【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第95話~~~潼関~~~曹操軍。「なぁ、白蓮。」「なんだ、春蘭。」馬騰陣営をじぃぃぃ~~~っと見つめていた夏侯惇は、傍らの公孫賛に喋りかけた。「なんか、馬騰軍の動きが慌しくなったと思わないか?」彼女達がいるのは北砦。韓遂と奪い合っていた砦だが、その韓遂が「兵が少数になった為維持ができない」と判断、曹操軍が確保するに至っている。同様に南砦も夏侯淵が確保して、残すは中央砦のみだ。その北砦からじっと馬騰軍を見張っていた夏侯惇だが、なんとなく「あいつら、動くな・・・」と予測していた。何で? とか聞かれても困るが、とにかく動くと感じたのである。「そうかなぁ・・・って、ここから見えるのか?」「え、見えるだろ? こう・・・なんていうか、気とか、それっぽいのが」それっぽいってどれっぽいのだよ・・・とぼやきつつ、公孫賛も中央砦へと目を向ける。近眼というわけでもなく、むしろ目は良い公孫賛だが、それらしい動きを読むことは出来ない。ただ、普段はお馬鹿でも夏侯惇は武将としては相当な出来物だということを公孫賛は知っている。「春蘭がそういうなら、華琳に伝令を出そうか? 私達の独断では動き辛いだろ?」「そうしてくれ。」ん、と頷き、公孫賛は伝令に言伝を頼んで曹操本陣へと走らせ、再び馬騰軍が篭っている砦へと目を向ける。その姿を横目で見つつ、夏侯惇は「うーむ」と唸っていた。能力的に「あともう一歩」が足りない(あくまで夏侯惇主観である)公孫賛だが、自分が気付かないような事に気が付いてくれるし、あれこれと自分が動きやすくなるように前準備も行ってくれている。(華琳様は「準備なんかは白蓮に任せて、貴方は思う存分暴れまわりなさい。ただし、ちゃんと彼女の言葉を聴いて考えるべきところは考えるのよ」とか仰ってたが・・・確かに動きやすい)公孫賛が裏でどれだけ苦労して、胃痛に悩まされているかなどはまったく知らない夏侯惇だが、色々と動いてくれていることは知っていて、そこは素直に感謝している。「ま、独断で出撃はしにくいというだけで、危急の場合は好きに動いてかまわないと言われているけどな。やはり伝令は出すべきだよ。」という公孫賛の言葉に頷き、夏侯惇も砦へと目を向ける。その危急な状況が余り無いと言うだけだが、今は公孫賛が出撃する為の準備をしている。それから少し経ったが、やはり状況の変化というか、動きらしいものは無い。「うーん、慌しいって言うのは何だろうな・・・まさか打って出るとか? それとも逃げ・・・」公孫賛が言い終わらないうちに。中央砦の東門が開門。5千ほどの兵が喚声を上げ、曹操軍本陣へ向かって突撃を開始した。「・・・は?」「・・・え?」『ちょっと待てええええええええええええっっっ!!!?』二人の叫びが一致した。北砦、南砦共に反応は遅れたが、守備兵力を残しつつ直ぐに出撃。曹操本陣も前面に対して何重にも防衛兵力をまわしており、迎え撃つ準備は出来ていた。両軍共に交戦するも、数が圧倒的に少ない馬騰軍は3方向から滅多打ちにされ、じりじりと後退していく。途中で、馬騰軍が2千ほどの兵を2回に分けて後続隊として派兵してきたが、ほとんど敗走に呑まれてしまっており、上手く立ち回れないでいた。曹操も前線に立ち、戦闘に参加。鎌を振るっているがかすかに違和感を感じていた。なぜこれだけの兵数で向かってくるのか。勝ち目などあるわけが無い。(こちらの戦力の疲弊を狙ったか、それとも囮・・・本命が何処からか攻めてくる? 何より、馬超も韓遂もいない。この状況で使わない手は無い筈・・・)動けないほどに負傷したか? と負傷訝しがる曹操だが、今は完全に戦の主導権を握っているのが自軍だと理解している。砦の完全包囲に乗り出すために、後方の部隊も進発させ始めていた。「どうしたものかしらね・・・後方にも兵はいる。このまま一気に攻め抜くか、逃げ場所を造りじわじわと追い詰めるか・・・」捕縛して臣従を拒否するのなら粘り強く説得するしかないが、疲労するまで緩々と攻めて、向こうから降伏してくるまで待つか。考えている曹操の下に伝令がやって来て「中央砦より、後方砦へと一軍が向かった模様。」と報告があった。「どの部隊?」「馬一文字・・・馬騰か、一族筋の武将が向かったかと。」「馬騰・・・? ふぅん」まさか、西涼に向かって救援部隊を? それでこの戦いでは出てこなかった? 囮か。それとも誘いか。(馬騰が尻尾を巻いて逃げるクチかしらね? 考えにくいわ・・・と、いうことはやはり救援要請。でも、長安からの補給は途絶えている。)韓遂、馬騰・・・何を考えているのかしら?曹操の感じた違和感、いや、夏侯惇・淵。それに公孫賛もだが、それは正解だった。馬騰軍が向かって行ったのは、派手にやり合って注意を引く事が目的。前線で韓遂が交戦をしている間、韓遂は別働隊を後方の砦へと向かわせていた。一応、韓遂の狙い通りに事は運んでいる。中央砦が包囲された事も、韓遂の狙い通りであった。砦の北方では、成公英が夏侯惇・公孫賛の部隊を相手に奮戦していた。彼女の部隊は後続隊として出撃。後退してくる自軍の援護を行うつもりだったが、横合いから突進してきた夏侯惇隊と交戦状態になり、援護するどころではなくなっていた。「せぁっ!」気合の掛け声と共に、弓に番えた矢を曹操軍に向かって撃ち放つ成公英。誰に当たったか等を確認する余裕は無く、次の一矢を放とうと腰に吊るした矢筒を探る。「・・・くっ、残り少ないか」矢も無くなりかけている。周りを見渡すが、味方の数は少ない。というよりも数えるほどしか残っていない。最初に突撃した部隊は砦まで退いたようだが、その代わりに自分たちは退き時を逸したかもしれない。逃げられるなら逃げるべきですね、と成公英は再度周りを見回すが・・・後方は完全に曹操軍によって遮断されているし、退路を確保しようにも兵が少ない。・・・どうも、逃げ切れそうに無い、と成公英は自分を目指して進んでくる一群を見た。禍々しい形の大刀を振りかざし、こちらに向かってくる武将。あれは、夏侯惇だ。夏侯惇のほうからも、奮戦する成公英の姿は見えていた。その夏侯惇の周りを公孫賛と、彼女率いる白馬義従が固めている。「なぁ、白蓮」「駄目だ。」「ぶっ!? まだ何も言って無いじゃないか!?」「『なぁ、白蓮。あいつと一騎打ちして良い?』 ・・・なにか言い訳は? 反論は認めない」「それじゃ何も言えないと思うが一言だけ言うなら・・・無い!」自慢げに胸を逸らす夏侯惇に、公孫賛はがくぅっ! と馬の上でずっこけそうになった。「あ、あのなぁ・・・出撃が遅れたからって気に病む必要はないだろ。時間差で攻めたって事は割と有利なんだぞ? 向こうは存分に戦って疲労してたんだ。」公孫賛の言うことは事実で、曹操本陣部隊と戦って退いた馬騰軍の横合いを叩いたのが夏侯惇と公孫賛の部隊だった。更に、公孫賛は部隊を2つに分け(もう一隊を率いるのは張郃)、更に時間差攻撃を繰り出し後方の遮断に成功している。ちょっとした賭けみたいなものだが、これは上手くいっていた。「これで馬騰側の戦力を完全に砦に押し込めたし、これ以上救援の兵を出してこない・・・つまり、たいした戦力も残ってないのが判ったんだ。」「いや、判っているんだが・・・こう、張り合いがないというか・・・うぅ」「・・・。暴れ足りなかっただけか。」「そう、それだ! それにたいした武勲も挙げてない! だから挑むぞ、決定した。決定だからなっ! あと兵士には手を出させないようにしておけよ!」「・・・・・・・・・・・・結局言うこと聞いてくれない。誰か交代して・・・」猪突猛進、暴走お馬鹿夏侯惇の押さえ役をしている夏侯淵の普段の苦労と、その役を押し付けられた自分の不運。公孫賛のむなしい一言であった。そんな漫才を(戦場なのに)しているとは露知らず、成公英は剣を構えていた。夏侯惇は曹操軍最強の武将。それに、向こうは馬に乗っている。よほどの俊脚でもない限り逃げ切れないだろうし、退路も無い。覚悟を決める以外、道は無かった。或いは雑兵に討たれるかもしれないと思っていたが、夏侯惇が到着するまで待っているのか、矛を構えて遠巻きに囲んでくるだけだ。私と一騎打ちをするつもりですか? と訝しがる。そうだとすれば随分買いかぶられた、と思う。彼女の武勇の足元にも及ばない自信はある。後ろ向きだが。(申し訳ありません、韓遂様。どうやら、私が先に逝くことになりそうです。)成公英は目を閉じて、自らの主君に別れを告げた。すっと目を開けた成公英の目の前には夏侯惇。すでに下馬している。ヤる気満々であるが、まずは名を聴いてみることにした。「見たところそれなりに名のある武将と見受けたぞ。私は魏の将、かk「夏侯惇将軍ですね」うん。・・・ってそうじゃない!」途中で遮られた上に素直に頷く夏侯惇だったが、首を振って叫んだ。「だから、おまえ「私は成公英です」・・・。」また遮られた! と叫ぶところだが、成公英という名に覚えがあった夏侯惇は、後ろにいる公孫賛に声をかえた。「なー、成公英ってどっかで聞いたっけ?」「・・・はぁ。華琳が欲しがってる武将の1人だ。何度も聞いたんだから覚えておけよな・・・」「え、そうだっけ・・・じゃない、ちゃんと覚えてたぞ!?」はいはい、と適当な受け答えをしてから、公孫賛も馬から降りる。「成公英。馬騰というより韓遂の武将だな。公私にわたって主人を支え、その上武将としての資質も悪くない。華琳はそう言っていただろ?」「・・・じゃあ、戦えんじゃないか?」「そうでもない。むこうはやる気みたいだ。」「むっ・・・」ふと振り返ると、成公英は剣を構えている。「一応聞いてみるけど、降伏してくれないかな? 無駄な人死にを出すのは望むところじゃない。曹操は西涼の将兵を登用するつもりだし、降伏すれば命を取られるようなことはないよ? 立場の安堵とかも、口添えしてみるから・・・」と公孫賛は愛想よく笑う。が、成公英はそれをきっぱりと断った。「申し訳ありませんが、それは出来ません。お気持ちは感謝致しますが、私は韓遂様に従う身です。主が降らないと言うのなら、従い、共に戦うのが臣下である私の役目。」さぁ、どこからでもどうぞ。と成公英は促す。「しかし・・・」「やめておけ、白蓮。こういう手合いは難しい。私や秋蘭と同じようなもんだ。」食い下がる公孫賛だが、夏侯惇がそれを制して大刀を構えた。「無理やり縛って華琳様に献上しても言うことは聞きそうに無いしな。追い込まれているのに戦意は衰えていない。やらないほうが無礼ってものだ」「っ・・・!?」夏侯惇はふっと距離を詰め、成公英の右手に斬りつけていた。いつの間に・・・? と成公英は驚きと痛みに顔をしかめ、その間に夏侯惇はまた距離を取る。傷口からは、血がどっと流れている。成公英は剣を握り締めるが、痛みと出血で手に力が入らない。「う、くぅ・・・たった一度の斬撃で」「悪くはない。悪くは・・・しかし、お前では無理だな。主に忠義を尽くす姿勢は好意に値するが、その志に腕が追いついていない。悪いことは言わん、降伏しろ」大刀を肩に担ぎ、夏侯惇は降伏勧告をするのだが、成公英は再び構える。(公孫賛は兵と共に後ろに下がっている「やめておいたほうが賢明だ。怪我をした、ではすまなくなるぞ?」「つっ・・・降伏するつもりはありません。さぁ、どうぞ。」「頑固だな。そういうのは嫌いじゃないが・・・構えがぐらついているぞ。剣だってうまく握れていない。それでもやるのか?」「当然です。」「そうか・・・。残念だ」彼女は自分が言ったとおり、成公英から自分と似たものを感じていたのだろう。説得(にもならなかったと思うが)不可能と感じた夏侯惇は本当に残念そうに言い、成公英めがけて突進する。成公英は右手をだらんと下げて夏侯惇の動きをじっと見つめながら、韓遂との手合わせを思い返す。あれは何年前だったか・・・~~~回想中~~~木剣での訓練だったが、よくボロボロにされたものだ。その日も激しい打ち合いをして、あちこち打撲ばかり。なのに韓遂は傷1つ無い。こちらが本気を出しても向こうは・・・油断はしていないが、明らかに力を抜いている。力量差がありすぎるわけだが、訓練が終わって、成公英は韓遂に一礼した。「あ、ありがとうございました・・・」「うむ。・・・いいか、こういう時は」「?」「諦めないことが肝要だ。今のはただの訓練だからマシだが、実戦でならお前は何度も死んでいる。負けると思ったらすぐに諦めるのがお前の悪い癖だな」「はい・・・。」韓遂に咎められ、シュンと縮こまる。「自分が負けて死ぬと解っていても、諦めるな。自分の後に続いて戦う者がいるのを思い返せ。命は有限、最後まで使いきるくらいの気持ちでな。一矢報いる、とでもいうべきか?」隙があったらいつでも斬りかかる、くらいでいいかも知れんぞ? と韓遂は背を向けた。その瞬間、成公英は「解りました、韓遂様!」と韓遂の後頭部めがけて木剣で殴りかかりそれが命中。韓遂はもんどりうって転倒する。「クッフゥ・・・お前に教えることはもう何も無い・・・(ガクッ」「うわー!?」~~~回想終了~~~・・・思い出さなくて良い場面まで思い出した気もするが、成公英は全神経を集中させて夏侯惇の動きを見て動いていた。まず一撃目は・・・横薙ぎ。思いつつ、成公英は後方に退いて回避する。いや、夏侯惇の斬撃のほうが早く、切っ先が腹部を裂く。だが、かすり傷だ。気にすることではない。二撃目。返す刃で足への斬り付け。これも避ける。三撃、四撃、五撃。斬り上げ、斬り下げ、斬り払い。次々に繰り出される攻撃に、少しずつ傷を増やしながらも成公英は避けていく。まだだ、まだ死ねない。私の後に続く人々の為に。私が死んでも韓遂様はまだ生きている。韓遂様が死んでも馬騰様や馬超様が生きている。今の自分の戦いが、あの人たちの為になれるか否かは知らない。もしかしたら、いつの日か役に立つのかもしれない。立たないかもしれない。でも、目の前の女に僅かでも傷をつけてやる。その一心だけを支えに、傷つきながら、成公英はじっと待った。夏侯惇も、間違いなく自分より格下の相手に決定打を与えられないことに苛つき、(強いとは言わないがなかなか・・・)と関心もしていた。「頑張るじゃないか。だが、避けてばかりでは私には勝てんぞ?」「は、はぁっ・・・くっ。」さぁ、どうする? 何かの誘いをかけているだろうとも予測しているぞ?その誘いが何かは解らないし、自分の動きの何を狙っているのかもいまいち解らないが。今自分の動きを封じる事に大きな意味があるとも思えない。自分を足止めしておいて軍勢を以って逆襲を仕掛けるのか、と疑いもしたが、相手方の残った兵力を鑑みればそれは無い。それが解っている公孫賛も、動かずに両者の一騎打ちを見守っている。しかし、先は短いだろう。成公英は頑張っているが長くはもたないな・・・と、思っているうちに、その時は来た。夏侯惇は大刀を両手で持ち、突きの態勢で成公英の腹部めがけて突進する。殺すつもりは無い。適当に脅かして、鳩尾に強打を入れて気絶でもさせてやろうという心積もりだった。足も腕も傷つき、動きも鈍っていた成公英は諦めたのか。左手を前に、剣を持った右手を心持ち後ろに構え、迎え撃つ姿勢を見せた。勝敗は既に決まっている。が、夏侯惇の構えとなる「突き」が、成公英の待っていたものだ。夏侯惇の膂力で薙ぎ払われたら、真っ二つになって吹き飛ばされるだけだが、突きならばまだ体が千切れず残る可能性がある。上半身が千切り飛ばされればそれで終了。だから相打ちにできるとは思っていないが、そこに僅かな隙が出来れば・・・という程度のものだった。突進する夏侯惇。待ち構える成公英。両者の距離はあっという間に縮まる。そして・・・夏侯惇の太刀が、成公英の腹部を貫く。「ごぼっ・・・げふ・・・が、ぁ・・・」「き、貴様・・・何故動かなかった・・・ぉっ?」成公英の口から大量に血を吐き、また傷口からも同様に血が流れ落ちる。夏侯惇の問いに答えることは無く、彼女の腰を左手で引っつかんで自分のほうへと引き寄せ体を密着させた。「っ!?」突き刺さったのは太刀の半ばあたりまで。これは意図的に力加減をしたからだ。全力でいけば成公英の上半身が吹き飛んでいる。それがズグググッ・・・と嫌な音を立てて更に深く突き刺さっていく。夏侯惇も、振り払おうとすればいくらでも振り払えたのだろう。だが、死の間際に立ちながらも、眼光鋭く戦うことを諦めない目の前の少女の意気に僅かに圧され、それが原因でほんの少しだけ反応が遅れた。太刀の柄を両手で握っていたので、抱え込まれた姿勢で密着させられると手の自由が利かない。その上、成公英は夏侯惇の顔へ向かって口の中に溜めていた血液を吐き出す。「ぐぅ!? ちぃっ、目が・・・・・・」(このままでは。こいつ、右手に剣・・・ぁ? さっきまで握っていた剣が・・・無い?)成公英は「上手くいってくれた」と思った。思い切り抱き寄せたが、すぐに脱出されるだろう・・・と、成公英は右手に握った矢を振りかぶる。腕力にも五胡式戦闘術にも自信はない。右手の傷も酷く痛み、剣を握り続けることも出来ない。でも。血を失いすぎて視界もはっきりとしないが、矢を握って、振りかぶって、叩きつける位なら出来る。声を出すことも無く、残りカスのような力を振り絞り成公英はそれをした。どずっ、と鏃が突き刺さった場所、それは・・・夏侯惇の左目。何処に刺さったかは解らなかったが、それで十分だった。「韓遂、さ、ま・・・。・・・・・・・・・」成公英は、何事かを呟き、絶命した。「っ・・・ぐぅうあぁっ・・・!」「し、春蘭っ!」夏侯惇は、既に力を失った成公英の体を突き飛ばして、その場に蹲った。一騎打ちの邪魔をしないように下がっていた公孫賛は、慌てて駆け寄っていく。傷を見る公孫賛だが、医術などには詳しくなくても、その傷だけで夏侯惇の左目が潰れているのは理解できた。「・・・く、ぅぅぅぅ・・・あっ! ぐぬ・・・」「お、おい・・・」驚いたのは、その時に夏侯惇が取った行動。彼女は矢を力任せに引き抜いた。そして、引き抜かれた目から鏃を抜き、そのまま「ばくっ」と目玉を飲み込んでしまったのである。「・・・ふんっ! 目を射抜かれた程度で怯むものかっ! 父母の血で出来た目玉、捨てるつもりは無い!!」「・・・うわぁ」この時の二人の差、というのはただ「成公英の動きが一手だけ早かった」だけだ。夏侯惇は突進をしてきたときに、彼女に見えないように剣を離し、矢筒に手を伸ばした。太刀が刺さった時に抱き寄せて、その時に矢を振りかぶった。血を吐きかけられた夏侯惇が振りほどこうとしたときに、矢が刺さった。本当にただそれだけだった。「とりあえず、一度下がるぞ。お前の傷の手当もしないとな」「む。これくらい何とも」「ないわけないだろ。血、まだ止まらないし。このまま放置してたら私が華琳にどやされる」まったく、華琳にどう言い訳すれば良いやら・・・と頭を掻きながら公孫賛は後退命令を出し始めた。「・・・」傷口を手で押さえつつ、夏侯惇は成公英の亡骸から太刀を引き抜いた。ここまで深く噛み付かれるとは、といったところだ。まさに文字通り。一矢報いた、だ。甘く見て油断した自分にこそ一番の原因がある・・・それにしても。こんな結果になってしまったが、出来ることであれば、いろいろと話をしてみたかった。と夏侯惇は成公英の亡骸を見下ろす。そんな事を思いつつ―――夏侯惇は少し迷ってから、成公英の亡骸を担いで自分の馬の元へと歩いていく。自分に傷を負わせたから、ではないがこの娘の亡骸を弔ってやりたいと思った。主の為に戦い、その主を想い逝ったこの娘を。この乱世。時代を読んで、陣営を変えて賢しく生きることを責めることはできない。そんな時代だからこそ、こうして忠節を捧げてその為だけに死んでいく人々の姿が眩しい。そんな生き方を、時節を読めない馬鹿という者もいるだろうし、実際にそれは正解かもしれない。ただ、夏侯惇は自分や妹と同じように、主を愛してその為に死ぬ事を厭わず、そしてその通り死んだ成公英に一種の親近感を感じた。この娘と韓遂。両者の仲を良く知るわけではないが、成公英の遺した言葉を聴けば、自分と同属だというのは良く解る。夏侯惇は成公英の亡骸を抱え、馬に騎乗し、その最後の言葉を思い返す。(・・・こいつは、間違いなく最後に言った。)韓遂様。私は貴女のお役に立てましたか?~~~楽屋裏~~~こんなSSで大丈夫か? ああ、問題しかない(ノヘ) あいつです(挨拶てな訳で、成公英が戦死しました。この時に夏侯惇の左目も潰れてます。演技では曹性、史実では・・・多分高順だと思うのですが―――に、左目を潰されてます。ゲームでは流れ矢だったみたいですけど。多分、欝展開じゃないから大丈夫ですよね?欝なんてどこにもないですよね?(不安細かいこと言うと、腹突き刺されて血を吐いた状態では喋れないです多分。・・・まぁ、今更だよね、うん。~~~番外編:その頃の高順さん~~~*これはあくまでイメージです。疲れて自分の部屋に戻ってきた。高順は、(自分の部屋なのに)蹋頓と黄蓋に奇襲された!高順は逃げようとした。だが逃げられない!*これはあくまでいm(以下略 イヤァァッァアァ 【ヤーン】【ニャーン】(;´Д`)【キャーン】【ウフーン】 タスケテェェェェェ *(以下略グッタリ(_;Д;)_モウハナミズモデマセン*・・・。・・・・・・。何やってんだ、お前ら。~~~楽屋裏~~~・・・何もかも台無しにしてしまった感。あくまで以下略なので、内容は皆さんのご想像にお任せいたします・・・。