【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 番外編その3劉備さんと高順さんが中身の無い議論をしてみたでござる。の巻。~~~北平。城の中庭にて~~~「う、うう。高順さんの言う事難しい~・・・。」頭から湯気を「ぶしゅ~~~」っと上げながら劉備は机に突っ伏した。彼女は高順にお願いして勉強を教えてもらっている。蘆植という人の下で公孫賛と共に学んだはずなのだが、お気楽ご気楽な劉備はあまり勉学に熱心ではなかったようだ。人の上に立つなら必須な事とか、そういう物を何も知らない。「信頼の輪を広げれば何とかなる!」みたいな感じで突き進んだ結果、こんな人になってしまったらしい。「・・・難しいですか。これ?」高順が見ている参考書の題には「芋でも解る!簡単すぎる万能政治参考書」とかそんなことが書かれていた。芋でも解るというのが地味に意味不明だが、言ってる事は簡単だ。要約すると「金を稼げ・卑怯なことバッチコーイ・兵士一杯用意しろ」とか、そんな程度である。鍛錬の時間を割いて10数日以上。これだけ教えているのだから少しくらいは成果を出してほしいものなのだが・・・。現実はそれほど甘くなかった。その10数日で彼女の性格をある程度理解できてはいる。最初はただの考え無しとか、史実よろしく道化師か。とも思っていたが、どうもこの性格は天然らしい。というか天然ボケ。それ以外の何者でもない。案外腹黒い事を言ったりもするのだが、自身には何の自覚も無いらしい。史実の事柄から「油断ならない人」と思っていたが、それが天然ボケから来る腹黒さだったとは。ただ、悪い事ばかりではない。「人を騙す」ことが根本的に苦手なようで、嘘をついて人の土地を奪い取るとか、そういう黒さは無いのだ。劉備は恐らく、史実どおりの歴史の流れ方をすれば西・・・益州を併呑するであろう。史実でも演義でも信頼してくれた相手に矛を向けて奪い取った形だ。が、この劉備は・・・人の声に、部下の声に押されて獲りに行くタイプだな。と高順は考えている。外交なんかは持ち前の腹黒さで地味に嫌がらせをしつつチクチクと責める形かな?とかそんな事も思う。だが。この頭の悪さは如何ともしがたい。つーか無理。こりゃ関羽さんも苦労するはずだわ。高順は内心で劉備の部下になるであろう人々の苦労を思い遣っていた。実際、今自分がきっついし。「もぅ、高順さん!私にも解るように噛み砕いて説明してよ~。今の私に何が足りないのか良くわからないよぅ・・・。」「これ以上何をどう噛み砕けと・・・?」何度繰り返したかも解らないやり取りである。自分も頭は良くないし、教える才能なども無いと思っているがここまで理解してもらえないと「教えてる事がそもそも正しいのかどうか」する解らなくなってくる。これは重症だ・・・。「あー・・・解りました。じゃあ、もう1度説明しますからね。これで理解してくれないと俺泣きますよ?こういうことは孫子とか知らない俺が教えるのはおかしな話ですけどね。」さて、と言ったところ。そこへ趙雲が通り掛った。「おや、劉備殿に高順殿。いけないお勉強の真っ最中ですかな?」「また出し抜けに妙な事を。普通のお勉強です。」「えぇ~、星ちゃんったらぁ。そんなこと教えてもらってないよー?」・・・疲れる。俺、よくやったから森に帰ってもいいよね?そのまま席を立とうとする高順の首に劉備がしがみ付く。「待ってー!お願いだから見捨てないでー!?」「・・・また俺を絞め殺すつもりですか劉備さん?」不機嫌そうな顔でまた席に着く。2人のやりとりを見ていた趙雲は「あー。やっぱり高順殿は劉備殿が苦手なのだな・・・」と思うのだった。「はぁ。じゃあもう1回お教えしますよ・・・って、何で趙雲殿まで座っておられるので?」見ると趙雲も空いている席に座っていた。「や、お気になさらず。」「無理です、気になr「じゃあ星ちゃんも一緒にお勉強しよ?ね?ね?」高順の言葉を遮り星の腕に抱きつく劉備。どうも一緒に話を聞いてくれる人が欲しかった様だ。多分解らない事を全部丸投げするつもりだろう。「ははは。一緒に勉強はともかく高順殿がどのように物事をお教えするかは気になりますな。」「・・・そうですか。じゃあ聞いててもいいですよ。では、気を取り直して。劉備殿。今のこの世の中で大成しようとするならば先ず何が大事だと思われますか?」「愛と友情と信頼!」「・・・微妙に間違ってるような正解のような。これはあくまで私見ですがね。他者との繋がりです。」「やった、正解♪」「最後まで聞いてくださいね。この繋がりですが、中央の政治・財界のお偉方との繋がりと言う意味でもあります。それは何故か?これは何時の時代でも変わりませんが人の上に立つと言うのは「出世する」と同義です。そうですね・・・趙雲殿に質問です。」「ふむ、何です?」「人の上に立つ。中央との繋がり。そしてこの混迷した時代。元々人の上に立つ身分に生まれた者であればともかく、劉備殿のような無位無官。どのようにすればのしあがれますかね?」「簡単ですな。目に付くほどの功績を挙げることです。武勲であれ何であれ。」「そうです。劉備殿には幸い関羽さんや張飛さんのような武勇の士がついています。武勲を上げることはそう難しくないでしょう。」「うんうん。」「では、その後は?」高順の質問に劉備が首を傾げる。彼女はいつもここで躓くのだ。「う~~~・・・平和な時代になる?」「一気に飛躍しましたね・・・。じゃあ、こう仮定しましょう。劉備殿が大功を上げてどこかの郡とか都の太守になったとして。そこで何が必要になってきますかね?」「う・・・えーとぉ・・・住民への優しさ!」「んー。なんで微妙にはずれなのか、そうでないところを突いてきますかね?住民はその後です。趙雲殿はどう思います?」「さて。人材ですかな?」「そうです。人材ですね。もう1つ、追加で。」少し首を傾げる趙雲だったが、すぐに「資金ですか?」と答える。「正解です。人材とお金。これが重要になってきます。これはあくまで劉備さんに当てはめての答えですけどね。」「ふえ?あたし?」劉備が自分を指差して不思議そうな顔をする。「ええ。じゃあ質問ですが、劉備さんが独立したとしましょう。その後何をするべきかわかるのですか?街を治める、とは簡単に言いますが、治め方をご存知なのですか?」「え?ええと・・・何をすればいいのか解りません・・・。」「お金を得ないといけないでしょう?何をするにせよ先ずお金です。で、お金を稼げる人が劉備さんの部下にいますか?」「今はいないけど・・・あ、高順さんが部下n「それはありません。」はぅ・・・。」こんな言葉の応酬を見て趙雲が「くっくっく」と笑う。どうも彼女から見ると出来の悪い漫才のように見えるらしい。「ですから、人材なのですね。貴方には譜代の臣がいないのです。これからどうすればいいのか、というのを示してくれる頭脳役が必要になってくるんです。」「あぅ。じゃあ、お金は?」「文官ですね。民から金を得て、その金を管理して「どこで」「なにに」使ったのか。どう使うのか。それを考えてくれる人も必要です。」高順の言葉に趙雲も頷く。「そうですな。今の劉備殿は兵士もいなければ資金を得るための方策を考える部下がいない。独立したとて、その先の道を示す軍師もいない。」「何もかも、1人でできる訳じゃないんだ・・・当たり前だよね。」「・・・ここに来るまでにすっげー時間がかかりましたよ。」なんでこんなに時間がかかるのかなぁ?俺の教え方よほど悪いのかなぁ?と悩む高順だったが、すぐに気を取り直す。「そういった人々を迎えて、資金を稼ぐ事ができればあとは領土拡張です。その辺りは公孫瓚殿の方が詳しいでしょう。この話はこれで終わりですね。」「はぁい。・・・なんか、難しいんだね。それに、何をするにしても人の力を借りる事は重要なんだ・・・。」「全くもってその通りです。自分ひとりで出来ることなんてたかが知れてます。では、これで授業は終わりです。」「あ、ごめん、もう1つだけ!」「・・・はぁ。何ですか?」「義とか情とか、そういう言葉を大々的に使わないほうが良い、っていうのはどうして?」これは、高順が「授業」を始めた当初に言った言葉である。これからは血を血で洗い、人を騙して領地を得るような、そんな時代になっていく。強かさが必要になる、と言ってもいいかもしれない。劉備はその強かさを天然で発揮できる人だが、こんな時代に義や情を広告に使うのは・・・少なくとも今はあまり良くないと思うのだ。劉備が史実どおりの行いをするかどうかはともかく、その言葉が偽善になって、結局は名声を下げやしないか、ということでもある。なんだって、いつか敵になるであろう劉備にこんな事を教えているのか。彼自身でも解ってないが、そこが高順の甘さであり弱点の1つでもあるのだろう。恐るべきはそうやって他人の好意を無自覚に利用してしまっている劉備なのだろうが・・・。自身の信念の大元となる事を否定されれば劉備はずっしりと落ち込むのだろう。その辺り、ぼかしてやるべきかな?と考えつつ。「そうですね。簡単に言えば「それを言えるだけの実力がない」ですかね。」「うぇ・・・実力?」まだよく解っていない劉備だが、隣にいた趙雲は得心したように頷く。「つまり・・・劉備殿の信念は弱き人々には心地よい響き。しかし、力無き者が何を言おうと、それを実行できなければ弱者の遠吠えに過ぎない。民を納得させたければそれに見合うだけの力量を得よ。そう仰りたいのですな?」「まさしく、その通り。別に劉備さんの信念を真っ向から否定する訳ではありませんけど・・・信念を実行したいのであれば、ということですかね。それまでは義と情で民を救うという言葉、あまり使わないほうが宜しいのでは?と。」誰も彼も救える訳ではない。実際は否定したい高順だが、それはまぁ・・・これからの彼女の行動を見れば解るのだろう。数年先の話か。それともそのときに自分が死んでいるのかすら解らないが、史実どおりに進めば嫌でも彼女の本質は見えるはずだ。「う~・・・でもでも・・・。」尚も言い募ろうとする劉備だったが、高順はそれを遮った。「はい、授業はここでおしまいです。これ以上のことを知りたければ・・・そうですね、軍師を得た後にしていただきましょう。まだあなたには自身の進むべき道が見えていない状況ですからね。」「あう。解りました・・・ありがとうございました。」高順の言葉にぺこりと頭を下げて劉備は参考書やら何やらを抱えてその場を去って行った。残ったのは高順と趙雲のみ。しばらく沈黙を続ける二人だったが、「・・・ふふ。高順殿も人が悪い。」先に趙雲が口を開いた。「はい?俺は嫌な人ですよ?」「ご冗談を。あなたが劉備殿を嫌っているのは何となく解りましたが・・・それにしては面倒見が良いですな?」「どうでしょうね。我ながら馬鹿だとは思ってますけどね。」肩をすくめる高順を見て趙雲はハハハ、と笑う。「嫌だ嫌だと言いつつも結局は面倒を見てしまう。ふふ、上党でお会いした頃からそうでしたが。その辺りは全く変わっておりませぬな。」「むう。なんだか成長してない、と言われてるような。」そんなことはありませぬ。と趙雲は優しい笑顔で高順を見る。実際、彼は良い意味で性格が変わっていない。武芸の腕は随分上がったと思う。3人娘や沙摩柯。今はいないが蹋頓との組み手で腕を磨いていたし、自分や張飛とも鍛錬を行ってもいる。趙雲から見ても3人娘や沙摩柯のような、どちらかといえば「アクの強い」部下にあそこまで慕われている(普段は弄られているけど)というのは大したものだろう。劉備と高順は、どことなく似ていると思う。現実を見ているか否か、などの違いは多少あるものの「他者に甘い」ところはそっくりだ。趙雲から見た高順の性格は「内側へ向く」性格だ。先ず大事なものを守ろうとする。普段は「死にたくないでござる。」とか意味不明なことを言っていて死と言う概念を極端に恐れているように見える。妙なとこで小心者なのだ。にも関わらず戦や、仲間達に危害が加えられようとするとわが身を省みず敵陣へと向かってしまう。怖いのはその傾向が更に極端になりはしないか、ということだが。彼の周りにいる人々を見る限り、そんな心配も必要ないだろう。武将として、高順は彼女のことを非難できたりするような立場ではないと思う。甘さが捨て切れていない。しかし、趙雲にとっては高順は劉備とはまた違った魅力を持った人物だった。自分も彼もこのまま公孫賛に仕え続ける事はないだろう。もしかしたら、最終的に敵同士になるかもしれない。だが願わくば・・・お互いがどのような立ち位置になるかは別として、彼とは同じ道を歩みたいものだ。「さて、俺はここで失礼しますよ。ちょっと楽進達や閻柔さんと田豫さんにお願いしてる事がありましてね。」「厨房ですか?」「うん、そうdなんで解ったんですか!?」「いえ、沙摩柯殿に「高順が今度はお菓子っぽいの作るみたいだぞ」と聞きまして。」趙雲はしれっと言い放つ。そして高順はジト目に。「もしかして、趙雲殿がここに来たのって・・・「それ」食べたいからなのでは?」「ほう、これは異な事を仰せになられる。ですが高順殿がそこまで言われるのであれば味見をさせていただきましょうかな?」「・・・趙雲さんも腹黒ですね。」「おやおや、遠慮などせずとも宜しいのですぞ?」「食べたいならそう言えば良いのに・・・。まあいいか。趙雲殿にも味見していただきましょうか。お酒のつまみにはなりそうも・・・あ。」「ふふ。また何か思いついたようで。後々が楽しみですな。では、参りましょう。」彼の言う「それ」は「タルト」である。バニラエッセンスとか、そういう類のものは無いが他の材料なら何とかなるな。と考えて皆に材料を集めてもらい、厨房の人に協力をお願いして作成しているのだ。そろそろ焼きあがった頃ではないだろうか?そして酒のつまみ云々で思い出したのは「ソーセージ」に香辛料を更に突っ込んで「チョリソー」っぽくできないかな?と思い至ったのであるが・・・。それはともかく、高順は趙雲に急かされて厨房へと歩き出す。その後、タルト作成に成功したり、それを公孫賛がいたく気に入ったり、端折られた(単純に呼び忘れた)劉備たちに「なんで私達の分は無いのー!?」と逆切れされてしまい、リアルメメタァを関羽にかまされそうになったりと、いろいろな話があるのだが―――それは本編には、全く関係のない話である。~~~楽屋裏~~~こんな簡単な事がわからないほど桃香はアホの子じゃないと思いますが、薄力粉と小麦粉の違いがわからないあいつはアホの子です、あいつです(挨拶長っでも需要と供給の関係があまりわかってない彼女だからきっと問題はないと思うんだ・・・。そして、義と情云々。劉備は弱小の頃からこれを標榜してましたね。それが逆に足かせになったのではないかなと思うのです。だから卑怯な真似をできなくなるし、やったらやったでそれを口実に攻撃されるし。したたかな彼女には痛くも痒くも無いでしょうが、少しくらいはまともな乱世の英雄になれる・・・かなぁ?(苦笑本編最初期だと本当におつむの中身が無い子ですね、劉備は。蜀ルートではそれが徐々に君主らしくなる・・・なってたのかなぁ?(汁実を言うと、本編よりこちらを先に投稿せねばならないはずなのですが・・・ぼけててこっちが後になってしまいました。24話で「いつ高順くんが関羽に頭握りつぶされそうになったの?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、投稿順が逆になってます(汗なんでこんなミスをしたのやら・・・。ではでは、またお会いいたしましょうノシ