「まずはお互いの戦い方を擦り合わせるのですよー」
という風の献策により、ひとまず日帰り可能な範囲で迷宮探索をすることにした一刀達。
新しい部屋は2,3日中に準備しておくとの話であったため、とりあえずは今の季衣達の部屋をそのまま使用することになった。
そのため星達とBF11のテレポーター前で待ち合わせることにした一刀達は、いつも通りの準備だけして迷宮へと向かったのであった。
BF12。
一刀達も星達も初めて降りる階層であった。
季衣が祭達に座学で教えて貰った地図は、BF10までは細かく地図が埋まっている。
だがテレポーターがつい先日設置されたBF11以降は、階段付近を中心とした必要最小限の部分しか書き記されていない。
それでも階段の位置とそこに辿り着くまでの道のりは書いてあったので、BF15までであれば問題なく更に下を目指せる。
もちろん彼女達も、自分達の把握している情報の全てを教えてくれたわけではないだろう。
だが、テレポーター設置以前のギルドが地図販売で生計を立てていたことからも分かるように、地図の情報というのは非常に貴重なのである。
それをBF15までとはいえ、季衣達に座学で教え与えてくれていたことに、奴隷市場で『出来る限りのことはする』と一刀に約束してくれた雪蓮の真心が感じられる。
手元の地図を見ながらそんなことを考えていた一刀に、星が声を掛けた。
「さて、広場ならともかく通路は狭い個所もありますし、1匹を相手に6人が同時に戦うのもやり難い。なのでまずは、我等の実力を存分にお見せするとしましょう」
「じゃあお言葉に甘えて、俺達は星達の背後を守ることに専念するよ」
「ふむ、やはり3人の時とは異なりますな。それだけでも随分と安心感がある。やはりギルドに協力を頼んで正解でした」
「……ところで、なんで星達は俺に敬語なんだ? そっちは一応俺達の雇い主、つまり上司だろう。名は呼び捨てでいいとか、敬語を使わなくていいとか、こっちとしてはありがたいけど本当にいいのか?」
実際に敬語を使えと言われたら、恐らく心の中では反発していたであろう一刀だったが、だからと言って自分はタメ口なのに雇い主が敬語なのは、それはそれで居心地が悪かった。
そんな一刀の疑問に答えたのは、問われた星ではなくて稟であった。
「一刀殿は、私達と同じくこの洛陽に来てから2ヶ月と聞いています。全くの素人、しかも剣奴の身でありながら、既に実力では私達と肩を並べ、その名は町中に鳴り響いている。私達は貴方の立場ではなく、能力に敬意を表しているのです」
「……俺の名前って、そんなに広まってるのか?」
「七乃ちゃん辺りが積極的に広めたこともあるのでしょうけど、それでも『幼女ブリーダー』『幼女アナライザー』の名は洛陽では知らぬものがいないのですよー。風のスリーサイズもお兄さんに見破られているのではないかと、胸がドキドキなのです」
「それはないからっ!」
恐らくギルドの財産である一刀の価値を高めようとしたのであろう七乃を、恨めしく思う一刀なのであった。
≪-拘束の風-≫
むにゃむにゃと風が詠唱すると、緑色の粒子がワーウルフに纏わりつき、動きを阻害した。
戦闘開始直後、ワーウルフの最も驚異的な特徴であるスピードを瞬時に奪い取ったのである。
≪-火球-≫
そこにすかさず稟が、動きを止めたワーウルフの顔面に向けて灼熱の炎をぶつけた。
悲痛の叫びをあげることも叶わずに痙攣するワーウルフ。
その胸元には、いつの間にか投げつけられた星の手槍が突き刺さっていたのだ。
だが、ワーウルフの特徴はスピードだけではない。
その尋常ではない生命力もまた、スピードと同じく驚異とされていた。
これは、槍を投げてしまった星の油断であろう。
確かに外の世界では止めとなりうる1撃だったが、相手は『三国迷宮』に巣くうモンスターなのである。
胸に槍が突き刺さったままで、無手の星に襲いかかるワーウルフ。
さすがの星も、敵の胸に槍が突き刺さった状態なのに攻撃してくるとは予測出来ず、狼狽しながらもその攻撃を回避した。
慌ててフォローしようとする一刀達だったが、その必要はなかった。
≪-火球-≫
稟の詠唱により、彼女の掌から紅蓮の炎が撃ち出された。
そして再びワーウルフの顔面に咲いた灼熱の花が、今度こそその生命活動を強制的に停止させたのであった。
稟のパラメーターを確認した一刀は、迷宮探索が進まないという星達の抱える問題が分かった気がした。
稟のMPがこの時点で115/125だったのである。
このことから、『火球』の消費MP5であることがわかった。
璃々に使用させたとき消費MP10だったことから、恐らくは璃々よりも1段階進んだ『魔術レベル』なのであろう。
この『魔術レベル』という言葉は一刀の造語であり、そのレベルが一刀に見えているわけではない。
初期状態を『魔術レベル1』と仮定した時、璃々がLV6になって新しい呪文を覚えたと同時に、今まで使えていた呪文の消費MPが半分になった状態を『魔術レベル2』と表現すると、稟は現状『魔術レベル3』なのであろう、ということだ。
そして重要なのは、『火球』の消費MP量がわかったことではなく、わずか1戦しただけで稟のMPが10も減っているという事実である。
鮮やかに勝利を収めていた星達だったが、これでは4,5戦した時点で迷宮探索を進めることが不可能になり、撤退せざるを得ない。
なぜなら、テレポーターまでの帰路だって当然戦闘があるからだ。
もちろん稟を休ませつつ進むことも可能であろうが、その程度の休憩では稟のMPは回復しないし、星と風だけでの戦闘も厳しいものがある。
しかも風のMPだって無限ではないのだ。
風のMPまで切れた時、星1人で他の2人を保護しながら迷宮から撤退しようとするのは、かなりの困難を伴うであろう。
つまり、稟のMPが切れそうになった時点で星達は迷宮探索継続能力を失うに等しいのである。
先へ進もうとする星達を見ながら、一刀は今後の迷宮探索の方針をどうするか必死に考えていたのであった。
それから更に5,6戦して、稟の息使いが多少荒くなってきた。
稟のMPは既に、その半分を割り込んでいたのである。
星達には稟のMPは見えないが、その消耗具合は理解しているのであろう。
風が稟を気遣う様子を見せ、星が一刀に向かって口を開いた。
「普段はこの辺りを引き際と考え、帰路に向かうのです。本当ならば一刀殿のパーティと役割を交代して更に進みたいのですが、今日は様子見。BF11のテレポーターに向かおうと思うのですが、どうですかな?」
「その方がいいと思う。じゃあ帰りは俺達の出番かな。そっちも俺達の実力を確認してくれ」
「ふふ、それではじっくりと拝見させて頂きましょうか」
大見栄を切ったものの、正直に言えば一刀は自分達の実力では帰り道が危ういと感じていた。
拠点を中心とした格下相手のLV上げに慣れきっている一刀達は、実力と同等以上のフロアをウロウロした経験があまりないからである。
それでも敵のNAMEが視認出来る一刀が斥候となり、背後を星達が固めてくれていたため、道中の邪魔な敵を一刀が釣ってきて季衣と流琉が待ち受けるといういつもの戦法が使用出来た。
魔術のない分だけ星達よりも戦闘時間は長めであったが、その堅実な戦い方は星達に高く評価されたようであった。
「ふむ、やはりギルドに助っ人を頼んだことは間違いではなかったな」
「一刀殿のパーティがいれば交替で休むことも出来ますし、ようやく迷宮探索が進みますね。今までは私のせいで……」
「それは仕方がないのですよ、稟ちゃん。魔術は疲れるものなのですよー」
好感触を覚えていた星達とは逆に、一刀はこのままではダメだと感じていた。
今日の迷宮探索で星達のパーティに限界が訪れるまで約1時間。
1時間交代では精神力など回復しないし体力だって持たないことは、テレポーター設置クエストで24時間テレポーターを守るローテーションを組んでいた一刀には分かりきっていた。
尤も、地図上でしか知らない場所の探索を進めている状態で1時間なのであるから、一方のパーティが睡眠をとるのを守るような状況なのであれば、2,3時間は平気かもしれない。
だが、守るばかりでは迷宮探索は進まないのである。
LVが上がればその状況も変わるかもしれない。
しかし今日の探索では、2パーティ合わせても10回ちょっとしか戦闘していないのだ。
これではLVも全然上がらないし、わずか2ヶ月では加護を受けるどころかBF15に進むことすら出来ないであろう。
星達の迷宮探索のやり方自体を根本的に変更する必要があると、一刀は考えていたのであった。
それはそれとして、外出権を得た一刀達が迷宮探索を終えた後、真っ先に向かったのは当然のように湯屋であった。
『優遇組』の季衣達の部屋にもバスルームなどはついていなかったため、一刀も季衣達も体を拭いたり水浴びをしたりすることしか出来なかったのだ。
尤も、季衣達にとっては元々の村でも風呂などはなかったため、それが普通だったのであるが、一刀にとってギルドでの剣奴生活の中では風呂がないことが最も耐えがたいことだったのである。
今後のことについて打ち合わせをしようと、星達も湯屋に一緒に行くことになった。
「ボク、兄ちゃんと一緒に入るー!」
「ダメよ季衣、ちゃんと男湯と女湯で別れてるでしょ!」
「でも店員さんは、ボク達なら男湯に入ってもいいって言ってたよ? 流琉も一緒に行こうよ」
「絶対ダメ! いい、季衣。女の子は自分の裸は、軽々しく男の人に見せちゃダメなんだよ」
「そんなの、兄ちゃんにいつも見られちゃってるじゃん。同じ部屋なんだし、着替えとか体を拭いたりとかさ」
「ひ、人聞きの悪いこと言うな! 俺はいつもちゃんと後ろを向いたり部屋を出て行ったりしてるだろっ!」
「兄様が私達の着替えをさりげなく盗み見てるのはいいの! 他の男の人に見せるのは、とにかく絶対にダメなの!」
「ちょっと待て! 流琉もさらっと嘘を混ぜるな!」
「変な流琉。まぁいいや、それじゃ兄ちゃん、また後でね」
季衣達と一緒に女湯に向かう星達の視線が、微妙に冷たくなった気がした一刀なのであった。
折角の風呂も余り楽しめなかった一刀。
待ち合わせた座敷には、湯上りの星達が既に飲み食いを始めていた。
「よう、早いな。待たせてごめん」
星達に声を掛けて、混ざろうとする一刀。
しかし星達は、それを無視して飲み食いを続けていた。
「ぷはっ! うむ、この一杯とメンマのために生きている……」
「……一応言っておくけど、さっきのは違うぞ。まさか勘違いしてないよな?」
「大丈夫ですよ、一刀殿」
「おお、稟! 稟なら分かってくれると信じていたよ」
「人間、誰しも欠点はあるものです。季衣さん達もそれほど嫌がっていないみたいですし、両者の合意であれば問題ないでしょう」
「だから、誤解なんだよ!」
「お兄さん、往生際が悪いのですよー。『幼女アナライザー』として、その態度はどうかと思うのです」
「……もう、いい」
すっかり不貞腐れた一刀だったが、星達がすぐに冗談だと謝ったため、ようやく機嫌を直した。
そして今後の方針を決める話し合いを行ったのだが、星達は公平であった。
2ヶ月後のパーティ解散までに得た収入は全てパーティの金としてプールし、解散時に6等分しようと提案してきたのである。
消耗品はプールした金から支払われるため、一刀が矢銭を気にする必要もなくなる。
見知らぬ者同士のパーティで不協和音を出さないためには、これが最善の方策であった。
ところが、分け前の取り決めはすんなりと決まったものの、探索のやり方についてはお互いの意見を戦わせることになった。
明日からでも泊まりの準備をして可能な限り深い階層まで辿り着こうとする星と、とりあえずBF11で自力を上げて無理なく迷宮に挑もうとする一刀の主張は、互いに平行線であったのだ。
こういう場合、普通であれば雇い主側である星の主張が採用されるであろう。
だが、ここで星の非凡さが発揮された。
「ふむ、ではまず一刀殿の方策を試してみますか。私はリーダーシップを取るのに不向きな性格でもありますしな」
この一言は、通常の探索者ではなかなか言えない。
なぜなら探索者は、一般人と比較すると無類の強さを誇るため、自分自身に絶対の自信を持つ者が多いからである。
外の世界で無双を極めた星であれば、尚更であろう。
これはもちろん星の生まれ持った性格によるところも大きいが、稟や風との数年間の旅の成果でもあった。
3人で大陸中を回った際、自説のみを主張するよりも稟や風の意見を取り入れた時の方が、大体において物事がうまくいっていた。
その経験から、星は自信過剰の罠に陥ることがなかったのである。
それぞれがそれぞれの得意分野を出し合って助け合う。
そうしたことを、星達は長い旅の中で学んでいたのであった。
但し、まだ一刀の方策やリーダーシップを認めていたというわけではない。
これまで街で聞いた一刀の風評を試してみよう、その程度の気持ちであった。
だが星達の考えがどうであれ、自分が舵取りを出来るのであれば一刀は構わなかった。
例えとりあえずの所だとしても、星があっさりと意見を譲ってくれたことに、一刀は好感を抱いたのであった。
「おいおい、流し満貫シスターズは今日も休みかよ」
「なんでもコアなファンを引き連れて迷宮に潜ってるらしいぜ」
「あーあ、天和ちゃん達の歌が目当てでこの店に通ってたんだけどなぁ」
「まぁ、早く復帰してくれることを願うしかないな。って、なんだありゃ? あんなのが天和ちゃん達の代わりなのか?!」
背後の男達の話を聞くともなしに聞いていた一刀は、目を舞台に向けて驚いた。
なんとそこには、璃々が立っていたのである。
実はこの湯屋は、桃香の知人が経営してる店であった。
紫苑は、璃々を取り戻すのに協力してくれた桃香達に恩返しをするため、今でも桃香達のクランに参加して迷宮探索を続けていた。
だが桃香達くらいになると、日帰りで迷宮探索という訳にはいかなくなる。
それなので、紫苑が迷宮探索に行っている間は璃々をここに預けられるようにと、桃香に紹介してもらったのである。
それだけであれば、こうして舞台に立つこともなかったであろう。
だが、舞台で歌や踊りを披露するはずのアイドル達が、突如として欠勤を続けたのだ。
困り果てた支配人に、璃々は言った。
「天和お姉ちゃん達の代わりに、璃々が歌ってあげる!」
「……気持ちはありがたいんだけどねぇ」
「大丈夫だよ、璃々お歌が上手だもん。お母さんにも一刀お兄ちゃんにも褒められたんだから」
「一刀お兄ちゃん……もしかしてそれって、『幼女アナライザー』の?! ……彼が璃々ちゃんの才能を認めたのなら、もしかして……いけるか?!」
この湯屋は探索者をターゲットにしているため、高料金・高サービスを売り物としている。
そのため、何日も舞台を取り止めたままには出来ないのである。
高サービスの付加価値が無くなってしまえば他の湯屋と変わらなくなり、値段の高い分だけ客が来なくなってしまうからだ。
こうして璃々のデビューが決まり、今日この時が初舞台なのであった。
「♪あ らっつぁっつぁーや りびらびりん らば りったんりんだん でんだんどぅ」
先端が二股に分かれた杖をリズムよく振りながら可愛らしく歌う璃々と、手に汗を握ってそれを見守る一刀。
一刀は学芸会で我が子の演技に一喜一憂するお父さんの気持ちを味わっていた。
「♪やば りんだんてんだん でいあろー わらば るぶるぶるぶるぶ れいえぶー」
聞き覚えのある声に、季衣達も璃々に気がついた。
「わわっ、璃々ちゃんだよ! なんで?」
「ネギ振ってる、可愛いー!」
ネギではない、杖である。
そのまま3人で見守る中、ついに音楽が間奏に入った。
だが、そこで事件は起こった。
前日に緊張しすぎて眠れなかったのか、璃々がウトウトし始めてしまったのである。
「兄ちゃん、璃々ちゃん寝てる!」
「兄様、大変です! 早く起こしてあげなきゃ!」
「待て! 単純に起こしただけだと、舞台が失敗になってしまう。ここは演出だと思われるような起こし方をするんだ!」
一刀が2人に作戦を伝え、決行の時を待つ3人。
やがて間奏が1サイクルを終えようとした瞬間、曲に合わせて3人が叫んだ。
「「「ホアッ!」」」
その合いの手に驚いた璃々が目を覚まし、作戦は大成功かと思われた。
しかし、思わぬ落とし穴があった。
璃々はパニックになってしまったのか、倍速で杖を振り始めてしまったのである。
「璃々ちゃん、落ち着いてー!」
「速い、ネギが速いよ、璃々ちゃん!」
ネギではない、杖である。
それでも杖を振っている途中で落ち着いたのか、歌い出しの始まる頃には璃々も立ち直っていた。
「♪わば りっぱっぱーぱりっぱりーぱりり りびりびりすてん れんだんどぅ」
口元に寝涎をつけながら、一生懸命に歌う璃々。
一刀達が見守る中、なんとか璃々は最後の1小節まで歌い切った。
そこまでで気力を使い果たしてしまったのか、後奏でまたしてもウトウトしてしまった璃々は、支配人に連れられて舞台を去ったのであった。
舞台には、璃々の落としたネギだけが、ポツンと残されていた。
一体誰が予想出来たであろうか。
この璃々が爆発的な人気を誇る洛陽のトップアイドルへと瞬く間に駆け上がり、ギルドから紫苑の弓をあっさりと買い戻してしまうことを。
(璃々も元気そうで、本当によかった……)
季衣達と一緒に璃々ファンクラブの入会手続きを行いながら、久しぶりに聞いた璃々の歌声に心を温かくする一刀なのであった。
一刀のほんわかした気持ちも、ギルドに帰るまでであった。
新しい部屋の準備がまだ出来ていないため、剣奴達の隔離スペースにある季衣達の部屋に帰ってきた一刀達は、そこで激しい敵意の視線を浴びたのである。
てっきり外出権への嫉妬だと思った一刀であったが、違っていた。
本来であれば今日からBF4に配属されたはずの一刀。
その一刀を除いた同僚達が予定通りにBF4に配属され、探索者がテレポーターに引っ張ってきたモンスター達にやられて初日に全滅したのである。
(……俺のせいだ)
一刀以外から見れば、逃げた探索者が一番悪いと言うだろう。
100歩譲っても、その時警備の順番だった剣奴達の運が悪いと言うべきである。
剣奴達にしても、一刀が抜けたから全滅したんだ、という感情が大半であった。
尤も、彼等は一刀の同僚達が死んだ分だけ自分達の仕事が増えたことを怒っていたのであるが。
だが一刀自身は気づいてしまった。
自分が仕事中に無双していたせいで、同僚達のLVが上がらなかったことに。
そのせいで同僚達が、BF2からいきなりBF4に配属されたも同然の状態になっていたことに。
剣奴達の的外れな敵意は、まさしく一刀が受けるべきものであるということに。
(警備のことなんて、最近すっかり忘れてたけど……)
自分の起こした行動が、他人にとって最悪な結果を産むことがある。
平和な現代を生きてきた一刀は、この事実に大きなショックを受けたのであった。
**********
NAME:一刀
LV:12
HP:164/164
MP:0/0
WG:100/100
EXP:699/3250
称号:幼女アナライザー
STR:12
DEX:16
VIT:12
AGI:14
INT:14
MND:11
CHR:13
武器:アイアンダガー、スナイパーボウガン+1、アイアンボルト(100)
防具:避弾の額当て、レザーベスト、レザーズボン、レザーブーツ、レザーグローブ、レザーベルト、蝙蝠のマント、回避の腕輪
近接攻撃力:60
近接命中率:47
遠隔攻撃力:73
遠隔命中率:45(+3)
物理防御力:48
物理回避力:64(+18)
【武器スキル】
デスシザー:格下の獣人系モンスターを1撃で倒せる。
ホーミングブラスト:遠隔攻撃が必中になる。
所持金:25貫500銭