<このWebサイトはアフィリエイト広告を使用しています。> SS投稿掲示板

SS投稿掲示板


[広告]


No.11512の一覧
[0] 迷い込んだ男 (オリ主×とらハ&リリなの+仮面ライダーAGITΩ) 【十一話 大幅改訂】 [Ifreet](2010/09/29 13:50)
[1] 迷い込んだ男 第一話 「出会い」 【大幅修正】[Ifreet](2009/10/31 00:16)
[2] 迷い込んだ男 第二話 「学園生活」 【加筆修正】[Ifreet](2009/10/31 00:24)
[3] 迷い込んだ男 第三話 「喫茶店 翠屋」[Ifreet](2009/09/02 00:38)
[4] 迷い込んだ男 第四話 「ようこそ高町家へ。」[Ifreet](2009/09/02 00:40)
[5] 迷い込んだ男 第五話 「怒り」[Ifreet](2009/09/02 00:41)
[6] 迷い込んだ男 第六話 「覚醒の兆し」[Ifreet](2009/09/02 00:42)
[7] 迷い込んだ男 第七話 「入院生活」[Ifreet](2009/09/02 00:43)
[8] 迷い込んだ男 第八話 「疑惑」[Ifreet](2009/09/02 00:44)
[9] 迷い込んだ男 第九話 「遭遇」[Ifreet](2010/06/04 13:54)
[10] 迷い込んだ男 第十話 「雨と雷」 【大幅改訂】[Ifreet](2010/09/29 13:52)
[11] 迷い込んだ男 第十一話 「記憶の欠片」 【大幅改訂】[Ifreet](2010/09/29 13:50)
[12] 迷い込んだ男 第十二話 「猫まっしぐら」[Ifreet](2009/09/02 00:47)
[13] 迷い込んだ男 第十三話 「契約」[Ifreet](2009/09/02 00:48)
[14] 迷い込んだ男 第十四話 「覚醒」[Ifreet](2009/09/02 00:49)
[15] 迷い込んだ男 第十五話 「模擬戦」[Ifreet](2009/09/04 21:30)
[16] 迷い込んだ男 第十六話 「夏休み」[Ifreet](2009/12/12 22:18)
[17] 迷い込んだ男 第十七話 「月村邸」[Ifreet](2009/10/27 00:06)
[18] 迷い込んだ男 第十八話 「翠屋大パニック!」[Ifreet](2009/10/27 00:08)
[19] 迷い込んだ男 第十九話 「予期せぬ出会い」[Ifreet](2009/09/25 21:56)
[20] 迷い込んだ男 閑話 [Ifreet](2009/09/25 21:50)
[21] 迷い込んだ男 第二十話 「始まり」[Ifreet](2009/10/06 16:22)
[22] 迷い込んだ男 第二十一話 「青の嵐、2つのG」[Ifreet](2009/10/11 22:44)
[23] 迷い込んだ男 第二十二話 「苦悩」[Ifreet](2010/07/05 23:36)
[24] 迷い込んだ男 第二十三話 「彼と彼女の事情」[Ifreet](2009/10/25 21:00)
[25] 迷い込んだ男 第二十四話 「覚悟」[Ifreet](2009/10/27 16:41)
[26] 迷い込んだ男 第二十五話 「変化」[Ifreet](2009/11/13 17:18)
[27] 迷い込んだ男 第二十六話 「花見」[Ifreet](2010/06/03 10:37)
[28] 迷い込んだ男 第二十七話 「剣士」[Ifreet](2010/07/05 23:28)
[29] 迷い込んだ男 第二十八話 「装着」[Ifreet](2010/01/05 09:50)
[30] 迷い込んだ男 第二十九話 「青龍」[Ifreet](2010/07/05 23:30)
[31] 迷い込んだ男 第三十話 「赤い炎の剣」[Ifreet](2010/07/18 11:08)
[32] 迷い込んだ男 第三十一話 「準備」[Ifreet](2010/06/23 20:13)
[33] 迷い込んだ男 第三十二話 「学園祭」 前編[Ifreet](2010/07/06 01:11)
[34] 迷い込んだ男 第三十三話 「学園祭」 後編[Ifreet](2010/02/25 20:50)
[35] 迷い込んだ男 第三十四話 「射手」[Ifreet](2010/04/01 20:56)
[36] 迷い込んだ男 第三十五話 「ティオレ・クリステラ」[Ifreet](2010/05/04 02:15)
[37] 迷い込んだ男 第三十六話 「再会」[Ifreet](2010/05/06 23:51)
[38] 迷い込んだ男 第三十七話 「守りたいもの」 前編[Ifreet](2010/05/09 23:58)
[39] 迷い込んだ男 第三十七話 「守りたいもの」 中編[Ifreet](2010/05/29 02:03)
[40] 迷い込んだ男 第三十七話 「守りたいもの」 後編[Ifreet](2010/05/31 07:34)
[41] 迷い込んだ男 第三十八話「衝撃」[Ifreet](2010/09/29 13:53)
[42] 迷い込んだ男 超☆番外編「まさかのドゥーエEND」 [Ifreet](2009/10/22 00:39)
[43] 迷い込んだ男  【嘘予告】 仮面ライダーΩYAJI[Ifreet](2009/11/14 13:21)
[45] 迷い込んだ男 番外編 テスタロッサ家の平和な日常[Ifreet](2010/07/05 23:34)
[46] 迷い込んだ男 【ネタ】Fateとクロス 序章[Ifreet](2010/07/05 23:38)
[47] 迷い込んだ男 【設定】 [Ifreet](2010/07/18 11:02)
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

[11512] 迷い込んだ男 第二十四話 「覚悟」
Name: Ifreet◆6da6c70d ID:1c3ae593 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/27 16:41
―海鳴臨海公園―


(勇吾side.)


その日、俺はある出来事に巻き込まれた。


俺が学校から帰る最中にソイツは現れた。

たまたま覗いた公園で幼稚園くらいの女の子を、ニュースで言っていた“アンノウン”だと思われる亀のような怪物が襲っていた。

1人の警官が勇敢にも少女を庇っているが、明らかに腰が引けていて守りきれないのは明らかだった。


「(くそっ!)」


目の前で人が殺されるのを見たくなかった俺は、心の中で悪態を吐き、警官と少女の元へ走る。


「この子は俺が連れて逃げますから、あなたは応援を呼んで下さい!」


警官に向かってそう言った俺は、返事も待たずに少女を抱きかかえて逃げる。


「(まずい まずい まずい まずい!!)」


少女の体は羽のように軽く、走る速度を阻害するようなモノでは無い。

にもかかわらず、アンノウンは鈍重そうな見た目とは裏腹に素早く、どんどん此方に迫って来る。


「(くそっ!このままじゃ追い付かれる!警察はまだ来ないのか!)」

「ぐすっ……おにーちゃん、こわいよぉ。」


女の子の顔は恐怖で歪み、涙をボロボロと零していた。


「ッ大丈夫だ。大丈夫だから、ちゃんと俺が守ってやるから。」

「ふえっ、おにーちゃんがまもってくれるの?わたし、しんじゃわないの?」

「ああ、そうだよ。(逃がしてみせる!成り行きで関わっちまったけど、今この子を守れるのは俺だけなんだ!)」


グゥゥゥゥゥゥ


突如、左側から唸り声が聞こえた。


「!?ぐあっ!」

咄嗟に腕を振り上げてガードしたが、威力を殺し切れずに俺たちは吹っ飛ばされた。


「(ウソ…だろ、おい。もう一体……だと。)」


今まで俺とこの子を追っていたのは金色のヤツだった。

そして、俺を殴ったのは同じような姿をした銀色のアンノウンだった。


「(ヤバい!ヤバい!ヤバい!このままじゃ本当にこの子共々殺される!)」


グゥゥゥゥゥゥ

グァァァァァァァ


2匹の怪物は唸り声を上げながら近づいて来る。


「おにー、ちゃん。」

「(せめて、この子だけでもっ!)」


腕を振り上げ、止めを刺そうとして来るそいつ等から守るように、俺は女の子を強く抱き締めた。


そして、その腕は俺の頭目掛けて振り下ろされ―――――










                                           第二十四話「覚悟」










―八束神社―


「ねぇ、リョウ。教えて貰っていいかな。」

「はい?」


一頻り笑って、俺たちは石段に座って話をしている。


「あの、化け物の事なんだけど。」

「あれ?ニュース見てませんか?昨日、政府が正式にあいつ等の存在を認めて『アンノウン』って呼称することになったようですよ?」

「えっと、昨日は帰ってすぐベッドに入っちゃったから。」

「あぁ、成程。なら知らなくても仕方ないですね。」


まぁ、不思議に思うのは当たり前か。

俺だって前世で知っていなかったらパニックになってるだろうし。


「じゃあ、リョウが変身したのは?」

「あの姿の事ですか?俺はAGITΩって呼んでます。まぁ、単にアンノウンがあの姿の事をそう呼んだからなんですけどね。」


嘘は吐いて無い。

ホントはAGITΩの事は特撮のヒーローとして知ってたけどな。


「ねぇ、リョウは……何で戦ってるの?」

「何で、ですか。」

「うん、あんな怪物と戦うなんて怖くないのかなって。」

「……そりゃ、怖いですよ。」

「なら――――」

「けど…その所為で大切な人たちが殺されるのは、もっと怖いんです。」


偶然か必然か、俺は力を得た。

全ての人を救えるとは思わない。

けど、自分ができる事を精一杯やって行きたい。


「そっか、リョウは強いね。」

「そう、ですかね。」

「うん。」



その後しばらく、俺たちは無言で海鳴の街を見下ろしていた。


親友の元に、危機が迫っているとも知らずに。






―Gトレーラー―


リスティとセルフィがG3の装着者の選定試験の内容を考えている時だった。


ピーーーーー!


≪緊急連絡!海鳴臨海公園付近にてアンノウンが出現!現場に急行して下さい!≫


無線機からアンノウンの出現の知らせが届く。


「!?リスティ!これって…」

「ちぃ!しょうがない。G3の装着者の検討は後、すぐに現場に行くよ!!」


フィリスとセルフィはすぐさまGトレーラーを発車させる。


「いいかい?シェリー。ボクたちじゃあいつ等には敵わない、奴等の注意を引き付けるだけに止める事、分かった?」

「注意を引いて逃げればいいのね?」

「あぁ、打倒することは考えなくていい、一般人を助けて生き残る事が最優先だ。」

「分かったわ。」


そう言って2人は現場に向かった。

アンノウンが人を襲っている臨海公園に。







―月村家―


同時刻、綺堂さくらの携帯にも、警察からの連絡が入っていた。


「もうっ、G3の装着者がまだ決まって無かったなんて!」


G1を搭載しているトレーラーに向かって走りながら愚痴を垂れる忍。


「文句言っても仕様が無いでしょ?G2の修理は?」

「ゴメン、まだ終わってない。」


いくら忍と言えど、半日足らずでは完璧な修理は不可能だった。


「分かったわ、G1は問題ないのね?」

「うん、そっちは大丈夫!」

「お嬢様、私たちは」

「どうすれば…?」

「ノエルは運転、現場に着いたらファリンと一緒にG1の管制をお願い!私はどうにか映像を鮮明にできないか調整してみるわ!」

「承知しました。」

「はい、頑張ります!」


そうして4人は赤いGトレーラーに乗り込んだ。


「ノエル!サイレン鳴らしながら他の車にぶつからない様に最大速度でぶっ飛ばしてね!」

「はい、畏まりました、忍お嬢様。」



こうして、彼女たちは再び相見える。

金色の戦士―AGITΩ―に









―八束神社―


「!?」


もう何度も経験したこの感覚。

AGITΩとしての本能が俺に知らせるアンノウンの存在。

俺は立ち上がってフィアッセさんの方を向く。


「フィアッセさん、俺……」

「また、アンノウンが出たの?」

「はい。あ、終わったら携帯に連絡入れますから。じゃあ、行ってきます。」


石段を降りる為に足を前に踏み出す。


「リョウ!」

「え?」


フィアッセさんが大きな声で俺の名を呼んだ。


「絶対、無事に帰って来てね!」

「ッはい!」


その言葉を聞いた俺は、今度こそ石段を駆け下り始めた。

それと同時にリニスに念話を送り、応援を頼む。


俺はバイクを停めてある所まで走り、バイクに跨ってエンジンを入れる。



「変身!!」



バイクを走らせながらその言葉を紡ぎ、AGITΩへと変身する。

俺のバイクがマシントルネイダーへと変わり、スピードがさらに加速する。

俺はアンノウンの気配がする場所に急いだ。










―海鳴臨海公園入り口付近―


(勇吾side.)


腕を振り上げ、止めを刺そうとして来るアンノウンから守るように、俺は女の子を強く抱き締めた。


そして、その腕は俺の頭目掛けて振り下ろされ―――――




ようとした瞬間、俺の背後から放たれた光の弾がアンノウンの手に当たり、動きを止めさせた。

後ろを振り向いた俺の目に飛び込んできたのは、どこか昆虫の羽根を連想させる光の翼を広げた2人の女性だった。


「君!早くコレに乗って!」

「女の子も此方で保護しますから!」


大型トレーラーの傍にいる、光の翼を広げた2人の女性が俺と女の子に向かって叫んでいた。


立ち上がって全力でトレーラーまでの距離を全力で駆ける。

俺は、2人の女性に誘導されるままトレーラーに乗り込んだ。


「はぁ、はぁ、た、助かりました。あの、貴方達は…っ、一体……」


トレーラーの内部に入った俺は、女の子を髪の長さがセミロングの女性に預け、今まで逃げ続けていた疲れと、必死に抑え込んでいた恐怖から解放されて荒い息を吐いた。


「つい先日立ち上げられたアンノウン対策班だよ。」

「間に合って良かった。怪我はありませんか?」

「お陰様で、何とか。」

「ふぇええええん、怖かったよぉぉ。」

「もう大丈夫だからね、安心して。」


女の子の方も怪我は無いようだが、安心したのか女性に抱きつき、大きな声をあげて泣いている。


「じゃあ、ボクたちはあいつ等と戦って来るからその子の事任せたよ、君。」

「くれぐれも此処から出ないで下さいね?」

「えぇっ!ちょっと待って下さい!戦うって大丈夫なんですか?」


あ、けどアンノウン対策班って事は、あいつ等に対抗できる手段が有るって事かな。


「大丈夫だよ、ボクたちはHGSだからね。」

「はい、それに増援が来るまで囮をしていればいいだけですから。」


そう言って、2人はトレーラーから降りて行ってしまった。

……大丈夫かなぁ、あの二人。


(勇吾side.END)











暫くして、赤いGトレーラーもその場に到着しようとしていた。


「じゃ、さくら、お願い。」

「分かったわ。」


連絡があった現場の近くに着いた忍たちは、すぐさまG1の出動準備に入った。

ノエルは運転を自動操縦に切り替え、コンテナの方に移動する。

さくらは、忍とファリンに手伝って貰って、G1を装着し、忍から「ビートアクサラー」を譲り受ける。


「行ってくるわ。サポートはお願いね?ノエル、ファリン。」

「お任せ下さい。」「は、はい、頑張ります!」

「…気を付けてね、さくら。」

「あなたも映像の方お願いね。情報が一つでも多く欲しいんだから。」

「む、分かってるもんっ。ちゃんと鮮明に映せる様に修正するわよ。」


軽口を叩き合いながら、さくらはビートチェイサーに跨り、「ビートアクセラー」を右側のハンドルにセットした。

コンテナのドアが開き、地面まで梯子が降りる。


ノエルがキーを操作し、ビートチェイサーを固定しているストッパーが梯子の手前まで下がっていく。


「G1システム、現時刻を持って戦闘オペレーションを開始します。さくら様、ご武運を。」


ノエルがそう言って、


「ビートチェイサー離脱します。頑張って下さい、さくら様。」


ファリンがタイヤを固定しているストッパーを解除する。

車輪が自由になったビートチェイサーは、そのまま梯子を下って道路まで降りる。


G1を装着したさくらは、アンノウンの元へとバイクを走らせた。







「これでも喰らえ!」

「あなたたちの相手は私たちですっ!」


羽を広げ、上空に止まりながらアンノウンに光弾を浴びせる2人。

未だにあの少女を諦めきれないのか、2体のアンノウンはリスティとセルフィに攻撃を受けながらも尚、Gトレーラに向かって近づいていた。

そんな時である。

突然、バイクのエンジン音がその場に響き渡ったのは。


ブォォォォォォン


赤き鎧を纏った戦士は、凄まじいスピードで銀色のアンノウンにバイクで突撃し、吹っ飛ばす。


キキィッ!!


グゥゥゥゥゥゥゥ!


金のアンノウンが唸り声を上げる。


「貴方達、今の内に逃げなさい!」


G1はリスティ達にそう言って、バイクから降りる。


その赤い戦士は、金色のアンノウンに対峙して、己の両拳を構えた。


此処に、古代の伝説の戦士を模した現代の戦士が誕生した。





「はぁ!」


G1は金のアンノウンの顔に拳を叩き込み、腹部を蹴り上げる。

そしてG1は勢い良く、浮かせた体に回し蹴りを喰らわせた。


グゥゥゥゥ


唸り声のような、呻き声のような声を上げて、アンノウンは蹴り飛ばされる。


グァウ!!


「!?くっ!」


バイクで跳ね飛ばした銀色のアンノウンがG1に跳び掛かり、G1の顔を殴打する。


≪「頭部ユニットにダメージ!」≫


「こ、のぉ!」


G1はアンノウンの顎を殴りつける。


「はぁぁぁ!」


そして、すぐさまボディに拳のラッシュを浴びせる。


「はぁっ!!」


最後に渾身の力でアンノウンを殴り飛ばす。


グルルルルゥ!


「(はぁ、はぁ、やっぱり、2体1じゃ不利ね。せめて、G3の装着者が決まってさえいてくれれば!)」


グルルルルル

グァァァァァ


「(ッ!?そんな事考えてる暇も与えてくれないわけね!)」


金と銀のアンノウンは左右に別れてG1を挟み込んでいた。









―Gトレーラー(青)―


「ちょっと!大丈夫なんですか?!2体のアンノウンに挟まれちゃってるじゃないですか!」


Gトレーラーの内部、勇吾はモニターに映し出された歪んだ映像で、G1が戦っている様子を見て声を荒げていた。

女の子の方は泣き疲れてセルフィの膝枕で眠ってしまっている。


「……確かに拙いな。」

「如何にかして助けられないかしら。」


リスティとセルフィの2人も映像を見て顔を顰める。


「御二人はアンノウン対策班の人なんですよね、何か無いんですか?!」

「……残念だけど、ボクたちの攻撃はあいつ等に通用しないんだ。」

「そんな………!」


勇吾がモニターに視線を戻すと、G1が銀のアンノウンに拘束され、金のアンノウンの体当たりを喰らっているところだった。


「ッこのままじゃ、あの人が!」


G1は依然として激しい攻撃を受けており、その装甲からは火花が散っている。


「……助けたいかい?」

「助けたい……って、俺がですか?!」

「そうだよ。君に…アレと戦う勇気があるのなら。」

「リスティ!あなた、まさか!!」


その言葉を聞いて、赤星の頭にフラッシュバックする光景。

腕を振り上げ、女の子諸共自分を葬ろうとした化け物の姿。


「俺が……あいつ等と……ッ」


自然と震える体を抑え付ける。


「俺は………俺はッ―――――!」














G1は苦戦を強いられていた。

1体のアンノウンに両腕を握られ、身動きが取れないところに、もう一体が体当たりを仕掛けて来る。


≪「胸部ユニットに更にダメージ!さくら様!」≫


「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


≪「メインバッテリー、出力30%低下!」≫


「(はぁ、はぁ、負けない!こんな奴らなんかに負けられない!)」


迫り来る金のアンノウンを睨みつけるG1.


そして、金のアンノウンが又、突撃の体勢に入った時―――――



「うおぉぉぉぉぉ!!!」



そこには、来れる筈が無いG3の姿が有った。


「(戦ってやるさ!あの女の子みたいに、あんな人殺しの化け物の所為で泣いてる人の顔は見たくないんだ!)」


G3は金色のアンノウンを殴りつけ、次いで銀色のアンノウンの腕をG1から離させる。


「大丈夫ですか?」

「え、ええ。あなたは?G3は装着者が決まっていなかったはずだけれど。」

「成り行きで装着者になる事になりました。それより!」

「!?そうね、あいつ等を倒す方が先ね。私が金色を、あなたは銀色の方をお願い。」

「はい!」



そうして、赤と青のGはそれぞれの敵に向かって疾走した。









「今までよくもやってくれたわねぇ!今度はこっちの番よ!!」


G1は金色のアンノウンに突撃し、助走の勢いをそのままにボディを殴りつけた。



グゥゥゥゥゥ



「はぁ!」


続けて頭を殴って動きを鈍らせる。


「せい!!」


左足で足払いを掛けてバランスを崩させる。


「やぁぁぁぁ!!!」


そして、一瞬だけ空中に浮かんだアンノウンの体に、裂帛の気合いを籠めた回し蹴りを喰らわせた。


グォォォォォォ


苦しみの声をあげて吹っ飛ぶアンノウン。



そして、G1はベルトの赤いボタンに指を伸ばした。


≪Charge Up≫


電子音声がベルトから流れる。


≪バッテリー残量30%まで低下します!≫


ファリンがG1のバッテリー残量の低下を知らせる。



アアアァァァァァァ!!!



アンノウンは嘗て無い咆哮を上げ、G1目掛けて突っ込んでくる。


≪Full Charge≫


エネルギーが右足へと送り込まれる。


「はあぁぁぁぁぁ!!!」


G1は空中に跳び上がり、一回転した後アンノウンの頭に飛び蹴りを決めた。


エネルギー総量の半分が送り込まれた右足は、瞬間的に爆発的な破壊力を生みだす。


闇雲に突っ込んできた金色のアンノウンは、まともにそれを喰らって地面に叩きつけられた。



アァァァァァァァ!



アンノウンは苦しみ悶え、やがて粉々に爆散してしまった。



「はぁ、はぁ。やった!」


≪アンノウン撃破を確認。お見事でした、さくら様。≫


「あ、ありがと、ノエル。」


そして、さくらは成り行きでG3の装着者になった男の元へ向かって行った。







一方、G3こと赤星勇吾は銀のアンノウン相手に手古摺っていた。


「せやぁ!!」


渾身の力で殴り付けても、アンノウンは怯まない。


「うおっ!危なっ!」


逆にアンノウンのパンチを喰らいそうになり、紙一重のところで回避するG3。


「ちょっ!リスティさん?何か武器とか無いんですか?」

≪まぁ、待ちなよ、勇吾。今から『ガードチェイサー』をそっちに転送する。武器は全部その中だ。≫


リスティからその通信が届いた数秒後、G3の後ろにガードチェイサーが出現する。


「くそっ、邪魔だ!!」

アンノウンを思いっ切り蹴飛ばし、ガードチェイサーに向かう。


「これ、どれを押せば武器が出るんですか?」


ボタンは幾つもあり、勇吾にはどれを押せばいいのか皆目見当が付かなかった。


≪一番左側のボタンを押してください。≫

「一番左……これか!!」


一番左のボタンを押しすと、キュイーンという音と共に武器が取り出せる様になった。

のだが……


「セルフィさん?!俺、銃なんか使ったことありませんよ!」

≪えぇ!?あぁ!そういえば勇吾君は学生だった!!≫

「ちょっとー!?うわぁっ!」


銀色のアンノウンのパンチを躱し、地面を転がるG3。


≪シェリー、とりあえずGM-01のロックの解除を。≫

≪え、えぇ、そうね。GM-01アクティブ。≫


「えぇい!こうなりゃ自棄だ!!」


G3はGM-01を構えて発砲するも、狙いが上手く定まらずに外してしまう。


そうしている間にもアンノウンは徐々に近づいて来る。


「だったらっ!これでっ!どうだ!!!」


G3は勢い良く起き上がり、アンノウン目掛けて突進して行く。

そして―――――――




「いくら下手でも、この距離なら外さないんだよ!」


銃口をほぼゼロ距離まで近づかせ、アンノウンの腹目掛けて連射した。



ウゥゥゥゥゥゥゥ!



アンノウンは苦しげな声を出して後ろに下がって行く。


「ど、どうだ!」


しかし、安心するのはまだ早かった。

アンノウンは体勢を低くしたかと思うと、凄まじい勢いで突っ込んで来た。


「!?うわぁぁぁぁあ!!」


G3は大きく跳ね飛ばされ、ガードチェイサーを巻き込んで転倒した。


「いっててててて。リスティさん、もっと威力の大きいの無いんですか?」

≪「ガードチェイサーの右側にGM-01に装着させるグレネードユニットが搭載されてる。それなら威力は段違いに上がるはずだよ!」≫

「右側、右側…!これの事か!!」


右側にあるスイッチを押してグレネードユニットを取り出し、GM-01に装着する。


≪「GG-02アクティブ!」≫


カシャッ


G3はそれに弾丸を装填し、敵に向かって構える。


「今度こそー!!」


G3は、確実に狙いを定めてアンノウンに発砲する。


グァウ!!


けれど、アンノウンは此方に突進して来るのをやめ、クルリと後ろを向いてそれを受けた。


「!?効いて無いのか?!」


弾丸は、アンノウンの甲羅に阻まれて致命傷を与える事が出来なかった。


アンノウンは、再びG3に突撃を敢行しようとし―――――





唐突に動きを止めて苦しみ始めた。



ガ、ギギギギ、ガァァァァァ!!!



それは偶然にも、昨日AGITΩがライダーキックを決めた場所だった。


そして、爆発。



「うおっ!あっぶねぇ、危うく巻き込まれるとこだった。」


≪「アンノウンを撃破!ありがとう勇吾君。あなたがいなかったらどうなってた事か。」≫

「いえ、何とか倒せて良かったです。」


武装をガードチェイサーに仕舞いながらセルフィの言葉に答える勇吾。

すると―――


「君、さっきはありがとう。お陰で助かったわ。」

「あ、いえ、そんな。ただ必死だっただけなんで。」

「そう謙遜することないのに。」


そうして、赤と青のGは握手を交わした。


しかし、それも束の間。



≪「さくら様!早くそこから離れて下さい!!」≫≪「勇吾君!そこから早く離れて!!」≫



脅威は、静かに忍び寄っていた。











―Gトレーラー(赤)―


それは少し前の事。

Gトレーラーの中、忍たちはアンノウンの撃破に喜んでいた。


「さくら様がご無事で何よりでした。」

「付近にも異常は見当たりません。後の事は警察の方に任せましょうか。」

「おぉ~、見て見て!ノエル、ファリン。この映像!」


忍は喜々とした様子でそう言って、G1の戦闘記録映像を2人に見せた。


「ちゃんと映ってますね。これは、お嬢様が?」

「うん!いや~、大変だったよー。妙な力場の所為で不規則に映像が乱れちゃって。」

「けど、今は凄く鮮明に映ってますよ?」

「私が遊びで作ってたAIをちょこっと改造してね?パターンを解析して、乱れた映像を片っ端から修正して行くようにプログラムしたの。」

「ふわ~、凄いですね。」

「これで、アンノウンの情報が少しでも分かれば良いのですが。」

「そうだね。」


ビー!ビー!ビー!


忍がそう言った時、トレーラー内にけたたましい警戒音が鳴り響いた。


「ノエル!これは?」

「今、確認致します。ファリン!」

「はい、お姉様。」


キーボード操作し、警報の原因を探る。


「!?これは……新しい熱源反応?!」

「さくら様!早くそこから離れて下さい!!」


謎の熱源を感知し、すぐさまさくらに知らせるファリン。

そして、同時にセルフィたちも、同じモノを感知していた。








「ここから離れてって…」

「一体……」


その時だった。

地中から2本の腕が生え、G1とG3の足を捉えたのは。


「キャッ!?」

「何!?」


地面から生えた腕に足を持ち上げられ、転倒するG1とG3。


「そんな……まだ、仲間がいたなんて。」

「離せ!くそっ、離せっての!」


ゴゴゴゴゴ


盛り上がる大地、次いで現れるG1たちを捉えている腕の持ち主。


銅色のトータスロードが、地面からその姿を現したのだった。


銅色のアンノウンはそのままG1とG3を宙吊りにする。


そして、力の限り遠くに放り投げた。


「キャァァァァ!」


投げつけられ地面と激突するG1。


≪「姿勢制御ユニット破損!バッテリーの残量も限界です!」≫

≪「さくら!これ以上は無理よ、離脱して!」≫



「うあぁぁぁぁ!!」


木にぶつかり、地面に墜落するG3.


≪「勇吾!」≫

≪「胸部ユニット損傷、バッテリー出力80%まで低下!」≫


先程までの戦いで、バッテリー残量や装甲が既に限界のG1。

そして、テストも無しのぶっつけ本番で戦う事になった勇吾。



アンノウンは、倒れ伏す2つのGに向かって歩みを進めていた。


―――その存在が、現れるまでは。









彼らは疾風のように現れた。


装甲から火花を散らし、立ち上がるのも困難な状況にありながら、綺堂さくらは…確かにその姿を目撃した。


己の体の色と同じ、金色のバイクに跨った強き戦士―AGITΩ―を。

勇吾は見た。金色のバイクの後ろに乗った、長く艶やかな黒髪を持ち、顔の鼻から上を仮面で覆った女の姿を。






戦いは刹那の間に終わりを告げた。

電光石火

その言葉のように。



バイクから降りた彼等は、まるでG1とG3を庇うようにアンノウンに立ち塞がる。



グルルルルルルルル



己が天敵と出会ったアンノウンは、雄叫びを上げてAGITΩを仕留めんと疾走する。


そして、さくらと勇吾は…いや、Gトレーラーの中にいる人も又……信じられないものを目撃する。


「アルカス・クルタス・エイギアス」


女が呪文のような物を唱え始めたのだ。

すると、アンノウンは走りだそうとした体勢のまま、動きを止めていた。


「金色の閃光よ 、降り来たりて眼下の敵を討て。」


紫色に光る4つの輪が、アンノウンの四肢を拘束する。


「バルエル・ザルエル・プラウゼル」


AGITΩの隣に立つ黒髪の女性は、アンノウンに向かって手を翳し、そこに魔法陣を出現させていた。

魔法陣の中央に紫色の光が収束し、徐々に大きくなっていく。



「突き立て 雷光の剣!『サンダーレイジ 』!!」



そして、それが臨界に達した時、光は雷へと変わり、一筋の紫電となってアンノウンの体を打ち抜いた。



グァァァァァァァ!!



苦悶の叫びを上げ、膝から崩れ落ちる銅色のアンノウン。


その場の全員が唖然と見守る中、AGITΩは前に一歩を踏み出し、頭の角『クロスホーン』を展開する。


「はぁぁぁぁぁぁっ。」


紋章が地面に描かれ、両手を大きく左右に広げ、左足を引き摺るようにして後ろに下げる。


足と同時に左腕を腰に持って行き、右腕は体の正面で折り曲げる。


エネルギーが両足に吸収され、地面の紋章が消え失せる。


AGITΩはその場で空中へと跳び上がり、そして……


「はぁぁぁぁぁーー!!!」


アンノウンに向けて必殺のライダーキックを放った。


ギィィィィィィ!!!


アンノウンは大きく吹っ飛び、空中で爆発した。




「……凄い。」


誰かが、そう呟いた。

それは、この場にいる全ての人間の気持ちを表していた。


AGITΩと謎の女は、アンノウンを倒すとすぐにバイクに跨って、エンジンを入れた。


「!?待って!」


さくらが叫ぶ。

AGITΩはバイクを回し、G1とG3に背を向けた。


「あなたは一体……!」


ブォン、ブォォォォォォン!


AGITΩはそれに答えず、謎の女と共に遠ざかって行った。




そこには、満身創痍のG1と、新しい未知の生物に遭遇し、呆然としているG3が残された。











(凌side.)


アンノウンを撃破した俺たちは、元の姿に戻り、家までの道をバイクで走っていた。


「それにしても、驚いたよ。まさかそんな姿になってるとは思わなかったよ。」


バイクを運転しながら後ろに向かって話しかける。


「正体がバレたら困りますから。簡単なものだとはいえ、変身魔法くらいは使っておかないと。」


ヘルメットからはみ出した長い黒髪を風に棚引かせながら、リニスはそう言った。


「合流した時は本気で驚いたんだぞ?こう、「誰だお前ーー!!」みたいな感じに。」

「パートナーならそれくらい分かって下さいよ。」


冗談っぽく笑いながらそう言うリニス。

そうは言うが、分かれと言う方が難しいだろう。薄茶色の髪は真っ黒に染まってるし、髪も長くなっている。

それに仮面まで被るという徹底振り。

あそこにいたG3たちも、変身魔法を使う前と後じゃ絶対に気付かないだろう。

あ、そう言えば……


「そう言えば凌、あの青いのは前に見ましたが…あの赤いのは新型でしょうか。」


そう、G3の近くに仰向けに倒れていた赤いヤツ。あれは……酷く『クウガ』に酷似していた。

一体どういう事だ?この世界にグロンギは存在していないみたいなのに。

それに、よくよく考えてみれば、黒いG3の事も気に掛かる。

原作には居なかったと思うし。


「凌、凌!」

「おぉう!な、何だ?リニス。」


考え事に没頭していてリニスの声が聞こえなかった。


「家を通り過ぎましたよ。」

「うそぉ!」

「考え事をするのは結構ですけど、ボーっとしないで下さいね。」

「…すまん。」


車が来ていないことを確認してUターンする。


「全くもうっ、質問してるのに行き成り黙られたら不安になるじゃないですか。」ボソッ

「?何か言ったか?リニス。」

「いいえ、何も言ってませんが?」

「そ、そうか。空耳かなぁ。」


確かに何か聞こえたような気がしたんだけど、気のせいか。

「(まぁ、とりあえずは家に帰ってフィアッセさんに連絡するか。)」


そうして俺たちは己の帰る場所に帰って行ったのだった。







(おまけ)


「先生、分かりそうですか?」


海鳴大学にある研究室の一室。

一人の女生徒が、パソコンに向かって古代文字を解読している教師に話しかける。


「ああ、朧気にだけれど、何とかなりそうだね。」


その言葉に、その場にいた生徒はワッと歓声を上げた。


「良かったー。もう、頼れるのは先生だけだったんです。」

「ふむ、非常に興味深い言語だな。ん?この資料は?」


机に置いてあったクウガに関する翻訳資料の一部を見て、疑問の声を上げる男教師。


「あ、それは……この間、例の化け物に殺された佐々木さんが翻訳したものです。」

「これの翻訳データは、佐々木先輩が持ってたんですけど、襲われた時に壊れちゃったみたいで、途方に暮れてたんです。」

「そうか……分かった。これからは私も協力しよう。何か、あのアンノウンとか言う化け物に対抗できる術が見つかるかもしれないしね。」

「はい!ありがとうございます、先生!」

「うん、じゃあ、私はこれから講義があるから失礼するよ。帰りまでに、CDか何かに解読の終わって無い文章を入れておいてくれ。」

「はい!分かりました。」


そうして、男教師はその部屋を後にした。


その男の名は、『藤見 記康』

それは偶然にも、AGITΩとしてアンノウンと戦っている『藤見 凌』、彼の父親の名前だった。








後書き

今回、自分の限界を突破しました。(文章量的な意味で。)
今まで書いた中でも断トツで長いです。
けれど文章量と等価交換で質が下がっていないかが物凄く心配。

書き切れなかったその他の事も設定の方に書いておきます。

そして、今回は赤星君が主人公。←(これ重要)

呪文の「金色の~」って部分は聞き取れなかったので仕方なくこんな風にしました。分かる人がいたら教えて下さい。m(_ _)m


前を表示する / 次を表示する
感想掲示板 全件表示 作者メニュー サイトTOP 掲示板TOP 捜索掲示板 メイン掲示板

SS-BBS SCRIPT for CONTRIBUTION --- Scratched by MAI
0.059092998504639