「傀儡兵の数は何とか基準値に達しそうね。後は庭園の結界強化とフェイトの訓練ね」
時の庭園、自らの研究室でプレシア・テスタロッサは情報端末を弄り回していた。
空中に浮かぶモニターには様々な情報が乱舞している。
「あぁ、アリシア。もうすぐよ、もうすぐあなたを生き返らせてあげる。」
生体ポットに入った金髪の幼女を眺めながらプレシアは巨大モニターにとある文献を映し出す。
「幻の古代都市アルハザード、必ず辿り着いてみせるわ。最後まで諦めたりするものですか。」
ビーーッ ビーーッ ビーーッ
突然、時の庭園に備え付けられている警戒警報が鳴り響き、プレシアの目の前に1つのモニターが表示される。
『何らかの物体の衝突』
モニターにはそう表示されていた。
第二十話「始まり」
「うぁ~、今日は疲れたなー。」
日が沈み、辺りが闇夜に包まれ、月明かりのみが照らす並木道を一人の男が歩いている。
そして暗闇の中、木の陰から男を見つめる金色の瞳。
男はそれに気付かず、己の家への道を歩き続ける。
グルルルルル
そいつは、荒々しく獣のような声を上げ、頭に天使の輪のような円盤状の発行体を出現させて、胸元で謎のサインを切った。
グァウ!!
木陰から飛び出し、月の光に照らされたその姿は人のものでは無かった。
「ん? ひ、ひぃぃぃぃぃいぃ!」
グルルルルルル
「た、助けて!や、ヤメロ!やめてくれぇ!」
異形のモノは男の顔を凄まじい力で掴み、木の洞に詰め込んで絶命させようとする。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」
それが、男の最後の言葉となった。
異形は男の死を見届けると、暗闇へ溶ける様に消えていった。
季節は巡り、春。
俺たちはそれぞれ進級し、1学年上の3年生になっていた。
高町たちとクラスが別れてしまうんじゃないかと危惧していたのだが、そんな事も無く今年もめでたく同じクラスになる事となった。
入学当初はまだまだ先の話だと思っていた将来の事も現実感を増し、今年は例年以上に忙しくなりそうだ。
「ところでさぁ、お前ら今日のニュース見たか?」
昼休み、4人で集まり雑談をしていると、赤星が朝のニュースの事を聞いてきた。
それにしても珍しいな、俺の記憶じゃ今まで一度もこいつの方からニュースの話題を振って来たことなんて無かったぞ。
「いや、見てないな。今日はいつも以上に訓練に身が入ってな、そんな暇なかった。」
高町は例によって例の如く士郎さん、美由希ちゃんと一緒に修行してたらしい。
本当は2、30分の予定だったらしいが、なのはちゃんの制止も聞かず更に10分ほど延長したそうだ。
「ふわぁぁ。私も見てないなー。昨日徹夜だったから眠くて眠くて。」
月村に関しては知らないが、機械とか作るのに熱中し過ぎて徹夜になったんだろう。
俺としては始業式前日くらい自重しろと言いたい。まぁ、かく言う俺も……
「同じく。本鈴ギリギリに登校してきた俺にそんな余裕があるとでも?」
完全に寝過して危うく始業式に遅刻しそうになったのだが。
え?人の事言えないだろって?だって考えても見ろ、リニスとの訓練で電撃喰らいまくって心身ともに疲れ切ってるんだぞ?起きれると思うか?
「お前ら……ニュースくらい見とけよ。」
予想外の返答に呆れる赤星。
いや、いつもは見てるんですよ?とばかりに顔を見合わせる俺と高町に月村。
赤星は、「はぁぁぁ。」と溜息をついた後、今朝のニュースの事を話し始めた。
「何か、この辺で殺人事件が起こったらしい。」
「え、マジかよ。物騒だな。」
「知らなかったな。本当なのか?それ。」
「犯人は?捕まったの?」
「いや、それが妙なんだよ。犯人とかそう言う以前に、その男……木に埋め込まれて殺されたんだって。」
「なっ!?」
お、おいおい。その奇妙な殺され方、もしかして………
「木に埋め込む?そんな事が出来るのか?」
「普通は無理だろうな。体の半分以上が木に飲み込まれてたらしい。」
「何それ!?そんなの有り得ないじゃない!」
「だから妙なんだよ、人間にできる事じゃない。やろうとしてもそんな死に方出来ない筈なんだ。」
3人の会話はほとんど耳に入ってこなかった。ただ、前々から危惧していた事がついに現実になったかも知れないという考えが俺の頭の大半を占めていた。
「!?」
突如、妙な感覚が俺を襲った。
そして、俺は1人の男性がアンノウンに襲われる様子を見た。
「どうした?藤見。突然頭なんか押さえて。」
「藤見君、頭でも痛いの?」
「藤見、具合が悪いのなら保健室に行ったらどうだ?」
「いや、大丈夫。ちょっと眩暈がしただけだから。」
やっぱり…間違いない!これはアンノウンの仕業だ。
そして、それと時を同じくして、とある会社の近くにある公園では、新たな犠牲者が増えていた。
その公園に数台のパトカーと共に現場に急行したリスティ・槇原は、昨日起こった殺人と全く同じ手口の犯行に遭遇することになった。
「また木に埋められて殺されてる。しかも、被害者はこの間殺された佐々木洋介の父親…か」
木の洞から手がはみ出している死体を見上げ、火のついた煙草を片手に呟くリスティ。
「ふぅ~。この事件、今のところHGS能力者の仕業としか思えないなぁ。」
煙草を咥え、白い煙を吐き出しながら犯人について思いを馳せる。
普通の人ならば決して起こす事のできない現象。超能力などの力によって引き起こされたと言うのが最も適した考えだろう。
犯人が何を思ってこんな殺害の仕方をしたのかは全くの謎だが、単独犯なら相当の手垂れだろうと推測できる。
現在、海鳴に住むHGS能力者の中で唯一1人でテレポートが使用できるのは、ここに居るリスティ・槇原を置いて他に居ないのだ。
そして、ことHGSの能力に関して、リスティを超えるものは皆無と言っていい。
こんな事が実行できるのは転送系に特化した能力者か、リスティと同等の力をもった者以外に存在しない。
リスティは、再び煙を吐き出すと、携帯灰皿に煙草を突っ込み、被害者である佐々木信彦の家へと入って行った。
「佐々木さん、何でもいいんです。ご主人と息子さんについて生前、何か変わったことはありませんでしたか。」
「……………」
「佐々木さん!」
「うぅ、す、すいません。」
何か手掛かりは無いかと、リスティが少し強い口調で問い詰めると、典子は涙を流し、嗚咽を漏らし始めた。
「ごめんなさい。何か思い出したらここに連絡を下さい。」
自分の夫と息子を一遍に亡くしたのだ、悲しくないはずがない。
リスティは己の浅慮を悔いて謝り、仕事用の携帯の番号をメモ用紙に書いて机に置いて、静かにその家を出た。
「(はぁ、結局手掛かりは無し…かぁ。)」
それほど期待していた訳ではないが、予想通りの現実に落胆しつつ、リスティはパトカーに乗り込んだのだった。
(凌side.)
その日の放課後、俺は翠屋に向けてバイクを走らせながらただ1つの事を考えていた。
もちろん、アンノウンの事だ。
昼間はいきなりで混乱していた事もあって、アンノウンの殺人行為を止める事が出来なかった。
それに正直、まだアンノウンと戦う覚悟が決まらない。
AGITΩの力が無ければ、俺はさくらさんに言われたように、喧嘩慣れしているだけの学生に過ぎない。
あいつ等の狙いはAGITΩの力を持っている人間だ。不意を突かれ、変身する間も無く首を圧し折られたり、それでなくてもあんなデタラメな力で殴られれば死に至る。
考えれば考える程、悪い方へと思考は流れて行った。
そんな事を考えている内に、俺は翠屋の前にバイクを停めていた。
鬱々とした気分のまま店内に入り、バイトをすることで少しでも気を紛らわそうとした。
「こんにちは。」
「やぁ、いらっしゃい。」
出迎えてくれたのは桃子さんでも、フィアッセさんでも、大量のお客さんでもなく、士郎さんだった。
「士郎さん…だけですか?」
「ああ、桃子の大学時代の友人の夫と息子が殺されたらしくてね。昼過ぎにその人のところへ出掛けて行ったよ。」
「他の皆さんは、どうしたんですか?」
「桃子も居ないし、今日は休みにする事にしたんだよ。目玉商品のシュークリームは桃子じゃないと作れないしね。凌君にも連絡入れたんだけど出なくてね。仕方ないから恭也に伝えて貰おうと思ったんだけどね。あいつ携帯を家に置きっぱなしでな、それで俺が残って君がここに来たら伝えようと思って待っていたんだ。」
「はぁ、そうなんですか。それじゃあ仕方ないんで帰ります。」
働いて気を紛らわせられないのは残念だが、そんな事情があるんなら仕方ない。
俺は家に帰ろうと踵を返し、ドアのノブを握った。
「まぁまぁ。そう急がなくても良いじゃないか。偶には話でもしないかい?こんな機会滅多にないだろう。」
「………男2人で…ですか?」
「そうそう、男2人で…だよ。」
まぁ…気晴らしにはなるかな。
そう思い、俺は再び士郎さんに向き直り、カウンターに座ってコーヒーを淹れている士郎さんの隣に腰かけた。
「それで…何の話をするんですか?」
「んー、何の話をしようか。」
ズルッ
「あなたが話でもしようって言ったんじゃないですか!」
「はっはっは、一々そんな事を気にしていてはダメだぞ凌君。」
「あなたねぇ…」
「ふぅむ。しかし、これでは話が進まないなぁ。どれ、じゃあ俺と桃子の馴れ初めでも話そうか。そう、あれは俺がまだボディーガードの仕事をしていた時だった……」
「それだけは勘弁して下さい!!」
そんなもん語らせ始めた日には馴れ初めどころか新婚生活、果ては今日に至る全ての惚気話を聞かされることになる!
「そうか?残念だなぁ。」
はぁ、何処まで本気なんだこの人は。
「じゃあ、君が今何を悩んでいるのか…で、どうだい?」
「!?な、何でそんな事。」
まさか勘付かれるとは思って無かった。多少態度はおかしかったかも知れないが、できるだけいつも通りを心掛けてたのに。
引退したとは言え、流石は御神の剣士って事なのだろうか。
「顔と態度を見れば分かるよ。その程度の事はね。」
「そう…ですか。」
「何を悩んでるのかは知らない。聞いても教えてくれないだろうしね。」
「それは…まぁ。」
「だろう?だから、君が思ったように行動すればいい。その悩みに立ち向かうも逃げるのも君の自由だ。」
「その結果がどんなものになっても、ですか?」
「そうだなぁ、君自身に悔いが残らない選択をすればいいと思うよ。」
俺は家族みんなに散々心配掛けて後悔したからね。と、そう言って士郎さんはコーヒーを飲んだ。
(リスティside.)
夜、ようやく仕事が終わったボクは煙草を片手に耕介に電話を掛けていた。
「ふー、もう少ししたら帰れると思う。晩御飯の時間には間に合うと思うから。うん、みんなにもそう伝えて――――」
煙草を吹かせながら携帯で耕介に電話をかけ、いつ頃帰れるのかを伝えていると…
Prrrrrr prrrrrrr prrrrrrrr
仕事用の携帯が鳴り始めた。
「ゴメン耕介、ちょっと待ってて。」
リスティはそう言うと耕介との通話を一旦打ち切り、その電話に出た。
「はい、リスティですけど。」
「あっ、佐々木です。実は…お渡ししたい物があるんです。主人と息子が殺された事に関係があるのかは分からないんですけど。」
「分かりました。すぐそちらに伺います。」
「はい、場所は―――」
息子が殺された並木道、佐々木典子はリスティを待っていた。
まだ春になったばかりで肌寒く、吐き出す息も微かに白い。
そこに、それを見つめる影がいた。
頭に光の輪を出現させ、以前と同じように謎のサインを切ったそいつは、典子の背後に忍び寄り両手で顔を掴むと凄まじい怪力で締め付け始めた。
「!?」
士郎との話を終え、家への道をバイクで疾走していると、昼間と同じ感覚が凌を襲った。
キキィィィ
バイクを一旦止め、どうするべきか迷った凌はしばらくの間動きを止めたが、再びそのままの道を走り始めた。
「おかしいな、確かここで待ち合わせの筈なんだけど。」
あの後、すぐに待ち合わせ場所へ向かったリスティは一向に姿の見えない典子を探して辺りを見渡していた。
「(ここへの距離は佐々木さんの方が近い筈なんだけどなぁ。)」
キョロキョロと視線を動かし、人影を見つけようとする。すると…
「ん?なッ!?これは!」
リスティの視線の先には、木の洞から手をはみ出させた佐々木典子の死体があった。
「ッ佐々木さん!」
リスティは急いでその木に駆けつけるが、妙な気配を感じて立ち止まる。
懐から拳銃を取り出し後ろを振り返る。
そこには人の姿など形も無く、代わりに豹のような外見の怪物が佇んでいた。
「お、お前がやったのか!」
その外見に恐れを抱きながらも問い詰めるリスティ。だが、当然答えなど返って来る訳がなく、怪物は凄い速さで此方に向かってきた。
持っていた拳銃を即座に構え、怪物に向かって発砲する。
「チィッ!」
本当なら寸分のズレなく叩き込まれていたであろう銃弾は怪物に当たる前に砕け散った。
リスティは舌打ちをして、背中にリアーフィン『トライウィングス・オリジナル』を展開させ力を溜める。
「(拳銃が使えないのならっ!ギリギリまで近づいて来たところに全力の『サンダーブレイク』をブチ込んで一撃で仕留めてやる!)」
グルルルルルル
そして、そいつが走ってきた勢いをそのままにしてリスティに手を伸ばした瞬間、彼女は溜めていた力を一気に開放した。
眩いばかりの雷光が辺りを包み、リアーフィンが高速で振動する。背中からは陽炎が立ち上り、余剰熱を吐き出している。
「サンダー………ブレイクッ!!」
その言葉を告げた瞬間、世界は漆黒の闇から金色の光へと塗り替えられた。
轟音が響き、リスティの放った雷は先程の銃弾とは違って確実に謎の怪物に直撃した。
ブスブスと黒い煙が上がり、怪物の姿を覆っている。
しかし、あれだけの攻撃を受けたのだ、立ち上がれはしないだろうとリスティは考える。
しかし――――
「ガッ!!」
黒煙が立ち上るその場所から、怪物は今まで以上の速度でリスティに肉薄してきた。
そして、その手は彼女の首を掴んで、そのまま体を宙に持ち上げた。
「バカ……な。あれを、喰らって…まだ動け………ぐあぁぁぁぁ!」
体中から黒煙を上げながらも尚、怪物は余力を残していた。
苦し紛れに光弾を放つが全く効いていない。
依然として締め付けられる自身の首、そして遠のく意識。
「(ここまで…なのか。ゴメン耕介、愛、みんな。)」
リスティが生を諦めようとしたその時、彼女を締め付けていた怪物の手が唐突に緩んだ。
「(何で……けど、チャンスは今しかない!)」
最後の力を振り絞って光弾を怪物の顔面にぶつけ、その手から逃れるリスティ。
「ゴホッゴホッ!」
締め付けられていた首を擦りながら怪物を見上げる。
怪物はある一点を見つめていた。
その視線の先にいたのは…真紅の瞳と黄金の角を持つ異形のモノだった。
―…A…G…I…T…Ω…―
目の前の怪物はそう言って、『AGITΩ』と呼ばれた存在に襲い掛かって行った。
怪物はAGITΩに跳び掛かり、その桁外れな怪力によって相手を薙ぎ倒さんと腕を振るう。
しかし、素早い動作でそれを回避するAGITΩ。
リスティのサンダーブレイクによるダメージもあるのだろう。
持ち前の俊敏さはもはや見る影もなく、ただ力任せに腕を振るっているようにしか見えない。
AGITΩは、左から振るわれた腕を払い除け、右から来る拳を回転することで避け、肘鉄を怪物の腹部に叩き込む。
背後に回り込んで右手を振り上げた怪物の顎に、掌底を喰らわせ怯ませる。
一方的だった。怪物の攻撃は一度たりともAGITΩに当たらず、逆にカウンターによってダメージを負っていく。
直後、攻撃の機会を見計らうつもりなのか、怪物は距離を取ってAGITΩと睨み合う。
先に動いたのは、やはり怪物の方だった。
再びAGITΩに跳び掛かり、その腕を振り下ろす。
しかし、AGITΩはその腕を引っ掴み、遠心力を利用して投げ飛ばしてしまう。
そして、AGITΩの頭部に有った2本の角が展開し、6本角へと変化した。
足元に何かの紋章を象った巨大なエネルギーを出現させ、両手を大きく左右に広げ、左足を引き摺るようにして後ろに下げる。
足と同時に左腕を腰に持って行き、右腕は体の正面で折り曲げる。紋章は徐々に足に吸い込まれていき、やがて消えてしまった。
怪物は、アレを受ければ死ぬ事を本能によって理解したのか、今迄で最高の速度でAGITΩに迫る。
だが、AGITΩはそれよりも早く空中へと跳び上がり、迫ってくる怪物の胸に飛び蹴りを放った。
グアアアアアァァァァァ!!!
怪物は大きく吹き飛ばされ、よろよろとしながらも立ち上がる素振りを見せる。
AGITΩはしかし、すでに怪物の方など見てはいなかった。
怪物が立ち上がり掛けたその時、頭に光の輪が現れ唐突に苦しみ出したのだった。
ウウウゥゥゥアアアアァァァァ!!
叫び声と共に怪物は爆散し、その場には、しゃがみ込んで呆然とAGITΩを見上げるリスティと、彼女に背を向けたAGITΩだけが残された。
数瞬後、AGITΩは此処に用は無いとばかりに悠然と去って行った。
リスティはそれをボーっと見ていただけだった。
(凌side.)
ジャガーロードを倒した凌は、AGITΩから人間の姿に戻り、家に向かってバイクを走らせていた。
アンノウンの存在を感知した俺は、そのままバイクを走らせ自分の家では無くアンノウンのいるところへ向かった。
士郎さんの言葉を聞いて気が付いた。
俺がAGITΩの力を手に入れてリニスに訓練を頼んだ切っ掛けは、大切な人を守りたいからだ。
その事に、魔導師連中や守護騎士たち、イカれたマッドに腐った脳味噌共そして、アンノウンなんて、相手の事など関係なかった。
俺の守りたい奴に手を出す奴は何であろうと叩きのめす。
もう俺は迷わない。この力でアンノウンから皆を守ってやる!
そう固く決心した凌はこれから待ち受けるであろうリニスの説教についての覚悟を決め始めた。
【おまけ】
(さくらside.)
一方その頃、さくらは机に置いた湯気が出ているコーヒーに砂糖とミルクを加えながら、古代に存在したとされる伝説の戦士「クウガ」の文献を読み漁っていた。
それらの資料は全て、大学院の仲間たちから送られて来た物である。
「はぁ。やっぱり、時代が時代なだけに曖昧な事ばかりね。『赤』以外の形態は存在こそ示唆されているものの、詳しい事は何処にも書かれていないし。」
そもそも、古代文字を解読するだけでも相当の時間が掛かるのだ。
さくらの仲間たちの話では、遺跡に記されていた内容の5分の1も解読し終えていないそうだが、全て解読できるのにどれだけの時間を有するのかは想像がつかない。
そうして一通り資料を読み終えると…
「はぁぁ。この後は政府のお偉方との交渉もあるし、問題が山積みでホント頭が痛いわ。」
そう言って、さくらは机の上に長い間放置され、すっかり冷めてしまったコーヒーを一気に飲み干したのだった。
後書き
最初に一言謝ります。
G3出せなくてすいませんでしたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
最初は出す予定だったんですけど途中で挫折。急遽リスティさんに出張って貰いました。けど、口調が分からNEEEEEEEE!!
失礼、取り乱しました。何度も言ってるように記憶が曖昧なんで細かいところはもちろん重要な事ですらうっかりしていると抜け落ちてる始末。なので口調などがおかしければご指摘下さい。最優先で修正します。