第二話 「学園生活」
俺が迷子になった一件以来、俺と高町は自然と友達同士になっていた。
その後、恭也の中学時代からの友達だという赤星 勇吾とも知り合い友達になった。
2人の友人になって分かったことだが、高町は少し無愛想だが根は優しい良い奴だった。
あれから毎日のように海鳴市を案内してくれたり、お勧めのタイ焼き屋に連れて行ってくれたりとすごく良い奴だ。
……まぁ、タイ焼きのチーズとカレーの組み合わせには若干引いたが。
赤星は、容姿端麗で成績も優秀、そのうえ剣道も強く、恭也ともよく手合わせをするらしい。
それなのに、気取ったところがなく初対面の俺にも気さくに話しかけてくれたため、すぐに打ち解けることができた。
ホント風芽丘学園に入ってよかった。入学してすぐ友達ができるなんて思わなかったからなぁ。
「なぁ、藤見。」
午前の授業が終わり、3人で集まって昼食を食べながら2人と出会った頃のことを思い返していると、赤星が声をかけてきた。
「何だ?」
「ふと思ったんだけどさ、お前って部活とか入らないのか?」
「ふむ、それは俺も思っていた。体も鍛えているようだし、てっきり運動部に入るものだと思っていたのだが。」
「んー。俺、免許取れる歳になったらバイク買おうと思ってるからね、バイトでもして金を貯めておきたいんだよ。」
「あーバイクか。なるほどな。」
「両親は金を出してくれないのか?」
「大学に進学したら今より金がいるからな。バイクまで買ってもらえないよ。」
「凄いな藤見。俺たちまだ一年なのに、もう大学のことまで考えてるのか。」
「どこの大学に行くのかも決めているのか?」
「流石にそれはないよ。まぁ、大学くらい出とかないと就職が難しいだろうしね。ただそれだけだよ。」
実際、転生前は高卒で就職したからあまりいい所に勤められなかったんだよなぁ。前の記憶があるから今のところ成績はいいけど、これから先は真面目に勉強しないとダメだろうなぁ。
「ふむ。しかし、そういうことなら家の店でバイトしないか?」
「なんですと?」
正直、それは願ったり叶ったりなのでかなり嬉しい。
「ああ、それいいかもな。藤見、バイトまだ見つかってないんだろ?」
「あ、ああ。だけど俺、接客業の経験ないんだけど。」
「問題ないと思うぞ。」
「そ、そうか?じゃあ、悪いけど頼めるか?」
「ああ、引き受けた。」
「けど、桃子さんなら高町の友達って聞いただけで採用にしそうだな。」
「それはないだろ。」
「いや、母さんならあり得る。」
「桃子さんだからなぁ。」
桃子さんって、あのお茶目な人だよなぁ。
う~ん、あの人なら確かにあり得る…のか?
「バイトの件、今日帰ったら母さんに話しておこう。」
「すまない、助かるよ。」
「ってやばっ!?おい2人とも、早く食わないと昼休み終わっちまうぞ。」
高町には頭が上がらないなぁ。などと考えていると突然赤星が慌てた声を出した。
「うわっホントだ。あと8分しかないじゃないか。」
「次の時間体育だから急がないと拙いぞ!」
「急いで食べろ。遅れても知らんぞ。」
「ちょっ、待て高町。」
「すぐ食べ終わるから待ってくれ!」
結果からいえば俺たちは授業に間に合った。急いで食べたため俺と赤星は腹痛になったが。
翌日、いつも通りの時間に起床した俺は、母さんの作ってくれた朝飯を食べ、食器を片づけている母さんに、今日はバイトの面接で遅くなるかもしれないと説明をしてから家を出た。
「採用だそうだ」
教室に着き、高町に挨拶をしようと口を開いた瞬間に高町から、いきなりそう言われた。
一瞬、高町が何を言っているのか分からなかった。
いや、なんとなくだが、昨日頼んだバイトのことを指しているんじゃないかなぁ、とは思った。
けど、俺は面接を受けていない上に、桃子さんとは1度会っただけだ。
碌な会話すらも交わしていないのに採用と言われても戸惑ってしまう。
「高町、悪いが意味が分からない。」
「昨日の昼に赤星の言った言葉のとおりになった、ということだ。」
「え"!マジですか。」
「大マジだ。」
「いいじゃないか、面接免除で採用されたんだ。喜ぶべきだろ。」
後ろを向けば、いつの間にやら学校に来ていた赤星が会話に加わってきた。
「おはよう赤星。それはそうだが、いいのかなぁ。」
「別に母さんは俺の友人だから無条件で合格にしたわけじゃないぞ。」
「ありゃ、そうなの?」
「ああ、前に来た迷子の男だと言ったら、「それなら大丈夫ね。明日から来れるようなら来てもらって。」とのことだ。」
おまっ!迷子の男って…もう少しマシな言い方あるだろうに。
「まぁ、元々面接受けに行くつもりだったからそれは大丈夫なんだけど……」
「頑張れよ藤見。翠屋で働くのは大変だぞ。」
「赤星、不安にさせるようなことを言うな。ただ単に忙しいだけだ。」
「そんなにお客さん多いの?」
「まぁな。桃子さんのシュークリームは絶品だからな。」
「2人とも、そろそろ先生が来る。早く席に戻ったほうがいいぞ。」
高町に言われて席に着いた俺は、その後いつも通り授業をうけた。放課後のバイトのことを考えながら。
後書き
キャラの口調がおかしい。赤星君こんなしゃべり方だったっけ?
主人公の変身はとらハ3の原作開始かその少し前ぐらいに予定してます。