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No.11220の一覧
[0] とある幽霊の場合  (オリ主×再構成)[リットン](2010/03/26 21:58)
[1] 一話[リットン](2010/09/24 19:15)
[2] 二話[リットン](2011/05/01 19:10)
[3] 三話[リットン](2010/04/29 19:15)
[4] 四話[リットン](2010/04/03 00:42)
[5] 五話[リットン](2010/04/03 00:43)
[6] 六話[リットン](2010/04/03 00:43)
[7] 七話[リットン](2010/04/29 19:16)
[8] 八話[リットン](2010/04/03 00:55)
[9] 九話[リットン](2010/04/29 19:15)
[10] 十話[リットン](2010/05/03 09:54)
[11] 十一話[リットン](2010/09/24 19:14)
[12] 十二話[リットン](2010/04/29 19:13)
[13] 十三話[リットン](2010/04/29 19:13)
[14] 十四話[リットン](2010/04/29 19:12)
[15] 十五話 [リットン](2010/04/29 19:12)
[16] 十六話[リットン](2010/04/29 19:11)
[17] 十七話 A'sへ[リットン](2010/01/28 19:02)
[18] 十八話[リットン](2010/01/31 16:56)
[19] 十九話[リットン](2010/04/29 19:10)
[20] 二十話[リットン](2010/04/29 19:09)
[21] 二十一話[リットン](2012/03/20 03:00)
[24] 二十二話[リットン](2012/03/20 02:57)
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[11220] 五話
Name: リットン◆c36893c9 ID:2c4b1fa8 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/03 00:43
『――という話らしいんですよ』

うんざりするといった感じだ。聞いている俺もうんざりするのだ本人は相当のものだろう。

『はぁ。んで、相変わらず内容は俺にと?』

『はい、必ず社長にということです。評議会の名前も出してきましたし、かなりマジですね』

『さよか。うーん、しゃーないな。一ヵ月後に必ず行くと伝えておいてくれ』

『……一ヵ月後ですか? これでもう今月に入ってから9回目の催促ですし勘弁して欲しいんですが』

『大丈夫! おまえらなら何とかなるさ!』

『え~、そんな。社長、そんなの銀色が泣きますよ!』

泣くのか。銀色が泣くのか。そりゃ大変だ。一大事だ。

泣いちゃいかんよ銀色は。なんせcoolだからね!

『いいか、よく聞け。よく俺の机を見ろ』

『……社長のパチモンがのっかってますね』

『パチモン言うな! まぁ、とにかく困ったらそれに祈りなさい。それも銀の系譜だ。きっとご利益があるぞ?』

本来なら魔よけに使うということなので、気休め程度にはなるはずだ。

それに銀色で強化されている。それだけで何か出来そうな気がしてくるではないか。

『はぁ、わかりました。とりあえずやってみます』

『あぁ、んじゃ頼んだよ――』



結局、時の庭園は見つからなかった。

管理外世界での魔法行使ということで、そこまで広域な次元探査魔法が使えないのがかなり響いたのだ。

過大な期待はしてはいなかったとはいえ、やはり無駄骨だったのだ少々気分が滅入る。

おかげで、あまり思い出したくない会社からの連絡の内容を鮮明に思い出してしまった。

「はぁ」

現実というのは実にめんどくさい

大人の世界はやだやだ。子供の世界万歳!

世の中皆ピーターパン症候群に罹ってしまえばいい。

大人というのは自由であると偉い人なのか小さい頃の誰かなのかはわからないが言っていた気がする。

しかし、実際には自由というお題目を材料にして責任という名の鎖を作るだけだ。

調子に乗って作っていくと、知らないうちに雁字搦めになって身動きすら取れなくなる。

これってきちんと等価交換になっているのだろうか。甚だ疑問だ。

だいたい、お互いの腹の探りあいに何の意味があるのか。

相手の好意の裏側を見て何が楽しいというのか。

疲れるだけだそんなもの。


「あ~、思考チェーンジ!」

混濁しそうな思考をリリカルなものにする。

今はそんなつまらん事を考える時じゃない。

もうすぐだ。後2,3日後には事件は起こる。

テンションを上げていこう。

不謹慎ではあるが祭りの始まりと言えると思う。

事件の悲喜交々は無視して楽しむことにしよう。

「よーしっ」

さて、久々にユーノに会う以上なんらかのインパクトは与えねばなるまい。

久しぶりだね! あぁ、久しぶり! なんてのは全く以って面白みがない。

それに切羽詰った状態での邂逅だ。気持ちを解きほぐすのは義務と言えるだろう。

では、どうするのか?

簡単だ。こういうのはまず見た目だろう。

ということで用意しました独眼竜の専用装備。そう眼帯だ。

唯の眼帯じゃないよ? ハイスペックと読んで廃スペックと書く代物です。

カッコいいとコストを無視して作ったら価格の概算でインテリジェントデバイス2本分掛かるという結果が出た割と笑えない品物だ。

おかげで商用は無理だと判断され見事我が社の無駄技術を示す一品となった。

既に今年の無駄にカッコいいものベスト3に入ると社内で評判だ。

今のところベスト3全部俺のアイデアで占められているので、初代無駄にカッコいい物1,2,3,はもはや独占確実だろう。

やっぱりこういう所で社長の威厳は示さないとね。唯の置物ではないんですよ。

「では、装着!」

さっそく付ける。どうだろうか? どんな感じよこれ。

こちらから見る世界は変わらない。センサーモジュールを起動させない限りは裸眼と同じように見えるようになっている。

問題は外観だ。それで全てが決まるといっても言いだろう。

鏡を見ようと思ったが思いとどまる。なんというか怖い。インチキ外人っぽかったらショックだ。

これはあれだろう。開き直るべきだ。元からこうなってましたでいくべきだ。

よし、俺、実は隻眼だった。

変と言われたら悲しく笑って遠くを見よう。たぶん、許されるだろう。


後は、デバイスだ。

持ってきたデバイス計8本。

ストレージデバイス3本にインテリジェントデバイス5本の構成となっている。

どうせならテストをばと新開発の調整品を持ってきた。

ちなみに、俺専用のデバイスはまだ108の形態をとる事ができないので持ってきてはいるが携帯はしていない。

そんなお粗末な姿を大衆に晒せない。なんというか気分の問題だ。

『我が社のリーサルウェポンと言われたまま終わりそうですね』

何か聞こえた気がするが無視だ、無視。

「よし、じゃあ、まずはおまえらでいこうか!」

『え~』 『めんどくさい~』

……誰がこんなに人間くさいデバイスにしちゃったんでしょうか。

「お前らに拒否権はない」

『デバイス差別だ~』

『そうだ、そうだ。ぶーぶー』

「あーあー聞こえないー」

なおも何か言ってくるが無視する。

不満なんて誰にでもあるのですよ?

そこを乗り切って良いデバイスになると先生信じてます。


開発コード“L”と“S”。

シリーズ6。双子の設定を基にして生まれたデバイスだ。

彼女達と表す様に姉妹であるが、兄妹とするか、姉弟とするか、

いやそれとも兄弟にすべきかで、あわや戦争になりかけたいわく付きのシリーズである。

折りしも先にシリーズ7が出たため外部のファンの間ではシリーズ6は忌数であり出ないだとか、

開発中の事故が原因で出ないなど、なかば都市伝説化してしまったナンバーでもある。

おかげでちょっとばっかし性格が曲がっちゃったのはしょうがない事だろう。

「いい子達だったんだけどなー」

開発当初を思い出しちょっと涙が出そうだ。

『今でも良い子じゃないかー』

『そうだ、そうだ』

なんでこうなったんだろうなー。

どこで育て方を間違ったんだろうかと、どこか遠くを見つめた。










――空が割れる。

「エス! エル!」

『あいよー、ワイドエリアサーチ』『わいどえりあきゃーっち』

自分を中心に空間が広がる感覚を感じると共に銀色の線が網目状に夜空に広がっていくのが見える。

今のところは、全てうまくいっている様に思えた。

「どうだ、捕捉出来そうか?」

『うーん、生命体補足は無理。捕まえられるのは6~8個かなー』

『それぐらいだね』

「……そうか。よしっ、それでいい。じゃあ、やるぞ!」

ユーノのことだ。無事だろう。なんだかんだいって丈夫なやつだ。

ここは手伝ってやることだけを考える。

『『お~』』

帯状に広がっていた銀線が収束し始める。

きつい、かなりきつい。二つの魔法を同時にコントロールしている上に範囲が広い。

「くぅ!」

『おぉ、がんばれー』『ふぁいとー』

気が抜ける。というか、こいつらやる気がねー。

俺に伝わるイメージ映像がお茶飲んで休憩している姿なのだ。

色々なめている。だがこれくらい単独で――

「うおりゃぁぁ!!!」

――やってみせる。


風が流れる。

辺り一面に広がっていた銀色が今は手元に残すのみだ。

そして、その銀色に包まれるように8個の宝石があった。

「はぁはぁ、ふぅ。どんなもんじゃーい!!」

『がんばった、がんばった』『えらい、えらい』

なんかセリフの後ろに棒と付きそうだが気のせいだろう。

ここは素直に好意を受け取ろう。

「まぁ、それほどでもありますよ」

『……エスちゃんマスターってのは選べないのが難点だよね』

『だねー』

「……そうかそれほど備品倉庫送りにされたいか」

『エスちゃん見てこれ。こういうのが最低なマスターって言うんだよ』

『エル姉、わたしたちってふこーだね』

よよよと姉に泣き付いている妹の図が見える。

そして、イメージ映像の中で3文芝居が始まった。

というか上手いね。3文という言葉は取り消してあげよう。

「あぁ、もうやめい。だいたいな――」

「――その宝石をこっちに渡して」

突然在らぬほうから声がしたので、ギョッとして振り返ると、

そこにはデバイスをこちらに向けて威嚇する黒衣の少女と狼のコスプレをしたような女がいた。








「――どうしましたかお嬢さん? こんな夜更けになにか?」

とりあえず紳士的にである。

変態的と紳士的の両天秤だったが時刻は夜だ。泣く泣く紳士的にの方を選らばざるを得ない。

流石にこんな時間に魔法少女以外のものとバトりたくない。

しかし、また唐突に現れたものだ。二人を見て思う。

まぁ、予想はしていた。

が、こんなに早くお目見えだとは思わなかった。

せめてユーノに眼帯の感想を聞いた後にしてくれればね。

これで壊れたらどうやってユーノに顔見せしろというのか。

自分の思い通りに事を進めたいなら、この娘相手に完勝しろということか?

危ない場面すら作るなという事か?

……面白い。やってやろうじゃない。

俺、やればれきる子代表フリード・エリシオン!

こん事じゃ、くじけない。

「……そのもってる宝石をこちらに渡して欲しい」

「ふむ、よくわかりませんがこれは友人のもの、名前も名乗らぬ輩においそれとは渡せませんね」

「……フェイト・テスタロッサ――これでいい?」

「そちらの女性は?」

「アルフだよ」

不満そうだ。さっさと奪ったほうが早いと言いたげだね。

まぁ間違ってない。俺もそう思うしね。

「そうですか、ではこちらも。おはようからおやすみまで、くらしに夢をひろげるミッドの悪夢こと僕、フリード・エリシオンです」

よろしくねっ! と続けるが乗ってこない。

俺と彼女らの間に乾いた風が流れるのがわかる。

……なるほど、心を折る作戦か。なかなかやるじゃない。

後少しで、泣きながら夜空に向かって皆が僕を無視するんだ、どうしようパトラッシュ! と叫ぶところだった。

「……あくむ?」

「そう、悪い夢です。まぁ希望の光と呼ばれる事もあります。極一部では神扱いだったりもします」

「???」

フェイトが首を傾げた。頭の中で疑問符を並べているのが見て取れる。

その姿は歳相応の顔で微笑ましい。

いいね、心がホコホコしそうだ。

「しっかりしなよフェイト! そいつの調子にのせられちゃいけないよ!」

「あっ、うん。――理由は言えないけど私にはそれが必要。どうしても駄目というなら――力ずくで取る!」

高らかに犯罪行為を宣言するフェイトさん。

そこに痺れ――いやいやいや、憧れるけど痺れない。

「まぁいいですよ。ただそれは犯罪です。それでもですか?」

「……」

返事の変わりに無言でデバイスを突きつけられた。

頼むからそんな悲しい目をしないでくれ。戦意が鈍るじゃないの。

たく、いい子だね。全く以っていい子だ。

だからこそ――


「よっしゃ、んじゃ俺は本気で行くよ? いいかい?」

「……うん。その方が助かる」

誰がとは聞かない。

「――では、不肖ながらフリード・エリシオン推して参る!!」



銀と金の攻防が始まった。






――金色の槍が夜空を薙ぐ。

「ちっ」

距離はミドルレンジ。視認しつつ身を振りかわす。この距離で当るわけないでしょうに。

さっきから様子見がひどい。そりゃらしくないだろフェイトさんよ。

おそらくクロスレンジで完全に見切れらたのが影響しているか?










――「はああああああっ!」

「くっ!」

上段からのサイズスラッシュをなんとか受け止める。

拙い。

ここで止まっては――

『ぷろてくしょん』

背後から伸びてきたアルフの拳にエスが対応する。

「なめんじゃないよっ!!」

狙いはバリアブレイクか。上等。

咆哮と共にバリアに向けて打ち付けてくる拳にエルを向ける。

『ストライクシューター』

銀の射撃をゼロ距離からぶっ放すと同時にエスを跳ね上げた。

「「なっ!?」」

アルフが直撃をくらい吹っ飛んでいきフェイトは――

『Photon Lancer』

見れば金色の槍が目の前にあるのが見える。

「当るかよっ!!」

全部で3つ金色の槍を寸前でかわす――

『Blitz Action』

黒衣が空間に溶ける。

――おそらく肉眼だけならば消えたように見えただろう。

だが、完全に見える。高性能眼帯の名は伊達じゃない。

後ろ手にタイミングを合わせて切り上げた。

「っ―――!?」

振り返ると完全に虚をつかれたという顔でフェイトは佇んでいた。

「エス!」

『ぶりっつ』

使うは全てを置き去る高速移動魔法。

「っ――!?」

フェイトの背後に回ると同時に、

「うぐっ!」

背後からエルで殴りつけ地面に叩き落した。

「エル」

『はーい』

4つの環状魔法陣とともに銀の塊がデバイスの先にできる。

後世の魔王の必殺技だ。得と味わってもらおうか。

「ディバイン――」

『――バスター』

銀の本流が唸りを上げフェイトに襲い掛かった。


「フェイト!!」

アルフがフェイトに駆け寄るのが見える。

「くぅぅぅ!!」

寸前でバリアを張ったか。

だがそんなんじゃこれは防げない。なんたって魔王御用達の代物だ。

「戦闘は火力!!」

高らかに宣言すると同時に相手のバリアが砕かれるのが見えた。





「アルフ! しっかりして!!」

フェイトがアルフを必死で揺すっているのが見える。

「そんなに揺すっちゃ余計に身体に悪いね」

キッと睨んでくるフェイトさん。 

うん、なかなか怖いです。激情家やね。

「アルフがいなければ取れていた勝負だよ。感謝するんだね」

「……」

フェイトは無言でアルフをキュッと一度を抱きしめるとそっと地面に横たえた。

「……言われなくてもわかってる」

そう言いつつフェイトはデバイスを持ち立ち上がる。

「まだやるのか?」

「……やる。アルフの仇とらせてもらう」

「これ以上やるなら、デバイスの差が絶対的な差であることを思い知る事になるよ?」

「問題ない。バルディッシュは強い」

『Thank you, sir.』

「無理だね。この子達は最新の技術で作られたデバイス。君のは旧型だ。さっきの戦闘でもわかっただろうに」

「問題ないと言っている! バルディッシュはそいつらなんかに負けない!!」

『Yes,sir.』

「……そうかい。ならその身に刻むといい。現役のデバイスマイスター入魂の作って奴をさ」





――さて、いつまでこんな攻防をつづけるのか。

ミドルレンジは本分ではないだろうに。

いい加減こちらから仕掛けるか?

「エス! エル! ハーモニックシステムを起動する」

『ええ~』『女の子相手に外道~』

「相手がそれをお望みなんだよ。見せてやろうじゃねーか。最新システムってのをよ」

一般品には搭載禁止になった代物だ。

これを搭載したものは社外秘扱いになっている。

「いくぞ、性能の差が絶対的な差であることをあの小娘に叩き込む」

『ん~? マスターも同じぐらいの歳だよねー』

『そーそー』

こいつちょーうけるってな映像が脳内に流れる。

……こいつら、後でデバイスコアに落書きしちゃる。

「は・や・くしろ」

『はいはい、いこうかエスちゃん』

『うん、エル姉』

二つのデバイスの間を魔力が循環するのがわかる。

やがて、それは大きなループとなって――

『まりょくさーち』

『うーん? なかなかうざいねー』

見れば魔力がフェイトに集まっているのが見える。

「あれは? くそっ! エル、リバースストライク」

『は~い。フラッシオーバ電圧サーチ。エスちゃん?』

『うん! さ~ち』

十分な魔力が貯まったのだろうフェイトが振りかぶるのが見える。

「くるぞっ!」

「サンダー――」

『さーち、かんりょー』

『残念金髪ちゃん、リバースストライク』

「――レイジ。なっ―――!?」

――瞬間、放ったはずの雷撃がフェイトに吸い込まれるのが見えた。

自らの雷撃を放ったと思った瞬間くらったのだ。悲鳴を上げる暇もなく墜ちていくのが見える。

『逆フラッシオーバ確認。リバースストライク成功。いぇーやったね』

『やったね!』

「はいはい、おめでとう。これで終わり――
 ……いや、なんというかすごいね。たいしたもんだ」

苦笑する。

眼下を見れば。バルディッシュを杖になんとか立っているフェイトの姿が見える。

母親のため、アルフのため、そして、バルディッシュのためか……

目を見れば闘志が衰えてない事がわかる。私はまだ闘える――そう、明確に感じ取れる。

最早立っている事すらやっとだろうに。それでもなお自分ではない誰かのために立ちあがるか。

その姿は敬意を払いこそすれ無様だとは思わない。

ならば、敬意を示そう。

誇りと優しさを持った少女へと。


「敵はまだ立っている。最大出力でいくぞ!」

『えー、バインドで終わりじゃん。かわいそー』

『かわいそー』

「いいんだよ。手加減なんか失礼だ。こちらの最大でいく」

『うわ、熱血だ。ひくねこれ』

『ひくー』

「……」

無言で睨みつける。なにこの空気の読めない奴ら。

『はいはい、んじゃいくよ』

『いこっかー』

中断されていた魔力の円環がまた形をなす。

エスからエルへ無限にループする。

『カートリッジロード』

『ぞーふくかいし!』

立て続けに6個カートリッジをロードするの見えた。

強制的な排気が行われる。

「くっ!!」

ものすごい負担が掛かる。こいつら人のことなんかお構いなしか。

いや、俺がやれといったんだけどさ。

FC式の負担の少ないカートリッジではあるがそれでも6個いっぺんにはきつい。

――そんな事など知らないとでも言いたいのか、途切れることなく大きくなる魔力の円環。

最早、目に見える。

2個のデバイスの先に銀の渦が形をなしている。

『んじゃ、もっといってみようか』

『いってみようかー』

「ばっ、ばか――」

『カートリッジロード』

『ぞーふく』

再度6個のカートリッジをロードする。

「ぐぅぅぅ! あっ、あほ、は、早く!!」

限界なんてもんじゃない。爆発寸前だ。

中空に浮かぶ銀の渦は既に大渦となっていた。

脳裏には楽しそうに壷の中をかき混ぜて渦を作る姉妹の姿が見えるがそれどころじゃない。

『それじゃそろそろいっこか。エスちゃん』

『だねっ』

銀の渦が中心に向かって凝縮していき塊となった。

直径10m超。十分だ。十分すぎる。

こんなもんに制御なんていらない。

唯、前方に向かって撃つだけだ。

眼下には最早飛ぶ事すら出来ないのか、地上に佇み俺に向かって呆然とした顔をするフェイトの姿が見える。

その彼女に向かってデバイスを向ける。

「いくぞっ! 俺のありったけ全部だ!! シルバー――」

『――スパイラル』

『――ぶれいかー!!』



――瞬間、全てが銀に包まれた。






地上に降りて感じる。これはやりすぎたと。

「まぁ、しかたねーな」

『仕方ないで許されたら警察いらないしー』

『そうだ、そうだ』

「……ちなみにおまえらは再調整行きだから」

『『え~!?』』

ぶーぶー言ってくるが無視を決める。

んな、使う人の身を考えないでカートリッジ使いまくるデバイスなんぞ再教育で当たり前だ。

みっちりかっちりやったるわ。

さて、アホ姉妹は置いといて、これをどうするか。

とりあえず、そうだな。

「おもちかえり~☆」

戦利品として持って帰ることにした。


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