【習作&ネタ?】真・恋姫†無双 ~~陥陣営・高順伝~~ 第81話 孫家的日常。その6。高順は華陀と二人、食堂で昼食を摂っていた。最中、飯をかっ込みながらも高順は何かを思い出して一度箸を止めた。「んぐ、そういや、黄蓋殿と周喩殿はどうなったよ?」「ん? 薬を処方して、あと無茶はしないように言っておいたぞ。」高順の質問に、華陀はなんでもないように答える。「黄蓋は単純に飲みすぎだからな。処方と言ってもそう大したもんじゃないが・・・問題は周喩だよ」「と言うと?」「働きすぎなんだよ。あの後、もう一度診たんだがな。体の・・・特に内側が悲鳴を上げている。あれじゃ本当に体がもたん」華陀の言葉には高順も思い当たる節が多くあった。周喩という人は、現代で言うところの過労状態にある。軍事・政治ともに強大な権限を持つ、というのは宰相役として相応しくない事なのだが、周喩という人は私心無く役目を果たしている。その分、重圧も仕事量も他者より多く、はっきり言って働きすぎである。孫策もソレを解っているのだが、どうしても彼女に頼ってしまってなかなか休みを取らせてやれないらしい。有能だからこそ他よりも仕事を多くこなし、こなせばこなすほど更に多くの仕事が舞い込む、という一種の悪循環に陥っているのだ。例えば張昭や陸遜など有能な文官もいるのだが・・・。まるで正史の諸葛亮みたいだ、とも思う。責任感が強すぎて、1から10までの間の殆どを自分でやらないと不安になるとか、そういう性格なのだろう。高順からしてみれば、もっと他人を頼るとか甘えても良いだろうに・・・と思うことが多々ある。お節介は重々承知だが、1度や2度ほど「もっと他人に甘えてみては?」という意味合いの事を、本人にそれとなく言った事はある。本人からは「心配は無用だ」とばかりに笑われてしまったが・・・。「まだ孫家は盤石とは言えない。やるべき事は沢山あるんだ。多少疲れたからと言って、私一人が甘える事は出来んよ」と。そういうことじゃないのに、と言っても周喩は聞き届けてくれなかった。周喩もいずれは呂蒙や陸遜に権力を少しずつ委譲するつもりだが、まだまだそんな気にはなれないようだ。ただ、心配をされているというのは理解したようで、周喩は「ありがとうな」と笑って答えている。「そっか・・・もしかしたら、本当に病になるかもしれん。その時は頼むよ、いや本当に。」「ああ、言われるまでもない。」華陀は何でもないように答えるが、彼がここに一時逗留するにも理由がある。蹋頓だ。高順に「必ず治してみせる」と約束をしたものの、自身の未熟ゆえに未だソレが果たせていない。彼なりに負い目があるらしく、高順の頼みを断らなかったのもそういった理由があったのである。「ごちそーさまー」と、高順と華陀は店主に代金を渡して店を出ようとするのだが・・・彼らはその時、何も知らなかった。自分達の目の前で起こる惨劇(?)を。~~~高順達が食事を始めた頃~~~華陀が高順を訪ねた時にいなかった卑弥呼。そして、高順の元にいる「影」を統率する楊醜(ようしゅう)。この、超雄(ちょーおす)2者は、高順達のいる食堂から程近い場所で再び出会っていた。(1度目は徐州。)「また会ったな、卑弥呼。今度も一戦 戦 ら な い か?」「ウホッ、よいオノコ・・・!」またしてもこのパターンで・・・!~~~余談、その頃の眭固(すいこ)と貂蝉~~~「ところでぇ、あたしの揉み上げを見てぇん♪ これをどう思うぅ?」「すごく・・・生え際がおかしいけど立派です・・・」まるで成長していない。~~~余談終了~~~普通、街中で戦えばこれまた普通に警備隊が出張って来て捕り物になる。加えて、華蝶仮面と言う謎(?)の存在がいるため、多数の場所で一斉に騒ぎが起きない限りは殺傷などの騒ぎはすぐに沈静させられるものだ。ところが、こういう日に限って・・・警備隊の出が遅かった。「喰らえぃっ!」「ぬぉぅっ!」卑弥呼は掌から衝撃波を発し、楊醜はそれを飛び上がって回避、民家の屋根の上に。「ぬぁはははっ! 甘い、甘いぞ! 砂糖よりも甘いわぁっ!」「うぉおおお!?」しかし、卑弥呼は無意味に縦回転しながら民家の壁を垂直に駆け上がり、楊醜同様に屋根の上に立つ。「ぬっふっふ。暫く見ぬうちに腕が下がったのではないか、楊醜!」腕組みをし、片足で立つ卑弥呼。上着が風にたなびき、無意味な漢臭さを出している。「ちっ・・・流石だな、卑弥呼。だが、俺にも奥の手はある!」「ほぉぅ? ならば、その奥の手とやら・・・見せてもらうとするか!」「言われなくても・・・なっ!」楊醜はツナギの(何故かこの時代にある)ジッパーを「ジィィッ」と下ろし、見えてはいけない(中略)、その楊醜の股間に光が集まっていく。「むぅ・・・!?」余裕の体であった卑弥呼だが、只ならぬ気配を察し構える。だが、じっと楊醜の準備が整うのを待っているようにも見える。集まった光が凝縮、1つの固まりとなるのを待つ辺りはまだ余裕がありそうだが、それでも手を出さないのは「ここで手を出すは無粋」という卑弥呼の美学のようなものである。こんな事をして騒ぎにならないはずがなく、そしてタイミング良くというべきか、高順と華陀もこれを目撃していた。「なぁ、高順・・・あいつら、何をしてるんだ?」「俺が聞きたいくらいなんですけど・・・」ジト目で屋根の上にいる人外たちを見つめる高順。「そうだよな・・・が、流石に止めたほうがよくないか?」「できれば関りたくないんだよね、あの流れには。」「むぅ・・・確かに。」周りには多くの人だかりが出来ており、動きたくても動けないと言うのも理由であるが・・・高順の言葉に、華陀も同意せざるを得なかった。そんな会話をしているうちに、屋根の上にいる二人の戦いも大詰めを迎えようとしている。「待たせたな・・・だが良かったのか。俺は遠慮なくヤっちまう男なんだぜ」「ワシは一向に構わぬ! さぁ、見せてみよ、貴様の滾りを!」何の滾り? という突っ込みはともかく、楊醜は何故か股間を突き出した。「喰らいなっ! 八天(はってん)の拳!」股間に収束していた光が、楊醜の叫びと共に白濁色をした一筋の光となって卑弥呼へと向かっていく。「なぁっ! こ、これ、はぁっ!!?」ずぎゅううううううんっ!! という爆音と共に、光を諸に食らった卑弥呼の体は宙を舞い彼方へと吹き飛んでいった。そして楊醜は、というと・・・。「・・・」精魂尽き果てたのか、人の家の屋根の上でぐったりとしていた。「・・・なぁ、高順。」「何ですよ。」「今の技、どこに「拳」の要素があったんだろうな・・・?」「・・・。俺が知りたいくらいですよ。」高順の言葉に、華陀も力なく同意した。「そうだよなぁ・・・」「うん・・・。」よくよく考えたら、卑弥呼も楊醜も放った技は僅か1つだけ。それだけでこんな訳のわからない仕合になるのは・・・あまり考えたくない。(つか、あれ見たら楽進がショック受けるか泣くぞ・・・。)威力こそ楽進のほうが段違いに高いが・・・あんな形で似たような事されたら落ち込むのは当然といえる。とりあえず、自分達に出来る事はただ1つ。見なかったことにしよう。余談でしかないが、この騒ぎはどこかで李典も見ていたらしく。当然のように楽進の耳に入り、「あれほど苦心して会得した技が・・・」と、しばらく塞ぎこんでしまったとか。~~~楽屋裏~~~夏なんて滅べば良いのにあいつです(挨拶記念すべき投稿数100話目で八天の拳とかかました事実は見なかったことにしていただきたいのですが(ぁ前回、後2話で孫家的日常終わらせるよ! と言いましたが・・・終わらせる自信が無いです。短く纏めてしまいますか(ぁ実際はまだ解らないんですけどね。これも原作改悪話です。高順が董卓として生まれてたら、とかいうおかしなネタが思いつきもしましたが・・・没ですな。月が董旻(史実では董卓の弟、原作には出てません)になりそうですし。さて、前に「これから先どんな風に進めていくべきか」と読者様方に聞いたところ。作者の思うように書けばいいんじゃない? もっと短くテンポ良く、高順なんてモゲればいいのに(誰も言ってない)など、多くのご意見を頂きました。やはり、書きたいものを書け、という意見が大半でしたね。ただ、もっとテンポ良くと言う意見もわからないではないのですなwできるだけ不要な話を削るべきかどうか・・・ちょっと迷い気味です。~~~番外編~~~「て、訳です。」「ふぅん・・・」孫権の部屋にて、高順と孫権が何事かを話している。特に何かあったわけではない。孫権に乞われて、倚天の大剣と青釭の刀を曹操から入手した経緯などを話していただけだ。孫権は、以前から高順がどのように戦ってこの時代を潜り抜けてきたのか、と言うことに少なからず興味を抱いていた。この乱世だ。腕がよければ一旗挙げるなり、どこぞに仕官して有力武将となる事だって普通にある話だ。ご多分に漏れず、高順もその手合いだったが・・・これまでの話を聞いていると、どちらかと言えばあまり戦いを好んでいるというわけでもないようだ。親が勝手に兵士募集に応じて、死亡フラグ回避・・・は言わなかったが、いつの間にか仲間が増えて、その食い扶持を得るためにという流れが、いつの間にかこうなった。生き残るために悪あがきを続けていたらこんな風に、と言うことだった。「随分隙だらけと言うか、割に合わない生き方をしているのね、貴方って。よくそれで生き残って来れたわね。」「・・・自覚はしてます、ハイ。」遠くを見つめて認める高順に、孫権はクスリと笑う。「ごめんなさい、別に貶めるとかそういうつもりじゃないの。呆れと感心が半々といったところかしら?」「つまり、褒めるつもりもないって事ですね・・・」「えぁっ・・・そ、そうじゃなくてっ」孫権は慌てて頭を振った。「ふぅ・・・」更に一頻り話をした後に孫権は、不意に自分の肩を「とんとん」と叩いた。「?? どうしたんです?」「え? ああ・・・この頃肩こりが酷くて。疲れてるのかしらね・・・」孫権は、姉に比べれば地味であるが政務を良くこなしている。むしろ、事務能力やら調整能力は姉以上である。その代わりに戦争・個人戦闘力は大いに落ちてしまうのだが孫家の人間として申し分のない能力があった。本人の真面目な性格もあり、周喩ほどではないがオーバーワークになりがちなところがある。そのせいで疲労が溜まって、うまく発散できないのだろう。孫策の後を継ぐ者として周りの期待も高い。昔はその期待が重圧になって、他者に対して随分刺々しい態度を取る事もあったが、高順との一件以降、かなり性格の質が柔らかくなり「姉は姉、自分は自分」という意思を持ち始めている。姉と競い合うつもりはないし、姉に武で劣り勝てないのは承知している。自分なりの精一杯で孫家の、そして民の為に尽くせば良い。という思考に達していて昔ほど重圧と言うものは感じていないらしかった。それでも疲れはあるし肩は凝る。だが、下世話であるが・・・それには彼女の胸にも原因がある。孫策・周喩・黄蓋には劣るが、彼女の胸も相当に大きい。その胸のせいで余計に肩へと負担がかかってしまうのである。はぁ、と眉間に皺を寄せて肩を叩く孫権に、高順は「指圧か肩揉みでもしてあげましょうか?」とからかうように言ってみた。別におかしな下心などないし、冗談で言ったつもりで断られる事前提で言って見たのだが・・・「あら、そう? じゃあお願いしようかしら。」「へ?」「え? 肩を揉んでくれるのでしょう?」「・・・。あ、はぁ。それじゃ、遠慮なく」「・・・? 遠慮などする必要があるの?」冗談通じず。首を傾げる孫権の姿に「あるぇー?」と思いつつ、肩を揉みはじめる高順であった。椅子に座っている孫権の肩を揉み始めて数秒。その僅かな期間で高順は(うわぁ・・・こりゃ随分ガチガチだなぁ)とか思ってしまった。かなり時間をかけてほぐさないと、コリが取れないだろうなぁ、と力を込めて揉みほぐすがあまり力を入れると痛いかもしれない。そう思っていた矢先、少し痛んだのか「ん・・・もう少し弱く・・・あ、それくらい」と、注文をつけながらも孫権は気持ち良さそうに目を細めている。ただ、孫権は肉体的にかなり鍛えられている。そのせいで背筋が逃げて、マッサージをしにくいのだ。ふむ、と唸って高順は一度手を止めた。「あら・・・もうおしまい?」孫権が少し不満そうに振り返る。「うーん・・・ちょっと寝台にうつ伏せに寝転がってくれませんか? 背の筋肉が逃げてやりにくいんですよ。」「し、寝台!?」ここでようやく警戒心が出てきたのか、孫権の声が裏返る。「へ、変なことしないわよね!?」「そのつもりがあったらもっと早くやってます。警戒心無さ過ぎですね。」「え・・・えっ?」「案外に隙だらけですね、孫権殿?」「・・・。」さっき言われた事をそのまま返されて、孫権は沈黙した。不機嫌になりつつも、孫権は寝台に寝転んだ。「早くしなさいよ!」と言わんばかりに。高順からすれば、座ったままの態勢よりも上から押さえるような感じでやったほうが幾分やりやすい。それじゃ行きますよー、痛かったら言ってくださいねー。と前置きをしてから、孫権の方に親指を当てて力を込める。「はぁっ・・・ん」「・・・(汗」悩ましげな声をあげて身悶える孫権。良く見たら、孫策や周喩には敵わないながらも豊かな乳房が寝台に押し当てられて、線の細めな孫権の体からはみ出ている。その上、「あ、痛・・・い。もう少し優しくぅ・・・」とか「んぁっ・・・そこぉ、もっと強めに」とか・・・声だけ聞いていたら凄まじく何か誤解されそうだ。しかも、色っぽい声でそんな事を言うものだから、余計に落ち着かない。誰にも聞かれていませんように、と願う高順だが、彼はこの時点で完全に失念していた。孫権に付き従う一人の護衛がいたことに。甘寧は、孫権の部屋に入ろうとしたところで、その孫権の甘い吐息を聞いた。(何事・・・!?)嫌な予感がする、と甘寧は扉を僅かに開け、隙間から片目でじぃっと部屋の中を窺う。部屋の奥の寝台に、孫権の足が見える。(ああ、蓮華様のおみ足・・・美しい・・・)ハァハァと興奮する甘寧を見たら、まずもって変態そのものだがそれはこの際置いておくとして・・・。そこに、高順の姿があり、声が聞こえてくるのは不快だった。自らの主は、どういうことか高順を気に入って、そしてある程度気を許しているように思える。そうでなくば、自分の部屋に警戒心無く入れてしまうと言うことはないはずだ。(くそ、一体何をしているのだ・・・!?)と、もう少し扉を開いて奥を見ようとするが、そこで聞こえてきてしまった。「あぁん・・・駄目ぇ・・・もっと、優しく。・・・んくぅ」←うっとりとした声をあげる孫権「ぜーはー・・・こ、こうですかー・・・」←流石に疲れてきた高順(っ!?)←明らかに勘違いした甘寧がちゃっ! と乱暴に扉を蹴り開けた甘寧が一足飛びに寝台へと向かう。彼女が見たものは、うつ伏せになって恍惚の笑みを浮かべている孫権と、その孫権の臀部の上に跨って腰やら背中やらを触りまくっている高順。高順は指圧をしていただけだが、甘寧には触っているだけにしか見えなかったようだ。「貴っ様ぁあぁっぁぁあ!!! 私の蓮華様に何をしているーーー!? (怒りの怪鳥蹴り」「・・・は? ・・・ちにゃっ!!?」「んぅ・・・?」甘寧の叫びと蹴りが高順の顔面を捉え、吹き飛ばす。ただ、場所が悪かった。寝台の横には壁があり、そして高順が蹴り飛ばされた先には窓があった。窓と言ってもガラスがこの時代にあるわけではないので、枠にはめ込まれた開閉式のものだ。蹴り飛ばされ、思い切り吹っ飛んだ高順はその窓を突き破っていたのである。そして、孫権の部屋は城の上部にある。つまり、高順はけっこうな高さのある場所に、安全装置など何も無い・・・紐なしバンジージャンプを敢行する羽目になったのである。蹴り飛ばされ、宙にその身を翻した高順の目に映っていたのは、雲1つ無い真っ青な空。その透き通る青さに目を奪われ、高順は既に亡い人々の事を思い返していた。「ああ・・・丁原様、朱厳様、郝萌(かくぼう)。皆が・・・あの空の向kってこれ徐州と同じじゃないかあぁぁぁぁぁぁぁっ!?」・・・・・・・・・へぐちゃっ。「・・・。あ、あー・・・」「・・・ふぇっ? ・・・え、ちょっと、思春(甘寧の真名)・・・え、こ、高順は!?」最初、何が起こったか解らなかった孫権だが、すぐに我に返って窓・・・いや、今は「手すり」になってしまった部分に手をかけて下を覗き込んだ。「ちょっと、高順! ・・・ぅわ」下のほうで、真っ赤な血だまりに沈んでいる高順の姿を見て孫権は真っ青になった。しかも、こんな時に限ってそこに人が集まるものだ。へぐちゃ、という音に反応して黄蓋がやってきたのである。がさがさと茂みをかき分けて、事件現場(?)へとやってくる。「おい、何じゃ今の叫びと変な音・・・って、おぃい!? 何があったーーーー!!」血まみれと言うか形容しがたい何かになっている高順の姿に、黄蓋も驚きの余り大声で叫んでしまった。すぐに駆け寄って、抱き上げる。「おい、高順! しっかりせぬかっ。誰にやられた!? ぬ、いかん・・・血が止まらぬ!」そして、更に人が集まってくる。黄蓋の声が聞こえたのだろう、呂蒙と周泰までやってきた。「あのぅ、何かあったんでsうわああああっ!? ち、血がーーーー!?」「こ、高順様ーーー!?」「おお、呂蒙に周泰か! 良い所にきた・・・良いか!」『は、はひっ!』黄蓋の声に、二人は気をつけの姿勢になる。普段は酒ばかり飲んでいて威厳など微塵もない黄蓋であるが、こういうときは孫家の宿将らしく判断が素早い。「何者かは知らぬが、賊が忍び込んだやもしれぬ。ワシは動員できる兵を使って城・市街の出入り口を封鎖する! 呂蒙!」「はい!」「お主は策殿、権殿。あるいは周喩でも構わぬが事情を説明し、ワシの一存で兵を動かした事も伝え置け。罰があれば後で受けるとも伝えぃ!」「え、えっと・・・」「お主らはワシに命令されただけよ、案ずるな。これは他の者にも伝えておくのだ。次、周泰!」「はっ!」「お主は高順を華陀の元へと連れて行け。他の事は考える必要はない、それだけを優先。良いか!」「は、はい!!」「うむ、高順を容易く倒す程の者・・・予想はつかぬが、先も言うた通り他国の賊なり間者という線がある。もし出会ってもサシでやりあおうなどとは思うてくれるなよ。解れば行けぃ!」「応っ!」3者は己の使命を全うするべく、行動を開始した。それを上から見ていた孫権と甘寧は、あまりの状況に呆然となっていた。「あ・・・あいやぁぁ・・・」「・・・あの・・・どうしましょう」甘寧の言葉に、孫権は思わず怒鳴ってしまった。「それは私の台詞よ! なんでいきなり飛び蹴りなんてしたの!?」「う・・・それは。高順めが孫権様に不埒な事をしたのかと。」「何もしてないわよ! ・・・それよりも、早くこの状況を収めないと。早く呂蒙を捕まえて・・・あと、黄蓋にも事情を説明s「失礼します!」え!?」やって来たのは呂蒙だった。ていうか何この早さ。あそこからここまでどれくらいの距離があると・・・「ご、ご報告します! 高順様が何者かに襲われ意識不明の重症! 黄蓋様が兵を動員し、賊を逃がさぬ為に各所出入り口の封鎖を行っています!」矢継ぎ早に伝える呂蒙。「あの」「孫策様と周喩様にも伝えなければなりません! それではこれで失礼致します!」踵を返す呂蒙だが、孫権は彼女の肩を掴んで引き止めた。「その・・・呂蒙? 事情を説明させてもらえるかしら・・・」「はい・・・?」結果、全ては誤解であることがわかって一件落着・・・というほど、皆は甘くなかった。孫策と周喩は黄蓋の独断を評価して、そこにお咎めは無かったが甘寧にはお咎めのみだった。また高順一党、特に蹋頓の怒りは凄まじく8時間耐久お説教タイム(正座&お茶とトイレ休憩は1回だけ)が発動、甘寧は恐怖におののきながら「ごめんなさい・・・」を連呼するしかなかった。甘寧は後に「戦死したほうがよほどマシだった」と述懐している。この後に孫権は高順に見舞いをして謝罪をしたのだが、話をしている最中に本気で落ち込んでしまった。情けない上に恥ずかしかった、というのが理由だったらしい。謝罪をされたはずの高順が「いや、別に気にしてないですからそんな落ち込まなくても!?」とフォローをする事になってしまって何がなにやら。~~~楽屋裏~~~あまり出てこない孫権+よく使われるネタ=いつも通りの流れ。高順に限りませんが、こういう話の主人公は戦よりも通常生活のほうが死に掛ける確率が高い。・・・変わりようのないことなんですかねぇ(笑