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No.11472の一覧
[0] 10001回目の世界(ギャグ)[ハチミツ好き](2009/08/31 23:53)
[1] 碇シンジは振り向かない[ハチミツ好き](2009/09/05 01:49)
[2] 装甲悪鬼碇真寺[ハチミツ好き](2009/11/29 02:28)
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[11472] 10001回目の世界(ギャグ)
Name: ハチミツ好き◆246d0262 ID:a5cef6f4 次を表示する
Date: 2009/08/31 23:53
「ゴメンね! ちょっち遅れた!」
「琴乃さんっ!」
「誰よそれ!?」

絶体絶命の危機のシンジを救ったのはミサトであった。


「早く乗って!」

切羽詰った様子のミサトが車のドアを開けた。

シンジは頬を染めた。

「ミ、ミサトさんの上に……?」
「何を言ってるの! ふざけてる場合じゃないでしょ!?」
「ご、ごめんなさい……僕の上にミサトさんが乗るんですよね?」

シンジはちょっとどや顔で言った。

ミサトは混乱した。

(こ、この子頭おかしいんじゃないの!?)

しかし頭を振る。

(……突然のこんな状況。混乱するのも無理はないわね)

「ほら、早く乗ってっ」
「乗ります……乗ります! 僕はエヴァンゲリオン初号機パイロット――碇シンジです!」
「いいから早く乗れっ!」

ミサトはシンジの腕を掴み車内に引っ張り込んだ。

――その時奇跡起こった。

無理やり引っ張り込まれたシンジの体。

彼は足元の石に躓いた。

当然彼の体は宙に浮く。

その時!

ミサトが掴んだ腕を中心に彼の体は一回転した!

そう、合気道のように……ように……ように(エコー)

そのまま彼の体は車内に落ちてくる。

そのまま……すっぽりと……席に座る形で……っ!

「……」
「……」

その体験をした二人は目を驚愕に開かせたまま硬直した。

恐る恐るシンジが口を開く。

「ミ、ミサトさん……い、今」
「え、ええ! 凄い……まさかこんな事が……」

日常を普通に過ごしていてこの様な出来事が起こるのはどれ程の確率か?

二人は感謝した。

今日という日に。

この奇跡に出合った……今日に。

「僕、もう悔いは無いです。……次の周も頑張れると思います」
「……ふふ、何を言ってるの。あなた若いんだから、まだまだこれからよ」

二人は顔を見合わせて笑った。

「ミサトさん。僕、これからも頑張ります」
「そうね、頑張りなさい。私も応援するわ――って何この空気!? いいから早く乗りなさいよ!」
「もう、乗ってますが?」

再びどや顔で答えたシンジ。

ミサトはシンジの横っ面を叩きたくてたまらなかったが自重した。

アクセルを踏む。

「口閉じててね! 舌噛むわよぉ!」
「おい、ミサト。いい事教えてやるよ。セントラルドグマの地下にあるアレな、実は、ヒギィィィィィィィィィィィーー!?」
「言わんこっちゃない!」
「ふぃふぁふぉふぁん! ふぃふぁい! ふぃふぁいよー!」

車は走る。

シンジの口から流れてる血を撒き散らせながら。

「ふぃふぁふぉはん、ふぃふぁふぉん!」
「いいから黙ってなさい、よっ!」

ミサトが大きくハンドルを切りカーブを曲がった。

未だシートベルトすらしていないシンジの体は一瞬宙に浮く。

「ふぃふぁふぉはんはふぃんらん。ふぃふぁふぉふぁんはふぃんらん」
「後で聞いてあげるからっ、今は黙ってて!」
「……」
「い、いきなり黙られても気持ち悪いんだけど……」

死んだ様な目つきで沈黙したシンジの姿にミサトは寒気を覚えた。

「……」
「わ、分かったわよ。何っ? 聞いてあげるわっ」
「ミサトさんは淫乱。ミサトさんは淫r――痛い!? 何をするのミサトさん! 僕が嫌いになったの!?」
「何で初対面の貴方にそんな事言われなくちゃいけないのよっ!? 殺すわよ!」
「だってミサトさんは淫乱じゃないかっ!」
「な、何で逆切れすんのよ……」

この子意味わかんない……とミサトは呟いた。

と、突然シンジが空を見上げる。

その顔は真剣そのもので、先ほどまでのシンジをは別人だった。

「ミサトさん! あれを見て!」
「え!?」

シンジの指に釣られて、ミサトは上を見た。

「――綺麗な、青空だね」

ミサトは結構本気でシンジを殴った。

そして先ほど空を見た時にある事に気付いた。

(……戦闘機が……撤退していく。 っ! まさか!?)

「N2地雷を使うつもり!? シンジ君伏せて!!」
「N2地雷だと!? ミサト、今すぐやめさせるんだっ! そんな事をしたらこの地上に人が住めなくなるッ!」
「いいから伏せなさいっ!!」

――爆音、閃光。

ミサトの車は爆風に煽られ、回転しながら吹き飛んだ。

「何だこれは!? 回るよ! スッゴイ回るよ! ひひゃふぉはんだぁ!」

シンジは舌を噛んだ。

先ほどと同じ場所を噛み、あと二、三回噛めば舌が千切れるかもしれなかった。

――。

――。

――。

「……っっ。シンジ君、怪我は無い?」

横転した車から這い出るミサト。

シンジは車から投げ出され、少し離れた場所で顔を両手で覆っていた。

「どうしたの!? 怪我でもした!?」

ミサトは顔色を変えてシンジに近寄った。

「……しょう……畜生」
「シ、シンジ君?」
「上は現場の事なんて何も分かっちゃいない……! こんな街中でN2地雷を使うなんて……! 後の事を考えてみろ! N2地雷を爆破させた後の大地を! 木どころかペンペン草の一本も生えないんだぞ! ペンペン草の一本もだ! ……ペンペン! ペンペーン! クエー! ペンペン!? ペンペン、君なのかい!? やっぱり君が最期の……ミサトさんっ!」
「……なに?」
「ペンペンはどうしてる!?」
「いや、普通に家にいると思うけど……」
「ばっかもーん! そいつは綾波だっ! 確かに声は似てるけどね! 最期の使徒でもあるんだ!」
「へー……」

ミサトは横転した車を見ながらシンジの言葉に投げやりに返した。

扱いに慣れてきたようだ。

「ところでミサトさん! 『帰ったら続きをしてあげるわ……』ってあの時言ってたよね! 何すんの!? 父さんの尻をこれでもかと蹴り飛ばすの!? 楽しみだなー!」
「はぁー……車、起こせるかな……」


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