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No.11215の一覧
[0] 妙薬の錬金術師(現実→鋼の錬金術師、転生TSオリキャラ)【R15】[toto君](2012/03/30 23:20)
[1] 1話[toto君](2009/10/02 00:13)
[2] 2話[toto君](2009/10/02 00:13)
[3] 3話(さらに修正)[toto君](2009/10/02 00:13)
[4] 4話 上編 (修正)[toto君](2009/08/28 15:40)
[5] 4話 下編[toto君](2009/08/30 19:41)
[6] 5話 上編(修正)[toto君](2009/09/27 12:01)
[7] 5話 下編(修正)[toto君](2009/09/15 15:29)
[8] 6話(修正)[toto君](2009/09/18 22:28)
[9] 7話 上編(修正)[toto君](2009/09/18 22:53)
[10] 7話 下編[toto君](2009/09/26 17:32)
[11] 8話[toto君](2009/10/02 00:30)
[12] 閑話[toto君](2012/03/25 16:10)
[13] 閑話2[toto君](2012/03/25 20:50)
[14] 実家編1話[toto君](2012/03/27 00:20)
[15] 実家編2話[toto君](2012/03/26 23:34)
[16] 実家編最終話 【暴力表現あり】[toto君](2012/03/30 23:17)
[17] キメラ編 1話[toto君](2012/03/30 20:36)
[18] キメラ編 閑話[toto君](2012/03/30 20:46)
[19] キメラ編 2話[toto君](2012/03/31 07:59)
[20] キメラ編 3話[toto君](2012/03/31 13:29)
[21] キメラ編 4話[toto君](2012/04/15 19:17)
[22] キメラ編 5話[toto君](2012/04/01 10:15)
[23] キメラ編 閑話2[toto君](2012/04/02 00:30)
[24] キメラ編 閑話3[toto君](2012/04/02 12:08)
[25] キメラ編 最終話 上[toto君](2012/04/02 20:50)
[26] キメラ編 最終話 下[toto君](2012/04/03 02:45)
[27] 9話[toto君](2012/04/15 19:18)
[28] 閑話 魂の合成 自己採点編[toto君](2012/04/15 19:17)
[29] 閑話 怠惰な兵士と戦うアルケミスト 1話[toto君](2012/04/16 02:33)
[30] 閑話 怠惰な兵士と戦うアルケミスト 2話[toto君](2012/04/21 23:49)
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[11215] 2話
Name: toto君◆b82cdc4b ID:773b071f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/10/02 00:13
「ああ、この世界に高校の時に使っていた家庭科の教科書があったら…」





二話








派手な赤のコートで身を包む少年と大柄で無骨な鎧が田舎路を闊歩する姿は
傍から見れば酷くシュールなのかもしれない。


町で畑作業をする人々の視線がヅカヅカと刺さるのも気づかず
二人は久しぶりに緑の若葉の香りと色を楽しみながら歩いていた。



「田舎だなぁ…」


「なんでこんな田舎で研究してるんだろうな」


そう疑問を抱くのもしょうがない。

ハイセンの町の田舎さは
列車から降り立った時、エドワード・エルリックとアルフォンス・エルリック二人が

周りの風景の長閑さに

自分達の故郷リゼンブールに帰ってきたのかと一瞬、錯覚を起こしそうになったほどである。


「ねぇ兄さん」

「ん何だ」

「食べ歩きするのやめようよ、だらしないよ」

エドは未だにバランス・ブロックを列車から降りた後もポリポリ齧りながら歩いていたのだ。

「これやっぱり、すげえんだって」

「なにが?」



そういってエドはバランス・ブロックが入っている箱の裏をアルに見せる
そこには栄養価の比べ表というのがあり
カルシウムの含有量などが書かれていて


その部分の

「牛乳、コップ一杯の三倍のカルシウムが入っています」と記された文字にエドは指を刺す。

「兄さんそれは?」

「いいねこれはほんとに、あんな糞まずい白濁色の液体が一生必要ないんだぜ、これ食べてれば」

「それあったら一生飲まない気なの?牛乳」

「もちろん」

アルはため息を吐いた。
そんなんだからいっつも大佐に子ども扱いされて、からかわれるのだ。



「会うのが楽しみになってきたな、妙薬の錬金術師」

エドは機嫌が良さそうに笑って言う。

散々めんどくさがっていたのがこの変わりよう、まぁそこがある意味兄さんのいいとこかもしれないと、アルは脳内でエドの無意味なフォローをしていた。



「で、妙薬の錬金術師ってこの町の何処に住んでんだ?大佐が町の人間に適当に聞けばすぐ分かるとかいってたけど」

「まぁこんな田舎だもんね…あ、あそこに商店があるよ、聞いてみようよ兄さん」

アルフォンスが指差す方向には一軒の個人商店

古臭い看板には日用雑貨と書かれており、そんな所もリゼンブールの田舎にそっくりだ。

「そうするか」

「ほらあの店に入る前にその食べ物しまってよ、だらしないよ」

「今食い終わる」

「もう、兄さん」


商店にたどり着き店に入ると
兄弟二人がやはりリゼンブールの商店そっくりな内装に懐かしさを覚えていると

商店を切り盛りしている恰幅の良い中年の女性が二人に声を掛ける。

「いらっしゃい、奇抜な格好なお二人さんだね、都会からきたのかい?」


「奇抜……」

「あははは」




いつもながらに兄弟二人、旅の中訪れた土地の方達からよく言われる奇抜な格好やら変な格好やらという言葉に
空しい笑いがアルフォンスの口(?)から出てしまう。



「あのう、妙薬の錬金術師に会いにこの町にきたんですけど、住んでる場所教えて頂きたいんですが…」

兄のひくついた口元を無視してアルフォンスは女性に尋ねる。

「ユーリちゃんに会いに来たのかい?それならこの店を出て、まっすぐ歩けば墓石に着くよ」

「墓石?」

ユーリとは妙薬の錬金術師のユーリックの名前のあだ名か
何かだと分かるが

墓石という言葉に不審を感じてエドが聞きなおす。

「ああ、ユーリちゃんの住む家が都会でみた建物にそっくりでね
 あまりにも田舎町にそぐわない家だから、この町の皆は墓石みたいって呼んでる内にそのままユーリちゃんの家のあだ名になったのさ」

「ふーん」

何か怪しいなそれ。

「あっそうだ」

そう言い、何か思い出したのか女性はカウンターの奥の居住している場所に消えていった
そしてカウンターに戻ると、一つ箱を持っていた。

「これユーリちゃんに渡して頂戴」

「なんですか?これ」



アルフォンスは渡された箱に視線を落として言う。




「これかい?最近美味しい木苺が森の中で獲れたんだけど、とれすぎてさ、此処は田舎だから電気も通ってないし
あんまり保存が利かないから潰してジャムにしようと思ってたらさ、
ユーリちゃんがそれを綺麗に味と風味を損ねないように錬金術で乾燥してくれたんだよ。
それが凄くてさ、水で戻せば乾燥する前の新鮮なままなんだよ?
でさ、御礼にその木苺でパイを焼いてみたから食べさせたくてさ
だからユーリちゃんの家に行くなら渡してもらえるかい?」

「あっいいですよ」

「ありがとうね、あ、ついでにあんた達も食べる分も上げるよ」

「いいんですか!?」

人の良いアルフォンスは断ろうにも
女性の押しの弱さに負けてもう一つパイが入った箱を持たされて兄と店の外に出た。

「たのんだよー!」

という言葉を背に



まっすぐしばらく歩くと




「いい場所だなここ」

やっぱ似てる、そう兄は笑った。

「そうだね」

「こういうさ田舎で墓石って呼ばれる家で一人研究してる、妙薬の錬金術師ってどんなヤツなんだろうな」


「絶対いい人だよ」

「だといいな」





二人は穏やかな気持ちで新しい出会いを楽しみにしながら田舎路をゆっくり歩いていった。



しばらくすると




「ねえ兄さん変だよね」

「ああ、変だな」


まっすぐ歩いていくと軽い角度の丘があり越えていき
妙薬の錬金術師が住まう家が見えてくる。

「なんか間違ってるよね兄さん」

「間違ってるよな」

「なんでこんなド田舎に灰色のビルが建ってるんだ?」

見えてきたのは二人がイーストシティで良く見る
四階建てほどの建築物であるビルがぽつんと建っていた。

「確かに…」

「墓石だね」

先ほどまでの田舎情緒をぶち壊す光景だった。

田舎に

似合わない

絶対似合わない。

田舎にそんな物を建て一人田舎で研究をする女性。

「変な人かも…」


「言うな弟よ」



とりあえず妙薬の錬金術師が住んでいるというビルの前についた。

「呼び鈴これなのかな?兄さん」

「用事が御有りならば押してください」と張り紙がされたトビラには拳大の大きなボタンがあった。
デフォルメされた髑髏が書いてあるし、まるで爆弾のスイッチだ。




「とりあえず押せ、弟よ」

「なんか怖いよ兄さん」

そういいながらも健気なアルフォンスは兄に進められるままに
ボタンを押すと


ピンポーンという普通の呼び鈴の音が鳴った。

「普通だ……」

二人はどっと疲れたような気がした。




ボタンを押してしばらくたつとドアの奥から女性の声が聞こえ、ガチャリ、とドアが開かれる。


ドアを開けたのは赤が入った茶色の綺麗な髪を後ろで纏めた女性で小柄な身体に作業服を着てその上に白衣を羽織っていて
その格好が一瞬幼馴染を思い出させた。

しかし女性は幼馴染のウインリィよりも少し小柄な体系ながら二十歳越えの女性らしく、男性に持ちえない女性にしかありえない身体の起伏が中々豊かであった。


その女性はドアを開けてみるなり、くりっとした青い眼を精一杯見開かせて

「強盗…?」


と一言言ってアルの鎧姿に驚いていた。

まるで横に立つエドなど眼に映っていないかのように。

その女性の視線の角度と自分の胸元あたりを交互に見比べた後

「ちがーう!!」



エドは大きく叫んだ。














「今まってくださいねー。お茶入れますから、あ、勝手に好きなところに座っていてください」
突然の来客に対して明るい声で御持て成しに声を上げるのは
妙薬の錬金術師その人である。

「あの、これ商店のおばさんからユーリックさんにと」


ユーリックがそういってキッチンの方に向かう前に

アルはベリーパイが入った箱をユーリックに手渡した。

「あ、これこの前のフリーズドライ製法に酷似した状態に持っていく練成を試した木苺かぁ、お礼とか別にいいのに、アンおばさんも」

フリーズドライ製法?

兄弟二人は聞きなれない言葉に疑問譜を抱いているうちに

これ切ってお茶と一緒にお出ししますねー。

とユーリックはパイの箱を嬉しそうに持ってキッチンに行ってしまった。


好きな所に座れ、といわれても


家の外観のわりに

居間の内装の家具はどれもこれも高級品らしくイス一つにしても無駄に豪華な装飾が施されていて

元はそういう物には縁が無かった
田舎物な二人は所在無さ気にふらふらと視線を迷わせ

結局は

テーブルをはさんで向かい合わせに二つ並べられたソファーに横に並んで座った。

しばらく二人そろって沈黙してると




「あのー」

キッチンの方からユーリックの声が聞こえる

「なんですかー?」とアルフォンスが返すと

「飲み物は何がいいですか?ミロ(試作)、紅茶、麦茶、コーヒー、緑茶、飲むヨーグルト、カルピス(試作)などがありますけど」

ミロ?麦茶?緑茶?飲むヨーグルト?カルピス?

初めて聞く飲み物の名前のオンパレードに二人は混乱した。

「えっとコーヒーとか紅茶なら分かりますけど…他のはどんな飲み物なんですか?初めて聞くものばかりでわからないんですが」

そうアルが言うとユーリックは居間の方に戻ってきて二人を見て

「じゃあ全部試しに飲んで見ます?」

ユーリックはそう言って微笑んだ。








「まっててくださいねー」



変な来客に驚いたが、私、ユーリックの脳内ですぐさま
女性らしくなる意識のスイッチが入り、女性らしい振る舞いで
来客を家に入るように促し、今は御持て成しの用意をしている。



普段一人で研究中の時は男の時の性質が出ているが
他人の眼がある時には女性らしくユーリックは振舞っている



名門軍人のバートン家の中で淑女として教育を受けていくうちに
前世に男だったユーリックが女性としての人生を生きるうちに起きた心の葛藤や苦しみを乗り越え


ついには男性と女性の



自分の中での明確な切り替えを獲得した。

この切り替えは

まるでもう一人の自分の人格があるように思えるほどに人の前では二十歳の若い女性らしく振る舞うことができる


この切り替えは

最早、自己催眠の域に達していて


本来の根本的な性格自体は変化しないが

例えば男の意識で可愛いと思うが抱きつきたいと言うほどでもないという猫が

女性の意識になるともっと可愛く感じ抱きつきたいと感じたりする。



食べ物の味の好みの変化など

身体の動きの癖や言葉遣い

物事に対しての考え方などが

変わったりする。


もちろん栄養学と調理関係にかける情熱は意識が変わっても同じである。










実際のところ


男女というよりも前世の人生経験での考え方とユーリックという新しい人生の経験での違いを上手く使い分けているのかもしれない。







そもそも今となっては前世という謎の記憶でできた男の意識が表に出ることこそが可笑しなことで
女性としての意識持って生きるのが本来のユーリックという人間としての正常な状態である。


前世の記憶を思い出した頃から年月が経つにつれて
男性的な意識は研究中以外に出すこともなくなったのだ。


ユーリックはどちらの自分も気に入っているから
結婚して研究ができなくなり男性的な意識を失うのが嫌だった。

だからこんな田舎で一人研究しながら生活している。







まぁ、前世よりもこちらの人生の方が長く生き始めた時あたりから

もうなるようになれ、と思い始めていて全然葛藤などとは無縁で
好きに男の考え方、女の考え方を使い分け
二つの視点で日常を楽しく生きている。










もし男の意識が出なくなってもユーリックという女性が
幸せにこれからを生きて行くことに変わりはないのだ。







実は未だに結婚せずここで一人生活しているのは



多分ユーリックに残る男としての意識がささやく

「ちょっと、マッチョな男は……」という気持ちの

最後の悪あがき、だろう。


そう締めくくると


とりあえずあの不思議な格好の二人組みを
私の知識で創り出した発明で喜ばせてあげよう、と
ユーリックは羽織った白衣ごと腕まくりをして気合を込めパイの切り分けの作業を始めた。






たくさん並べられた様々な初めて飲む飲み物に甘い木苺のパイ

エドはそれらに舌鼓を打っていた。



「どうですか、私の発明は?」

「このミロってやつ美味しいな」

そう初めて飲む茶色い液体にエドは妙薬の錬金術師に感想を漏らす。

「ふふ、そうでしょう?」

張り切って様々な飲み物を作ってる最中に悪いと思いながらも
アルが飲食ができないことを事前に断りを入れた時にはとても残念そうな寂しそうな顔をされ
仕方が無いことだがとても罪悪感をかんじて兄弟二人暗い気持ちになったが
変わりにと、自分が彼女が錬金術の研究で作ったという様々な飲み物を飲み感想を言うたびに
彼女が大きく喜んでくれるお陰で
朗らかな気分で兄弟二人はゆっくり寛ぐ事ができた。

「このミロという飲み物はカルシウムが豊富でそれに加え体内に取り込まれたカルシウムの吸収を助けるビタミンDが入っていて
栄養吸収の効率が良くて骨の形成や生育などにはいいんですよ。
あと鉄分やミネラルに各種ビタミンたっぷりで忙しい時には朝ごはんのかわりにもできる機能性が高い飲料なんですよ」


実家の甥たちにも大人気なんですよ、と最後に一言付け加え、ユーリックは嬉しそうに饒舌に自分の発明品の説明をする。

ユーリック自身としてはミロよりもミルメークのメロン味の方が好きであるのだが、前世で良く飲んでいた頃はまだ小学生で
あり母の料理の手伝いで料理するのが好きだっただけで食材に含まれる栄養だとか小難しいことはどうでもよかったのだ。


特にミルメークの成分表示などを気にしないで飲んでいたので、ミルメークのメロン味の作成のヒントは忘却の彼方である。


確か香料とか化学調味料とか各種ビタミンでメロンっぽくするはず、としか覚えていない。






「骨の生育、形成に効率がいい飲み物、ですか……牛乳嫌いの兄さんにはぴったりな飲み物だね」

アルは頷きながらその発明品に興味を抱く。


「うるさーい!」

「あ、牛乳が嫌いでいらしたんですか?…実はそのミロは先ほど言った成分などにモルト(麦芽)やチョコの原料のカカオを潰してから
練成をして作ったカカオマスに脱脂粉乳や砂糖を加え粉末状にしたものを牛乳に混ぜ込んだ飲み物なんですよ?」

ユーリックは茶色い粉末が入った小さなビンを取り出して

綺麗な粉末状にする錬成が大変でしたと苦笑する。

実はユーリックは最初は製粉機を使わずスリバチでゴリゴリやっていたのだが、面倒臭くなり

錬金術でバラバラにすれば楽じゃね?

と思い立ち


物質を綺麗な粉末状にするために
錬成における分解から再構築の操作の技を研鑽し
ついには
様々なスパイスの調合などに役立つまでにその錬成における操作技術を高めた。

自分が研究している人体に害を持たない化学調味料の研究にも大きく役立ち
その時、ユーリックは必要は発明の母と言う言葉をとても実感した。





「ほんとか!?」

「ええ」


「気づかなかった……」

確かにそういわれると牛乳っぽい飲み物だった

だけどミロと呼ばれる彼女の発明でいつのまにかエドは牛乳を
美味しく飲んでいたのだ。






エドの脳内で電光が走った。

「あんた」

「なんですか?おかわりですか?」

「だから【妙薬の錬金術師】って呼ばれているのか」


エドは上手いこと言ったぜ俺、と思ったが


「え?」

「何いってるの兄さん…」

二人して自分が想像する反応とは別の反応をされ
少し、悲しい気持ちになったが、呆けた二人に自分の発言の意味の説明をする



「だからさ、牛乳嫌いの俺び対してそれを牛乳だと気づかせずに牛乳を美味しいと思える飲み物に変えてしまう粉末を作る錬金術師だぜ?」

これを【妙薬】の錬金術師と呼ばずしてなんと呼ぶ!!

そうエドが高らかに大きな声で言うと









「そんなに…牛乳が嫌いだったんですか?」

一人には驚かれ

「兄さん、恥ずかしいよ…」

一人には呆れられた



「……」







その後はカルピスやら緑茶やらを試して行き、それに加えベリーパイも美味しく食べ

エドの胃袋が満杯になった頃には

一時間以上経過していた。


「全部美味しかったよユーリックさん」


「そういって貰えると嬉しいですね……ありがとうございます、えっとそういえばどちら様でしたっけお二方様?」

「ああっ!!そういえばなんの為にユーリックさんの所に来たか説明してなかったね!兄さん!」




「ああ!!…………そういやそうだったな」

なにやら今日は少し頭の回転悪いな、エドはそう思った。










その後

ユーリックとエルリック兄弟は

そろそろ東の終わりの町とよばれるユースウェル炭鉱に行く列車が来る頃だ、と玄関前で挨拶を交わしていた。

「わざわざ、私の査定の呼び出しに出向いて頂いて本当にありがとうございます、鋼の錬金術師殿とその弟さん」


ユーリックは深々と丁寧に頭を下げた。


その姿はバートン家の子女らしく堂に入っていた。




「いいっていいって、でもさっさとちゃんと査定いけよ?あと、たくさんご馳走してもらってありがとうな」

丁寧で綺麗なお辞儀にエドは少し照れを感じて頬をかきながら別れの挨拶を言う。

「査定がんばってくださいね、あとミロっていう、兄さんには最高の薬をありがとう、ユーリックさん」

アルフォンスの手にはミロの粉末が入ったビンが渡されていた。

気に入ったようでしたのであげますよ、とユーリックは先ほどのミロの粉末が入ったビンをくれた。


最初は遠慮して断ったが

私の錬金術の研究は人に喜んでもらうためですから遠慮しないで貰ってくださいと綺麗な微笑みと一緒に手渡されて

ついつい貰ってしまった。






それでは、いつかまた今度といって二人が去ろうという時に





「そういえば、鋼の錬金術師殿と弟さんは、ユースウェル炭鉱に向かった後はどちらへ?」

ユーリックがエドに軽く問い掛けた。

「夕方にユースウェルに着いて、観光、そして一泊してから東方司令部に戻るかな」

ユーリックは丁度いいですね、と言い

「ならば私もついて行っていいですか?ユースウェルは行ったことがないので東方司令部に行く前に私も観光ついでに行ってみたいです」




「んーっと……別にいいよね、兄さん?」

「ああ、別に反対しないけど査定三日後だろ?間に合うのか?」



「査定に必要な研究書類などはまとめ終えていますから、ユースウェルで今日一泊したあとまっすぐ司令部に向かえば確実に間に合うと思います」

「じゃあ、よろしくねユーリックさん」

「いえ、弟さま、私のことはユーリと呼んで下さって構いませんよ、これから三日間の旅を共にする仲間なんですから」

「じゃあ、僕の事はアルでいいよ、改めてよろしくユーリさん」

「じゃあ俺はエドでいいよユーリ」

兄弟二人の握手の手がユーリックに伸ばされ
ユーリックは微笑んで二人に握手していった。


兄弟二人の旅に短い間ながらも一人加わり三人旅となる。



その後乗り込んだ列車内には三人しか居なかったが


お互い出会ったばかりなので話題は尽きることがなく大いに車内は盛り上がった。



まずは自己紹介でエドとアルはユーリックと簡単な質問のし合いをした。

まずは兄弟が最初に疑問に思っていた何故こんな

田舎で一人で研究してるのかという質問では

新鮮で栄養価が高い食材の育成にいいから住んでます、という答えで

普段から様々な場所で文献を探すために旅する自分達兄弟と

同じ国家錬金術師ながらも違う錬金術師としてのあり方に感心したり



墓石と町にあだ名される家に何故住んでいるのかなどと

質問したところ

ユーリック自身は土や鉱物などを使った巨大な建築物の練成は苦手で知り合いの方に練成してもらった、という答えで

どんなセンスしてんだそいつ、とユーリックに知り合いの錬金術師に不審を抱いたりなどもした。


ちなみにあの変な呼び鈴も別の錬金術師の知り合いが錬成したものらしい。


その後は


錬金術師同士、錬金術についての話で盛り上がりった。





錬金術のお互いのテーマの内容などを話し合い

どんどん話していくうちにユーリックは
二人には理解できない錬金術での食品加工法などを一人白熱しながら喋っていく

上手く食材から水分を抜き取り簡単に干物を作る錬成術などはまだ分かるが

グルタミン酸やらイノシン酸などの抽出錬成の重要さなど言われても意味が分からず



そろそろ、ついていけない二人は
話を逸らそうとこれから向かうユースウェル炭鉱の話で話題転換を試みたが


「何もない場所だよなあそこ、観光もありゃしないな」

というエドの発言でユーリックが何故かさらに白熱。





「東の終わりの町で観光も何もあったものではないと思いますが、実はこういう場所こそ観光向きなのです。
 東部の外れで新鮮な食材があまり届かない町ですが、それ故にこういう場所ほど食材の保存技術発達し
 珍しい食材に出会うこともありますし時たま眼を剥くような調理法などに出会えます。
 素晴らしいと思いませんか?興味深いと思いませんか?
 たとえ極寒の地方でも砂漠のような乾燥地帯でもこれから向かう植物の生育が悪い鉱山地方でも
 人は物を食べてなくては生きれません。何故人は厳しい環境でも食事を得る事ができるのか?それは人には知恵があるからです。
 いつだって人は工夫という発明で新たな食文化を日々創り出しているのです」



ユーリックは大量の運動量をこなす炭鉱夫達が普段食べる食事とカロリー摂取量とやらに興味を抱いてるらしく
ついでに炭鉱夫の妻達の作る料理のレシピにも興味があるらしい。



そういう人たちのためにこんどはポカリスエットの開発もいいかもしれない。
疲れをとるクエン酸飲料アミノ酸飲料などの開発もいいかもしれない。



などなどあふれる発想を思いついた端から口からブツブツと零していくユーリックを見て







「ねえ兄さん」


「何だ」


「ユーリさん変な人かも」


「いや変だろ絶対」



おしとやかで女性らしいあまり出会わないタイプの女性だと思ったが

やはり、若い年齢で一人田舎で研究続けてるだけあってやっぱり……っていう人物だったと

兄弟はユーリック・バートンという人物を評した。

「というか機械鎧を熱く語るウィンリィにそっくりだよ」

「確かに」


まだまだ一人白熱するユーリックを横目に

兄弟二人はそろってため息を吐いた。




「ユースウェルの炭鉱夫達の食事は絶対高塩分ですよね」













ユーリックはまだ見ぬユースウェルに思いを馳せた。






続く。


ちなみに作者はミルメークはバナナ味が好きです。



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