「はぁ~~~~~~・・・な、なしてこげな事になってもーたのか」「あの、隊長。どうなさいました???」「うん、なんでもないの。なんでも・・・ううう、しかもまたこの編成を体験するとは」「なんや、不満かいな順やん。うちは嬉しいけどなあ。もう集まる事無いと思うてたんに、勢揃いやで?」「そうなんですけどね・・・あー」「なっはっは。心配しなやこーじゅんにーさん。この編成で突撃かましたら止めれそうな奴なんて、そうおらへんって」「うんうん、真桜ちゃんの言う通りなの」(ぐぅ・・・)「・・・大丈夫ですかな、一番の要が寝ているというのは」馬上で突っ伏して寝ている呂布。それを見て趙雲は不安げな様子を見せる事無く、しかし最もな疑問を呈した。それに対して、華雄は笑って応える。「大丈夫だ、問題無い。コイツは体力を温存するために寝るって事を戦場でも良くやってたからな。」「さすが姐さん、伊達に呂布と長い付き合いをしているわけではありませんなあ」「まあな」・・・大丈夫なのだろうか、本当に。肩を落とす高順と、その隣で「ま、諦めろ」と投げやりに呟く沙摩柯。彼女達が全員揃って一つの戦闘に野戦で出撃した、というのは実は思った以上に少ない。反董卓連合の時ですら、誰かが虎牢関を守り誰かが出撃する、という形が主であった。一つの戦に全員で野戦という形は取られていなかったのだ。虎牢関から逃亡を図った、いわば逃亡戦も回数に加えるのなら別だが、全員で全力突撃というのは官渡決戦以外見られていない。彼女達は一勢力を興し、しかしそれは直ぐに時代の流れに消えた。だが、後の世。呂布に従い乱世を駆けた将に、人々はある呼び名をつける事になる。壱の将、張遼。弐の将、趙雲。参の将、華雄。四の将、沙摩柯。伍の将、楽進。六の将、李典。七の将、干禁。八の将、高順。同世代に生きた人々、彼女らの戦いを知る人々。皆、半ば畏敬と畏怖を込め、彼らの事をこう呼んだ。呂布と共に、乱世を駆け抜けた八人の騎将。【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第132話「呂軍八健将」北方・西方異民族の連合軍、総数で約50万。曹・孫・関のいわゆる三国連合、約40万。異民族は官渡北方で50万の軍を4つ、本陣、右翼左翼、そして中央に兵を分けている。右翼・左翼共に兵数はさほど多くない。右翼は氐族が中心で5万ほど、左翼は西羌が7万ほど。中央が30万以上、本陣は残りなわけだが、主戦力は鮮卑族。彼らは兵糧の関係で短期決戦を望み、ほぼ全力で突撃を仕掛ける様相だ。対して、三国連合。曹操20万、孫策15万、関羽5万。こちらは本来長期戦を狙うべきだが、物資が余っているわけではない。だが異民族の軍勢が半端に逃げ散ると各地で略奪が発生して更に被害が拡大する事が懸念される。今まで、敵勢が多くの街や村を廃滅させて来た事実がある。それを見ればその懸念は間違いとは言えない。その為、こちら側も短期決戦を挑まないとならない、という形になっている。官渡北方に軍を展開。陣城とまではいかないが、柵や堀などを作り、土を盛って小高い場所を造り、という事をやっている。柵を作りつつ、壷やら木片やら何やらを埋め、異民族の兵の足止めを図る等、色々と小細工もしている。まず攻めてきた敵を迎え撃つのは、各軍の所謂二級とか、準主力と言うべき部隊である。彼らが堅陣を敷いて、敵の足止め・疲労を狙うと言うものだ。当然、被害は大きくなるだろう。時間稼ぎと言い換えても良い扱いだが、この状況ではそれは仕方の無い犠牲とも言えた。もっとも、全滅させるような事は無い。とにかく時間を稼ぎ、少しずつ後退させ後方に控える第2防衛陣に合流させる形になる。その第2陣に各勢力の主力、関軍であれば厳顔、黄忠。孫軍であれば孫権や甘寧。魏であれば夏侯姉妹。彼女達だけではないが、そういった主力部隊が迎え撃つ事になる。そこで更に時間を稼ぎ、疲労させたところで突撃力・突破力に長けた呂布と呂軍八健将を敵本陣に突撃させる。そうなれば呂布らに釣られて一部の兵は慌てて引き返し、上手くいけば主軍の守りが薄くなってくれるだろう。呂布一人で、兵2万や3万に匹敵する戦力。それを敵本陣まで突撃させられるのなら、それだけで勝てる見込みはある。そして、呂布の突撃に合わせて全部隊が反攻に転じ、前進する。そうなると夏侯惇辺りが敵主力部隊を突破するであろうか。が・・・この突撃隊は所謂特攻部隊。呂布を何とか敵本陣に送り届ける、という役目も負っている。そこに行くまでに、兵数5万にも満たない彼女達は敵主力部隊の横を掠めて敵左翼も抜けて行かねばならない。最初から、生還する事を考慮されない特攻部隊。それが解っているからこその、冒頭の高順の溜息である。それはそれとして、高順は。(うーん、あと少し時間が欲しかったなあ・・・そうすりゃ、少しでも援軍来てくれたかもしれんのにな)そんな事を考えていた。と言うのも、彼は漢中に入る前後で援軍を願う使者と書状を出していたのだ。これには麗羽が関わっていたりする(物資を送らせるように、と使者を出したのと同時期)相手は南中、武陵、山越、五渓、西南夷の各部族。内容は「これから戦をするのですが相手は北方・西方民族。数の上でも負けており、物凄く困ってます。どうか皆さんの力をお貸しください」と。他に、戦に参加するために必要な食料や資金などは、そちらの要望通りとは行かないかもしれませんが、出来る限りの支払いは約束します。参加して頂く事に意味があるので数は100人でも10人でも構いません。お願いします。と、低姿勢なものである。それに対しての各部族の反応。「うんわかったー^^」by武陵「援軍は任せろー^^」by山越「数はあまり出せないけど、その分いっぱい努力するね!><」by五渓「戦争だ、戦争が出来るぞー^^」by西南夷の皆様「父様が危ないのにゃ! 母様を悲しませない為にも、お前達急いで支度するのにゃー!(>ω<)ノ」 『にゃー!ヽ(>ω<)』「・・・藤甲を用意しますから。もう少し待ちなさい」by南中の方々なんか駄目っぽい感じであった(ノリが援軍を示す為、というより三国同盟に敵と誤認されないようにちゃんと旗を用意したり、移動速度を上げるために船を用意したり。それでもギリギリに間に合うかどうかである上、高順には援軍が来るかどうかの返事が返ってきていない。だから「来てくれるかもしれない」という曖昧なものだが、千程度でも御の字な位だ。食料やら資金やらは麗羽に頼るしかなく、だからこそ彼女にはきっちり話を打ち明けている。もっとも、麗羽は「宜しくてよ」と二つ返事であったが。「貯め込んだ金も物資も食料もここぞと言う時に使い切る為の物。全部使い切っても時間が経てばまた貯まる。ケチケチしても持ち腐れに過ぎませんわ」とも返している。そういった鷹揚さと言うか、割り切った性格は本当に有難いものだ。感謝の言葉を伝えたが、麗羽の「あら、構いませんわ? 大変素晴らしい宝を頂きましたので」という言葉には、終始ハテナ顔の高順であった。そして、一週間ほど経った、ある日の早朝。~~~三国同盟本陣~~~「ふん、苦戦している、ね」「そりゃそうでしょう。各国の主力とは言えない二級部隊が最前線で交戦しているのだから」「それでもこれだけ保っているのは士気の高さ故、だな」多くの伝令、兵士、書記官が忙しく駆けずり回る中、曹操・孫策・関羽は陣幕で話している。「愛紗、貴女の言う通りよ。彼らは良く戦ってくれている。その分被害も大きいけれど」「部隊が全滅、率いる武将も戦死・・・そんな状況が目に見えて多くなっている。それでも持ち堪えてくれているけれどね。医術の・・・華佗? その男が治療を行ってくれているおかげで、傷を負った兵の回復が妙に早いけど」「お互い疲れが見え始める頃。そこが狙い目とは言うけど・・・そろそろ限界ね」「そうね、相手は数の多さで一気に攻めかかって来る。互いに全力戦闘なのだから奴らだって限界に近づいているわ。」「昼夜区別無く攻めて来てるものね。夜討ち朝駆け当たり前。だから向こうも疲労している」「敵の右左翼は?」「右翼は時折ちょっかいをかけては退く、と言うのを繰り返している。解りやすい陽動だな」「釣られて無いでしょうね?」「そこに追撃を出す余裕は無いわよ。左翼は?」「全く動いていない。こちらは西羌で編成されているのだったな。やる気がないというか何と言うか」「羌族か。今からでも馬超を当てればどうかしら?」「雪蓮、それは無理よ。確かにあの娘は羌族に強いけど如何せん兵数が少ない。私達の即興同盟軍とは少し違う立ち居地だしね」馬家を攻撃し、勢力を滅ぼした曹操の言葉に、孫策は「ふーん」と曖昧な態度である。曹操も、馬家を攻撃した事には後悔の念を抱いている訳ではない。だが、その結果この状態を巻き起こした責任がある。西方に関してはそのまま馬家に任せて置けば良かったという結論になってしまったのだが、だからこそここで馬超を使い潰してしまうのは得策ではない。何せあの馬騰が生存して洛陽に至る関を守っているのだ。生かして帰さないとまた血みどろの戦いに発展するだろう。「呂布が本陣に迫った頃、こちらの主力が打って出る。その時に・・・春蘭みたいに突破力になってもらう予定よ」「そう。ま、その時は異民族連合もまだ無傷の連中を前面に出すでしょうしね。敵に穴を開ける役割のほうでも良いか」「敵の前衛を打ち崩し、混乱をしている間に騎馬隊を本陣まで突破させる。上手く行くだろうか」「頼みの綱は呂布・・・だけでもないわね。攻撃力だけならアレ以上のは無いわけだし」「敵左翼を抜けるかどうか。呂布が本陣までたどり着けば暴れまわって相当の戦果になるわ。上手く羌族を押さえ込めるかどうか」「・・・代わりに、騎馬隊は壊滅するでしょうけどね」「違うわね。騎馬隊「も」よ。戦っている者全員、それだけの覚悟でこの地に居る。私達だって同じように屍になっているかもしれない」「ああ。さっきも言ったが、既に幾つもの部隊が壊滅している」敵の数も、こちらの数も「順当に減って」いる。あとは相手が更に嵩に懸かって来る状況を待つだけだ。暫くして、前線部隊からの伝令が書簡を届けに来た。「ふむ。」「どうしたのよ」直ぐに読み終えたのか、曹操は無言で孫策に書簡を手渡す。「何々? 「敵が全線に渡って攻勢を強めた。こちらの前線部隊の被害は甚大。後退を開始した」・・・来た、か」「となれば、予定通り」「ええ。ここからが本番。伝令、各国軍の第二陣に伝えなさい。前線部隊で戦えなくなった者の収容を行い反撃を開始しろ。予てからの予定通りに動け、と」~~~三国同盟、第二陣~~~「あ~~~・・・、まだか。まだなのか!?」「落ち着け、姉者。ここで我々が迂闊に動いて如何する」「解ってる! あぁ~~~・・・」第二陣の前線でうろうろ行ったり来たりを繰り返す夏侯惇とそれを窘める夏侯淵。「焦る気持ちは解らんでもないが、連中が来ても姉者の出番はまだもう少し先だ」「何でだ、私が出ないで如何する」「姉者、もう忘れたのか。まず我々弓弩が応戦するのだぞ。」「忘れる訳無いだろう。だが・・・納得できるものか」「もう後退を始めた第一陣を最後まで盾にする事がか?」「ああ、そうだ! 収容なんて建前、収容が完了する前に異民族も攻めて来る。全部収容なんて出来る訳ない」「姉者・・・」「くそ、解ってる、解ってるんだ。前に居る奴らだって、此処に居る奴らだってそんなの解ってるんだ。くそっ」二人の言うとおり収容しろと言うのは建前に過ぎない。敵に後ろから斬り付けられ死んでいく兵は、収容される兵以上に多い。敵が殺戮に夢中になっている間に、こちらが射撃を開始する。そして、第一陣はそれすら覚悟の上で戦っている。彼らだって死にたくは無い。だが、勝たなければならない。異民族連合は攻め込んだ街も村も、人の住んでいる場所を徹底的に破壊して殺戮を繰り返した。曹操も孫策も関羽も、それに従軍していた全ての人々が破壊され尽くした痕を通って官渡に到達している。ここで自分達が敗北すれば、異民族を止める手立てが無くなる。そうなれば、自分達の見てきた光景がこの大陸全てを覆う。皆、覚悟をして戦い続けているのだ。自分の役割を必死に果たし抜こうとしている。ここで迂闊に動けばそれも無駄にしかねない。だから、夏侯淵は動くなと言い、夏侯惇もそれを理解して、しかし苛々している。後退する仲間を収容しようと右往左往する兵士、間に合わず討たれる兵士、その後ろには異民族。もう少しで、それはこちらの射程に入る。「・・・姉者、私もそろそろ行かねば」「ああ。気を付けろよ、秋蘭」「姉者もな」夏侯淵はそう言って自分の持ち場に行く。その持ち場には同盟軍の優秀な弓手が多数配置されており、近づかれる前に全てを撃ち抜く名目である。そして、敵の足止め、混乱をさせる為の配置もその後方にある。それが行われた後、前線を押し上げにかかるのが夏侯惇らの近接部隊。~~~弓兵部隊、最前線~~~この最前線は、黄忠・厳顔・黄蓋・夏侯淵が主将を務めている。太史慈や魯粛ですらここに配置されている辺り、本当に弓が得意な者ばかりだ。武将はある程度分散させられているが、特に敵兵の数が多い部分に対して攻撃力を集中させている。火力を集中、に近いものだろうか。「ふん、そろそろかの」「おう、来たぞ」厳顔、黄蓋は得物を構えて兵に通達を出す。それに応じ、前線の弓兵全員が弓、或いは弩を構える。厳顔、黄蓋、夏侯淵、黄忠は颶鵬。彼女らが撃ったと同時に全兵が反撃を開始する流れである。既に異民族兵は目前まで迫っている。だが、まだだ。本当に目と鼻の先まで引き付ける。(あと少しじゃ、あと少し)(来い、来い・・・!)もう少し、もう少し・・・と撃ち放つその期を待ち続ける。「撃ち方!」「射撃、用意っ!!」響く黄忠らの声、それに伴い、すぅっ、と息を吸い、僅かに止める兵士達。『撃てぇっーーー!!!』号令一下、一気に弓弩兵が矢を放つ。矢が大量に放たれていく中、黄忠・夏侯淵は隣り合って矢を放ち、一射一殺とばかりに確実に敵兵を仕留め続けている。「まさか、貴女と肩を並べ戦うとは思いもしなかった!」「ええ、私も同意見です。世の中は解らないものですね」世間話をしているようにしか見えない、和やかな雰囲気ではあるがこの会話をしている最中、3人ずつ撃ち抜いている。矢が少なくなる前に、周りに控える兵が矢筒を補充してくれているので、心配をする事無く矢を番え打ち続ける。そしてもう一方、黄蓋と厳顔は、と言えば。「おい、老いぼれ!」「何じゃ、年増ァっ!!」「あの高順という小僧、一体何者じゃ!?」豪天砲を派手にぶっ放しながらの会話だ。「何故そんな事を聞く?」「聞きたくもなろう。豪天砲の弾をどんだけ用意したんじゃ、あ奴はっ! 本人は「やー俺なんぞ歯牙無いヘタレですよー」と抜かしておったがそんな訳はあるまい」高順と言うか麗羽と言うか李典と言うか。傍らに置いてある大量に用意された豪天砲の弾を見ながら、厳顔は問う。「ふん、当然じゃ。何せワシの良人(おっと)じゃからなぁっ!」黄蓋は多幻双弓で複数の矢を放ちながら、堂々と答えた。「はぁっ!? お前みたいな老いぼれを娶る奴なんぞ何処に居るかいっ!」「ならば本人に聞いてみれば良かろう! ついでに年増も嫁ぐか、あぁ!?」「抜かせっ、棺桶に片足突っ込んでいるような老いぼれの分際で!!」「何をぅ!? 行き遅れの年増に言われとぅないわ!」「何じゃとぉ!?」「はっ。ぶつくさ抜かす暇が有ったらさっさと撃たんかい!」「言われんでも撃ち続けておるわっ!!!」口喧嘩をしながらも、中々のコンビネーション(?)を発揮していた。この両グループに率いられた弓弩兵も負けじと撃ち続け、近づく敵片っ端から射抜いていく。不完全ながらも、柵や堀を巡らせて居た訳だが、敵兵の進撃速度を僅かでも遅らせた事がそれなりの効果を出していたのかもしれない。また、厳顔の元には量産型豪天砲を使用する兵が高順隊から回されている。ほんの10丁程しか生産できなかった量産型で、兵も完全に慣れていないが、破壊力だけなら厳顔・黄蓋グループが一番高い。それでも、幾度か柵に張り付かれて危ない場面もあったが、そこは厳顔が豪天砲を鈍器のように振り回し蹴散らす。他の武将も近接が駄目と言うわけでも無いので、直ぐに矛に持ち替えて突き倒したりと、奮戦を続け敵を幾度も追い返した。しかし、交戦開始から暫くして第2陣も少しずつ退き後陣へと合流し始める。何段も柵を作ってあるのだから、それを放棄しつつ退くという形になる。北方・西方異民族連合はそれに不穏を感じながらも、未だ数の優位を理解して攻め込んでくる。それに対し、第2陣の殿を務める武将は適宜反撃、多少の損害を出しつつも後方へ後方へと退いて行く。「予定場所まではあと少しといったところですか」「ええ、しかし・・・流石に辛くなってきたようで」最後尾に身を置いている夏侯淵は後ろに迫り来る敵兵を、振り向いては撃ち、振り向いては撃ち、を繰り返しながら同じく最後尾の黄忠に応じる。「流石に兵の数の違いが大きい」「仕方がありません。むしろ、良く保っている」「あと少し。それまでは何とか」「ところで、桔梗の方はどうなっているのでしょうね?」「さあ。しかし、あの御二人なら心配h「ドゴォンッ!」 !?」豪天砲から打ち出された弾が、夏侯淵の付近に着弾。迫っていた敵兵の数人を撃ち貫いた。「・・・援護射撃、にしては」「あと少しずれていたら私達がああなっていたわね。」けれど、少なくとも桔梗は無事ね。と黄忠は友人の無事に安堵した。こちらを援護したという事は、向こうにはそれなりに余裕があるのだろう。・・・多分。援護なのかどうか、今更ながらに不安であるが。(もしかして、適当に撃っただけ。かも)後で確認して、内容次第でギッチギチに締める必要がありそう、と黄忠は心に誓うのだった。~~~呂布らが控えている陣~~~「おー、始まったなのー」「なあ、ウチらが突撃かますんはどれくらいなん?」「もう少しだな。そこらは」趙雲がチラ、と高順と呂布を見やる。「あの二人が見極めるだろうさ」「順やんも恋の奴と同じくらい、攻め時を見極めるんが上手いからなー。ウチらが劣るとは思わんけど」「アイツらはもう、勘と言うべきか何か・・・上手く言い表せんが、それが見えているのだろうな。攻め時、退き時が」「少し、羨ましいですね」楽進が、虹黒に乗ったまま北方を見据えている高順を見た。じぃっと動かず、ただ見つめている。周りが言う通り、見誤らないようにしているのだろう。正直に言えば、皆、今すぐに突撃をしたい位なのだ。今まで味方が目の前で戦って死んでいくのをじっと見ていることしか出来なかったのだから。だが呂布か、或いは高順が動き出す時が攻めかかる瞬間になる。それが来るまでは大人しくしていた方が良い。堪えている意思がいざと言う時に上滑りしないように、心を落ち着けなければ。と楽進のみならず、他の者も自分に言い聞かせている。前方で押し合い圧し合いを繰り返す敵味方。こちらとしてももう後が無い。このまま負けてしまうのではないだろうか・・・と、少し不安に感じる者が出始めた頃。呂布と高順が「全兵、出撃準備」と伝令を放った。その伝令が動き出し、兵が突撃準備を終えた頃。第2陣が後退していく先、第3陣に動きがあった。「はぁーい、今から発射ですよぉ・・・あ、2番のところ少し右に軌道修正するようにって伝令さん送ってくださいねぇ」「・・・おい、七乃」「なんですか、猪々子さん?(ショリショリと小刀で何かを削りつつ」「何やってんだよ」「何って。美羽様の像を作るんですよ? 貴女にもあげましょうか?」「いらねー! そんなもんやりながら指揮してんじゃねーよ!」「えー、だって撃てーとか発射用意ーとか、叫ぶだけの簡単なお仕事ですもん。敵さんが近づいてきたらそれこそ猪々子さんと斗詩さんの出番でしょ? その馬鹿みたいに大きな刀は飾りですか~? 」「ぬぎっくくく・・・!!!」(仲良いなあ・・・)(仲が良いですわねえ)他愛も無いやり取りをしている張勲と文醜を見つつ、顔良と袁紹はやれやれと肩を竦める。そんな事をしている間にも、彼女らの指揮する霹靂車隊の発射用意は整えられている。各国で作成・編成された霹靂車全台がこちらの陣奥深くまで入り込んできた敵兵に、一斉に岩や石を放つ。攻城戦でも無いのに、頭上から石が落ちてくるなど予想していない異民族軍は混乱し、足を止める。そして、そこへ。「お前達! 遂に私達の出番だ! 一番血の気の多い連中が最後までお預けを食らった!! 待たされ続けた鬱憤、奴らに叩きつけてやれっ!!!」『おおーーー!!!』魏は夏侯惇、関羽軍からは魏延、孫策軍からは孫権率いる主力軍。濛々と立ち込める土煙を切裂くように一斉に突撃、後退していた弓弩部隊も少しずつ反転し再攻を始める。三国連合、最後の一斉反撃。「行く」霹靂車部隊の斉射が始まったと同時、呂布の一声で特攻部隊も移動を開始。総数は5万ほど、敵兵を避け、迂回するルートを取る。そこに1万前後の歩兵が随伴する。迂回するといっても特攻部隊の進撃を阻みに来るであろう敵兵は必ず来る。それに対してへの牽制、足止めの為。彼らもまた生還を考慮されない捨石。その迂回に成功しても、その後に布陣している敵左翼も抜かねばならない。合わせて6万前後の特攻部隊が、敵本陣を目指し駆けて行く。~~~楽屋裏~~~この132話、4回データが飛んだんだ(実話)。あいつです(挨拶明けましておめでとう御座いました。orz~~~遅れに遅れまくったお詫び、すごいよ馬騰さん編~~~ これは、高順達が荊州南部、馬騰の暫定領地に数ヶ月ほど滞在していた頃のお話・・・。(・・・ふぅ)馬騰は自室で正座をして、気持ちを落ち着けていた。政務やら兵の鍛錬やらは娘達に任せているし、少しずつ権力の委譲を図っていて、そこいらは問題が無い。この頃は高順一党も居て更に仕事は捗っている。この分なら自分も隠居、とまでは行かなくてもそれに近い形にはなるだろうな、と考えていたりする。ただ、懸念が無いでもないし、場合によっては自分がまた一線に復帰という事も有り得るので油断は出来ないわけだが。が、今の彼女にはあまり余裕が無い。特に肉体的に。(どうしてこんな事になってしまったのでしょう)恨みますよ、蛍(韓遂の真名)。と今はもういない義妹に文句を言うのであった。それから暫くして。馬騰はそのままずっと自室の寝台に座り瞑想をしていた。自室に誰かが入っても気付かないくらい、深い瞑想。「・・・様、おば様。」「・・・・・・」「おーばーさーまーっ!」「・・・えぁっ!?」馬岱が馬騰の後ろから大声で叫んで、ようやく気付く程度に集中していたのだ。「んもー。おば様ー、入るよー? って言って扉開いても気付かないんだもん。寝てたのかなあと思ったら正座してるだけだしぃ」言いつつ、馬岱は馬騰の背後から首に腕を回すような格好で抱きつく。「え、ええ。ごめんなさい」はぁ、と悩ましく溜息を吐く馬騰。それを間近で見て馬岱が「うわあ襲いたい」とか思うほど艶がある。しかも、肌がうっすらとであるが赤と言うか桃色と言うか。上気しているかのようだ。(んふふー。やっぱりこれは)蛍おば様の言ってた通りだなあ、と馬岱はにんまりと笑った。「そ、それで。何か用事かしら?」「んー? へへー。用事はねえ」そこで、馬岱は馬騰の首筋につぅっ・・・と舌を這わせた。「ふあぁっ」思いもかけない攻撃に、馬騰はこれまた艶っぽい声を出して身体を震わせた。「な、え? た、蒲公英! 何を」「何って、ナニだよぉ? はむ、ちゅぅ」「う、んあ」ぴんぽんぱんぽーんどうせ、あいつです。大変申し訳ありませんが、此処から先、大半をアップロード者が削除いたしました。またのご利用をお待ちしております。「た、んぽぽぉ・・・どうして、こんな」うっすらと目に涙を浮かべ、馬騰は姪を非難がましく、少し蕩けた表情で少し睨み付ける。「うー、なんて言ったのかな? 不感症? っていうのにかかってたって蛍おば様が」「えっ!? な、蛍・・・あの子」「うん、ずっと前にお酒で酔っ払ってた時に教えてくれたよ?」~~~回想中~~~「うむー。義姉上はな。こう・・・昔からえろえろな刺激には何も感じないお人でなあ」「はぁ」「十代半ばでそこらの強靭な男を誘っては子作りに励んでいたが・・・それで直ぐに授かった」「そ、そうなんだ・・・それってヤリマn」「おいやめろ。いつ死ぬか解らぬ反乱に身を置いて、その上で後継者も早く得なければならなかったからな。義姉上もそれは解っていたが・・・で、義姉上に種を仕込んだ男はその度に私が首をコキャったがな。」「い、いいのかなあ、それって」「何、問題は無い。幸い、義姉上はその時は授かりやすい体質だったようでな。二十になる前に既に3人の子持ちであったわ」出産は閻行のほうが僅かに早かったようだがなー、と韓遂は酒を煽っている。「まあ、男はコキャって終わらせた、ということだ。問題は、義姉上がその手の行為に痛痒どころか喜びを感ずる事も無かったという事でなぁ」「されがさっき言った何も感じない、って事?」「うん。だから、私がこう・・・「義姉上の身体を治してみせますぞー」とあんな事やこんな事を。」「それはそれでどうなんだろう」「私のねちっこい、じゃない、献身的なアレのおかげで少しは感じるようになったみたいだが・・・それから病になってしまってな。私は病など関係なく仕込んだが」「ひっど! ・・・でも、少し前に病は快癒したんでしょ? 華佗って人のおかげで」「そう、それよ。あの男が病を治した。が、そのついでに不感も病に分類されたのか消してくれたようでな。そうしたら、私のちょうきょ・・・じゃない」「今、調教って言ったよね」「ごほん。で、感じなかった身体に私がたらふく仕込んでいた。しかしその病が癒えた。となればどうなる?」「んー」韓遂の問いに、馬岱は人差し指を唇に当てて暫し考え込む。「んっと。感じない身体でも少しはましになる程度、にはシてたわけだからぁ・・・物凄く、感じやすくなったとか?」「それもある。あるが、少し違う。若いうちは、男も女もソレに対して強い欲求があるものだろ?」「うん、そうだねえ」「だが義姉上はお若い頃に不感のせいでその欲求がほとんど無かった。しかし、病が癒えた事で「今まで欲求が無かった分、溜まっていたものが溢れ出した」わけだ」「・・・。それって、つまり」「うむ! もう毎日えろえろに身体を疼かせて・・・くふふっ。もう、アレだぞアレ。あの清楚な義姉上が「蛍ぅ・・・もう、身体が疼いて、仕方ないの・・・」とうっとりした表情でおねだりするんだぞ?」私の心の○ちんちんが毎朝毎昼毎夜四六時中暴走しておるわ! と、韓遂は目をくぁっ!!!と 見開いて吼えた。完全に駄目な人である。だが、韓遂の主張は馬岱にとって解らないものではなかった。確かに、時折下ネタで馬超をからかってはいても、自分がされるのは弱いおば様だ。でも、そのおば様が・・・あの肢体で悩ましげに迫ってきたら、男は勿論、女だろうが色を覚えるくらいはあり得る。私も欲情しちゃうかも。「本人の我慢強さもあって数日に一度くらいしかないが・・・それでも、それでもだ! あの肢体に! あのお美しい義姉上に! 今まで以上にあげな事やそげな事を堂々と・・・もう、心の○ちんちん完全ボッキもんですよ!?」「何言っちゃってるの蛍おば様」~~~回想終わり~~~「って感じのお話を」「蛍ぅぅぅぅぅぅーーーーーーーーっっっっ!!!!?」馬騰の絶叫である。「まあまあ。そう叫ばないで」「ぜぇ、はっ・・・さ、叫ばずに居られますかっ」なんでそんな話をするのあの馬鹿義妹はっ! とちょっと泣きそうになりつつ怒鳴る馬騰。(あ、やばい可愛い。あんなに艶っぽい感じだったのに、今はもう子供みたいに「すんすん」と鼻ならして涙目だし)ちょっとどころか本気で落ち込む馬騰に、再び「まあまあ」と宥め、落ち着かせる馬岱。「でね、おば様。さっきの続きなんだけど・・・」「え?」「指とか舌だけでも凄かったでしょ? 本物のt(規制)でn(えっちなのはよくないと思います)されたら、どんなに気持ち良いか」興味あるよね? ないわけないよね? と大好きな馬騰の耳元で囁く馬岱。「それ、は」「で、そんなの頼めそうなの高順さんくらいだしぃ」「なっ! あ、あの子は義理とはいえ私の息子です! そんな」「だからあ、馬家全員で妾にでも何でもなっちゃえば良いじゃない。我慢すればするほど辛いだけだよぅ」「うっ・・・それは、そうかもしれないけれど。いえいえ騙されませんよ!? 大体そんなの閻行に何と言えばいいのか」「だーいじょーぶ! 幸い、高順さんもおば様に女性としての色気とかそーゆーの感じてるみたいだし! ちょっと思い切った下着で迫れば・・・うふふ」「え、下着? え、蒲公英」「ぬふー。 そうと決まったら」ぴょいーん、と元気良く寝台から飛び降りる馬岱。「ちょっとこれから街で、下着見繕ってきてあげるね、おば様! あと、高順さんにも声かけておくからね!」「は・・・い? え、まさか本気? え?」「期待しててね! すっごいの買ってきちゃうから!」じゃーねおば様ー! と元気良く部屋を出て行く馬岱、そしてそれを唖然として見送るしか出来ない馬騰。・・・まさか、ねぇ? 本気で、ねぇ? やるわけない。冗談ですよ、ねぇ・・・?と、呟く馬騰。しかし、その日の夕方。馬岱は本当に下着を買って来て、ソレの入った包みを直接手渡した。断る訳にも行かず。しかし可愛い姪がどんな物を選んだのかと言う興味もあり「見るだけなら・・・」と中身を確認した結果。・大事な部分「だけ」隠した紐下着。しかも僅かにサイズが小さくて微妙に隠しきれてない。(黒)・大事な部分「だけ」ハートの形でくり抜かれた、下着の役割を果たしていない下着。当然のように紐。(白)・同じく、大事な部分だけを隠していないレオタードっぽい服(下着ですらない。白)・ガーターベルトっぽいものも追加。(白)・その上から着用するシースルーランジェリー(薄紫)「(ぷるぷるぷる)」←怒りに震えて言葉も出ない馬騰。「どう? 凄いでしょ? 艶っぽいよね? これなら高順さんもイチコロだよ! あの人、露骨なほうが好きみたいだし、実は私も似たような」「ふ、ふふ。そう、ね。蒲公英?」「う、え? うん?」「ちょっと、頭、冷やしましょうか・・・?」「ふえっ? え、待って、なにその殺気? 蒲公英、良かれと思って」「良かれと思った結果がこの下着ですか!? ちょっとそこに座りなさーーーーいっっ!!」「ふぇえええええええっ!!!!?」あまりにアレな下着を選んだのも、純粋な厚意からだったらしいが・・・流石にやりすぎである。結局、その場でとっ捕まって「お尻ぺむぺむ」の刑に処され、別の意味でイチコロにされた馬岱であった。この後、馬騰は本当にその下着を着用したのか、高順は本当に部屋に呼ばれ赴いたのか。そして馬家総動員で子作りに励んだかどうかは。本人達以外に、知る由の無いことである。多分・・・。~~~遅れに遅れまくったお詫び、すごいよ馬騰さん編~~~副題、信じていた母親が自分の婚約者との子作り行為にドハマリしてア(以下略~~~もういっちょ楽屋裏~~~これか! これがええのんか! この夢見るアリスチャン共め! あいつです(挨拶なんか微妙に馬騰さんのエロを露骨に望む人が居られたっぽいので書いてみました。誰得なんだろうか・・・?