【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第115話。かなり短い幕間回。交州から南中へと入った高順隊。編成は、馬家の面々はいないが南荊州争奪戦と同じである。彼らは普通に南中へと入城し、孟節の出迎えを受ける。しかし予想していた高順の義娘(?)達の出迎えはなく、加えて麗羽一党と田豫・閻柔も姿が見えない。不思議に思い孟節に事情を聞いたところ「最低限の守備戦力を除いて全て出払っている」のだと言う。この言葉に、蹋頓は「あら、久々にあの子達の顔を見たかったのに・・・」と少し残念そうであった。「何故? 誰が連れて行ったんです?」「麗羽殿です」「えっ」軍政に携わっちゃいけないって言われてるのに、と高順はぼやいた。いや、厳密に言えば資金調達やらで十分携わっているのだが、それは高順隊の中で、というかなり限定的な条件だ。それが堂々と軍事行動に出られては孫策に睨まれかねない。自分が睨まれて左遷される程度はかまわないが、そのせいで巻き添えを食らう人が多いのだから問題視しないわけにはいかない。「・・・むぅ、まあともかく。麗羽殿たちはどこまで進んだのです?」気を取り直して、高順は麗羽率いる軍勢がどこまで進撃したのかを問い質す。さすがに成都攻めなどできる訳が無いが、そこまで進んでいない筈だし、江州や永安(白帝城、といったほうが解りやすいかも)などには行っていないだろう。近いだろうから直ぐに合流して・・・と思ったのだが、孟節の言葉は意外すぎるほど意外な答えであった。「漢嘉(かんか)郡です」「ぶふーーーーーーっ!?」漢嘉、とは成都より西にある地名である。南中と成都の間に郡はいくつもあるが、征西の最大目的である成都のすぐ西まで攻め進んでしまった、というのだ。「ちょ、進みすぎじゃないですか! 途上の朱堤とか江陽、越巂(えっすい)とかもですけど、所々にある県は???」その辺の諸県まで平定しちゃったの? と聞きなおす高順に、孟節はすごく申し訳なさそうに「・・・はい」と頷いた。つまり、成都のすぐ南と西を押さえ、南中からの前線を押し上げ反乱を抑えつつ、あとは東を押さえれば北に専念できる。麗羽はこの数ヶ月で王手、とまでいかなくてもそれに近い状況にまで持ち込んだ、という事になる。良い意味でも悪い意味でも状況が進捗してしまった・・・。孟節の話を聞き終えた後、周りから「戻って! 戻ってきてー!?」と肩を思いっきり揺さぶられている事に気付かないほど、高順はすっごく遠い所を見つめていた。とにかく追いつかなければ、と高順隊はすぐさま北進。麗羽達は漢嘉にいると思われたが、高順達が江陽に到着した辺りで、南下してきた彼女達と合流してしまう。最初は劉璋軍かと思い警戒したが、南中・孫軍の旗を立てていたので直ぐに警戒を解いて合流。陣を敷き事情を聞くこととした。~~~高順の陣幕~~~高順隊の主だったメンバーと、北進していた麗羽一党(文醜・顔良・審配)と孟獲らが陣幕内に集って軍議、というより事情聴取を行っていた。孟獲と、トラ・ミケ・シャムの4人は合流直後「にゃー♪」と高順や蹋頓に抱きついたり肩に乗っかったりしてゴロゴロと喉を鳴らして大喜び。蹋頓も「あらあら」と笑いつつ、可愛い義娘達を抱きしめて嬉しそうであった。特にシャムは「とうさま、とうさま♪」と高順にべったりと抱きついたまま離れてくれず、緊張感の無い軍議である。(猫好きの周倉がトラを抱きしめて「はぁぁ~♪ はぅぅぅー・・・」と悶えまくっていたが、ともかく。「さて、どーして、どんな理由で勝手に軍勢率いていったのか、納得行く説明をお願いできますか?」高順は麗羽にジト目で切り出した。防戦でならばともかく勝手に指揮を執って勝手に勝ち進んでしまわれると、麗羽を条件付で助命嘆願した高順の立場が、今でさえあまり良くないのに一層悪くなる。「やられたからやり返しただけ、ですわよ?」「はい?」「劉璋がかなり規模の大きい軍勢を派遣してきましたわ。それは孟節さんの指揮であっさり追い散らしましたけれど。・・・それから何度と無く攻め込んで来まして。お互いに死傷者、捕虜が大きくなったところで、向こうは撤退していきましたけれど・・・」「けれど?」「奴ら、こちらの捕虜を見せしめにする為に再度攻めてきまして・・・。」見せしめという言葉に、高順にすっと冷たい物が宿ったのを趙雲と沙摩柯は感じた。他の者は、高順が放つ殺気に気圧された。というより、怒りとは違う何か・・・例えば、高順が暗殺されかかった時。蹋頓が見せた狂気にも近い何かを感じている。ついでに言うと、義娘達の髪を手櫛で梳いている蹋頓もえらく冷たい笑顔である。「磔、こちらに対しての見せしめ。それだけでは飽き足らず、対陣中にこちらが見ている前で乱暴をされ殺された者もいましたわ。ここまでされて黙っていられるほど、南中軍も私もお人よしではなくてよ。・・・ある程度は取り返せましたが、一部がどこにいるかまだ解りません」「・・・だから出撃した、と・・・? しかし、それでも貴女が指揮を執って良い理由にはなりませんよ。」「あら。高順さんは1つ誤解をなさっておられますわね」「何ですと?」誤解、と言われて高順が怪訝な表情を見せる。「私、指揮などしておりませんわ? 軍団の長は孟獲さんで、私の役目は輜重ですもの」ねえ、顔良さん、文醜さん? と、麗羽は傍らで控えていた2人に声をかけた。「そうなの?」と、高順にも意見を求められた二人は「はい、指揮などトッテナイデスヨーゥ」と、あからさまな棒読みで答える。「やっぱ指揮執ったんじゃないんですか!?」「トッテマセンワヨー・・・ま、冗談はこれくらいにして。私、本当に「指揮」はしておりませんのよ。後方支援に徹しておりましたし」麗羽本人は輜重、後方支援を淡々とこなしていたに過ぎない。事実上の総大将に孟獲を据えて、実働部隊として顔・文と抑えとして審配、投石器部隊も兼ねて田豫と袁柔、という布陣で挑んでいる。この中では、個人戦闘力が高い文醜が真っ先に斬り込んで行き、散々に暴れ回っているところへ顔良が兵を率いて突撃。審配は何かあった状況(どちらかと言えば文醜がヘマをした場合のフォロー)、田豫・袁柔隊の投石或いは援護攻撃。孟獲は総大将らしく後ろでどっかりと座っている・・・と、そんな流れだ。麗羽は後方支援に徹しており、作戦を考えたりとか「影」を使っての工作などは行っても、自身が前線に出るということは一度も行っていない、というのが本人達の言い分だが、これは本当に事実であった。留守居として残った孟節はそれを知らないし、高順隊の面々も、田豫らを除けば現場を見た者はいない。事実であれ嘘であれ、孫家からの監督役がいない事実を考えれば、この場にいる全員が「麗羽は戦闘に参加していません」と言いきれば疑わしくはあっても、疑わしいだけの話で終わるのだ。「戦場に出れば、国家・・・この場合は孫家ですけれど、利益をもたらせるのならある程度の事は見逃すべきではありません?」高順は、はぁ・・・と痛む頭を押さえて溜息を一つ吐く。「自分勝手な言い分ですが・・・。まぁ、それは目を瞑っても良いでしょう。ですが、何故漢嘉まで?」「先ほど申したとおり、人質、あるいは捕虜とされた南中の人々を助ける為ですわ。ただ、一部が見つからなくて・・・もしかしたら成都に連れ去られたかもしれませんわね」「或いは東。江州あたりか・・・。」高順の言葉に、麗羽は頷く。「貸して頂いている「影」に頼んで情報収集を行っておりますけど・・・中々情報が届いてきませんわ」「・・・いや、ちょっと待って。漢嘉は陥落させたんですよね?」「ええ。守備兵も少ししか残しておりません」あっさりと肯定する麗羽。「いやいやいや! ええ、とかじゃなくてですね。漢嘉陥落させたのにここまで戻ってきたんですか? 守備兵は少ししかいない、ってどういうこと?」「別に取り返されても構いませんもの。」これまたあっさりと答える麗羽。これには、高順隊の面々も「はぁ?」という反応であった。楽進が「取り返されても良いって・・・こちらにも被害が出ている筈。何故放棄同然に?」と、静かに麗羽に問いただす。「被害はほとんど出ておりませんわよ? ・・・ふふ、高順さんの策のおかげで」策? と、全員が高順の顔を見やり、高順は慌てて首を振った。「え、俺何もしてないんですけど???」「しましたわ。李典さんと私に兵糧を買い集めさせましたわね? あれが今になって効いておりますわよ」くっくっく、と喉から出る笑いを堪えつつ麗羽は続ける。「おかげで、行く先々で、と言っても小さい県や郡ばかりですが、ほんの数日の篭城で食糧不足に陥ってまともな戦闘も出来ないほど、兵糧に余裕が無い所もありました。こちらに攻め込んできたのも、食料を略奪しようとしたのでしょうねぇ・・・」「ふむ。だから被害が少ないと・・・?」と、趙雲が興味深そうに聞いてきた。「取り返された所で食料がろくに無いのですから、維持自体難しい筈。再度攻め込んでくることも出来ません」「それもだが、そこに元々いた兵士はどのように処置を?」「数日間分の水・食料を持たせて、最後は成都に突き帰しましたわ。今頃、成都も食料が不足がちになっているかもしれませんわねえ・・・これが貴方のお考えでしょう、高順さん」本当は、陥落させた土地の兵士達を「次に」攻める城へ放逐。それが次第に増えて行き、漢嘉では兵数で負けていたが兵糧攻めで簡単に陥としている。最終的には成都に向かって追い出したわけだが、多くの将兵は他の都市よりは食料が多く備蓄されている成都へ向かっただろう。成都の兵力は増えたが、食料の消費が早まる。高順が李典らに食糧を買い集めさせたのは、こうなるように仕向けようとした為だった。「・・・(一生懸命考えた作戦をあっさり読まれた・・・泣きたい・・・)」しょぼくれる高順を尻目に、今度は李典が「なあ、もう一個聞いてもええ?」と質問をした。「その、成都に送ったのはええけど、なんで成都に向かったっちゅーのが解るん?」「漢嘉を陥落させるまで、各地に少しずつ兵を残していきました、と申しましたわね。」「へ? あの、つまり、どーいう・・・」 「数日分しか無い食料です。もし彼らが引き返してきても、こちらが兵を残しておけば空腹を抱えた兵くらい、簡単に追い散らせるでしょう? 実際にこっそりと戻ってきた者もいましたが、再び食料を与える事はしておりません。他の場所よりは成都に向かった方が食料がある、と誰もが思うでしょうし」「・・・・・・ああ、成程なぁ。えげつなー・・・数日やったら、人数にもよるけど成都まで辿り着けず餓死してる連中がおるかもしれんやんか。解っててやったなぁ?」李典の言葉に、麗羽は意味深な笑みを浮かべるだけで何も答えない。あのような連中に遠慮は要りません、とでも思っているのかもしれない。「さて、そうなると残りは東。捕虜がいる可能性が高いなら、すぐに向かうべきだな」麗羽さんの暴走はもう良いよ、俺は知らないことにするよ・・・と、諦めの表情であった高順だがすぐに武将の顔になる。捕虜だけならばまだしも、それが虐待、拷問の類で苦しんでいるのなら、直ぐにでも奪還に向かわなければいけない。やられたのなら、ある程度はやり返すべきでもある。高順は麗羽達をこのまま江陽に駐屯させ、自分達は江州へと向かうことに決めた。~~~その日の夜。江陽城内にて~~~延々行軍していたのでは兵士がもたない、という理由で、高順隊も江陽で一日だけ身体を休めることとなった。この決定に蹋頓も孟獲らも大喜びで一緒にお風呂に入ろうだの、一緒に寝ようなど、大いに盛り上がっている。反面、高順は蹋頓と娘達に放置されてしまい「これが世の中のお父さん方の気持ちかー・・・」と、家庭内で省られる父親の寂しさを味わっていたりする。いずれ「お父さんの服と一緒に洗わないで」とか言われちゃうのかなー、と世の無常を嘆きつつ、高順は一人で湯船に浸かって日頃の疲れを癒している。彼が入浴したのは全員入浴し終わってからなので、少し湯の温度が温かったが文句を言う事でもない。湯気の立つ浴室の天井を見上げて、ぽけーっとしている高順だが、そこに誰かが「ばたんっ!」と勢い良く扉を開けて乱入してきた。「・・・はぇ?」「とーさま! シャムも一緒にぬくぬくするのにゃー!」素っ裸のシャムである。「でぇっ!? シャム、なんで・・・蹋頓さんと一緒に入ったんじゃ・・・?」「とうさまと一緒に入りたいから我慢してたのにゃ」「そ、そうか・・・って、ちょっと! 湯船に入るときは体と頭を洗ってから!」そのまま普通に湯船に入ろうとしたシャムを、高順は湯船から出てきて抱きかかえた。「にゃー! このまま入れば綺麗になるのにゃっ」「無理だし駄目。ほら、洗ってあげるから大人しくしてなさい」と、高順はシャムを風呂椅子に座らせた。むぅー、と唸りながら、しかし素直に髪を洗われているシャム。なんでこの世界では既にシャンプーがあるのかなぁ、と高順はシャムの頭を頭用の洗剤でワシャワシャと洗う。(まあ、水着とかが普通にあるしね。黄蓋殿の水着姿も素晴らしかった・・・じゃない。やっぱ、どこかが違うんだろうな、この世界自体)ラーメンがある時点で突っ込みどころなのだが、それを言うのは色々と野暮な気もする、と高順は身も蓋もない事を考えつつ、シャムの体まで洗い終えた。「よーし、湯船に入って良いですよー」「むー!(プルプル」「だわっ、冷たいだろ・・・」猫か犬のように体を震わせて水分を飛ばしたシャムを抱え、高順は湯船にゆっくりと浸かる。「あー、気持ちいー・・・」「みゃふー・・・」ほんわりした性格のシャムと、どちらかと言えばぼんやりしている高順。波長が合うのか相性が良いのか、湯船で仲良くぽけーっとしている。「うや?」「ん? どうかした?」「とうさま、指どうしたのにゃ?」「あー・・・うん、大怪我してね。なくなっちゃったんだよ」シャムは高順の左手・・・指を失った傷跡を見て「む~~~」と唸ってから、両手で高順の左手を握る。「・・・痛いの、飛んでけなのにゃっ」「ははは、今は痛くないさ。ありがとうな」左手やら体中の傷をぺたぺた触るシャムの頭を右手で撫でつつ、平和だねぇ・・・としんみり思う高順であった。~~~高順の部屋にて~~~「あう~~~」長湯して湯当たりしたのか、ふらふらになりながらもシャムは高順にひっついて部屋まで押しかけてきた。「今日はとうさまと一緒におねむなのにゃー・・・」「いいから水を飲みなさい。あと、寝る前にはちゃんとお手洗いいくよーに」「はいにゃー。」翌朝。「だからあれほどお手洗い行きなさいって言ったでしょー!?」「ごめんなさいなのにゃああああっ!(泣」水を飲みすぎたせいかシャムが布団に世界地図を描き、高順に叱られました。こんな日常を挟みつつ高順隊は東・・・江州に向かう。彼らが動き出した頃には、孫権率いる征西軍も馬騰の領地である桂陽・武陵へと進み、高順が江州を陥落させて直ぐ、かつ同時に永安を攻めることが出来るように、と準備に勤しんでいた。~~~楽屋裏~~~だからコミック○レジャーでもきついんだって! あいつです(挨拶え、何? あのままシャムに風呂場でエロい事を教えろだって・・・?そんな事したら・・・アグネス・カネノモージャと石原・ケンリョクノモージャと全面戦争になってしまうので嫌です(は?今回は短めでしたが、日常風景って毎回同じようなことしか書けないのですよね・・・。それは良いとして(良いの?)、やっとこ劉璋と本格的な抗争開始ですね。つってもまだ江陽ですが・・・前にも書いた気はしますがもう一度、劉璋の現状の戦力の割り振り。基本、劉璋はメインの武将を北、張魯戦に回しています。ただ、孫家征西軍が来たという報告で、黄忠・厳顔・魏延あたりを成都に帰還させているのでしょう。他にも黄権・張任なども成都にいるかな。その間は北の戦線では呉懿や孟達あたりがメインの武将になるのかなぁ。法正は・・・まあ、これは北にいます。劉備と結託するのでしょう。多分。(あれ?