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No.11290の一覧
[0] 【完結】幼なじみは悪魔の子 (ワンピース オリ主)  [くろくま](2012/05/21 00:49)
[1] 第一部 プロローグ 「異端児」 [くろくま](2010/03/27 22:21)
[2] 第一話 「母親」  [くろくま](2010/01/15 22:03)
[3] 第二話 「慈愛」 [くろくま](2010/01/15 22:06)
[4] 第三話 「訪問者」[くろくま](2009/11/16 22:22)
[5] 第四話 「悪魔の実」[くろくま](2009/10/31 10:08)
[6] 第五話 「日常」[くろくま](2009/10/31 10:15)
[7] 第六話 「別れ」[くろくま](2009/10/30 22:56)
[8] 第七話 「血筋」[くろくま](2009/09/10 19:51)
[9] 第八話 「秘密」[くろくま](2009/09/11 20:04)
[10] 第九話 「どうでもいい」[くろくま](2009/09/11 20:13)
[11] 第十話 「チェックメイト」[くろくま](2009/09/11 20:26)
[12] 第十一話 「最高手」[くろくま](2010/03/13 12:44)
[13] 第十二話 「悪魔の証明」[くろくま](2009/09/11 20:31)
[14] 第十三話 「お母さん」[くろくま](2009/09/11 20:40)
[15] 第十四話 「ハグワール・D・サウロ」[くろくま](2009/09/09 19:55)
[16] 最終話 「if」 第一部 完結[くろくま](2009/09/13 00:55)
[17] 第二部 プロローグ 「二人の行き先」[くろくま](2009/11/16 22:34)
[18] 第一話 「コーヒーと温もり」[くろくま](2009/11/16 22:37)
[19] 第二話 「老婆と小金」[くろくま](2009/11/16 22:47)
[20] 第三話 「遺跡と猛獣」[くろくま](2009/09/22 00:15)
[21] 第四話 「意地と酒」 《修正》[くろくま](2010/07/24 09:10)
[22] 第五話 「意地と賞金稼ぎ」 《修正》[くろくま](2010/07/24 09:06)
[23] 第六話 「意地と残酷な甘さ」 《修正》[くろくま](2010/07/24 09:02)
[24] 第七話 「羅針盤と父の足跡」[くろくま](2009/09/27 02:03)
[25] 第八話 「クジラと舟唄」 [くろくま](2009/10/02 00:50)
[26] 第九話 「選択と不確かな推測」[くろくま](2009/10/05 19:31)
[27] 第十話 「オカマと何かの縁」[くろくま](2009/12/20 00:51)
[28] 第十一話 「オカマとコイントス」[くろくま](2009/12/20 00:52)
[29] 第十二話 「オカマと鬨の声」[くろくま](2009/12/20 00:54)
[30] 第十三話 「オカマと友達」[くろくま](2009/12/20 00:57)
[31] 第十四話 「オカマと人の道」[くろくま](2009/12/20 01:02)
[32] 第十五話 「オカマと友情」[くろくま](2009/12/20 01:02)
[33] 最終話 「洞窟と水面」 第二部 完結[くろくま](2009/11/04 22:58)
[34] 第三部 プロローグ 「コードネーム」[くろくま](2010/01/11 11:13)
[35] 第一話 「再びのオカマ」[くろくま](2010/01/11 11:23)
[36] 第二話 「歯車」[くろくま](2010/01/11 11:29)
[37] 第三話 「あいまいな境界線」[くろくま](2010/01/11 11:46)
[38] 第四話 「裏切り者たち」[くろくま](2010/01/11 11:50)
[39] 第五話 「共同任務」[くろくま](2010/01/11 12:00)
[40] 第六話 「歓迎の町の開幕」[くろくま](2010/01/11 12:16)
[41] 第七話 「歓迎の町の邂逅」[くろくま](2010/01/21 23:38)
[42] 第八話 「旗」[くろくま](2010/02/21 22:04)
[43] 第九話 「虚像」[くろくま](2010/02/07 23:53)
[44] 第十話 「ユートピア」[くろくま](2010/05/30 00:25)
[45] 第十一話 「ようこそカジノへ」[くろくま](2010/04/08 21:09)
[46] 第十二話 「リベンジ」 《修正》[くろくま](2010/03/10 13:42)
[47] 第十三話 「07:00」[くろくま](2010/03/10 17:34)
[48] 第十四話 「困惑」[くろくま](2010/03/10 17:39)
[49] 第十五話 「決戦はアルバーナ」[くろくま](2010/03/10 17:29)
[50] 第十六話 「それぞれの戦い」[くろくま](2010/03/14 20:12)
[51] 第十七話 「男の意地と小さな友情」[くろくま](2010/03/14 20:40)
[52] 第十八話 「天候を操る女と鉄を斬る男」[くろくま](2010/03/27 21:45)
[53] 第十九話 「希望」[くろくま](2010/03/29 21:40)
[54] 第二十話 「馬鹿」[くろくま](2010/04/11 18:48)
[55] 第二十一話 「奇跡」[くろくま](2010/04/12 20:54)
[56] 最終話 「これから」 第三部 完結[くろくま](2010/05/14 21:18)
[57] 第四部 プロローグ 「密航者二人」[くろくま](2010/05/03 00:18)
[58] 第一話 「サルベージ」[くろくま](2010/05/10 23:34)
[59] 第二話 「嘲りの町」[くろくま](2010/05/20 21:07)
[60] 第三話 「幻想」[くろくま](2010/05/28 21:31)
[61] 第四話 「ロマン」[くろくま](2010/05/31 18:03)
[62] 第五話 「雲の上」[くろくま](2010/06/05 10:08)
[63] 第六話 「神の国 スカイピア」[くろくま](2010/06/15 17:29)
[64] 第七話 「序曲(オーバーチュア)」[くろくま](2010/06/24 20:49)
[65] 第八話 「海賊クレスVS空の主」[くろくま](2010/06/26 23:44)
[66] 第九話 「海賊クレスVS 戦士カマキリ」[くろくま](2010/06/30 22:42)
[67] 第十話 「海賊クレスVS神エネル」[くろくま](2010/07/06 05:51)
[68] 第十一話 「不思議洞窟の冒険」[くろくま](2010/07/08 21:18)
[69] 第十二話 「神曲(ディビ―ナコメイディア)」[くろくま](2010/07/17 22:02)
[70] 第十三話 「二重奏(デュエット)」[くろくま](2010/07/24 15:38)
[71] 第十四話 「島の歌声(ラブソング)」[くろくま](2010/08/07 19:39)
[72] 第十五話 「鐘を鳴らして」[くろくま](2010/08/10 12:32)
[73] 間話 「海兵たち」[くろくま](2010/08/10 17:43)
[74] 第十六話 「ゲーム」[くろくま](2010/08/26 05:17)
[75] 第十七話 「昂揚」[くろくま](2010/08/29 07:53)
[76] 第十八話 「偶然」[くろくま](2010/09/06 12:51)
[77] 第十九話 「奥義」[くろくま](2010/09/14 21:18)
[78] 最終話 「過去の足音」 第四部 完結[くろくま](2010/09/21 20:00)
[79] 第五部 プロローグ 「罪と罰」[くろくま](2010/09/30 18:16)
[80] 第一話 「理由」[くろくま](2010/10/06 19:55)
[81] 第二話 「水の都 ウォーターセブン」[くろくま](2010/10/11 19:42)
[82] 第三話 「憂さ晴らし」[くろくま](2010/10/26 20:51)
[83] 第四話 「異変」[くろくま](2010/10/26 20:57)
[84] 第五話 「背後」[くろくま](2010/11/06 09:48)
[85] 第六話 「エル・クレスVSロブ・ルッチ」[くろくま](2010/11/14 11:36)
[86] 第七話 「隠された真実」[くろくま](2010/11/29 03:09)
[87] 第八話 「対峙する二人」[くろくま](2010/12/20 22:29)
[88] 第九話 「甘い毒」[くろくま](2010/12/20 23:03)
[89] 第十話 「記憶の中」[くろくま](2011/01/03 02:35)
[90] 第十一話 「嵐の中で」[くろくま](2011/02/13 14:47)
[91] 第十二話 「仲間」[くろくま](2011/03/20 21:48)
[92] 第十三話 「生ける伝説」[くろくま](2011/05/04 00:27)
[93] 第十四話 「READY」[くろくま](2011/07/16 13:25)
[94] 第十五話 「BRAND NEW WORLD」[くろくま](2011/08/15 18:04)
[95] 第十六話 「開戦」[くろくま](2011/08/20 11:28)
[96] 第十七話 「師弟」[くろくま](2011/09/24 15:53)
[97] 第十八話 「時幻虚己(クロノ・クロック)」[くろくま](2011/11/13 16:20)
[98] 第十九話 「狭間」[くろくま](2011/12/25 06:18)
[99] 第二十話 「六王銃」[くろくま](2012/01/30 02:47)
[100] 第二十一話 「約束」[くろくま](2012/02/22 02:37)
[101] 第二十二話 「オハラの悪魔達」[くろくま](2012/04/08 17:34)
[102] 最終話 「幼なじみは悪魔の子」 第五部 完結[くろくま](2012/08/13 19:07)
[103] オリキャラ紹介 [くろくま](2012/05/21 00:53)
[104] 番外編 「クリスマスな話」[くろくま](2009/12/24 12:02)
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[11290] 第十話 「チェックメイト」
Name: くろくま◆31fad6cc ID:4d8eb88c 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/11 20:26
すれ違うロビンとオルビアさん。
そしてその中心に位置するようにオレがいる。
本来ならロビンに今すぐにでも伝えるべきなのだろう。
だがオルビアさんの表情と手に持った銃から察するにただ事ではない様子だ。




───海軍はこの島の学者たちを消すつもりだ




サウロの言葉が甦る
最悪の展開として本当にその可能性が現実味を帯びてきたようだった。
ギリッと砕けそうな程歯を噛みしめる。

今やらなけれならないことは、図書館へと行きサウロの話を伝えることだ。
だが、ロビンが長年待ち望んでいたオルビアさんが
尋常じゃない様子で目の前に現れたのだ
これを捨て置くことなど出来ない。



オレにはいくつかの選択肢があった。


1・ロビンにオルビアさんのことを伝え、一緒に追いかける。

2・ロビンにオルビアさんのことを伝えずこのまま図書館へと向かう。

3・ロビンにオルビアさんの事を伝えずに別行動を取り
  オレがオルビアさんを追いかける。



オレは瞬間的に最後の案を選択した。

図書館にはロビンだけでもたどり着けるし、何よりもオルビアさんが心配だ。
そしてオルビアさんの事は今はロビンに伝えられない。
伝えれば必ずロビンはオルビアさんを追いかける。
銃を持ち出す程の異常事態だ
そうすれば、オルビアさんだけでなくロビンまで危なくなるだろう。
幸いオレはリベルによって鍛えられているので、
その辺の大人よりも強い自身がある。
六式の方も未熟だが六つとも形になっているのだ。


オレは走るスピードを上げてロビンと並ぶ。



「どうしたのクレス?」

「気になることがある先に行ってくれ」

「気になる事って何?」

「いや、ほんの些細な事だ。少しだけ様子を見てくる、
 すぐに戻るから先に行ってくれ」

「わかった!」


サウロの言葉で頭がいっぱいなのか、
ロビンは然したる疑問を持つこともなくうなずいた。

オレはロビンに心の中で誤りつつも、
いつの間にか人混みに離れてしまったオルビアさんを追いかけた。













第十話 「チェックメイト」













「町民に告ぐ!!!この島の学者たちは今!!
 “世界の滅亡を企む悪魔である”との容疑が掛けられている!!!
 よってこれより、島全域を大規模な捜索の対象とする!!!
 その間!!考古学に関係のない者達は自分の身分を照明する物を持ち
 西の海岸の避難船に一時待避せよ!!!」



高圧的な態度で政府の役人達は勧告する。

当然、町民の間から反発の声は出た。
だが、役人達は町民達に取り合う事無く黙殺する。
そのどこか不気味ささえ漂わせる様子は町民達に確かな恐怖を与え、
やがて燃え広がるように感染した。


やがて町民達は我先にと避難船へと向かう。
オハラに考古学者達だけを残して………













オハラの海岸近くの森林で銃声が響く。


「ぎいゃああああああ!!!う、 撃たれた!!畜生ォ!!おれはもうだめだ!!
 ……上層部に伝えてくれ…この長官の座は……おれのせがれに……!!」

「………長官よくごらんなさい。上着を貫通しただけです」

「…おお、そうか……」


スパンダインはオルビアの放った弾丸が自分を傷つけて無いのを知ると
安心し平静を取り戻す。


「……次は外さないわよ」


弾丸を放ったオルビアはスパンダインに静かに警告する。

だか、無謀にも立ち塞がろうとするオルビアに
スパンダインはあざ笑うかのように語りかる。

スパンダインにとってもはやオルビアの事など目的までのついででしか無いのだ。
自分たちは別の目的でわざわざやって来た。
世界中で後を絶たない“歴史の本文”の探索者を捕らえては
オハラとの関係を探す。
長年に渡る捜査により政府は“歴史の本文”の研究をしている確証を得たのだ。
そしてその事実確認のために自分がこうして、遥々とやって来たのだ。



オルビアはスパンダインの言葉の端から的確に情報を読みとり

一つのそして最悪の答えにたどり着いた。





───見せしめ





考古学の聖地であるオハラを叩き潰せば学会での大事件だ。
“空白の百年”を追えばどのような結果になるか
世界中に知らしめる事が出来るのだ。
ならば、なおのこと政府はオハラの学者達を逃がしはしないだろう。
その事実にオルビアは動揺する。


そしてその隙をスパンダインは見逃さなかった。



「───仕留めろ」



CP9長官であるスパンダインの直属の部下達が動いた。
一瞬での出来事にオルビアは全身が硬直し、動けない。
迫りくる痛みを覚悟したとき、

オルビアは襟元を掴まれ地面へと押し倒された。


「「!!」」


役人達の攻撃はオルビアに当たることはなかった。
何故?
と思考する間もなく、役人達の顔面にほぼ同時のタイミングで
鋭い蹴りが叩き込まれた。

あまりの衝撃に身体が宙を舞う。


「な、なんだと!?」


スパンダインは驚愕する。
彼は部下達の実力を知っていた。
“六式”という特殊な体術を使いこなす超人たち。
数多の任務の中で、彼らが膝をつく、
……ましてや、吹き飛ばされるところなど見たことはなかった。


オルビアは地面に抑えつけられた状態でその相手を見る。
その姿は、友人の面影を残した幼い子供だった。


(まさかっ……!!クレス君!!?)

(お久しぶりです。オルビアさん)


それは、娘の幼なじみの少年だった。













タイミングを見計らったかいがあった。
役人達の視線がただ一点に集められたあの瞬間は
介入には考えうる最高のタイミングだったと思う。
実は、オルビアさんと政府の役人達が対峙している間は
じっと気配を殺して隠れていた。
政府の役人の口から語られる事実に驚きを隠すのは至難の業だったが、
何とかなったようだ。


(クレス君、どうしてここに!?)

(町中で銃を持ったあなたを見つけて、ただ事では無いと思って後をつけました)

(そんな危ないことをどうして!?)

(すいません。……話は後です)


オレが何故タイミングを見計らったか、
それはオレが出しゃばることで状況が悪化することを避けることが一つだ。
だが、それはもういい。
役人の話によると後のことを考えている状況ではなくなった。
こうなったら、いかに素早くオルビアさんを連れて逃げられるかが重要になる。


「てめぇら!!こんなガキ相手に何やってやがるんだ!!」


上司らしい男がわめく。
そしてそれに呼応するかのように役人達が何ともないかのように起きあがる。

クソッ………やっぱりか

オレがタイミングを見計らったのにはもう一つ理由がある。
それが、この役人達の強さだ。
オルビアさんに迫った技術で確信した。
上司は別のようだが、
こいつらは間違いなく“六式”使いだ。
それもオレより高位の術者だ。
こいつらとまともにやりやってもまず勝ち目はない。
ならば奇襲における一撃で多少でもダメージを加えようと思ったが、
あの様子ではあまり効果は無かったようだ。


「すいませんな長官。油断しました」

「……………」


飄々とした態度だが、
そこには自分たちに土をつけたオレに対する敵意がありありと見える。
ヤバい……厄介なことになった。
せめて周りが見えなくなるくらい激情でもしてくれたら少しだけ楽ができたのだが、
オレに対する敵意を理性で制御している感じだ。
始めの一撃で少し本気にさせてしまったかもしれない。


(オルビアさんお願いがあります……)

(どうしたの……)

(実はやって欲しいことがあるのです)

(色々と聞きたいことはあるけど………わかったわ、何?)

(それは────────────)


それは、おそらくオレとオルビアさんが勝利しうる
唯一の方法だった。


「てめぇら!!そのガキを始末しろ!!」


役人たちが構える。
オルビアさんにの仕込みを終えたオレも政府の役人に向けて構えをとった。
初の実戦だったが不思議と心は落ち着いていた。
これもリベルのおかげだろうか……
短く息を吐き、身体に火をくべた。


踏み込みは同時だった。
オレと役人達は“剃”によって高速で移動する。
オレは相手二人の中心に向けて、
役人たちはオレを挟撃するように動く。

メガネをかけた役人が先にオレの首筋を目掛けて“指銃”を放つ。
受けたら死亡確実のソレを
オレはそれを身をかがめて回避し、身体を沈めたままの体制を利用して、足払いを仕掛ける。
だが、相手もさる者。それを飛び上がることで回避する。

その瞬間、もう一人のサングラスをかけた男がオレを踏みつぶそうと
上空から襲来する。


「鉄塊“砕”」


“鉄塊”によって鋼鉄化された足による踏みつけ。
直撃すれば全身の骨がバラバラになってもおかしくない。
オレは足払いの回転エネルギーを利用してそれを避ける。

サングラスの男の攻撃は地面へと直撃する。
まき上がる砂礫に土埃。
男の足を中心として地面が砕かれひび割れる。

その破片はオレに礫となって襲いかかる。

「剃っ!!」

地面を縫うように高速で移動しそれを避けていく。
途中よけきれなかった小さな破片がオレを傷つける。
だが、かすり傷。
ほとんど支障はない。

後ろへと引くオレに
メガネの男が追撃するが、首の皮一枚で何とか避けた。



オレは地面に張りつくように常に移動するように心がけた。

相手との力量は開いている。

速度
リーチ
技の質
おまけに、人数まで
ことごとく相手が上だ。


そんな中でオレが勝機を見出したのは
八歳の身体という小ささを利用した“低さ”だ。
飛来する礫を“月歩”や“紙絵”で避けなかったのもそれが理由だ。
上空に上がれば間違いなく落とされ。
足を止めれば捕まるだろう。
そして、一撃、二撃と攻撃を受け自分の考えが間違いでないと悟った。


一撃目は、首筋。
これは狙ったのでのではなく、身長差から首から上しか狙えなかったのだ。

二撃目は、踏み潰し。
これもオレに攻撃を与えるには攻撃手段が足技に限られているからだろう。

そして三撃目も一撃目と同様。


おそらく相手もオレのような相手と戦ったことは無いのだろう。
攻撃に戸惑いのようなものが感じられた。

そしてそれは、もう一つある……


「あんたたちの攻撃は強力だけど、目で追えないわけじゃない。
 オレが武術を教わった人は、あんたらの裕に三倍は速かったね」


これは、まぎれもない事実。
実際リベルが本気を抱出した際にはオレに目視できるスピードじゃなかった。
気づいたら攻撃されてた。
そんなレベルだ。
相手がリベルレベルだったらオレは始めの奇襲の時点で
返り討ちにされ瞬殺されていただろう。

だが彼らは違う。
体技の錬度や質では敵わないが、
オレには彼らの動きが“見えていた”。


「……………………ガキがっ!」

「……………………」


オレの言葉を挑発と受け取ったのか役人達が激昂する。
よし、やっと注意がオレに向いた。
そしてオルビアさんとの位置関係もクリアだ!


「今です!!」


オレは兼ねてオルビアさんと仕込んでおいた作戦を実行する。
正直、オレが役人達と戦っても勝率はかなり低い
おそらく後三分と持たないだろう。
なので、オレは始めからまともに勝負するつもりは無かった。


いつの間にか離れた場所にいるオルビアさんが手に持った銃を構える。


「何かと思えば……弾丸など我々には効かんぞ」


そう“六式”使いには効かない。
だが、そうでない者なら?

オルビアさんは狙いを離れた所で呆けている上司の方に向けた。


「言ったでしょ。──────次は外さないって」


銃から弾丸が放たれた。


「「!!!」」


部下達はオレ達の狙いに気づいたのか動き出す。
だが、もう遅い。
オルビアさんとも上司とも距離は離れている。
おまけに役人同士も離れていてメガネの方は絶対に間に合わない。
この距離作るためにわざわざオレは一歩間違えば殺されるような
格上の相手二人に戦いを挑んだのだ。


「ぎいゃああああああっ!!!てめぇら!!オレを守れ!!!」


上司が飛来する弾丸に身の危険を感じたのか叫びを上げる。
弾丸は上司の心臓目掛けてまっすぐ放たれる。
だが、その直前で“鉄塊”によって身体を硬質化させたサングラスに阻まれた。


「……おしかったな」

「いいや、予想道理だよ」


オルビアさんが弾丸を放った瞬間にオレとオルビアさんは走り出した。
オルビアさんは上司のもとへ
オレは上司の前で立ち塞がるサングラスの男へ


「喰らえ」


オレは“剃”によって加速してサングラスの男に肉薄し
“指銃”のスピードで“鉄塊”で固めた拳を男に向かって放つ。
これは、今オレが使える中で一番強力な技だ。
しかしまだ未完成で性質上動かない敵に直線で向かわなければならない。
だが、今ならその条件は満たされていた。

オレと同時にオルビアさんが上司に向けて銃を振りかぶった。



「────六式“我流”閃甲破靡!!」

「────はあっ!!」



オレの拳とオルビアさんの銃の先端は共に敵の鼻先をとらえた。



サングラスの男から伝わる確かな感触にオレは勝利を確信する。
サングラスの男はまさかオレが攻勢に転じるとは思ってなかったようで、
オルビアさんの弾丸を“鉄塊”で弾いた後に
オレに攻撃を仕掛けようとして“鉄塊”を解いたようだ。
そこにオレの攻撃が命中した。

まぁ……相手の“鉄塊”ごとぶち抜くつもりでの攻撃だったが
正直予想以上の結果になった。
運も実力の内と言うわけだ。



もう一人のメガネの男は仲間が倒されたことに一瞬だけ動揺したが、
瞬間的に標的をオルビアさんに換える。
だが……そんな事はさせない。


「嵐脚!!」


オレは拳を突きだした状況から無理矢理身体を捻り
メガネの男に向かって鎌鼬を飛ばす。


「月歩!!」


それをメガネの男は上空に駆け上がり避ける。
そしてオレの方が厄介だと思ったのか、
空中で足場を作り高速でオレに向かって迫る。


今の体勢の滅茶苦茶なオレではこいつの攻撃を避けられない。
しかし相手はオレだけじゃない。


「動かないで!!」


銃を地面に倒れた上司に向けるオルビアさんによって
メガネの男は硬直を余儀なくされる。


「てめぇ!!何しやが………ぎゃああ、ごめんなさい!!
 畜生!!コイツの言うとおりにしろ!!おれが殺されちまう!!!」


騒ぐ上司をオルビアさんが銃をちらつかせ強制的に黙らせる。
メガネの男は苦虫を噛み潰したように動きを止めた。
恐らくコイツが止まったのはもう打つ手が無いと判断したからだろう。
オレを倒すには人質となった上司が邪魔で、
そしてオルビアさんの方に行くにしても距離があり、なおかつオレが邪魔だ。
もう一人仲間がいれば話は別だったが、そいつは倒れた。


まさに王手──チェックメイトだ。




「私たちの勝ちよ」




そう、オレたちの勝利だ。






メガネの男を安全圏まで下がらせる。
当然上司はオレたちの足下だ。
さっきまで五月蠅かったが
顔の真横を鉄塊を掛けた足で踏みつけると静かになった。

後はオルビアさんと逃げるだけだ。
オレは多少の手傷を負ったが
大きい一撃を受ける前に何とか終わらせられたので許容の範囲内だ。
奇跡とも言っていい。
最後にオルビアさんがフォローを入れてくれなかったなら、
もっとひどい状況になっていただろう。
まさに満身創痍だ。

コレをもう一度やれなんて絶対嫌だ。
正直なところ上司がいなくて部下の役人達だけだったら絶対に勝てなかった。

オレは緊張している全身から力を抜く。
何とかなったと思った瞬間に疲れがどっと出てきた。
まぁ……無理もない。
あっちは様子見のつもりで多少手を抜いてたようだったけど
こっちは限界なんか越えるつもりでやってたのだ。
相手が本気を出す前に終わって本当によかった。



オルビアさんの方もやはり疲れてるみたいだ。
オルビアさんはオレの視線に気づいたのか、
やわらかな笑顔を向けてくれる。
ロビンに似た、でもロビンよりもずっと大人っぽい素敵な笑顔だ。


ヤバい……頬が熱い。
まぁ……いいか…



そろそろ逃げようかとオルビアさんに声を掛けようとした時













オルビアさんの表情が凍り付いた。



「あららら……
 仮にも政府の特殊機関のCP9が、
 こんな女子供にしてやられちゃあマズいでしょうよ」


オルビアさんの声色が絶望に染まる。


「なんで……あなたがここに……!!
 ───海軍本部中将クザン!!!」













あとがき

クレス&オルビアVSCP9です。
どうしたものか……と悩みましたが何とかなりました。
クレスは現在強いようで弱いです。
クレス一人なら間違いなく負けていました。
今回勝てたのは作戦のおかげです。

ワンピースで避けて通れないのは、
「必殺技」です。
やってしまいました。後悔が八割です。

おわかりになったかたがいらっしゃると思いますが……
閃甲破靡(せんこうはなび)です。
クレスの技は花火の種類から取ろうと思います。

ネーミングセンスゼロです。すいません。








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