「ご、ごめん、とーさん。ちょっと遅れちゃった。」
「ん?いや、あの子たちの出番まではまだ時間あるし、遅れたって程でもないだろ。」
「ホント?よ、よかったぁ。」
「それより美由希…襲撃はあったか?」
「あ、うん…4人ほど。取り敢えず気絶させて、武器も壊してから警備の人に引き渡しておいたけど…」
「そうか。よく守り抜いたな…偉いぞ、美由希。」
「あ……えへへ。」
丁度、凌が2人目の敵を昏倒させたのと時を同じくして、士郎と美由希は舞台裏にてそんな会話を交わしていた。
3人の敵を凌よりも速く倒しておきながら息一つ乱さずに美由希の頭を撫でるその姿は、最早流石と言わざるをえない。
一方の美由希も、士郎や恭也に比べれば未熟ではあるが立派な御神の剣士。いくら相手がプロでも、真正面からやりあって勝てるようなものではない。少しばかり疲労してはいるものの、子供の頃から積んできた修練の賜物か、戦闘を行って乱れていた筈の息は既に整っていた。
「ふわー、もうすぐ開演やなー。」
「うん、ちびっこ達の歌が終わるのがあと数分…の筈だよ。」
そう呟いて入ってくるゆうひとティーニャを先頭に、ソングスクールの卒業生たちが一斉に舞台裏へとやって来る。
その中には当然ながらフィアッセの姿も。彼女は不安そうな表情で、誰かを探してキョロキョロと視線をさまよわせている。
そして、丁度その時……ガチャっと扉が開き、凌が戻ってきた。
凌の身体に傷は見当たらず、少し疲労している程度…それを見て、漸くフィアッセは安堵の息を吐いた。フィアッセとしては、控え室にいた時から凌の事が気に掛かり、どうにも落ち着かなかったのだ。
そうしてフィアッセは、笑顔で凌へと駆け寄って行ったのだった。
第37話「守りたいもの」中編
「クレスビー♪リーファ♪音合わせしよー♪」
舞台裏の一角……そこには、かつてスクール時代の同期だったクレスビー、ウォン、エレンの3人の姿があった。
クリステラソングスクールの卒業者は、総じて世界的な活躍をみせている。特にエレンはソングスクール卒業者の中でも特に忙しい出世組であり、今回は映画出演やその他諸々の多方面からの依頼を断っての参加であった。それだけ彼女…いや、彼女たちにとってティオレ・クリステラの存在は大きい。彼女の元でうたを歌い、経験を積んでいなければ、今の自分は無かった。そう断言できるほどにスクールの卒業生たちはティオレに感謝していたし、慕っていた。
「で、最後の方の『天空の回廊』なんだけど…んー、んーんー……♪っと、ここがどんなハーモニーになるのかやってみたくてね。」
エレンは楽譜を取り出し、ハミングで音を取り始める。
「えーと……んーんーんんー♪」
「らーらーららー♪……で、ここでアイリーンのソロが入って…」
「え、ゴメン、もう一回いい?私も入れて。」
「ん、おっけ。らーらーららー……♪」
「んーんーんんー……♪」
3人はそうやって納得のいくまで音合わせを続けた。
そして、そんな3人の後ろの方では、漸く万端整った(観念した)アイリーンが、やはりと言うべきか居心地悪そうにしていた。
「うぅ…ねぇティーニャ、変じゃない?」
「んー、変じゃないよー。自信持ちなって。」
「そうそう、似合ってる似合ってる。」
ティーニャがアイリーンを爪先から頭までじっくりと観察してそう言い、アムリタは腕を組んでアイリーンに向けて賛辞を送る。
しかし、それでも信じられないのか、疑り深い目でアイリーンはティーニャとアムリタに視線を向けた。
「……ほんとーに?」
「何言ってんの。アイリーンだって女の子なんだから。……ってか、自分にドレスが似合うのがそんなに信じられない?」
「うぅ……だって、だってだよ?こう、下のスースーする感じとかがすっごいアレで…」
「もうっ、心配性だなぁ。第一、それで似合ってないって言うのは嫌味だよ?ハッキリ言って。」
「そうだよ、今日の準ヒロインなんだから自信持ちな。」
「うぅ…それだけ聞くと気分いいんだけどなぁ……」
そう言って苦笑いを返しつつ、アイリーンは髪を整える。
「アイリーン、ちびっこ達終わったら…次うちらやろ?ちょう音合わせしとかへん?」
「あ、うん。ちょっと待ってー。」
急いで髪を整え、楽譜を片手に2人は音を取り始めた。
そして、つい先程…凌の元へと走っていったフィアッセはと言うと……
「えと、どう…かな……。」
高鳴る胸の鼓動を何とか抑えようと葛藤しつつ、精一杯の勇気を振り絞り…自らの服装についての感想を凌に聞いていた。
ちなみに、士郎と美由希は空気を読んで違う場所に行っている。
純白の、白くて綺麗なドレスに身を包み、頬を赤く染めて上目遣いに凌を見つめるフィアッセ。
その破壊力は推して知るべし。
「綺麗、です。その…凄く。」
二週間前、デパートに買い物に行った時よりも更にしどろもどろになりながら、言葉少なく自分の正直な気持ちを言う。
凌自身は、そんなお決まりな事しか言えない自分を情けなく思っていたが……フィアッセにしてみれば下手に言葉を飾らず、ストレートに自分の正直な感想を言ってくれた事が嬉しくてたまらなかった。
だから、その言葉に嬉しくなり、自然と顔には笑顔が浮かぶ。先程まで浮かべていた安堵の笑みとはまた違う、喜悦の笑みであった。
《……本日は、お運び…ありがとうございます。……このコンサートは、世界中の…医療と薬の不足に悩む人々を、少しでも救う為のものですが…同時に、私が育てた全ての生徒達の……卒業式でもあります。クリステラ’sソングの歌い手から……それぞれの歌い手へと…夢と希望を載せて……それぞれ一人で、羽撃く為の。…私の魂を、継いでいってくれる愛しい娘たちへ…ここに来てくれた……そして、聞いてくれている、すべての歌を愛する、優しい皆さんへ…どうか、このコンサートを楽しんで行って下さい。》
2人がそうしている内に、少女楽団の歌が終わり…ティオレがステージに立ち、舞台挨拶が始まった。
客席から歓声が上がる。
それが本格的にコンサートの幕が開く合図だった。
「いよいよかー、やっぱし…ちょう緊張するな。」
二の腕を擦るようにして緊張を紛らわそうとするゆうひ。
そのおどけた仕草を見て、ゆうひと同じく緊張していたアイリーンも、くすりと笑う。
《では、一曲目……『若き天才』アイリーン・ノア…そして『天使のソプラノ』SEENA…英国と日本を中心に活動する2人の歌…どうぞお聞き下さい。》
「ほら、行くよっ…ゆうひ!」
「ぅ、よっしゃ!行くで、アイリーン!」
互いを鼓舞し、2人はステージに立つ。
2人の歌声が、コンサートホール中に響き始めた。
美沙斗は焦っていた。
時計を見る暇など無いから正確な時間は分からないが、恐らくはもうコンサートは始まっているだろうという確信はあった。
恭也を打ち負かし、コンサートホールに着いたとしても…そこに待つのは彼女の兄、高町士郎だ。だからこそ、時間は掛けられない。
早々に恭也を負かし、本来なら既にコンサートホールに着いている筈だった。
だが、実際はどうだ。
恭也は尚も戦う姿勢を貫き、自らの前に立ち塞がっている。
恭也が生半可な腕でないことは美沙斗とて百も承知だった。しかし、今の恭也は…これまで剣を交え戦ってきた中で初めて、美沙斗をも圧倒する威圧感を放っていた。
美沙斗の放つ威圧感が怒りや殺意で出来ているのだとすれば、恭也のソレは純粋なる覚悟。一点の曇りも無く、ただひたすらに大切なものを守ろうとする意志が、決意が…美沙斗の感じる威圧感の正体だった。
「……っ!」
思わず怯む。
そこで初めて、美沙斗は認識を改めた。
そう、ここに来て初めて…美沙斗は恭也のことを『敵』だと認めたのである。
「……く…てぇりゃぁぁああああっ!!!」
ザッ、と踏み込む。
そして次の瞬間……美沙斗の視界が色を失う。
『神速』が発動する。
ジャッッ!!
刀の射程範囲までの距離を一気に詰めるつもりで、モノクロの世界を駆ける。
今までとは違う。今度は本気で撃つ。
そうしなければ倒せない…と、美沙斗は判断した。運が悪ければ殺してしまう事になるが、時間がない。
彼女の目的…仇の組織『龍』の情報を手にいれるためには、どうしてもこの依頼を成功させなければならないのだから。
……止まれない。この数年の間に、費やした時間も、力も、殺めてしまった命にかけて、ここで止まる訳にはいかないのだ。
本音を言えば斬りたくなどない。殺したくなどない。血縁を…ましてや自らの兄の息子の命を…奪いたくない。
そう思いながらも、止まれない。
止まることは許されない。最愛の人たちを殺した連中に復讐する。それこそが自分の生きる意味なのだから……
スっと美沙斗は構えに入る。
御神流の奥義…その参番目。
『射抜』
最速にして最長の射程で、敵を屠る技。
美沙斗が、一番信頼している技。
ダンッ!
身体が音をたてる。
全身の肉が、腱が、緊張する。
そして、次の瞬間…重い鉄板をも刺し貫く必殺の一撃が放たれた。
正中線を狙って放たれたソレは、狙いのまま貫けばほぼ確実に死に至らしめる。まさに必殺の一撃であった。
「……!?」
だが、美沙斗の想いとは裏腹に、『射抜』は…放たれたその瞬間から、既に的から半分ズレていた。
『射抜』は、掠るように胸の皮膚だけを斬るに留まった。
美沙斗が放った必殺の一撃は、恭也にギリギリのところで躱されたのだ。
「なっ!?」
「はぁ…はぁ……」
驚きの声を上げる美沙斗。
それに応えるように、恭也は荒い息を吐いている。
美沙斗の攻撃は、見切られた。
避けられたのではなく、見切られたのだ。構えに入る前から『射抜』だと見抜かれ、狙いを読まれて外されたのである。
しかし、それでも本来この結果は有り得ないのだ。
いくら技を見切ったとは言っても、必ずしも避けられるわけではない。ましてや美沙斗は『神速』を発動させていたのだ。たとえ恭也が同じように『神速』を発動したとしても、皮膚のみを斬るという結果にはならない筈であった。
「…そんな……」
「はぁ……はぁ…っ……」
「更に、速いだと……!?」
だが、恭也はその不可能を可能にした。別に、突発的に美沙斗以上の力を手に入れた訳ではない。
只の『神速』で駄目ならば、『神速』の最中に更に極度の集中を重ね、感覚時間を引き伸ばせばいい。そんな安直な考えで実行に移された荒業。
それは、見事に功を奏した。
僅かな初動の時点で動くことができれば、いくら美沙斗が速いとは言え…躱し、捌くための負担は断然違ってくる。
そして、恭也は見事…美沙斗の『射抜』を躱しきったのだ。
ただ、恭也としてもそう何度もその極度の集中を続けられる訳が無い。
(神速の二段掛け…美沙斗さん相手に、どこまで通用するか……)
恭也も、内心ではそう考えていた。
熟練の御神の剣士であっても、『神速』最中のフェイントは困難を極める。先程のはそれを逆手に取ったからこそ成功したのだ。
動揺し、若干ではあるが隙が生まれている今のうちに…カウンターを狙うしかない。そう、恭也は考えていた。
目を凝らし、美沙斗の次の動作を見る。
「……っ!?」
ミシッ!
『神速の二段掛け』
それは、確かに強力だったが、身体への負担も並々ならぬモノだった。
全身の、特に足腰の関節が軋み、限界が近いと訴えてくる。
1回。それが、恭也が自覚する『神速』の稼動限界だ。チャンスは一度、それで…美沙斗を倒さなくてはならない。
「はぁ…はぁ……」
恭也の瞳には、未だ消えない決意の炎。肉体は既に限界を迎え、精神力だけで戦っていると言ってもいい恭也にとって、これ以上の限界突破はあり得ない。
次の一撃…それで倒せなければ、もはや勝機は無くなるだろう。
父から譲り受けた『八景』を握り直し、最後の一撃に賭ける。
『薙旋』
恭也が最も愛用し、得意とする奥義。
「………ふっ!」
「…………!!」
恭也と美沙斗は、刀を構え…同時に『神速』を発動させた。
《では、続きまして…一昨年度のジュニア・クリステア……マリー・シェラのソロでお届けします……『月光』…》
恭也と美沙斗が死闘を繰り広げている間も、ステージは進行していく。
舞台の上で歌を歌うのは、いずれも劣らぬ世界に名を響かせる歌姫たち。会場の熱気は、否応無しに高まっていく。
ティオレのアナウンスが終わり、舞台にマリーが現れると会場がワッと湧く。歓声と拍手が全ての客からマリーへと贈られる。
曲が流れ始め、歌が始まる。
その瞬間に観客たちもピタリと静まり、その歌声に酔い痴れる。
そんな平和で、幸せな時間が流れている中で、コンサートを中止に追い込むために暗躍する影があった。そして、その妨害は…コンサートが本格的に始まった事により、更に激化していた。
「……らぁっ!!」
舞台に通じる左右の通路、そこを突破し…歌姫たちを殺害しようとする敵。その数は最初よりも増していた。
そして今、凌が対峙している敵は前の三倍の数だった。士郎と美由希も逆方向の通路で敵の迎撃に当たっている。向こうの数は凌が担当している数の更に二倍である。
「っ!!」
バリアジャケットを纏うことで敵の銃弾を無効化し、敵を昏倒させていく。
刀の峰で敵の腹部に一撃を喰らわせ、左手に持った鞘で顎を下から突き上げ、次々と自分よりも強い筈の敵たちを打倒していく。
銃弾が効かず、動揺した男たちは次々と倒されていった。そして………
「はぁ…はぁ……お前で、最後だ。」
荒い息を吐きながら、凌は最後の一人に向かって疾走する。他の五人は、全員床に倒れ伏していた。
「あぁぁぁあぁぁ!!来るなぁァァ!」
錯乱し、銃を乱射する男。しかし、その全てが凌の身には届かない。
「……蹴り穿つ!!」
男が構えた銃を鞘に収めたままの刀で弾き、空中へ打ち上げる。そして、下半身全体のバネを使って上段蹴りを放つ。男の喉元を狙って放たれたソレは、命中し…男の意識を一瞬の内に奪った。
「はぁ…はぁ……疲れる。」
警備員に連絡を入れ、壁に凭れて座り込む。訓練以外でこれほど長く気を張り詰め、戦闘行為を行ったのは、凌にとっては初めてだった。バリアジャケットのお蔭で肉体へのダメージは皆無とは言え、疲労の方はじわじわと溜まり続けていた。
だがそれでも、いつまでもこうしている訳にはいかない為、凌は立ち上がって舞台裏に戻ろうとした。
その矢先の事である。凌は舞台裏へと向けていた足を反対方向に向け、弾かれたように走り出した。
そのまま通路を抜け、その先にある階段を駆け上がる。
やがて階段を登りきり、目の前の扉を開く。
そこに、いた。
ホテルのエントランスホールには、あまりに不釣合いなその存在……人類の敵、アンノウン。
赤き瞳に鋭い牙、そして褐色の肉体を持つその異形の名。
ジャッカルロード―スケロス・ファルクス―
突如として凌の前に現れたソイツは、凌に宿るAGITΩの力を感じ取り、唸り声を上げた。
そして、凌も………
リニスに向かって念話を飛ばしながら、ポーズを取る。
「変身ッ!!」
アンノウンと戦う為……腰にベルトを出現させ、AGITΩへと変身した。
グルルルルァァァ!!
ジャッカルロードは、凌がAGITΩに変身するや否や、咆哮しながら襲い掛かって来た。
壁を蹴り、右へ左へと縦横無尽に移動し…AGITΩを撹乱するアンノウン。その動きは酷く機敏だった。
AGITΩは、その素早い動きに翻弄されるも…拳を固く握り、アンノウンの攻撃に備える。
そして、そんな状況が数秒間続き………
グルァァァァア!!
……遂にアンノウンが攻撃を仕掛けた。壁をける際の瞬発力を利用してAGITΩに飛び掛かり、その鋭い爪によって首を切り裂こうとする。
だが、それをAGITΩは身体を少しばかり左に傾けることで回避する。そして、逆に右の拳でアンノウンの腹部を殴りつけた。
まともに喰らい、腹を押さえて着地するアンノウン。しかし、次の瞬間…アンノウンは反撃に移った。
シャラララララララ
手首から鎖を飛ばし、AGITΩの右腕と首に巻き付けたのだ。
「……!?」
首がギリギリと締め付けられ、苦しむAGITΩ。
グルルルァァァア
やがて、アンノウンは鎖を勢い良く下に向けて引っ張り、AGITΩの体勢を崩させた。そして、そのままAGITΩに飛び掛っていく。
鋭い爪が光る。
危険を感じ、AGITΩは半ば無理矢理仰向けに倒れた。そして、巴投げの要領でアンノウンを投げ飛ばす。
元々攻撃の補助としての役割しか持っていなかった鎖は、その時の勢いで千切れ飛んだ。
お互い、ダメージはない。
AGITΩもアンノウンも、すぐさま起き上がって構え直す。AGITΩは再び拳を握り、アンノウンは頭上に輪を出現させ、己の武器『断罪の大鎌』を取り出した。
AGITΩは大振りに振るわれた鎌を避け、逆にその大鎌を左手で掴んで右手で裏拳を叩き込む。
だが、アンノウンは鎌を掴んだAGITΩの手に爪を突き立て、強制的に鎌から手を離させる。次いで、痛みで怯んだAGITΩを蹴り飛ばす。
「……ぐぅっ!」
壁に叩きつけられ、低く呻く。
急いで立ち上がると…目の前にアンノウンが鎌を振りかぶって立っていた。
すぐに屈んでこれを回避するAGITΩ。
ガリガリと音を立てて、ホテルの壁が切り裂かれる。
リーチの差、戦闘スタイルの違いから…このままでは勝てないと踏んだAGITΩは、左のドラゴンズアイを叩き、フォームをグランドからストームへと変化させる。
金色の装甲が青く染まり、左肩にプロテクターが装着される。
ベルトに手を翳し、ストームハルバードを取り出し、刃を展開させる。
ブンブンと軽く振り回し、刃先をアンノウンに向けて構えた。
グルルァァァ!!
「はぁ!!」
両者、同時に踏み込む。
激しくぶつかり合う大鎌と薙刀。
速さを生かした戦法、目紛るしく入れ替わる攻撃と防御。AGITΩが突こうとすれば、アンノウンは躱し、アンノウンが断罪の大鎌を振るえば、AGITΩはストームハルバードで受け止める。どちらもほぼ互角…しかし、どちらかと言えばAGITΩの方が若干押していた。
斬り、薙ぎ、突き…攻め方を色々と変化させ、アンノウンを追い詰めるAGITΩ。横薙ぎを防がれればその隙に拳を叩き込み、斬り下ろしが防がれれば、脇腹に蹴りを喰らわせる。そうして、AGITΩは徐々にアンノウンを追い詰めていく。
しかし、そこで異変が起きた。
「ガハッ!!」
瞬間…AGITΩが壁に叩きつけられた。
たった一撃。それだけだった。
その一撃を喰らっただけで、立場が…状況が、一変した。
優勢から劣勢へ。
AGITΩは、その一撃を喰らってしまったが故に、一気に窮地に立たされることになった。
グルルルルルアァアァアァアアアアア!!!!
今までよりも一際大きく、より凶暴性を増した声で…アンノウンは咆哮する。
その姿は、ついさっきまでのものでは無かった。
牙が、爪が伸び…より鋭利になって殺傷力が増している。
体躯は先程までよりも一回り大きくなり、皮膚の強度までも堅牢になっていた。
瞳に宿る殺意も、その身に纏う殺気も、遥かに増大している。
そして、極めつけは…4足歩行。
先程までの姿を、仮に獣人とするならば…今のアンノウンは、完全に獣と化していた。
グルルァァアァアアアアアアア!!!!!
更に大きく咆哮したアンノウンは、戸惑いながらも体勢を立て直し…ストームハルバードを構えたAGITΩへと襲い掛かっていった。
凌がアンノウンと邂逅したのと同時刻、士郎と美由希は凌とは反対方向の敵を蹴散らしていた。
「やあぁぁっ!!」
美由希は、一瞬だけ身体を沈み込ませると…廊下の壁につけて置かれている調度品を半回転しながら飛び越えた。
そして、その物陰には拳銃を引き抜こうとしている男の姿。
「やらせないっ!」
ヒュンッ!!
剣を振るようにして左手を動かす。
直後…懐から拳銃を抜こうとしていた男の右腕が、ピシリと緊張し捻れ上がった。
鋼糸を放ち、男の腕を絡め取ったのだ。
「ちぃっ!!」
男は心底憎々しげに舌打ちし、左手を腰の後ろへ素早く動かした。
美由希は鋼糸を引き込みながら、右の手で刀を抜く。
直後、男が取り出したものが明らかになる。
警棒だった。それもただの警棒ではなく、特殊警棒。美由希は、それが特殊警棒だと分からなかったが、直感的に危険を感じた。
鋼糸を思い切り引き、相手と引き合いになりかけたところで、美由希は自ら右に持った刀にて鋼糸を切断した。
「ぬあっ!!」
ブツッと音を立てて鋼糸が拘束力を失う。
男が、鋼糸を巻かれた右腕を引っ張り…美由希を間合いに引きずり込んで警棒で殴打しようとしたその瞬間のことであった。
その為、男は大きく体勢を崩してしまう。
その隙を逃すまいと、腰を落としていた美由希が一気に相手の懐へと飛び込んだ。
「はぁぁぁああああああ!!!」
ドグッ!!
身体全体の遠心力が乗った肘鉄が、男の鳩尾に極まる。
男が止まる。
如何に鍛えられた腹筋であっても、美由希の練りきられた足腰の捌きから繰り出された体重の乗った一撃を受ければただでは済まない。
「はっ!!」
続いて、左の刀も抜き…男の両手を壊す。ザクリという音と共に、刃が突き刺さりブシャ、っと血が吹き出す。
「っぐぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
掠れた声で悲鳴を上げる男。
本来優しい性格の美由希だが、死への恐怖心がこうした破壊技への躊躇を失わせていた。
だが、男にも意地があるのか…せめて一矢報いようと、蹴りによる攻撃を放った。
ズガッ!
その攻撃は美由希に届かなかった。
逆手に持った刀が膝に突き刺さっている。
「…ごめん……!」
小さくそう呟きながら、美由希の放った峰打ちが男の顔を正面から捉えた。
「……ぐっ!」
壁と剣に挟まれた男は、遂に意識を手放した。
斜め打ちだった為に無事だったが、もしも真横に立てて打てば人中をまともに打ち砕き、悶死していたかも知れない一撃だった。
そうして、今度こそ美由希は力を抜いた。
通路に立っているのは、美由希と士郎の二人だけだった。
「はぁ…はぁ……はぁ……」
「美由希ー、終わったかー?」
荒い息を吐き、膝をついている美由希の前に、息一つ乱さず歩いてくる士郎。
「はぁ…はぁ……あの、とーさん?私の記憶だとさっきの人と戦い始めた時、とーさんは3人に囲まれてたと思ったんだけど……」
「3人で来ようが5人で来ようが、連携がなっていなければ同じだ。俺の敵じゃない。」
「いや、同じじゃないと思う。」
当たり前のような口調でそう言う父に、敵わないなぁと思いつつ苦笑い。
「ま、終わったのなら凌くんの援軍に向かうか。正確な人数は分からなかったが…少なくとも3人はいたみたいだしな。」
「でも、一人で大丈夫だったの?凌さん。」
「試合ではお前とほぼ互角だったからな、大丈夫だろう。」
それは士郎の本音でもあったが、それでも心配なことに変わりはない。急ごうと、歩みを早めた。
と、その時だった。士郎の目に、先程美由希が倒した男の手が見えたのは。
何となく気になって、その手を見ている内に…士郎の顔が段々と険しくなっていく。士郎の顔から余裕が消える。
左手の甲から貫通する剣の傷。その血の下に青い刺青が彫られていた。
一見ただの刺青に思えるソレ。しかし、士郎はそれに嫌という程見覚えがあった。
「…これは……」
……その青い刺青は、龍の形をしていた。
蜷局を巻きながら飛翔する青い龍の姿だった。
一瞬の緊張。
先に動いたのは美沙斗だった。
1歩、2歩、3歩と『神速』の領域で走ってくる。
美沙斗が、僅かばかり剣を引いた。
その瞬間…恭也の集中力が跳ね上がり、『神速』が深度が増す。
『神速』最大の利点…それは、己の限界を超えた力を引き出せること……という風に誤解されがちだが、実は違う。
その速度さえ凌駕する、感覚速度の上昇が『神速』の強みだ。
たとえそれが恰も雨のように放たれた連打であろうと、その全ての初動を見ることができ、狙いを正確に見切ることができれば、恐れるものは何も無い。
そうした意味での感覚的な速度の向上…それにより、時間遅延は肉体の限界突破とは別に、使用者の集中力次第ではどこまでも深度を大きく出来るのだ。
恭也が美沙斗に勝っている点を挙げるのならば、これしかない。
技の錬度、修練を積んだ時間、実戦経験…あらゆる面で美沙斗が上回るのなら、それを超えるには最早精神力で勝つしかない。
負けられない理由が、勝たなければならない理由が、倒さなければならない理由がある。
「っ……!!」
恭也が動いた。
美沙斗の攻撃は右に握られた『龍鱗』から放たれる刺突。御神流奥義之参『射抜』。
この速度に対抗し、尚且つ潰し切れる技といえば、恭也の持つ技の中では『薙旋』だけだ。『射抜』の正確無比な狙いを、『神速の二段掛け』で定めた『薙旋』で殺す。それだけに全神経を集中させる。
『龍鱗』が伸びる。狙いは恭也の左胸。
右手に握った『八景』を居合いの要領で抜き放ち、対抗する。
それで突きを払い打ち、左を美沙斗の肩へと叩きつけ、回して切り返した右で突き、トドメに左の『八景』で腋打ち。
………だが、その三段目…刀を切り返したところで美沙斗に反応される。
恭也が放った突きを、最初に弾いた右の一刀で強引に弾く。
そして、トドメとして放った一撃は、そのまま恐ろしい速度で回転しながら放たれた美沙斗の左裏突きで潰される。
「……っっ!!!」
裏突きが恭也の腋を掠める。
そして、遅れて回ってくる美沙斗の後ろ蹴り。
身体を固定する美沙斗の剣が邪魔になり、反応が遅れ…動くことができなかった。
恐ろしく速いまるで鎌のように鋭い蹴りが迫る。
「がっ!!」
ドゴォォ!!
その蹴りが、恭也の頭をモロに撃ち抜いた。
「はっ、はっ…はっはっ……」
美由希は走っていた。
父に知らされた驚愕の事実。
それは、襲撃してきた男たちの正体だった。
テロ組織『龍』。
士郎は、その組織と浅からぬ因縁があったし、その組織の構成員の特徴(手の甲に青い龍の刺青がある)も知っていた。
では、何故すぐに気付かなかったのか……原因は、先入観によるものだった。美沙斗が『龍』に復讐を誓い、裏世界の闇へと消えていったことを士郎は知っていた。そんな美沙斗が、『龍』の連中の依頼を受けているなど…誰が予想できるだろうか。故に、士郎はその可能性に思い至る事ができなかったのだ。あの時、偶然にも男の手の甲を見ることがなければ、きっと今になっても気付けずにいたであろう。
そして、事実に気付いた士郎の指示は迅速だった。
美由希を、恭也と美沙斗のいる廃ビルへと向かわせた。『龍』の構成員自体は、ハッキリ言って士郎たち御神の剣士の敵ではない。にも拘らず、士郎が『龍』を危険視しているのは、一重に彼らの手口によるものが大きい。彼らが最も得意とするのは爆弾テロ。
美沙斗を雇っているという油断故にホテルにこそ爆弾は仕掛けられていないが、廃ビルの方にはおそらく仕掛けられているだろう。勿論、美沙斗が万が一裏切った場合のことを考えての保険だ。
本来なら士郎が行った方が確実なのだが、如何せん『龍』はまだまだ刺客を送り込んできていた。
多人数相手の戦闘は、士郎の方が圧倒的に慣れている。次々と襲い来る刺客を相手にするには、美由希はまだ未熟だった。
これと時を同じくして、AGITΩとアンノウンが右側通路へと通じる階段付近で戦闘を繰り広げていたために、彼らは左側に集中した方が良いと考えたのである。
「恭ちゃん…無事でいてっ!」
美由希は駆ける。
2人が、手遅れになる前に。
己の兄と、母を死なせない為に……
ガァアァアアアアアアア!!!
「が、あ……」
鋭い爪が、AGITΩの肩に突き刺さる。
その身は満身創痍だった。
体には無数の切り傷。左肩のプロテクターは牙によって砕かれ半壊し、今は体を前足によって押さえつけられている。
それは、一方的な蹂躙だった。
豹変したアンノウンの戦闘力は、凄まじいものであった。
パワーは今までより強く、スピードは尚速い。
すべてのポテンシャルが跳ね上がっているとしか思えない位、アンノウンは強くなっていた。
だが、それでも弱点……というより、前よりも弱体化したものも確かにあるのだ。
それは完全に獣になったが故の知能の低下。本能のみで行動するアンノウンは、フェイントを使えないし、行動自体も無駄が多い。
それが分かっているのに…ストームではパワー不足で、強度を増した皮膚を抜いて致命打を与えることが出来ない。
かと言ってフォームを変えようとベルトに手を伸ばそうとすれば、そこに容赦なく爪が振り下ろされることになる。
グルルァアアァアアアアアア!!!!
アンノウンが吼え、左腕を咥える。
牙がくい込み、激痛が走る。
「ぎ…あ、が……」
そしてそのまま腕を咥え、勢い良く放り投げた。
叩きつけられた扉ごと、AGITΩをエントランスホールから地下へと降りる階段の手前まで投げ飛ばす。
「うぐっ!………っ!!」
ガァァァアアアア!!!
痛みに悶える暇もなく、アンノウンは追い打ちを掛けてくる。
AGITΩは、痛みで使い物にならなくなった左手からストームハルバードを持ち替え、右手に持つ。
「ぐっ!」
その身を咬み千切ろうと、口を大きく開けて飛び掛ってくるアンノウン。それにストームハルバードの柄を口に入れ、これを何とか凌ぐ。
ここに来て漸く、拮抗状態が生まれた。
だが、今の状態がそう長く続く筈もない。だからこそ、AGITΩは早々に事態を好転させるべくストームハルバードを大きく振るい、アンノウンを吹っ飛ばした。
そして、その隙に立ち上がって態勢を整えようとする。
しかし、それよりも速くアンノウンは再びAGITΩへ突っ込んできた。
確かにアンノウンは、吹っ飛ばされたが…壁に激突する寸前に足を壁につけ、壁を蹴った。それにより、アンノウンは更に勢いを増してAGITΩへと迫ってきたのである。
「っっ!!……あ、ぐ…」
そんな体当たりを片腕で受止められるわけもなく、AGITΩは階段をゴロゴロと転がり落ちていった。
負けられない。
(……何故?)
勝たなくてはならない。
(……何故?)
あの人を、倒さなければならない。
(……何故?)
美沙斗の蹴りが頭部を直撃し、恭也の意識は飛んでいた。
混濁した意識の中、様々な問い掛けが頭の中で交錯する。
戦う理由は?
(守りたいものがあるから。)
守りたいものとは?
(フィアッセを、ティオレさんを、美由希を、友人を、スクールのみんなを……)
本当に?
(守りたいもの……俺の、守りたいものは……っ!)
薄靄の中、自問自答が想いを導き出す。自分自身でさえ気付いていなかった、恭也の心の奥底を。戦う、本当の理由を。
「………」
恭也は、倒れることなく立っていた。
固く閉じられた口からはポタリポタリと血が滴り落ちている。
「……そのままで、いい。君は良くやったさ。」
美沙斗は、恭也にそう言い…ビルを降りるため部屋を出ようとした。
ザッ……
「!?」
しかし、恭也は美沙斗に向き直る。顔を上げ、真っ直ぐに美沙斗を見据える。
意識を失っていたのはほんの僅かな間だけ。
だが、恭也はその僅かな…本当に数瞬の間に、答えを掴んだ。
大切なものを守る。……それは、恭也が士郎から聞かされ、理想とした剣を振るう理由。だが、それはあくまで士郎が剣を振るう理由であり、恭也のものではない。謂わば、今までの恭也は士郎のそれを真似ていたに過ぎなかったのだ。
大切な人達の…かけがえの無い今と、これから先ずっと続いていく未来。
それが、守りたいもの。恭也が、命を賭けてでも守りたいと思ったものだった。
それを守るために、恭也は戦っていたのだ。
これが、士郎の戦う理由を真似たものではなく、恭也自らが導き出した答えだった。
「美沙斗、さん」
「恭也くん…まだ……」
「ええ。」
傷つき、いつ倒れてもおかしくないような状態にありながら…それでも、目の光は前より澄み、纒う闘気は別人のように研ぎ直されていた。
「美沙斗さん…俺は……」
「…………」
「それでも、みんなの『今』を…これからの『未来』を、奪っちゃいけないと思うんです。」
「恭也くん……」
「確かにあなたは、戻れないほどたくさんの命を奪ったかも知れない。……だけど、みんな一生懸命生きてるんです。優しくて、正しい生き方で……みんな、本当に一生懸命に誰かを愛して、愛されて、それに応えようとして……。そんな人達の大切な『今』を、たとえどんな目的があっても、奪っちゃいけないですよ。」
「…………」
チャキッ
美沙斗の蹴りを受けたときに取り落としていた『八景』を拾い上げ、握り直す。
「御神流は…確かに、あなたの言うように哀しくて黒い剣なのかも知れない。だけど技は所詮道具に過ぎない。道具に振り回されて、生き方を見失ってしまわないで下さい。」
恭也は二刀を大きく構える。
「……俺はあの人たちの未来のためなら、何度だって立ち上がる。行かせはしません。」
「………」
そんな恭也の姿を見て、美沙斗は……。
あくまで立ち続けるその姿を見て、不意に顔を崩した。
「……やめてくれ…」
つ、と…美沙斗の目から涙が流れる。
「私に、殺させないでくれ。私は、きみを殺したくない……!家族を…殺したくない………」
「…………」
最後の言葉は、今までの美沙斗からは考えられない程弱々しいものだった。
恭也は、澄んだ瞳で美沙斗を見据えた。
「……何で最初にそう言って、止まれなかったんですか。」
「っ……」
「あなたは、殺しなんて似合う人じゃない!優しい人の筈です。」
恭也は知っている。
背中に、まだ幼かった美由希を背負い、白い洗濯物を抱えていた姿を。
恭也は信じている。
日溜まりの中で微笑んでいた、あの幸せな笑顔を。
「もう、そうじゃない……もう、あの頃には戻れない…私は、殺しすぎた。犯した罪も、殺めた人たちも…私に止まる権利なんか、くれないんだ……!」
「優しくなるのに、権利も資格もいるんですか?!」
……静寂が訪れる。
美沙斗だって分かっていた。
自分が弱いから…弱すぎて、止まる勇気も持てなかったから、止まれなかっただけなのだと。
けれどそれを認めたら、認めてしまったら…あまりにも今まで殺した命が報われない。だからこそ、決してそんな弱弱しい理由で人殺しをしたんじゃないと思いたかったのである。
「……………」
「……………」
お互いに、語る言葉はもう存在しない。
恭也に向かい、美沙斗は駆け出す。
止まる訳にはいかない。と、ただそれだけの想いで。
「…………」
恭也に迫る美沙斗。
しかし、恭也はその姿を見ていなかった。
恭也が見たのは光。
……求めてやまなかった一筋の閃きの道。
そこに、沿うようにして『八景』を奔らせる。
ド、ゴォッ!!
「……!!」
その時、確かに美沙斗は見た。
『神速』すら発動していない恭也の剣が、まるで魔法のように己の眼前へと出現する様を。
次の瞬間、美沙斗は大きく仰け反り…弾き飛ばされた。
後書き
前編・後編で収まるだろうと思っていた頃が私にもありました。
一応、恭也Sideのバトルはこれにて終了。終始主人公だったな、恭也。
やっぱり、様々な思いを抱えて葛藤しながら戦っている美沙斗さんと恭也のバトルより、アンノウンとAGITΩの戦いは見劣りする……かなぁ。主義主張がアンノウンはハッキリしすぎてるので、ホントに心理描写が入れにくい。ガチバトルくらいしか書くことないんだもん。
そして、今回も出ました。アンノウンのチート強化。そんな頻繁には出さないつもりですが、今回は仕方ないことだと見逃して下さい。
だって、ジャッカルさん原作だと凄いかませ犬なんだもの!計3話に登場しているのに戦っては逃げるを繰り返し、最後はフレイムにあっさりと敗北。
これでどうやって盛り上げろと言うのか…!
一応後編も6割方出来てるので、近いうちに上げる予定です。