!! 警告 !!
今までの話と全く異なり、ダークというかホラータッチというか欝です。
死人も山のように出てきます。
救いもありません。
それでもよいという方のみお読みくださいますようお願いします。
頭文字F
ゲロッ……ゲロゲロ
現れたのは一匹の蛙(Frog)です。
モンモランシーの召喚した生物と一緒ですが、受け入れる人間が違います。
ルイズは蛙が大の苦手。
傍にいるのも見るのも嫌だというのに、手にしたりキスしたりできるはずがありません。
「イヤーーーーーーッッ!!」bomb!!
自分が召喚したというのに、蛙を見るなり爆死させてしまうルイズでありました。
「せ、先生。召喚は日を改めて行いたいと思います」
さすがに動揺を隠せないルイズがコルベールにお願いしています。
というより、もはや有無を言わせぬ感じで言い放っています。
「わかりました。
それでは、明日授業が終わったら私の小屋にくるように」
コルベールも、元々明日にしましょうと提案していたほどですから、ルイズの申し出を快く受け入れます。
こうしてその日の授業は終わりました。
残された広場で爆死させられた蛙の小さな目が、恨めしそうにルイズを睨みつけていたのは誰も気付かないことでした。
次の日、授業を終えたルイズが言われたとおりにコルベールの小屋に出向きます。
トリステインには珍しい、機械油っぽい雰囲気の小屋です。
あまり好き好んで近づくことはない小屋ですが、きょうは授業の一環ですから仕方なしに小屋を訪れます。
「コルベール先生」
ルイズはドアの前でノックをして、声をかけますが返事がありません。
「先生?」
怪訝に思いながら扉をゆっくりと開けると、机の上に昨日自分が召喚した蛙が乗っているではありませんか!
悪夢としかいえません。
「イヤーーーーーーッッ!!」bomb!!
またまた蛙を爆死させてしまったルイズ、逃げるように自分の部屋に走っていってしまいました。
その日、夕飯にやってこないルイズを心配して、キュルケとタバサがルイズの部屋を訪れます。
「ねえ、ルイズ。食事にもこないでどうしたの?」
ベッドの上で毛布を被ってぶるぶると震えているルイズに、キュルケが心配そうに尋ねます。
「蛙が、蛙がいるの。爆発させても戻ってくるの」
ルイズが毛布に篭ったまま答えます。
「そんなはずないじゃない」
尚も話しかけるキュルケに、ルイズは毛布から出てきて、
「いたんだから!コルベール先生の小屋に行ったら、昨日と同じ蛙が机に乗っていたんだから!」
と泣き叫びます。
「そういえば、コルベール先生も今日はいなかった」
タバサがぽつりと言います。
キュルケがルイズとの話を続けます。
「でも、蛙なんてどれも似たようなものだから見間違えたんじゃないの?」
「違う!絶対同じ蛙だった!」
「そ~お?それってこんな姿だった?」
キュルケがにやっと嗤うと、キュルケとタバサがいたところに赤と青の蛙が一匹づつ佇んでいるのでありました。
「イヤーーーーーーッッ!!」bomb! bomb!!
またまた蛙を爆死させるルイズ、人がたくさんいる場所に逃げ込もうとします。
まだ、殆どの生徒、教師は食堂にいると思ったルイズ、食堂目指して走り続けます。
「オールド・オスマン!!」
「おー、ミス・ヴァリエールではないか。
どうしたのじゃ?」
ルイズの予想通り、食堂にはまだ大勢の人々が残っていました。
「蛙が襲ってくるんです!どんなに逃げても襲ってくるんです!!」
泣きながらオールド・オスマンに訴えるルイズです。
「そうか。それはこんな蛙じゃったかな?」
オールド・オスマンがそういうと、食堂にいた人々が全て蛙に変わってしまいました。
「イヤーーーーーーッッ!!」bo,bo,bo,bo,bomb! bomb!! booooooooooomb!!!!
それからルイズは厩に走っていきます。
「助けて!助けて!お母様、ちい姉さま、助けて!!」
ルイズは泣きながら馬に跨り、自分の家を目指してわき目も振らず、馬を走らせます。
道中蛙が見えた気がしたら、有無を言わさずそれを爆死させます。
そうやって、どうにか自分の城に辿り着いたルイズでありました。
「お母様!」
悲愴な面持ちで飛び込んでくるルイズをしっかりと抱きしめながらカリーヌは問いかけます。
「どうしたのですか、ルイズ?
学院はどうしたのですか?」
「蛙が襲ってくるんです!みんな蛙になって襲ってくるのです!!」
ルイズは泣きながら訴えます。
そんなルイズをカリーヌは優しく抱きしめながら慰めるのです。
「ルイズ、あなたは疲れているのです。
ゆっくりお休みなさい」
やはり母親たるもの、こういうときは優しいです。
「その通りだ」
いつの間にかやってきたヴァリエール公爵、娘達には甘々なので悲愴なルイズをしっかりと肯定します。
「こんな風に人間が蛙に変わることはない」
「…え?」
公爵の台詞に違和感を感じたルイズが父親を見てみると、さっきまでそこにいたはずの公爵は既に消失して、そこには一匹の蛙がいるのみでありました。
「そ、そんな……」
驚くルイズを更に追い詰めるようにカリーヌも
「そうですよ、こんな風に人間が蛙に変わることはないのですよ」
と言って、見る見るうちに蛙に変わってしまいました。
見れば周りの召使なども全て蛙です。
「いや…………いや……イヤイヤイヤイヤーーーーーーッッ!!」bo,bo,bo,bo,bomb! bomb!! booooooooooomb!!!!
ルイズは蛙を全て爆殺するとカトレアの許に走ります。
「ちい姉様!!」
カトレアは部屋にいました。
普段と変わらず、優しそうな表情をしています。
「あら、ルイズではありませんか。
いつの間にか戻ってきていたのですね。
下で爆発した音がしたのですが、何かあったのですか?」
が、ルイズはすぐにカトレアに走り寄ることなく、本物のカトレアかどうか確認しようとします。
「ちい姉様は本物ですよね?」
「当たり前でしょう。どこからみても私でしょ?
こんな風に蛙に変わることはありませんよ」
そういうなり、カトレアも蛙に変わってしまいました。
「イヤーーーーーーーーーーーーーーーーッッ!!」bomb!
カトレアから変わった蛙を爆殺した瞬間、蛙の満足そうな笑顔が見えた気がしたルイズです。
「え?」
部屋を見れば、そこにあったのは蛙の死体ではなく、ルイズに殺されたカトレアの死体。
体は吹き飛び、頭だけがころころとルイズの足許に転がってきています。
「そ、そんな……そんなことが…………そんなことが………………」
ルイズが学院生や教師を爆殺させ、逃亡していったという話を聞いたエレオノールはヴァリエール城に大慌てで向かいます。
道中、爆死した死体が数多くあるのを見たエレオノールはいやな予感を抱きつつ、更に移動を速めます。
「ちい姉さま。今日は顔色がよろしいのですね。
髪を梳いて差し上げますわ。
ちい姉さまの髪はいつもとてもお美しくて……
そうそう、今日はお天気がいいので、お庭の散歩に行きましょう♪」
「ルイ……ズ………………」
城で、エレオノールが見たものは爆死した両親や召使たちの死体と、カトレアの頭を抱いて、気が狂ってしまったルイズだったのでした。