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No.11085の一覧
[0] 迷宮恋姫【完結】 (真・恋姫無双 二次創作)[えいぼん](2010/05/31 20:54)
[1] 第一話[えいぼん](2009/09/21 00:53)
[2] 第二話[えいぼん](2009/09/21 01:05)
[3] 第三話[えいぼん](2010/01/24 20:05)
[4] 第四話[えいぼん](2009/09/26 05:36)
[5] 第五話[えいぼん](2009/08/25 00:08)
[6] 第六話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[7] 第七話[えいぼん](2009/09/15 21:39)
[8] 第八話[えいぼん](2009/09/15 21:40)
[9] 第九話[えいぼん](2009/08/25 00:05)
[10] 第十話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[11] 第十一話[えいぼん](2009/08/27 23:37)
[12] 第十二話[えいぼん](2009/08/26 21:34)
[13] 第十三話[えいぼん](2009/09/21 08:56)
[14] 第十四話[えいぼん](2009/08/29 02:46)
[15] 第十五話[えいぼん](2009/09/21 03:04)
[16] 第十六話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[17] 第十七話[えいぼん](2009/09/04 23:58)
[18] 第十八話[えいぼん](2010/02/20 07:17)
[19] 第十九話[えいぼん](2009/09/21 03:40)
[20] 第二十話[えいぼん](2009/09/21 03:47)
[21] 第二十一話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[22] 第二十二話[えいぼん](2010/05/20 18:53)
[23] 第二十三話[えいぼん](2009/09/07 22:44)
[24] 第二十四話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[25] 第二十五話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[26] 第二十六話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[27] 第二十七話[えいぼん](2009/10/03 08:55)
[28] 第二十八話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[29] 第二十九話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[30] 第三十話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[31] 第三十一話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[32] 第三十二話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[33] 第三十三話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[34] 第三十四話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[35] 第三十五話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[36] 第三十六話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[37] 第三十七話[えいぼん](2009/09/21 00:42)
[38] 第三十八話[えいぼん](2009/09/20 23:50)
[39] 第三十九話[えいぼん](2009/09/22 15:51)
[40] 第四十話[えいぼん](2009/09/22 18:12)
[41] 第四十一話[えいぼん](2010/05/14 19:23)
[42] 第四十二話[えいぼん](2009/09/27 16:52)
[43] 第四十三話[えいぼん](2010/02/20 14:39)
[44] 第四十四話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[45] 第四十五話[えいぼん](2010/05/14 19:22)
[46] 第四十六話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[47] 第四十七話[えいぼん](2010/02/20 14:57)
[48] 第四十八話[えいぼん](2010/05/14 19:06)
[49] 第四十九話[えいぼん](2009/09/30 21:32)
[50] 第五十話[えいぼん](2009/10/02 00:33)
[51] 第五十一話[えいぼん](2009/10/03 01:57)
[52] 第五十二話[えいぼん](2010/03/27 14:36)
[53] 中書き[えいぼん](2009/10/03 16:02)
[54] 閑話・天の章[えいぼん](2010/01/10 19:35)
[55] 閑話・地の章[えいぼん](2010/01/09 11:12)
[56] 閑話・人の章[えいぼん](2010/01/10 10:59)
[57] 第五十三話[えいぼん](2010/02/01 19:13)
[58] 第五十四話[えいぼん](2010/04/14 23:22)
[59] 第五十五話[えいぼん](2010/01/18 07:26)
[60] 第五十六話[えいぼん](2010/01/20 17:42)
[61] 第五十七話[えいぼん](2010/01/31 22:16)
[62] 第五十八話[えいぼん](2010/01/29 23:27)
[63] 第五十九話[えいぼん](2010/02/03 05:56)
[64] 第六十話[えいぼん](2010/02/20 07:29)
[65] 第六十一話[えいぼん](2010/02/20 07:30)
[66] 第六十二話[えいぼん](2010/04/13 21:38)
[67] 第六十三話[えいぼん](2010/02/20 07:32)
[68] 第六十四話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[69] 第六十五話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[70] 第六十六話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[71] 第六十七話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[72] 第六十八話[えいぼん](2010/03/27 14:39)
[73] 第六十九話(書き直し)[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[74] ボツ話[えいぼん](2010/03/25 07:16)
[75] 第七十話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[76] 第七十一話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[77] 第七十二話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[78] 第七十三話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[79] 第七十四話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[80] 第七十五話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[81] 第七十六話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[82] 第七十七話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[83] 第七十八話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[84] 第七十九話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[85] 第八十話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[86] 第八十一話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[87] 中書き2(改訂)[えいぼん](2010/04/01 20:31)
[88] 第八十二話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[89] 第八十三話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[90] 第八十四話[えいぼん](2010/04/13 21:43)
[91] 第八十五話[えいぼん](2010/04/17 03:04)
[92] 第八十六話[えいぼん](2010/04/29 01:36)
[93] 第八十七話[えいぼん](2010/04/22 00:13)
[94] 第八十八話[えいぼん](2010/04/25 18:36)
[95] 第八十九話[えいぼん](2010/04/30 17:45)
[96] 第九十話[えいぼん](2010/04/30 17:51)
[97] 第九十一話[えいぼん](2010/05/05 13:47)
[98] 第九十二話[えいぼん](2010/05/07 07:39)
[99] 第九十三話[えいぼん](2010/05/30 13:16)
[100] 第九十四話[えいぼん](2010/05/16 08:27)
[101] 第九十五話[えいぼん](2010/05/16 08:31)
[102] 第九十六話[えいぼん](2010/05/18 07:11)
[103] 第九十七話[えいぼん](2010/05/22 07:52)
[104] 第九十八話[えいぼん](2010/05/31 22:26)
[105] 第九十九話[えいぼん](2010/05/30 13:59)
[106] 最終話[えいぼん](2010/05/31 22:24)
[107] 後書き[えいぼん](2010/05/31 20:56)
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[11085] 第五十四話
Name: えいぼん◆2edcbc16 ID:fd94314f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2010/04/14 23:22
お造り、タタキ、カマ焼き、ステーキ、炙り焼き。
これらはすべて『チュートロ』を具材とした品々である。
もちろんそれだけではなく、ギルドショップで買い取った魚介類を中心に、テーブル一面に美味しそうな料理が並べられていた。

「それじゃ、姉様の誕生日を祝って、乾杯!」
「「「かんぱーい!」」」

一刀は手に持った白酒を一息に煽り、皆と一緒に拍手で雪蓮を祝った。
ギルド運営業務の忙しさからか、最近では眉を寄せている表情しか見ることのなかった雪蓮だったが、今日ばかりは日頃のストレスを吹き飛ばして欲しい。

そう思いながら、小蓮と準備した料理を雪蓮に勧めに行く一刀だったが、既に先客がいた。
蓮華が思春を伴って、自分達の作った料理を振舞っていたのである。
お祝いに自分の料理を作ろうと考える所まで同じだったという辺り、さすがは姉妹と言うべきであろう。

「私と思春で作った『チュートロと大根の海賊風サラダ』はどうですか? あ、この梅肉ソースをかけて食べて下さい」
「むむ、雪蓮姉様! こっちの『チュートロとろとろコロッケ』の方が美味しいんだよ! シャオと一刀の愛の合作なんだから!」
「はいはい、どっちも美味しいわよ。2人とも、ありがとう」

と、雪蓮はそっけない返事を2人の妹に返す。
だが彼女が浮かべている表情を見れば、それが上辺だけのものであることは明らかであった。
一刀にもそう判断がつく位であるのだから、妹達にはもちろん丸わかりである。

「姉様、こっちの『特製魚醤漬けチュートロの生ハルマキ』も食べてみて下さい」
「蓮華お姉ちゃんばっかりずるい! シャオの『チュートロかりかり揚げ』も食べてよぉー!」
「わかったから落ち着きなさい、まったくもう」

その暖かい空気を壊すような一刀ではない。
蓮華の背後に立つ思春に目配せをして、そっと姉妹から離れる一刀達。
そんな一刀の袖が、不意に強く引かれた。

「一刀さーん、『太平要術の書』は、まだ借りられないんですかぁ?」
「あ、ああ、ごめん穏。頼もうとはしてるんだけど、天和達も今が大事な時だから、なかなか言い出せなくてな」
「そこをなんとか、お願いしますぅ。一刀さんも私と一緒にご本を読むの、好きでしょ?」
「い、いやぁ。穏と本を読むのは勉強になるし柔らかし気持ちいいし、大好きなんだけどさ」

以前一刀は、天和達の育成の参考になるかと『太平要術の書』を1晩貸してもらったことがある。
3人寄れば文殊の知恵。
誰かと一緒に読もうとギルドに本を持ってきた一刀は、その時点では穏の病的なまでの本好きを知らなかった。

普段は名前の通り穏やかでのほほんとした彼女が、一刀の手に持った本を見るなり眼の色を変えて襲い掛かってきたのだ。
あれよあれよと言う間に、一刀は穏の自室に連れ込まれた。

手には本、そして膝の上には穏。

艶めかしい声で1音1音を舐るように朗読し、盛り上がって来ると一刀の耳を甘噛みし、感極まるとビクンビクンと体を痙攣させる穏。
全身の神経が、むにゅむにゅとした感触を一刀に伝えてくる。

いくら最近エロス慣れしている一刀とはいえ、とても我慢出来るものではない。
はぁはぁと身悶えながらも本から目を離さなかった穏の意識を、無理やり彼自身に向けさせてしまったのであった。

「一刀さんのせいでぇ、全部読めなかったんですからねぇ」
「それは悪かったけど、あれは仕方がないって……」
「じゃあ、一刀さんがご本を借りてくれたらぁ、ご褒美に私のお口で一刀さんのを朗読してあげますぅ。だから、出来るだけ早くお願いしますねぇ」

私の朗読テクニックは、凄いですよ?
と言わんばかりの穏の表情は、まさにエロティカルパレードの真っ最中であった。
ゴクリと生唾を飲み込む一刀。

そして、

「……まるで種馬のようね」
「貴方、穏にまで……」
「うーわーきーもーのー!」

3姉妹の心暖まる交流を、いつの間にか台無しにしていた一刀なのであった。



おほんっ!
と、場を取りなすような咳払いをあげたのは、冥琳である。
穏と一刀の会話を聞いていたのだろう、冥琳は一刀に尋ねた。

「それで、その芸人達の様子はどうなんだ?」
「ああ、順調だよ。戦闘に対する恐怖心からミスすることがなくなって来たのが大きいな」
「ふっ、冥琳よ。本当はそんなことが聞きたいのではないのじゃろ?」

真面目顔の冥琳に向かって、ニヤリと笑みを浮かべる祭。

「……それはどういう意味ですか、祭殿」
「ならばお主に代わって儂が問い質してやろう。一刀よ、最近冥琳の所へ行っていないのは、なぜじゃ? 一時の遊びだったのであれば、儂が許さぬぞ」
「祭殿、いきなりなにを?!」
「ふん、可愛い娘のようなお主のことなぞ、儂にはお見通しじゃ。大方1人の時に、うじうじと悩んでおったのじゃろう」
「だからって、こんな皆の前で……」

祭の言葉に動揺する冥琳。
普段は自信満々な冥琳が、一刀に祭にと視線を散らしておたおたしている。
そんな冥琳の姿に、一刀は彼女の傍に寄ってしっかりと抱きしめた。

「冥琳、寂しい思いをさせて悪かったよ。新生ギルドの運営で忙しそうだったから、邪魔しちゃいけないって思って……」
「私が嫌いになったのでは、ないのか?」
「そんなわけないだろ!」
「でもお前には祭殿もいるし、小蓮や穏だっている。堅物と言われる私の傍にいても、楽しくないだろ?」

「冥琳。俺、冥琳のこと凄く好きだ。理知的なところも、自分を律するところも、流れるような黒髪も、豊満な胸も、つま先から頭の天辺まで全部好きだ!」
「一刀……」
「その、冥琳だけを愛してるって言えないのは申し訳ないんだけど、でもそれが俺の気持ちだから!」

格好いいことを言っているような一刀だが、現代日本の常識に照らし合わせると鬼畜以外の何者でもない。
しかしこのゲーム世界の舞台では、甲斐性さえあれば一夫多妻も社会ルールの範囲内である。

冥琳は一刀の腕の中で顔を赤く染め、祭はうむうむと頷いている。
雪蓮もいいものを見たといった風情であったし、明命や亞莎は照れて目を覆いながらも一刀に対する思慕を強めた様子だ。
一刀に対する評価の低い思春ですら、彼の堂々とした態度に見直す思いであった。

もっとも、貞淑な考えを持つ蓮華や独占欲の強い小蓮を納得させるには、一刀の甲斐性はまだまだ不足のようだ。
その甲斐性を試すかのように、雪蓮から意地の悪い問いかけが投げられた。

「ところで一刀、この間買った幼い奴隷の娘達は、どうだった?」
「貴方、妹や皆だけじゃ飽き足らずに奴隷まで……」
「なによそれー! シャオ、聞いてないよ!」

彼女達の冷たい視線に晒されながら、その時のことを思い出す一刀なのであった。






始まりは、ギルドの依頼であった。

今までいた剣奴達に恩赦を与えたため、急いで代わりを補充する必要のあるギルド。
基本的に雪蓮が冥琳を伴って自ら奴隷市に赴き、使えそうな人材を購入していたのだが、その日はどうしても冥琳の都合がつかなかった。
そこで一刀に、冥琳の代打役が回ってきたのである。

「……奴隷市か。全然いい思い出がないんだけどなぁ」
「あら。私と初めて出会った場所じゃない」
「……そうだけどさ」

この時点では、一刀は今回の依頼は断ろうと思っていた。
人を品定めすること、それ自体に嫌悪を抱いていたからである。
正直な所、奴隷市は一刀にとってトラウマですらあるのだ。
ゲーム世界に来て今までで一番印象に残ったことを問われれば、間違いなくこれが上位に来る。

ちなみに一位は断トツで祭とイタした脱童貞の思い出であるが。
そして二位は冥琳と祭との3Pであるが。
更に三位は小蓮との甘酸っぱい記憶であるが。
あと四位は穏との淫靡な情事であるが。

こうして並べると、大したトラウマでもないような気がするから不思議である。
だが奴隷市での出来事は、季衣・流琉が痛がったため(?)に中断せざるを得なかったあの夜の秘め事と同等くらいの強烈なトラウマであったのだ。

更に、一刀は現在お金にまったく不自由していない。
はっきり言えば、金銭的な面では一刀はギルドの依頼を受ける必要などまったくないのだ。
加護を受けた時点で、華琳からの報酬やパーティプール金の分配で300貫近い所持金があり、それに加えて魚釣りスキルでの収入もある。
BF15の獲物はカツオやブリなどの1M・15kg前後の大物が中心であり、供給主が今のところほぼ一刀のみであることも相まって需要があり、1匹1貫はする。

魚を傷つけない縛り方を雪蓮達から教わった一刀は、1回に6匹を無理なく運ぶことが出来る。
つまり祭壇と釣場を1往復1時間で運んだとして、10時間やれば60貫になるのだ。
もっともLV上げ戦闘とは違って、敵を可能な限り避けながら行動するのは神経を使うため、如何に一刀とはいえその半分の時間で疲労が限界に達してしまうのだが、それでも一日30貫の収入なのである。

加えてBF15レアポップ魚『チュートロ』も大金に換わる。
最初に発見した時に釣ったBF5レアポップ魚『シーチキン』やBF10レアポップ魚『チャーシュー』も、かなりの額になった。

『シーチキン』:単体で食べてもよし、ご飯に掛けてもよしの、万能おかず用巨大魚。
『チャーシュー』:魚とは思えないコッテリとした味わいの、丸々とした巨大魚。

この時点で一刀の所持金は、驚くなかれ1000貫を超えていたのだ。

そういう事情もあり、迷うことなく断ろうとした一刀。
だがそこに雪蓮が言葉を重ねた。

「一刀、貴方の気が進まない気持ちはわかるわ。でも、私の勘だけじゃ確実に有能だと言える剣奴を確保出来ないの。いつもは冥琳の分析能力も合わせて、かなり厳しく選んでるんだけど……」
「なんでそんなに質に拘るんだ?」
「もちろん剣奴の生存率をあげるためよ、決まってるじゃない。剣奴向きじゃない者を買っても、殺してしまうだけだわ」

雪蓮の言葉に、はっとする一刀。
実際にそう言われるまで、この依頼は一刀に奴隷の品定めをさせることで、ギルドの利益を上げようという考えだと思い込んでいたのだ。
お金のために利用されるのは構わないが、人身売買の片棒を担ぐのは嫌だった一刀。
だが雪蓮が言うような理由なのであれば、話も聞かずに断る訳にもいかない。

「……質に拘るくらいなんだから、剣奴の生存率を上げる方法、他にも考えてるんだろ? それを教えて欲しい。それで納得がいったら、今回の依頼を受けるよ」
「わかったわ。まずは……」

実際に行うこと。
・LV5になるまで(つまり、『贈物』が4つ貰えるまで)PLする。
・勤務フロア変更の方式は、今までの通り。
・LVに応じた休日制度を作る。
・ギルドに対する返金額(身代金)を下げる。

雪蓮が期待すること。
・LVに余裕のあるBF1で、実戦に慣れる。
・余裕のある分疲労が少ないので、勤務時間外でのLV上げをする。

「LVに応じて休日を増やすってのは、モチベーションの向上になりそうだな。まぁ、あの雰囲気からすると、それでもBF5までの間ダラダラしそうな奴はいそうだけど」
「さすがにそこまで面倒はみられないわ。というかLVに応じて休日を増やすのは、BF12以降の泊まりで攻略しなきゃいけないフロアのためよ」
「ああ、テレポーターがないもんな。美羽でないとあれは作れないし」
「テレポーターは、現状のままで十分よ」

BF12からの探索は、BF16以降の予行演習のようなものである。
泊まりの時の警戒の仕方や持って行く荷物の量、幾日もダンジョンにいるストレスとその解消方法、それらは全て体で覚えるしかないのだ。
加護を受けるまでずっとテレポーターにおんぶ抱っこの探索者では、その先が期待出来ないであろう。

そう主張する雪蓮に、祭壇のテレポーターをLV上げに利用していた一刀は思わず苦笑してしまった。
雪蓮も祭壇テレポーターでの荷運びを思い出し、一刀に苦笑を返した。

この苦笑が、一刀がギルドに協力するという合図にもなったのであった。






おもちゃでも買うような気分で品定めをする客達。
人の生き血を啜って肥え太った商人達。
死んだ魚の様な目をした奴隷達

今まさにその一員となっている一刀の気分は、言うまでもなく最悪であった。
気分を盛り上げようと、腕に抱きついてくる雪蓮の胸の感触すらも鬱陶しい。

「加護を受けるまでは、基本的には男の方がHPは高い。でもあの娘とあの娘はそれに見劣りしないくらいHPが高いから、大切に育てた方がいい。後、あの男はMP持ちだぞ」
「そう、わかったわ。他には目ぼしい人材はいないのね?」
「ああ」

「悪かったわね」や「さすが一刀、凄いわ」などと言わないところが、雪蓮の優れているところだ。
一刀に抱きついたのも僅かな間であり、その腕ももうとっくに離している。

私は購入していくから一刀は先に帰っていいわよ、と言う雪蓮の言葉に甘えて奴隷市場を去る一刀。
実は先程から、どうにも吐き気が治まらないのである。
グラグラする頭を振って、一刻も早くその場を抜け出そうとする一刀だったが、その目に映し出された光景を見ぬ振りは出来なかった。

フルフルと怯える少女と、その娘を庇う勝気な少女。
璃々程ではないが、その幼い少女の顔は表情の差こそあれ造形が瓜二つであった。

将来は大陸を揺るがすような美女になることを約束されているような双子は、今まさに売られようとしていた。
買い手の男は、肉のついた頬をブルブルと震わせて鼻息を荒くしている。

この奴隷市場で、最も多くの奴隷達がギルドや冒険者達の剣奴となる運命にあるのは、迷宮都市・洛陽ならではのものだろう。
そして2番目に多いのが性奴なのも、同様である。
命を懸けた戦闘の後に性欲を満たしたくなるのは、動物としての本能のようなものだ。
従ってこの洛陽は、他の都市に比べて風俗業がとても盛んな土地と言える。

一刀もその辺の事情は承知している。
実際に自分だって、祭に女性の体の味を覚えさせられてからというもの、迷宮探索後にはどうしても女性を抱きたくなってしまう。
そして、どう見ても双子には冒険者の適正はない。
つまり双子がこの洛陽で生きていくためには、遅かれ早かれ体を売ることになるのは明らかなのである。

「ただしデブチン、てめーはダメだ」
「な、なんだよぉ」

YESロリータ・NOタッチ!
一刀には、男が双子を見て股間のポークピッツを滾らせているのが、どうしても許せなかったのだ。

自分のことは棚に上げる男・北郷一刀。
加護持ちになってリンゴを握り潰せるようになった今、もはや対人でびびることもない。

そして一刀が今武器にしようとしているもの、それはマネーの力であった!



「……なんてあの時のことを振り返ると、かなり嫌な奴だったような気がするな」
「まぁいいじゃない。それで、あの大喬ちゃんと小喬ちゃんだっけ、もうあの娘達は食べちゃったの?」
「そんなことしてないって」
「えー、じゃあやっぱり私に譲ってよ。冥琳と2人で、一杯可愛がっちゃうからさ。最近は仕事仕事で、色々と溜まってるのよねぇ」
「……雪蓮達には、絶対に預けない」

桂花のような子供で50貫、自身で80貫、将来性のありそうな季衣達でも300貫。
そして一刀が双子につけた値段は、セットで1000貫という破格なものだった。
一刀の上書きした値札を見て、滝のような汗を流す男。
やがて男は肩を落として去っていき、双子を引き取った一刀はようやく我に返った。

金銭的な問題は大したことない。
なぜなら生活費くらいすぐに稼げるからだ。
まずいのは彼女達に対して責任が出来てしまったことである。

一刀はなんとしてでもリアルに帰りたいと思っているわけではない。
だがリアルからゲームの世界に来た以上、いつか自分の意思によらず帰る時が来るかもしれない。
保護者である自分がいなくなった時、この子達はどうなってしまうのか。

そういう意味では、雪蓮の譲ってくれという提案は一刀にとって渡りに船である。
だが加護スキルのことから今後の迷宮探索に消極的となり、それと同時に目標も失っていた一刀にとって、今回の件は天啓のように思えた。

彼女達のような娘を引き取って、自分達で生活費を稼げるよう協力出来ないか。
最悪でも彼女達が年頃になるまで体を売らなくても済むよう協力出来ないか。

この目的に対するアプローチの仕方も、様々である。

華琳の場合は、大事を成して小事に備えるタイプであろう。
つまり自分が王になって国を富ませれば、奴隷は自ずといなくなるという考え方になる。

雪蓮の場合は、地に足が着いているタイプであろう。
つまりまず奴隷を解放するための優先度を決めて、それらを順番に解決していくという考え方になる。

桃香の場合は、理想を追い求めるタイプであろう。
つまり真っ先に奴隷を解放して、問題が起こったらその都度解決していくという考え方になる。

この中で一刀がやろうとしていることに近い考え方なのは、雪蓮か桃香である。
そしてギルド改革を推し進めている今の雪蓮達に、そんな余裕はない。

一刀が桃香に相談を持ちかけ、双子が桃香の家にいたのは、そういった理由からである。



「とりあえずメイドさんにしようと思うんだよな。需要はあるだろうし、嫁に行く時だってメイド業務を覚えてれば困らないだろうしさ」

一刀が方針を決め。

「じゃあ朱里ちゃんと雛里ちゃんの所に預かって貰ったらいいよ。2人共天才だから、色々教えてもらえるよ」

桃香が方策を考え。

「はわわ、た、大役でしゅ! ……あぅ、噛んじゃった」
「朱里ちゃん、頑張って!」
「ちっ、あのすけべ面した男、私達に何を教え込むつもりなのかしら」
「小喬ちゃん声、声に出てるよっ」

雛里と大喬はシンパシーを感じたのか、がっちりと握手を交わし。

「お帰りなさい、ご主人様」
「違うよ。おかえりなしゃ……さい、ご主人様。はい、言ってみて」
「どうしてわざわざ噛まなきゃいけないのよ」
「私達みたいなキャラは、こういう萌え要素がないと、どんどん出番を削られて……」
「い、嫌! リストラは絶対に嫌っ!」

朱里と小喬は腹黒キャラを確立し。



そして昨日、桃香の家でその特訓の成果を一刀に披露した双子なのであった。
所々で黒いなにかが混じっていたが、その成果に概ね満足した一刀。
というか、双子メイドの萌え発射能力にかなり追いつめられてしまった一刀だったが、彼女達を保護すべき自分が襲いかかってどうするのかと、さすがに自重した。

それは双子にとっても一刀にとっても、幸運なことであっただろう。

一刀はまだ知らない。
大喬の股間にはフランクフルトがあることを……。



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NAME:一刀【加護神:呂尚】
LV:17
HP:270/270
MP:0/0
WG:75/100
EXP:2022/4500
称号:小五ロリの導き手

STR:20
DEX:30(+6)
VIT:20(+2)
AGI:28(+6)
INT:20(+1)
MND:15(+1)
CHR:26(+1)

武器:アサシンダガー、バトルボウガン+1、アイアンボルト(100)
防具:避弾の額当て、ハードレザーベスト、マーシャルズボン、ダッシュシューズ、レザーグローブ、万能ベルト、蝙蝠のマント、回避の腕輪

近接攻撃力:107(+5)
近接命中率:69
遠隔攻撃力:101(+5)
遠隔命中率:66(+3)
物理防御力:76
物理回避力:86(+18)

【武器スキル】
デスシザー:格下の獣人系モンスターを1撃で倒せる。
インフィニティペイン:2~4回攻撃で敵にダメージを与える。
ホーミングブラスト:遠隔攻撃が必中になる。

【加護スキル】
魚釣り:魚が釣れる。
魚群探知:魚の居場所がわかる。

所持金:592貫


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