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No.11085の一覧
[0] 迷宮恋姫【完結】 (真・恋姫無双 二次創作)[えいぼん](2010/05/31 20:54)
[1] 第一話[えいぼん](2009/09/21 00:53)
[2] 第二話[えいぼん](2009/09/21 01:05)
[3] 第三話[えいぼん](2010/01/24 20:05)
[4] 第四話[えいぼん](2009/09/26 05:36)
[5] 第五話[えいぼん](2009/08/25 00:08)
[6] 第六話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[7] 第七話[えいぼん](2009/09/15 21:39)
[8] 第八話[えいぼん](2009/09/15 21:40)
[9] 第九話[えいぼん](2009/08/25 00:05)
[10] 第十話[えいぼん](2010/02/20 07:16)
[11] 第十一話[えいぼん](2009/08/27 23:37)
[12] 第十二話[えいぼん](2009/08/26 21:34)
[13] 第十三話[えいぼん](2009/09/21 08:56)
[14] 第十四話[えいぼん](2009/08/29 02:46)
[15] 第十五話[えいぼん](2009/09/21 03:04)
[16] 第十六話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[17] 第十七話[えいぼん](2009/09/04 23:58)
[18] 第十八話[えいぼん](2010/02/20 07:17)
[19] 第十九話[えいぼん](2009/09/21 03:40)
[20] 第二十話[えいぼん](2009/09/21 03:47)
[21] 第二十一話[えいぼん](2009/09/19 15:52)
[22] 第二十二話[えいぼん](2010/05/20 18:53)
[23] 第二十三話[えいぼん](2009/09/07 22:44)
[24] 第二十四話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[25] 第二十五話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[26] 第二十六話[えいぼん](2009/09/20 22:40)
[27] 第二十七話[えいぼん](2009/10/03 08:55)
[28] 第二十八話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[29] 第二十九話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[30] 第三十話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[31] 第三十一話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[32] 第三十二話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[33] 第三十三話[えいぼん](2009/09/20 22:41)
[34] 第三十四話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[35] 第三十五話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[36] 第三十六話[えいぼん](2009/09/20 22:42)
[37] 第三十七話[えいぼん](2009/09/21 00:42)
[38] 第三十八話[えいぼん](2009/09/20 23:50)
[39] 第三十九話[えいぼん](2009/09/22 15:51)
[40] 第四十話[えいぼん](2009/09/22 18:12)
[41] 第四十一話[えいぼん](2010/05/14 19:23)
[42] 第四十二話[えいぼん](2009/09/27 16:52)
[43] 第四十三話[えいぼん](2010/02/20 14:39)
[44] 第四十四話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[45] 第四十五話[えいぼん](2010/05/14 19:22)
[46] 第四十六話[えいぼん](2009/09/27 13:39)
[47] 第四十七話[えいぼん](2010/02/20 14:57)
[48] 第四十八話[えいぼん](2010/05/14 19:06)
[49] 第四十九話[えいぼん](2009/09/30 21:32)
[50] 第五十話[えいぼん](2009/10/02 00:33)
[51] 第五十一話[えいぼん](2009/10/03 01:57)
[52] 第五十二話[えいぼん](2010/03/27 14:36)
[53] 中書き[えいぼん](2009/10/03 16:02)
[54] 閑話・天の章[えいぼん](2010/01/10 19:35)
[55] 閑話・地の章[えいぼん](2010/01/09 11:12)
[56] 閑話・人の章[えいぼん](2010/01/10 10:59)
[57] 第五十三話[えいぼん](2010/02/01 19:13)
[58] 第五十四話[えいぼん](2010/04/14 23:22)
[59] 第五十五話[えいぼん](2010/01/18 07:26)
[60] 第五十六話[えいぼん](2010/01/20 17:42)
[61] 第五十七話[えいぼん](2010/01/31 22:16)
[62] 第五十八話[えいぼん](2010/01/29 23:27)
[63] 第五十九話[えいぼん](2010/02/03 05:56)
[64] 第六十話[えいぼん](2010/02/20 07:29)
[65] 第六十一話[えいぼん](2010/02/20 07:30)
[66] 第六十二話[えいぼん](2010/04/13 21:38)
[67] 第六十三話[えいぼん](2010/02/20 07:32)
[68] 第六十四話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[69] 第六十五話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[70] 第六十六話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[71] 第六十七話[えいぼん](2010/04/13 21:39)
[72] 第六十八話[えいぼん](2010/03/27 14:39)
[73] 第六十九話(書き直し)[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[74] ボツ話[えいぼん](2010/03/25 07:16)
[75] 第七十話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[76] 第七十一話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[77] 第七十二話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[78] 第七十三話[えいぼん](2010/04/13 21:40)
[79] 第七十四話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[80] 第七十五話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[81] 第七十六話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[82] 第七十七話[えいぼん](2010/04/13 21:41)
[83] 第七十八話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[84] 第七十九話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[85] 第八十話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[86] 第八十一話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[87] 中書き2(改訂)[えいぼん](2010/04/01 20:31)
[88] 第八十二話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[89] 第八十三話[えいぼん](2010/04/13 21:42)
[90] 第八十四話[えいぼん](2010/04/13 21:43)
[91] 第八十五話[えいぼん](2010/04/17 03:04)
[92] 第八十六話[えいぼん](2010/04/29 01:36)
[93] 第八十七話[えいぼん](2010/04/22 00:13)
[94] 第八十八話[えいぼん](2010/04/25 18:36)
[95] 第八十九話[えいぼん](2010/04/30 17:45)
[96] 第九十話[えいぼん](2010/04/30 17:51)
[97] 第九十一話[えいぼん](2010/05/05 13:47)
[98] 第九十二話[えいぼん](2010/05/07 07:39)
[99] 第九十三話[えいぼん](2010/05/30 13:16)
[100] 第九十四話[えいぼん](2010/05/16 08:27)
[101] 第九十五話[えいぼん](2010/05/16 08:31)
[102] 第九十六話[えいぼん](2010/05/18 07:11)
[103] 第九十七話[えいぼん](2010/05/22 07:52)
[104] 第九十八話[えいぼん](2010/05/31 22:26)
[105] 第九十九話[えいぼん](2010/05/30 13:59)
[106] 最終話[えいぼん](2010/05/31 22:24)
[107] 後書き[えいぼん](2010/05/31 20:56)
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[11085] 第二十三話
Name: えいぼん◆2edcbc16 ID:fd94314f 前を表示する / 次を表示する
Date: 2009/09/07 22:44
小蓮の朝駆けにより混乱に陥っていた一刀であったが、ようやく正気に返ると小蓮に向けて懇々と諭した。

「シャオ。こういうことは、そんなに気軽にしちゃダメなんだぞ」
「誰にでもしてるわけじゃないもーん、一刀以外で唇を許したのは、お姉ちゃん達だけだもーん」

小蓮のその言葉に、一刀の脳内で妄想劇場が始まった。

『シャオ、今日も可愛いわね。ちゅぷ、くちゅ……』
『んぷぅ、あん、連華お姉ちゃん。もっとして……』
『あら、2人だけで気持ちよくなっちゃって、私はお邪魔虫なのかしら』
『そんなことないよ。雪蓮お姉ちゃんも、シャオが一杯気持ちよくしてあげる』

一刀の急に黙り込んで頬を赤くする様子を見て、小蓮は彼の誤解に気づいたのであろう。
慌てて一刀に言い募った。

「違うよ、お姉ちゃん達とはおはようのキスだけだよ!やだ、一刀ってばおマセさんなんだからー」
「え、でも舌を……」
「もう! だからそれは、一刀だけなの! お姉ちゃん達にするのと、好きな男の子にするキスは違うんだよ」
「どこでそんなことを知ったんだよ!」
「自分が知らなかったからって、そんなにムキになっちゃってぇ。心配しなくても大丈夫、シャオがちゃんとリードするから。一刀に色々教えてあげるね!」
「ダメぇ! 兄ちゃんはボクと一緒に勉強するの! 流琉、教えてくれるよね?」
「う、うん。私も兄様となら……」

違う、そうじゃないんだ、と弁明する一刀と聞く耳を持たない小蓮、そして迷走を続ける季衣と流琉。
だが一刀は、最低でもモーニングキスは勘弁して貰おうと、諦めずに小蓮達に言い寄った。

(なぜなら俺は『幼女アナライザー』であって、決して『幼女イーター』じゃない! いや待て、誤解だ! 俺は『幼女アナライザー』でもないんだ! だけど『幼女イーター』は断じて違うんだ!)

一刀は、一体誰に向かって言い訳をしているのだろう。
強いて言えば、ステータス画面の中で今にも変化を起こしそうな己の称号に向かってであろうか。

小蓮はもちろん、キスの相手が愛情を感じ始めている季衣達だとしても年齢的にまだ早いと、一刀は小蓮達の説得を続けるのであった。



『毒消し』を切らせてしまっていた反省から、迷宮探索の前にはちゃんと荷物を確認することにした一刀達。
今更のような話ではあるが、これまでは流琉が預かっているパーティ資金をそれぞれが必要な分だけ貰い、各自で勝手に揃えていたのである。

熟練の探索者パーティであれば、この適当さはありえない。
しかし、一刀達は迷宮探索を初めて2ヶ月ちょっとしか経っていない、素人であった。
そのやり方で今まで困らなかったし、とこれまではさして気を配っていなかったのだ。

それに普通の探索者パーティであれば、そもそも資金の使い方自体がここまで無頓着ではない。
必然的に各自の所有する薬類も把握されることとなり、通常このような問題が起こることもない。
一刀達の、資金管理に気を使う必要がない程の信頼関係が、裏目にでた形になったのであった。

「『傷薬2』20個、『回復薬2』30個、『毒消し』20個、全てOKです兄様!」
「水とタオルと携帯食料、エチケット袋とチリ紙もOKだな」
「じゃあ流琉、これボクの方に半分入れるよー」

ちなみに『傷薬』が軟膏タイプのものであるのに対し、『傷薬2』は湿布タイプである。
傷の治りが早く、しかも受けた痛みを軽減する効果があった。
大神官の手により無から生み出される『傷薬2』は、その割には『回復薬2』と同様に暴利といっても良いくらいの値段であったが、流琉の負担を軽減するためにも、一刀達は金銭的にちょっと無理をしてそれらを使用していた。

ところで、『回復薬2』も『毒消し』も飲料系の薬であり、1個50ml前後の量がある。
それを50個ということは、薬類だけで2.5リットルもあるのだ。
それらを一刀達は、どうやって持ち運んでいるのであろうか。

リュックサックに入れて背負うこと。
それもありであるし、テレポーター前でモンスターと戦う探索者達にそのタイプが多い。
お金を払えば、テレポーター前に常駐しているギルド監督員に預かって貰えるからである。
だが動きに不自由が出るため、一刀達のようにテレポーター前以外を拠点とする探索者や、テレポーターの無い階層に潜る探索者達が採用していることは、あまりない。

バックパッカーを雇うこと。
これは深い階層に潜る探索者達が利用する手段であり、自分達で奴隷を買い入れたり派遣専属店のバックパッカーを雇ったりしている。
だが当然のことながら、自身が剣奴である一刀達にその手段を用いることは出来ない。

この世界に来た当初は、各アイテムが99個ずつ入るような『道具袋』的な便利アイテムがあることを期待していた一刀だったが、今の所はそれもない。
従って一刀に持てる薬や水は、ベルトに付いている袋とベストやズボンにあるポケットに入る分だけである。
しかも先日のように敵からの攻撃を受けたり、転がって避けたりすると、飲料系の薬はダメになってしまう可能性も高い。

ポケット自体は迷宮探索仕様になっているため数が多いのだが、飲料系の薬を限界まで入れたとしても20個程度であり、そんなにぎゅうぎゅう詰めにしたら敵の攻撃を受けた時などに潰される確率が上がってしまう。
よって、一刀は普段は『回復薬2』と『毒消し』をそれぞれ5個ずつ程度しか持っていない。

では、一刀達は大量の薬をどうやって持ち運んでいるのか。

「じゃあ季衣、『反魔』開けて。入れてあげる」
「いいよ、自分でやるから。それより流琉も早く『葉々』開けなよ」

季衣達の鈍器の中身は、細かく区分けされた小物入れになっていたのである。
この発想はなかったファンタジー脳の一刀。
初めてこの光景を見た時は、余りのアレさにどん引きであった。

だが、武器である『贈物』がアイテムを入れられる構造になっている以上、中のアイテムを保護する効果が付与されていることが期待出来るかもしれないと一刀は思い付いた。
尤も、インゴット類を入れる用途にしか使用できないという可能性もあったが。
思いついたことはとりあえず試してみる一刀。
そしてその経験則から、飲料系のアイテムを入れても意外と大丈夫であることを発見したのであった。

「あ、季衣。入れる前に、中をちゃんと拭かないと。いくら『贈物』の効果があっても、攻撃や防御に使った衝撃で中身が漏れちゃうことだってあったんだからね」
「少しくらい漏れてたって平気だよー」
「薬じゃなくってエチケット袋が、だよ」
「ひえぇっ、ちゃんと拭かなくちゃー!」

エチケット袋が破れて大惨事となった『葉々』や『反魔』の中身を想像した一刀。
汚水に塗れた回復薬やタオルを使用せざるを得なくなる日が永久に訪れないことを、切実に祈る一刀なのであった。



季衣達に大半の物資を預かって貰っているため、迷宮探索に赴く一刀の荷物は意外と少ない。
武器防具と身に付けている薬、それにベルトに収納されているボルト類と水の入った革袋、同じくベルトに括りつけられている『珍宝』のみである。

璃々から貰った『珍宝』は青銅の短剣飾りと同じく、どこか不思議な感じのする人形であった。
これはイメージの話ではなく、実際に手に持った時の感覚なのである。
特殊効果のある武器・防具を装備した時にも同じ感覚があることから、間違いなくこの人形にも特殊な効果があるのだろうと一刀は考えていた。

(命を失うようなダメージを受けた時の身代わり人形、みたいな効果だと嬉しいんだけどなぁ)

璃々にとって『珍宝』は初めての『贈物』である。
そんな凄い効果があっても不思議じゃない、と一刀は迷宮探索には必ず『珍宝』を持って行くようにしていた。
だが、『珍宝』は一刀が期待していたような効果を持つ人形ではないことが、雪蓮の手により判明したのである。

「ところで、なんでいつもこの不細工な人形を腰に付けてるのよ」

そう言いながら、『珍宝』を手に取った雪蓮は、顔色を変えた。
雪蓮には、『珍宝』の持っている不思議な感覚と完全に同種のアイテムに心当たりがあったのだ。
一口に『不思議な感覚』と言っても、まるっきり同じような感覚ではない。
DEXアップの装備とAGIアップの装備では感覚も微妙に違うし、同じAGIアップの装備でも補正率によって強弱が異なるのである。

一刀であれば、たくさんのそれらを装備し比べてみる機会さえあれば、その感覚を掴むことが可能であろう。
だが、具体的にステータスの種類や補正率を知ることの出来ない他の人達には、強弱はともかくその質の違いを正確に把握することは難しい。
よって、青銅の飾りも含めて『お守り』としての価値しか見い出せていないのが現状なのである。

それなのに雪蓮が『珍宝』と同じアイテムの感覚を覚えていたのは、それ程そのアイテムが強く印象に残っていたからであった。

「見ていなさい、一刀」

雪蓮は人形を両手で構え、近くまで寄って来ていたマッドリザードに向けて集中した。
その時、満面の笑みを浮かべていた『珍宝』の顔がひっくり返り、怒りの形相を浮かべたのである。
そして、その口からなんと『火弾』が発射されたのであった。



マッドリザードを倒し終えて、雪蓮は一刀に人形を返しながら説明をしてくれた。

「これは、精神力の消耗なしで『火弾』と似たものを無制限に打ち出せるアイテムなのよ。尤も『火弾』に比べて威力が格段に弱くて、遠隔攻撃なら普通に弓を打った方が強いから価値はそんなにないんだけど、それでもレアなアイテムだから結構な値段がするの。評価額は50貫ってとこかしら」
「いや、貰いものだから売らないけどな。それで、なんでその効果に気づいたんだ?」
「うちの亞莎の『贈物』に、同じ効果のアイテムが出たことがあったのよ。それとまったく同じ感じのする人形だったから、試してみたの。もっとも亞茶の『贈物』はモノクルだったんだけどね。あの娘、『火弾』を撃とうと精神を集中させたら、目から火が出て大慌てしたことがあったのよ」

その時のことを思い出しているのか、緩む口元を引き攣らせながら語る雪蓮。
それはさぞかし亞莎もびっくりしたであろう。

「使い方は簡単。アイテムを敵に向けて『火弾』を撃とうを思いながら精神を集中させればいいのよ。試してみなさい」

使用方法さえわかれば、『火弾』を出すのは雪蓮の言う通り簡単であった。
『火弾』を出し終え、表情が笑みに戻る人形を見つめる一刀。

(くそっ、このことを最初から知ってさえいれば……)

そう一刀が思うのも無理はない。
この人形を使用出来ていれば、さぞかし璃々の負担が軽減されたであろう。

だが、そんなことを今更言っても仕方がない。
一刀はがっかりしながら、人形を腰に戻すのであった。



6時間のテレポーター警備が終わり、昨日と同様へとへとに疲れきっていた一刀であったが、すぐに部屋で休むことは出来なかった。
仕事の終わりしなに、雪蓮から呼び出しを受けたのである。
雪蓮に呼ばれる心当たりがあった一刀は、素直にそれに応じた。

(どう考えても小蓮のことだよなぁ……。下手したら、今朝の唾液交換会の話まで伝わってるのかも……)

キスという言い方を避ける余り、余計に淫靡な表現になってしまっている一刀。
そのディープなキスの話が伝わっているかはともかく、一刀をお婿さんにすると面と向かって公言した小蓮が、姉達にそのことを言わない訳がないと一刀は考えていたのだ。
そこにこの呼び出しである。
少なくとも小蓮に対して性的な欲求をぶつける意図はないことを理解して貰わなければ、と思う一刀なのであった。

「今朝はシャオが迷惑を掛けたわね、一刀」
「い、いや、別に、大したことは……」

(全部ばれてるー!)

という一刀の心の叫びは、当然雪蓮には伝わらない。
雪蓮にとっての自分は、幼い妹に手を出した許せない男という認識なんだろうと一刀は思った。
むしろ自分が手を出された側なんだ、という言い訳など家族愛の前では無意味であろうと、一刀は雪蓮に詰られることを覚悟した。
だが、意外にも雪蓮はそのことに対して肯定的であった。

「ちょっと幼すぎるとは思うけど、あの娘ももう子供も産める体なんだし、一刀があの娘を大切にしてくれるなら私は反対しないわ。季衣ちゃん達と一緒に、ちゃんと可愛がってあげるのよ」
「い、いや、俺はそんなつもりは……」
「あら、やっぱりシャオじゃ貴方には幼すぎるのかしら? それじゃ私なんてどう?」
「え? え?」
「うふふ、一刀は私の胸にすっごく興味があるみたいだし。……吸ってみる?」
「ほっ……んと、に?」
「さぁ、どうかしらね?」

成熟しきった雪蓮のおっぱいを凝視する一刀。
そんな一刀の視線がまんざらでもないのであろう、雪蓮も頬を高揚させていた。
だが、童貞の悲しさであろう。
実際に一刀がアクションを起こす前に、時間切れとなってしまったのである。

「待たせたな、雪蓮。一刀ももう来ていたのか、遅れてすまない」
「え、ええ、大丈夫よ冥琳。……もう少し遅れてくれてもよかったのに」
「ん? なにか言ったか? 後半が聞き取れなかったが」
「いいえ、なんでもないのよ。それじゃ冥琳も来たことだし、本題に入るわね」

雪蓮の本題、それは一刀の予想とは異なっていたが、小蓮関連のことであった。

「小蓮が貴方とパーティを組みたいと言っているのだけど、それは許可出来ないのよ。だから、もし貴方のところに小蓮が直接行っても、断って欲しいの」
「すまないな、一刀。もちろん事情は今から説明させて貰う」

冥琳の説明は簡潔であり、すぐに一刀にも事の次第が飲みこめた。

一刀達は、今剣奴達の中では最も七乃に注目されている存在である。
そして雪蓮達のクランも、七乃に注意深く監視されている。
そんな彼等が表向きこれ以上結びつくのは、七乃に危険視されかねないと言うのである。

「例え一刀達じゃなくても、これ以上ウチのクランの人数を増やすことは厳しく禁じられているのよ。でなければ、奴隷市場で貴方達を見つけた時に即座にウチで引き取っていたわ」
「確かあの時は、ギルド員として来てたんだよな?」
「そうよ。優秀な人材を探し出してギルドの剣奴として引き抜くためにね」
「だけど当時の俺達には実力なんてまったくなかったし……。ああ、勘よ! ってやつか」
「ふっ雪蓮。決めセリフを取られてしまったな」
「うるさいわよ冥琳。でも本当に私の勘は凄いわね、我ながら恐ろしいわ。貴方達だってすぐに頭角を現してきたし」

という雪蓮達とのやりとりの間も、一刀は七乃の思考について考えていた。
雪蓮達と自分達の結びつきを恐れているのだと冥琳は言う。
だがそれならば、今回の依頼だって共同作業などさせなければいいのだ。
そう思う一刀だったが、七乃の意味深な言葉を思い出した。
七乃が言った『一刀達に対するテスト』の方が、このことよりも重要事項だったのであろう。

だが、それでも一刀には疑問があった。
雪蓮達がそれだけの事情で自分達の取り込みを素直に諦めるのか、ということである。
もし自分が雪蓮であったならば、3000貫の季衣達はともかく、800貫の一刀だけでも自分達の金で解放し、自由の身にさせた上で色々と協力させるだろう。
なにもクランに入れなくても出来ることはあるだろうし、一刀はそうさせるだけの価値を雪蓮達に示しているはずである。
そしてもちろん雪蓮達も、その選択肢を考慮した上で外していたのだ。

「貴方のお陰で、今私達のクランはとても大事な時期を迎えているのよ。普段ならちょっとくらい危険を冒してでも貴方の取り込みを考えるのだけど、今は僅かでも不審がられる動きを見せたくないの」
「800貫の金が動けば、それだけで七乃の目に止まってしまう。お前が自力で稼ぐには少し高すぎる金だ。どんな工作をしても、必ず疑いの目が向けられるだろう」
「一刀、こないだ勝手なお願いをしたばかりなのに、またこんなことを頼むのは申し訳ないんだけど……」
「この作戦が成功したら、今までの分の借りは返すと約束する。どうか了承して貰えないか?」

一刀に向かって真摯に頭を下げる雪蓮と冥琳。
こんな2人の頼みを、一刀が聞かないわけがなかった。

「頭を上げてくれよ、2人共。話は分かったよ。ていうか、もし小蓮が俺達のパーティに入りたいって言い出しても、多分断ってたと思うし。だって小蓮が抜けたら、蓮華達のパーティがその分危険になるだろ?」
「ありがとう、一刀!」
「私からも礼を言わせてもらおう、一刀」

思いっきり一刀に抱き付き、その唇に感謝の気持ちを乗せる雪蓮。
ご褒美のつもりなのか、一刀の手を取って自分の胸に押し当てる冥琳。

(ふぉおぅ、体に柔らかいものが! って、てて、手が! マシュマロが!)

ゲームの世界かと思ったら、実は桃源郷だった。
ロリプニ幼女にはない、何か素晴らしいものの片鱗を味わってしまった一刀なのであった。



**********

NAME:一刀
LV:11
HP:150/150
MP:0/0
WG:15/100
EXP:2792/3000
称号:幼女アナライザー

STR:12
DEX:16
VIT:12
AGI:14
INT:14
MND:10
CHR:13

武器:アイアンダガー、スナイパーボウガン+1、アイアンボルト(100)
防具:レザーベスト、レザーズボン、レザーブーツ、レザーグローブ、レザーベルト

近接攻撃力:57
近接命中率:44
遠隔攻撃力:71
遠隔命中率:43(+3)
物理防御力:42
物理回避力:43

【武器スキル】
デスシザー:格下の獣人系モンスターを1撃で倒せる。
ホーミングブラスト:遠隔攻撃が必中になる。

所持金:26貫300銭



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