・そう思われても仕方ないと思うよ。」「なら、何故。」「俺だって頭にくるさ。怒ってばっかじゃどうしようもないし、皆が怒ってくれたから逆に冷静になれたともいえるんだけど。」何とか皆が生き残れるように、と思ってもソレも難しいものだよなぁ、と呟く。「でもね、俺は陶謙の思い通りになどなってやるつもりは無いよ。向こうが嫌がらせしてくるのならこっちも嫌がらせをしてやる。」「嫌がらせ・・・?」「俺達に壁になれと言うなら、望み通りにしてやればいいのさ。」「・・・?」陶謙、俺達はあんたに仕えるつもりは無い。それに、だ・・・壁というのは敵だけじゃなくて味方ですら阻むのだぞ。不敵な笑みを浮かべる高順に、回りの者は不思議そうな表情を見せた。その後、高順一党は下邳へ向かい「城の外に布陣」した。陶謙の使者が何度もやって来て城の中へ招き入れようとしたが「我々は下邳を守る壁の役割を仰せつかっています。それ以外の命令は聞いておりません。」と全く取り合わない。その上、城の外に布陣をしているので商人やら何やらが近づかなくなってしまった。通してもらおうとする人々もいたが、高順は余程の事がない限りまず下邳に入れさせない。業を煮やした陶謙が「これはどういうことか!」と問責の使者を送ったが高順は使者にこう返答した。「商人や住人を装った笮融の配下がいるとも考えられます。下邳を守らなくてはいけないので、笮融が滅びるまでは我慢してください。」「いや、ですが・・・。」「入りたがっている方々には「皆様には気の毒だと思いますが、我々の役目です。文句があるのなら命令を出した陶謙様にお願いいたします」と説得をさせていただきました。素直に帰っていただけましたよ。」皮肉を交えた返答だったが、陶謙としては呂布に恐怖心を抱いているし、守備部隊と言う名目で高順隊を置かせたのだから何とも言い返せない。趙雲達も、高順がこういった皮肉とか本気で意趣返しをするのを初めて見た。だが、少しは気が晴れたのか、それともストレス解消の為か。全員が全員、ノリノリで自分の仕事(物資・商人の流入の邪魔)をこなすのであった。陶謙の機嫌を損ねるだろうし、住民にはあまりに気の毒だが。約束を反故にするのであれば、こちらも相応の行動をするだけだ・・・。高順は陶謙に対して、呂布に向けるのとは違う憎しみだけの殺意を燃やしていた。~~~楽屋裏~~~えろちっく艦隊再びかも(謎)、あいつです(挨拶さて、陶謙への嫌がらせ開始です。あ、当然ですけど陶謙には三郡渡すつもりは無いですからね(え結局は武力で徐州を手に入れる事になるのでしょう。さて、ようやく史実みたいな流れになってまいりました。このまま突っ走りたいと思います。でも、えろちっくは徐州なり小沛なり手に入れないと書けないんだ、すまない。え? XXXなんてどうでも良いって? そんなことより早く打ち切rちょっと待て貴方達どこから侵入(ry・・・(´・ω・`)ショボーンでは、また次回お会いしましょう。