この大陸には、いくつかの秘境が存在する。
そのうちのひとつ、『常山』で星は少女時代を過ごした。
♪手槍を担いだ 星ちゃんは
♪熊に跨り お馬の稽古
星は根っからの野生児であった。
ある日のこと、そんな星の暮らす小さな村に大陸中を渡り歩く商人が訪れた。
その商人から物々交換で仕入れた食べ物、それが星の人生を変えたのである。
獣を狩り、魚を狩り、野草を取り、果物を取り。
それらを料理というより食材というべき状態で食べていた星は、一瞬でその食べ物に魅了された。
コリコリとした歯ごたえ。
ビロードのような舌ざわり。
そして、底知れぬ深みのある味わい。
それを食べながら星は、いつの間にか涙を流していた。
そして全てを食べ尽くした後、思わずこう呟いたのであった。
「ナイスメンマ」
それが星の、第二の人生の始まりを告げる言葉となった。
こうして星は、究極のメンマを求めて故郷を後にしたのであった。
一方の稟は、地元では知られた名家の娘であった。
苦労を知らずに育った稟は、だんだんと自らの境遇に疑問を抱くようになっていた。
その切っ掛けは、たまたま町で見かけたとある幼女との出会いであった。
自らの首に鎖をつけられているにも関わらず、平和そうにウトウトしている幼女。
そして幼女の前には、値札が置かれていたのである。
己の懐で十分に足りる額だったこともあり、その幼女を購入した稟。
単なる気まぐれでもあり、可哀そうだったからでもある。
だが一番大きな理由は、その幼女には稟の胸の奥を揺さぶらせる何かを持っていたからだ。
その時の稟は、それが魔力と称させるものであることをまだ知らなかった。
風と名乗ったその幼女は、それまでまともな教育が受けられる境遇ではなかったらしく、字すら書けなかった。
だが、脳味噌の作り自体は最上級のものであった。
稟が教えたことをスポンジに水を垂らすかの如く吸収し、更に独特の感性で稟とは異なる見解を述べ、稟を驚かせたことも少なくなかったのである。
そうやって風を教育しているうちに、だんだんと稟が物思いに耽る時間が増えていった。
なぜ自分は、何不自由なく暮らせているのか。
なぜ風は、まともな教育どころかその日食べるものすら事欠いていたのか。
自分と風の境遇の差は、あまりに理不尽ではないか。
両親は身分の違い、貴賤の違い、血の違いだと言う。
稟も風に出会うまでは、漠然とそう考えていた。
だが最下層の身分ともいえる風の、この優れた能力はどうだ。
貴種を自称する両親やその友人達など、自分の話す内容すら理解出来ないではないか。
いつしか稟の中では、ある考えが築き上げられていた。
不公平不平等が出来てしまうのであれば、それは血ではなく能力差でこそ発生すべきだ、と。
しかしその考えが異端であることもまた、稟はよく理解していた。
人は異端であるものを弾く生き物である。
そのこともまた、風によって教えられたことのひとつである。
「稟ちゃん。おーい、稟ちゃん。むー、また自分の世界で1人語りモードに入っているのですよー」
風はある意味で異端の塊であった。
そのことは、自分を買った主である稟に対して、『ちゃん』付けで呼んでいることからもわかるであろう。
稟自身は別に不快ではなかったが、理由を知りたくて風を問い詰めたことがあった。
風は言った。
稟が自分を買ったことは、自分のためを思ってくれたことも含めて、稟が自分のやりたいようにやった結果であると。
自分はもちろん稟に感謝しているが、その気持ちを表すことも含めて、自分のやりたいようにやるのだと。
『感謝がうまく伝わらない相手なら様付けで呼ぶのですが、稟ちゃんは風の気持ちを理解出来る人ですので、友愛を込めて『ちゃん』付けなのですよー』
そう言ってほんわりと笑う風の考え方は、稟には理解出来る。
だが稟以外の人には理解出来なかったであろうし、風もそのことをちゃんと分かっていて、2人きりの時以外は稟様と呼んでいた。
そうやって気遣いをしなくては、風が稟の両親や家人達に迫害されてしまうことは火を見るよりも明らかである。
仮面を被らなくては人に受け入れて貰えない、それが異端たる風の宿命であった。
稟の主張する能力主義も、今の世の中ではそれと同様に異端であり、異端は弾かれる。
だがこの異端こそが大陸から理不尽なことを無くす、唯一の手段なのではないか。
能力が尊ばれる世の中になれば、必然的に能力のある者が政を行うことになる。
そんな治世の方が、今の腐敗と矛盾に満ちた世の中よりも断然よいであろう。
どうすれば能力主義の考え方が、人々の間に浸透するだろうか。
その方策を練るには、自らの経験が足りなさ過ぎる。
「風、私は旅に出るわ。そして大陸中を渡り歩いて己の見識を深め、手に入れる……。そう、世界を革命する力をっ!」
「……長いことトリップしてたかと思ったら、随分とまたいきなりなのですよ」
「行く手には数々の困難が立ち塞がり、やがて私は絶体絶命のピンチに。そこに颯爽と現れる美男子。ああ、助けて下さってありがとうございます、王子様。そんな、私などが薔薇の花嫁だなんて……あ、いけません、そんな、破廉恥な……プフーッ!」
「はいはい稟ちゃん、トントンしますよ、トントーン」
「うっぷ、いつもすまないわね、風」
「それはいいのですが、旅は稟ちゃんにはちょっと厳しいのですよー。野盗だって出ますし、トンチと鼻血は1級品でも喧嘩はからっきしだよ3級品な稟ちゃんでは……」
誰の鼻血が1級品かと言い返したい稟であったが、たった今その鼻血を吹いたばかりである。
そのためツッコミを入れることが出来ず、ぐっと堪えて言葉を続けた。
「な、なにも1人で行くとは言っていないわ。先日この町で、凄腕の武人と知り合ったの。とある究極の食材を探し求めている途中だと言っていたから、その旅に同行させて貰うつもりなのよ。女性だから色々と安心だし」
「ではでは、風も急いで旅の準備をしなくてはー」
「え? 風も一緒に来てくれるの?」
「……ぐぅ」
「寝るなっ!」
「おお、うっかりうっかり。ついうららかな陽気にウトウトと……。理由は簡単なのです。風が行かないと、稟ちゃんの鼻血を止められる人がいないからなのですよー」
「はぁ。酷い理由だけど、一応ありがとうと言っておくわ。出発は今晩、くれぐれも屋敷の者に見つからないように……」
「わかっているのですよー」
こうして家出同然に屋敷から抜け出した稟と、それに付き添う風。
そして故郷を旅立ってから数年が経ち、少女から女性へと変わりかけていた星。
そんな3人の珍道中が始まったのは、『三国迷宮』が出現してから半年が過ぎた頃であった。
3人の道中は、決して平穏なものではなかった。
その理由の大半は、星にあった。
ある意味で星は、箱入り娘の稟よりも世間知らずだったのである。
悪意など欠片もない素朴な里で、純粋培養で育った星は、困っている人々を放っておけなかったのだ。
東に野盗に襲われた村があれば、行ってその槍を振るい。
西に重税を課せられた村があれば、行ってその槍を振るい。
北に疫病の流行っている村があれば、行ってその槍を振るい。
南にいなごが大量発生した村があれば、行ってその槍を振るい。
どの状況でも槍を振るって解決することが出来たのは、稟や風が深謀遠慮の策を立てたからである。
そうやって各地で戦い続けている間に、星はもちろん稟や風のLVも上がっていった。
これは、星達の相手がモンスターではなく人間だったためであろう。
モンスターであれば、稟達を星が守ろうとすれば攻撃は星に向かうため、稟達にEXPは入らない。
だが野盗達は、守ろうとする者こそが弱点であると、むしろ稟達に対する攻撃を強めたのである。
稟達に攻撃を仕掛けた野盗を星が倒すことにより、EXP分配条件を満たしていたのだ。
そして、稟達のLVが6に上がった時、転機が訪れた。
知らず知らずのうちにお互いの魔力が干渉し合って、それぞれの中で魔力が目覚めた状態になっていた2人の脳裏に、新しい呪文が浮かび上がったのである。
しかも風は『風』と『土』、稟は『火』と『水』、近しい魔力でありながら正反対の系統に適正があったのだ。
そのため、本来であれば洛陽の大神殿か魔術師に聞かなければ分からない、太祖神の与えた4つの『コモンスペル』を教え合うことが出来たのであった。
モンスターのいない洛陽の外では、一般人には基本的にLVを上げる機会がない。
季衣や流琉も、住んでいた村が野盗に襲われた時に撃退した時だけしかEXP取得の機会がなかったため、一刀と出会った時にはLV3であった。
例外は、星のように秘境で獣達を相手に戦闘をしていた場合か、人を相手に戦う機会のある軍人や野盗だけである。
そんな中、唯でさえ強かった星に魔術の援護が掛けられるようになったのだ。
稟達が魔術を取得してからの戦いは、まさに星無双であった。
大陸中を渡り歩く旅をして数年が経った。
星はすっかり美女となり、稟も少女へと変貌を遂げていた。
「風もすっかり成熟した女性になったのですよー」
「……頑張れ」
「メンマ、食べるか?」
そんな彼女達の耳に、『三国迷宮』の噂が聞こえてきたのである。
『三国迷宮』を踏破した者には、神がご褒美をくれる、と。
これまでの旅では、稟の探し求めていた力も、星の探し求めていた究極のメンマも、その影すら見つかっていなかった。
自分達の夢を諦めかけていた星達にとって、その噂は星達の耳には福音に聞こえた。
こうして星達は、それぞれの求めるものを得るために、洛陽へと向かったのであった。
「星さんは、なんと最初の『贈物』を10個も貰ったのですよ。これは漢帝国の恋将軍に並ぶ記録です。例えギルド所属じゃなくても、ウチとしてはこういう期待の新人とは仲良くしていきたいんですよね」
「その話とテレポーター設置依頼の報酬を貰いに来ただけの俺達とは、まったく関係がないだろ。取り込み中みたいだから、俺達は出直してくるわ」
関係ないわけがない。
通常のRPGゲームで、クエストクリアの報告をしに行って新キャラが登場したら、新しいイベントの始まりに決まっている。
それをなんとか回避しようとする一刀だったが、残念ながら回避力+18の効果はここでは発揮出来なかった。
一刀が逃げ出すよりも先に、星と呼ばれた青い短髪の美女が口を開いたのである。
「我々が洛陽に来てから早2ヶ月。最初の『贈物』以来、わずか1度しか『贈物』を頂けぬくらいに迷宮探索が行き詰っておりましてな。BF12以降を共に攻略出来る仲間を紹介して貰えないかと、探索者ギルドを訪ねてみたのですよ」
「そこでギルドとしては、エースチームを貸し出して星さん達に恩を売っておくことに決定しました」
内情を暴露する七乃に、すかさず風と稟がツッコミを入れた。
「七乃ちゃん、正直過ぎるのですよー」
「そこはもうちょっとオブラートに包むところじゃないですか?」
「言葉を飾っても実がなければ意味がないじゃないですか。ギルドが『幼女アナライザー』一刀さん率いるチームを貸し出す、この事実こそがギルドの誠意だと思って下さい」
「なんと! 貴殿があの……」
「ちょっと待て! どこまで広まってるんだよ、その称号!」
その称号を広めた犯人は、騒ぐ一刀を無視して説明を続けた。
期間は2ヶ月間。
星達の迷宮探索に協力し、加護を受けることが目標だそうだ。
「そしてなんと、この期間中は一刀さん達の外出を認めちゃいます! 嬉しいですよね? つまりこの依頼自体が、前回の依頼の報酬ってわけなんですよ。そして期間内は剣奴の住居である隔離エリアじゃなく、雪蓮さん達と同等の個室まで与えちゃいます。あ、3人部屋の方がよければ、そっちを準備しますけど」
外に出られる!
そのことに飛びあがらんばかりに喜ぶ一刀であったが、七乃の言葉になにか引っかかりを覚え、頭の中でもう一度七乃の言葉を繰り返した。
1日外出権だってあれほど他の剣奴達に羨ましがるくらいの破格の報酬なのである。
2ヶ月間の自由というのは、一見もの凄い好条件に思える。
だが、星達と迷宮探索をする以上は外出だって個室だって必須条件なのである。
パーティ内での格差は不協和音に繋がるし、隔離エリアでは小蓮などのギルド関係者はともかく、星達外部の人間では入ることが出来ないからだ。
もちろん星達にその許可を出すことも可能だが、星達の持つ外の匂いを剣奴達に嗅がせて刺激するよりも、一刀達に引っ越しをさせた方が話は簡単である。
(良く考えたら、全然報酬になっていないじゃないか……)
それどころか、またしても面倒な話を押しつけられようとしていることに一刀は気がついた。
一刀の苦虫を噛み潰したような顔を見て、七乃が痛いところをついてきた。
「あ、嫌なら断ってくれても構いませんよ? 2ヶ月間の自由を欲しがる剣奴なんて、いくらでもいますから」
「……期間内に加護を受けられなかった時のペナルティは?」
「特にありません。星さんとの契約は、2ヶ月の間だけ有望な人材を貸し出すことですから。でも加護を受けることが出来たら、外出特権をずっと継続しちゃおうかなぁなんて思っていますけどね。ついでも一刀さんの警備のお仕事も免除してあげますよ」
ギルドは星達と友好関係を深めるためにも、自分達の子飼いの中から出来るだけ信頼出来る者を貸し出したい。
その方が桃香や華琳のクランを紹介するよりも、星がギルド寄りの人材となってくれる確率があがるからである。
それに彼女達のクランでは、有力な人材のほとんどが既に加護を受けているため『試練の部屋』に入ることが出来ず、このクエストの受注資格がない。
ギルドの支配下にあって加護持ちではない人材の中では、蓮華達のパーティと一刀達のパーティが最有力候補である。
出来るだけ雪蓮のクランを隔離しておきたい七乃は、一刀達を貸し出して大丈夫なのかどうかのテストを前回の依頼で行ったという訳である。
そして、そのテストに合格した一刀達の取り込みも兼ねてもいるのだろう。
一見優遇に見える措置を施すことにより、一刀達のギルドへの心証を良くしようと企んでいた七乃。
報酬を金で支払っては一刀達の解放が早まってしまうので本末転倒である。
なんとかそれ以外の手段を駆使して、一刀達の関心を買おうとする七乃の策。
好条件の依頼を回すということは、剣奴に与える報酬としては妥当であろう。
だがその策も、剣奴として自覚の薄い一刀には納得させ難かったことが誤算であった。
一刀の反応を見て失敗を悟るとすぐさま自分のプランを放棄して、この依頼を受けさせようと挑発的な言葉を重ねる辺りにも、七乃の有能さが伺える。
しかも七乃の言う報酬は、どれも一刀達をギルドに取り込むのなら当然の条件なので、ギルドにとってはまったく痛くない話であるどころか、他の剣奴達への発奮材料にもなっているのだ。
それでいて、今の一刀達にとっては非常に魅力的な提案であるところが恐ろしい。
一刀は悩んだ。
昨日までであれば、この依頼に飛びついたであろう。
だが一刀は、なるべく危険を冒さないで金を稼ぎつつ、雪蓮達を待つ方針を固めたばかりである。
6800貫は大金であるが、例えば800貫を先に支払い一刀の時間的な拘束を解くやり方だってあるのだ。
尤も、それで効率が良くなるかは微妙なところではあるが。
なぜなら、そうすることにより剣奴ではなくなった一刀が、ギルドに与えられたの季衣達の部屋で暮らすことは不可能になる可能性が高いからだ。
現在部屋や食事が無償で提供されているのは、ひとえに一刀達がギルドの財産だからである。
ギルドとなんの関係もなくなった一刀を、ギルドが養ってくれる訳がない。
しかも以前に祭達がクランの説明をしてくれた時に言っていたが、探索者が迷宮探索をするためには、探索者ギルドに登録して上納金を支払わなければならないのである。
但し、ギルドにしてみれば季衣達が6000貫稼ぐのを一刀が無料で手伝ってくれるようなものであるから、話の持っていき方次第ではこの問題は簡単に解決するかもしれないが、相手は七乃である。
解決しなかった時のリスクが高すぎることから、足元を見られて色々と要求される可能性は高いであろう。
上納金や宿代飯代などの余計な支出が増え、下手をすれば迷宮内でしか季衣達と会えなくなるために彼女達のケアも出来なくなることと、一刀に時間的な拘束が無くなること。
一刀には、後者よりも前者の方が不利なように思えたため、解放される時には3人一緒にしようと今の所は考えていた。
だが、この依頼さえ受ければそんな心配は全てなくなる。
上手くいけば加護を受けることが出来て、七乃が言っているような優遇措置を受けられるかもしれない。
それに加護を受けた時に貰えるアイテムの評価額次第では、自分達の身柄を買い戻せるかもしれないのだ。
自力で剣奴から脱却する絶好の機会であった。
だが、同時に危険度も跳ね上がる。
特に『試練の部屋』の危険度は、雪蓮の話を聞く限りでは、今までの迷宮探索とは比較にならないであろう。
感情は受けるべきだと言い、理性は断るべきだと言う。
一刀は季衣達に相談してみた。
「兄ちゃん、やったね! チャンスだよ! それにボク、ギルドの外に出てみたい!」
「兄様、こんないい話はめったにないと思います!」
季衣達はこの話に乗り気のようである。
ここで一刀が反対すれば、2人は恐らく自分の思いを我慢して一刀に従うだろう。
後で一刀がちゃんと説明をすれば、納得はしてくれるかもしれない。
だが折角の加護を受けるチャンス、外へ出るチャンスを潰してしまったことは、確実に2人の士気に影響を及ぼす。
そうなれば、2人が迷宮探索で命を失う危険が増してしまう。
(それ以前に、自力でどうにか出来る状態なのに雪蓮達を当てにするなんて、情けなさ過ぎだしな)
こうして一刀は、祭壇到達クエストを受注したのであった。
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NAME:一刀
LV:12
HP:164/164
MP:0/0
WG:70/100
EXP:621/3250
称号:幼女アナライザー
STR:12
DEX:16
VIT:12
AGI:14
INT:14
MND:11
CHR:13
武器:アイアンダガー、スナイパーボウガン+1、アイアンボルト(100)
防具:避弾の額当て、レザーベスト、レザーズボン、レザーブーツ、レザーグローブ、レザーベルト、蝙蝠のマント、回避の腕輪
近接攻撃力:60
近接命中率:47
遠隔攻撃力:73
遠隔命中率:45(+3)
物理防御力:48
物理回避力:64(+18)
【武器スキル】
デスシザー:格下の獣人系モンスターを1撃で倒せる。
ホーミングブラスト:遠隔攻撃が必中になる。
所持金:26貫300銭