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No.10824の一覧
[0] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記 旅情編』(リリカルなのはSTS 再構成 壊れ ギャグ ハレム気味)[A.K](2010/10/14 22:00)
[1] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 続…。[A.K](2009/08/12 19:04)
[2] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 続続…。[A.K](2009/08/12 19:04)
[3] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 また又…。[A.K](2009/08/12 19:05)
[4] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 新…。[A.K](2009/08/12 19:06)
[5] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 ニュー…。[A.K](2009/08/16 18:27)
[6] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 痛快…。[A.K](2009/08/16 18:52)
[7] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 仕掛人…。外伝の1 温泉[A.K](2009/08/20 20:09)
[8] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 仕置人…。[A.K](2009/08/24 16:33)
[9] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 助け人走る…。[A.K](2009/08/24 16:34)
[10] 『狂気の科学者とその仲間達奮闘記』 仕留人…。[A.K](2009/08/25 17:38)
[11] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘気』 仕事屋稼業…。外伝の2 パソコンかわったよ。[A.K](2009/09/01 01:58)
[12] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 仕業人…。[A.K](2009/09/01 02:00)
[13] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 からくり人…。[A.K](2009/09/03 22:35)
[14] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 動き始めた時間[A.K](2009/09/03 22:35)
[15] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 新しい友達の名は?[A.K](2009/09/06 00:59)
[16] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 外伝の3 別れと決意[A.K](2009/09/06 01:02)
[17] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 そして伝説へ…。[A.K](2009/09/11 22:39)
[18] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 敵の名は恭也。[A.K](2009/09/14 21:49)
[19] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 強さの意味。[A.K](2009/09/20 01:59)
[20] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 戦い終わって。[A.K](2009/09/20 02:00)
[21] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 守護騎士たちとアンリ。[A.K](2009/09/23 00:28)
[22] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 蒐集。[A.K](2009/09/24 17:41)
[23] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 短編だよ全員集合。[A.K](2009/09/26 22:25)
[24] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 闇の書或いは夜天の書。[A.K](2009/10/05 16:31)
[25] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行(前)[A.K](2009/10/05 16:34)
[26] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行(中)[A.K](2009/10/21 23:16)
[27] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行(後)[A.K](2009/10/21 23:18)
[28] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 なんとなくいやらしいの…。(なのは談)[A.K](2009/11/09 00:11)
[29] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 再会…。[A.K](2009/11/09 00:12)
[30] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 短編 クリスマス前のこと。[A.K](2009/11/20 21:18)
[31] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 想いの力…。[A.K](2009/12/09 21:09)
[32] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 決戦、そして決着。[A.K](2009/12/09 21:07)
[33] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記』 狂気の科学者とその仲間たち奮闘記。[A.K](2009/12/13 23:05)
[34] 短編集 少し後の話し。[A.K](2009/12/27 22:04)
[35] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』(リリカルなのはsts再構成 壊れ ギャグ ハレム気味) 序 新しい家族。[A.K](2010/01/01 17:36)
[36] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第一話 良くある日常、誰もが望む日々。[A.K](2010/01/05 20:16)
[37] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第二話 鯑、数の子、ナンバーズ。[A.K](2010/01/12 22:17)
[38] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第三話 ようこそスカリエッティ家へ。[A.K](2010/01/17 21:37)
[39] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第四話 教会に行こう![A.K](2010/01/17 21:38)
[40] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 番外編 アンリとヴィータのめくるめく日常のお話。[A.K](2010/02/16 18:37)
[41] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第五話 ディープ・インパクト。[A.K](2010/02/18 21:08)
[43] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第六話(真) 結ばれる思い家族と言う名の絆。[A.K](2010/03/03 00:38)
[44] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第七話 スカリエッティ家の長い一日。[A.K](2010/03/03 00:56)
[45] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第八話 中学生になりました。[A.K](2010/03/04 21:48)
[46] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ ざ・むぅびぃ』 スカリエッティ家と灰色の王とその騎士達 上[A.K](2010/05/21 18:41)
[47] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ ざ・むぅびぃ』 スカリエッティ家と灰色の王とその騎士達 中[A.K](2010/05/21 18:40)
[48] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ ざ・むぅびぃ』 スカリエッティ家と灰色の王とその騎士達 下の上[A.K](2010/06/25 01:35)
[49] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ ざ・むぅびぃ』 スカリエッティ家と灰色の王とその騎士達 下の下[A.K](2010/06/25 23:16)
[50] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』第九話 旅と言えばロマンスです。[A.K](2010/06/30 22:36)
[51] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』第十話 なのはおちる…、そして。[A.K](2010/07/22 16:51)
[52] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第十一話 兄妹と姉妹。[A.K](2010/07/22 16:53)
[53] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 こうしてみれば良くある日常かも知れない短編集。[A.K](2010/07/31 23:13)
[54] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 Σ』 第十二話 旅立ち。(第二部終了)[A.K](2010/08/28 20:58)
[55] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』(リリカルなのはSTS再構成 壊れ ギャグ ハレム気味)[A.K](2010/10/14 21:59)
[56] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第二話 テスタロッサ家の一日[A.K](2011/03/05 21:44)
[57] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第三話 聖王との出会いと一枚の写真[A.K](2011/03/05 21:44)
[58] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第四話 実家に帰らせて貰います。[A.K](2011/04/03 21:13)
[59] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 番外編  その頃のあの人達。[A.K](2011/04/11 22:37)
[60] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第五話 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行 STS篇の1[A.K](2011/04/11 22:39)
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[10824] 『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第五話 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行 STS篇の1
Name: A.K◆d4ad473b ID:9df86d6d 前を表示する
Date: 2011/04/11 22:39
「「う~ん…」」

海鳴にあるとあるスーパー、スカリエッティ家がよく利用しているその店の中で、二人の子供が胸の前で腕を組んで小首をかしげていた。二人は真剣に悩んでいるのだろうが、小さな子供が腕を組んでいる姿はとても可愛らしく、周りにいるお客達も微笑ましく見守っている。

「これにしようかな~」

「コメットはこっちの方が良いと思うの」

その二人は、高町コメットとヴィヴィオ・スカリエッティの二人だった。二人はアンリから夕飯のお使いを頼まれスーパーにやってきたのだが、アンリからお駄賃として一人一個菓子を買っていいと言われていた。
そのお菓子を選ぶのにかれこれ十分ほど悩んでいるのだが、未だに決めきれていないのだ。

「ヴィヴィオはジャイアントカプリ○にする!」

「コメットは甘栗○いちゃいましたにするの」

悩むこと十五分、やっとこ二人は買う物を決めることが出来たようで、アンリに頼まれていた物と一緒に、レジへと持っていき精算を済ませるとスーパーの外へと出て行く。

「トメさん待たせてごめんね?」

「グゥ」

二人が外へ出るとそこにはトメさんが待っており、無事お使いをすませて戻ってきた二人に頬をすり寄せていく。二人はかわりばんこにトメさんへと抱きつき、それが終わるとトメさんの背に跨り帰路につくのだった。
スカリエッティ家の年少組、コメット、ヴィヴィオ、ルーテシアはよくお使いを頼まれる。ヴィヴィオはここに来てからになるのでまだ一週間程なのだが、コメット、ルーテシアは母親に頼まれてよくお使いにいく。
だが、父親の方は気が気でないらしくいままで培ってきた技術を使い、本人達にばれないようにこっそりと影から見守っていたりするのだが、はっきり言って技術の無駄遣いである。
子供達は自分たちにも出来ることがあると喜んでいるので、影からこっそり見ているのがばれると口をきいてもらえなくなるのため、父親達は割と真剣だったりする。
実際に、今日も恭也がこっそりと二人を影から見守っているのだが、コメットとヴィヴィオだけではなく道行く人でさえ恭也の存在に気がついている者はいなかった。

「「ただいまー!」」

こっそりと恭也が見守っている中、二人は無事家に着くとトメさんの背中から降りて玄関に入っていき、玄関にはいると同時にそこで待っていたアンリに二人同時に元気にただいまの挨拶をする。

「二人ともお帰りなさい。危ないことは無かったですか?」

「うん! トメさんがいてくれるから大丈夫だよ」

ヴィヴィオは荷物をアンリに渡すと、そのまま正面からアンリに抱きつき、一歩出遅れたコメットは荷物を受け取るためにしゃがんだアンリの背中に張り付いていく。
アンリは荷物を持ったまま器用に二人を落とさないように立ち上がると、買ってきてもらった物を仕舞うために奥へと入っていき、その後ろにトメさんが小さくなってついていく。

「今日は母が鶏の唐揚げを作ってくれてますよ」

「ママが!?」

アンリの言葉にヴィヴィオは小躍りをしそうなくらいに喜んでいる。ヴィヴィオ三歳、基本的に好き嫌いはないが好物の一つにチンクの作った鶏の唐揚げがある。
昔ながらの、唐揚げ粉を使ったシンプルなものなのだがヴィヴィオは特にお気に入りだった。

「はい。もう少しでご飯になると思いますから、買ってきてもらった物をしまったら一緒にまってましょうね。コメットもトーレ姉さんに言ってますから、今日は僕たちと一緒にご飯です」

「はい!」

アンリの言葉に、背中に張り付いたままのコメットは元気よく返事をする。

そして、ご飯までの短い時間を三人は楽しく過ごすのであった。

「トメさんもお疲れ様でした」

「グル」



『狂気の科学者とその仲間たち奮闘記 旅情編』 第五話 ドキッ!? 魔導師だらけの温泉旅行 STS篇の1

「みなさーん、忘れ物はないですかー?」

「「「「「「「はーい!」」」」」」」

例の如くバスガイドのコスチュームに身を包んだクアットロが車内を見渡して声を掛け、子供達が元気よく返事をしている。いま現在スカリエッティ家と高町家、それにアリサ・バニングス、月村すずかを加えた一行は一路温泉宿を目指していた。
今回は仕事の都合で、グレアムとリーゼ姉妹、レジアス親子が不参加となっている。

何故急に温泉旅行に行こうとなったのかというと、特に深い意味はなくいつもの如くスカリエッティの思いつきである。新たな家族が増え、ナンバーズの残りの姉妹ももう少しで全員が起き忙しくなり予定が立てにくくなると言うことでその前に一度全員で温泉にいこうと言う事になったのだ。

「アンリちゃんがいつのまにかパパになってる…」

「気がつけば家族がすっごい増えてる…」

楽しい車内にあって、すずかとアリサの頭の上にはどんよりと雲がかかっていた。そんな二人の視線の先には、頭の上にフリードを乗せ、両肩にアギトとリィン、膝の上にはコメットとヴィヴィオを抱いているアンリの姿がある。
その横にはルーテシアとキャロが座って仲良く話をしていた。ルーテシアはなかなか独特の感性を持っており、今のところそれに付合うことの出来る人物はメガーヌ、アンリ、キャロ、ヴィヴィオ、コメットとなっている。
他の母親達もそれなりには大丈夫なのだが、それでも先の五人に比べれば一歩譲ってしまうのだった。

「二人とも元気出して?」

そんな暗い雰囲気の二人を宥めているのはフェイトだった。だが、この場合その人選は大きな間違いである。

「フェイトちゃんはいいよ。ヴィヴィオちゃんに『ママ』って呼んでもらえてるんだもの…」

「そうよね…。うう、まさか純情天然娘のフェイトに先を越されるなんて…」

すずかとアリサの視線にフェイトは恥ずかしそうに顔を真っ赤にして俯いてしまい、そんな三人を見てなのはとはやては苦笑いをする事だけしかできなかった。

「なのはちゃんは、フェイトちゃんがママって呼ばれてもええの?」

「うん。ヴィヴィオが呼んでくれないなら、呼んでくれるように努力するだけなの」

「えらい前向きやね。さすが姐さんや」

はやての言葉になのははまたもや苦笑いを零してしまう。なのはの無駄に溢れる男気に惚れたヴィヴィオは、なのはのことを『姐さん』と呼んで慕っており、ママと呼んでいるフェイトよりも慕っているかも知れないほどなのだ。
なのは自身も慕ってくれるのはとても嬉しいのだが、なんとか呼び名だけは変えてもらおうと思いヴィヴィオを説得しているのだが、今のところ成果は上がっていなかった。


「ねぇチンク、アンリちゃんはいつまで旅に出てるの?」

「アンリが言うには、あと二年ほどは色々と見て回るそうだ」

子供達から少し離れたところでは、母親達が世間話に華を咲かせていた。話題は自分たちの子供の話になり、高校を出たらどんな職業につくのか、と言う話になっている。

「フェイトとなのはは高校卒業後の進路は決まっているのか?」

「フェイトは決まっているわ」

「なのはにもお勧めの職業があるのよね」

チンクの問にプレシアと桃子は小さく笑いを浮かべながらそう言うと、声を揃えて同じ答えをいった。

「アンリのお嫁さんよ」「アンリちゃんのお嫁さん」

その話を聞いていたのか、少し離れたところでなのはとフェイトが顔を赤くしながらもじもじとしているが、いやがってはいないようだった。

「そういうチンクはアンリがどんな職業に就きたいのか知ってるの?」

「うむ。と言うよりもすでに準備を始めてるぞ? アンリは旅が終わったらシャマルと一緒にミッドチルダに動物病院を開院する予定だ。土地も購入しているし、建物の設計も始めている」

と、チンクが言い切る前に、プレシアと桃子はどこから取り出したのか看護師の資格を取る手続きが載っている冊子を我が子に見せていた。

「「基本はミニスカナースよ」」

さらに間違った知識までも吹き込んでいる。そんな親友二人をチンクは呆れたように見ながら、視界の隅でやっちゃんとクアットロに詰め寄られているシャマルは見ないことにした。


「へぇー、ユーノさんは色々な世界に言ったことがあるんですね」

「うん。色々な世界で色んな物を見て回ったけど、この国みたいに平和な所はあんまり無かったかな?」

そんな母親達から少し離れたところではエリオとユーノがノンビリと話をしていた。最初アンリも此処にいたのだが、子供達の相手に忙しく今は別の場所に座っている。

「でも、ここの家の人はみんな優しいですね」

「うん。僕も最初家族になろうと言われたときには凄く驚いたけど、家族になって本当によかったって思ってるよ。こんなに騒がしくて賑やかで、…暖かい家族は他にないと思うからね」

そう言うユーノは照れているのか、頬をほんのりと染めており、エリオも同じ思いなのかうんうんと首を縦に振っている。そして、本人はさりげなくしているつもりなのだろうが、その会話をウーノが耳をダンボにして聞いている。

「ねぇ、ウーノ」

「しっ! 黙ってて!」

そんなに気になるのなら直接聞けばいいのに、と言おうとしたドゥーエだったがウーノはそれどころではないと話を聞こうともしなかった。


「ほぉ、アンリはそれほどまでに腕を上げたか」

「ああ、完全に守りに入られれば私とヴィータの二人では守りを抜くことは出来なくなった」

そして、更に少し離れたところでは、ヴォルケンさんの面々が何やら話し合っていた。特にザフィーラはアンリがどれだけ成長したかに興味があるようだった。

「流石アンリちゃんですね」

シャマルも何とかクアットロとやっちゃんの手から逃れ話しに参加している。髪やら服やらが乱れていることには、気がつかないのが情けというものなのだろう。

「まぁ、あたしとシグナムと毎日三人で特訓してたからな」

アンリの事なのに、まるで自分の事のように偉そうにしながらヴィータは自慢げに胸を張っており、シャマルとザフィーラは生暖かな目でそれを見ている。

「そうか、ならば次からはそこに私も加えてもらうとするかな」

「ほう、調整の方はもう良いのか?」

「問題ない。いまならアンリとも問題なくユニゾン出来る」

ザフィーラの質問にやっちゃんは小さく笑いながらそう答えた。元夜天の書管制人格やっちゃん、現存する最古のユニゾンデバイスであり、その知識量たるや生半可なものではなかった。
魔法の蒐集を目的として作られただけのことはあり、今では失われた魔法でも使うことが出来るのだ。本人の戦闘能力自体もかなり高いのだがやはり本質はユニゾンデバイスであり、ユニゾンしてこそ本来の実力が発揮できるのだった。
そして、アンリの中には古代ベルカの王達のDNAが受け継がれていることもあり、ユニゾンする事に関しては大きな問題はなかった。しかし、細かな調整は必要なためいままでスカリエッティに調整を受けていたのだ。細かな調整といえども、かなり神経を使うものでさもすればやっちゃんも挫けそうになったのだが『あなたと合体したい』を合い言葉に、今日まで頑張ってきたのだ。

やっちゃんはこれから先に待っているバラ色の未来に夢をはせているのか、だらしくな顔を緩めて涎を垂らしている。そのあまりの緩みように他のヴォルケンさん達はどん引きしていた。


そして、バスの一番後ろではお父さん連中が酒盛をしていてすでに日本酒のビンが十本以上開いており、その場にいるゼスト、士郎、恭也、スカリエッティの四人はすでに言葉ではない言葉で会話している。


「ねぇパパ、山の斜面に沢山のワンちゃん達がいるよ?」

アンリに抱っこされているヴィヴィオが山に沢山の犬と熊たちが集まっているのを見つけ、アンリも同じように犬たちが集まっている場所に視線を向けると、そこには懐かしい面々の顔があった。

「銀さんです。あ、あっちには赤さんもいます!」

アンリは懐かしい顔に出会ったことに喜び窓を開けて手を振ると、それに答えるかのように犬と熊たちが遠吠えを上げている。すると少しして、近所の人達が通報したのか警察がサイレンを鳴らしながら銀達の集まっている場所に向かっていくのだが、すでに犬と熊たちは軍隊並みの纏まりをみせてその場からいなくなっていた。

「アンリの知合いなの?」

「はい。銀さんも赤さんもとってもいい人ですよ」

アンリは久々の再会に上機嫌になり、そんな機嫌の良いアンリを見てコメットとヴィヴィオの機嫌が更に良くなっていく。まさに幸せスパイラル。

「ルーちゃんは犬さんや猫さんは好きなの?」

「好き。でも兄が一番好き」

ルーテシアはそう言うと、横に座っているアンリの服の裾を握りさりげなく自分の事をアピールしている。基本ルーテシアはあまり我が儘を言わないのだが、アンリの事に関しては結構自己主張をすることがある。

「キャロは、好き?」

「私も犬さんや猫さんは好きですよ」

「兄のことは?」

「アンリさんですか? アンリさんはお兄ちゃんて感じがするから好きだよ」

「コメットもアンリのこと好き!」

「ヴィヴィオもパパのことは好き!」

そして、キャロとルーテシアの二人もアンリの膝から降りると、二人の話に加わってわいわいと賑やかにしている。アンリはそんな子供達を見ながら、頭に乗っているフリードを膝に抱いて頭を撫でると嬉しそうに声を上げるのだった。


「トメさんはアンリちゃんのことよくしっているんですね」

「グゥ」

そして、バスの一角ではメガーヌが小さくなっているトメさんを膝に抱き世間話をしている。メガーヌはトメさんの言っていることがはっきりと解っているうちの一人で、よくこんな感じで世間話をしている姿を見ることが出来る。

「なんでメガーヌさんはトメさんの言ってることがわかるんだ?」

「ノーヴェちゃん、言葉遣い」

「わかるんでだですか?」

「う~ん、これはあれね。一度ヴィータちゃんと一緒にみっちり勉強する必要があるわね」

メガーヌの言葉を聞いてノーヴェはしまったという感じの表情をし、ヴィータは恨めしそうにノーヴェに視線を送っていた。
ノーヴェはクイント・ナカジマのクローンである。そのことはノーヴェ本人もしっているのだが、クイントの親友であるメガーヌはそんなノーヴェの事をとても気に入っており、今日も自分の横の席に座らせていたりする。
そして事あるごとにノーヴェをもっと女の子らしくしようの会をひらくのだが、今のところこれと言った成果は上がっていなかった。

そんなこんなで楽しいバスの時間を満喫しながら、バスは目的地に向かって行くのだった。因みにバスの運転は自動となっており、後にその周辺では運転手のいないバスが走る。という都市伝説が出来ることになるのだった。

そして、やってきました温泉旅館、一同はバスから降りると各々荷物を持ち玄関へと入っていく。初めてここに来る子供達は、見慣れない風景にテンション上がりっぱなしである。

「葵屋旅館にようこそいらっしゃいました」

「今日からお世話になります」

「まぁまぁ、あの小さかった坊ちゃんが大きくなって。本当に良くいらっしゃいました」

女将は以前アンリ達が来たときのことを覚えているのか、懐かしげにアンリ達のことを見ていた。まぁ、これだけ騒がしい大家族なので忘れると言うことの方が難しいかも知れない。

「やー! コメットもアンリと一緒の部屋が良いの!」

「こらコメット、あまりみんなを困らせたら駄目だぞ」

そして、部屋割りの段階になり、基本各家族事に別れる事になったのが、コメットが駄々をこね始めてしまった。
チンク、アンリ、ヴィヴィオ、キャロの部屋、高町恭也一家、プレシア一家、スカリエッティ一家、ドゥーエとはやての二人とヴォルケンリッター、ゼスト一家とアギト、そしてなぜかノーヴェは此処にいる。高町一家、アリサとすずかは高町一家と同じ部屋になっている。そして、残りのナンバーズプラスやっちゃんといった感じに別れている。
コメットはアンリについていこうとしてトーレに抱き上げられてしまい、別の部屋に連れて行かれそうになり泣き始めてしまったのだ。
いつもならトーレが言えば聞くのだが、今日はなかなかに手強いようだった。

「コメット、いい加減にしないか」

そして、あまりにも聞き分けのないコメットに対し、とうとう恭也が出てきてしまった。基本恭也はコメットに甘い、甘すぎる、だだ甘だ。それでも、悪いことをしたり我が儘が過ぎれば怒るのだ。

「お父さん…」

「どうして母さんの言うことが聞けないんだ? アンリも部屋に遊びに来たらいいと言っている。もう会えないわけではないんだ。なのに、なぜそんなに聞き分けの無いことを言って母さんを困らせるんだ?」

恭也は特に声を荒げて言うわけではないが、しっかりとコメットの目を見ながら話しかけ、コメットは自分でも我が儘を言っているという自覚があるためか、今にも泣きそうな表情をしている。

「どうしてもアンリと一緒が良いというのなら、好きにしなさい」

恭也はそれだけ言うと鍵を受け取り自分たちの部屋の方に移動しようとしたのだが、その恭也の芦に床に降ろされたコメットが抱きついていく。

「どうした? アンリの所に行くのではないのか?」

恭也の言葉にコメットは目に涙を浮かべたまま首を横に振り何も言わなかった。恭也にしても本当に怒っているわけではないのだが、コメットは何も言わずに恭也の足に抱きついていた。
恭也もトーレも悪いことをすれば注意し、コメットも自分が叱られれば次からは悪いことはしないようにするので、恭也がコメットを叱るようなことはあまりないのだ。

「ほらコメット、あまり泣いていると可愛い顔が台無しだ。そんなんだとアンリに嫌われてしまう、それでも良いのか?」

「…嫌」

「アンリには後で一緒にお風呂に入ってもらうように父さんから言っておくから、それまでにはいつものコメットに戻れるな?」

コメットは泣き顔が見られるのが恥ずかしいのか、恭也の首元に抱きつきながら小さく頷いていた。そんなコメットに苦笑しながら、恭也は視線でアンリに後で頼む、と合図を送り、アンリは笑顔でそれを承諾するのだった。

そんな一コマもあったが、チェックインも無事終わり各々が自分たちの部屋へと移動していき、これから波乱の温泉旅行が幕を開けるのだった。





※後書き
桜咲く時期になりました。いまだ不自由な生活を余儀なくされている方もいらっしゃると思いますが、皆様いかがお過ごしでしょうか? 作者です。
こないだGEOでホラー映画を捜していると、以前見たホラー映画の2作目が出ていました。パッケージで内容を確認すると、流石B級といった感じの、想像通りの内容でした。
それはさておき、恒例の温泉旅行に出たスカ山家、先ずは銀さんと赤さん達によるお出迎えでした。先ずは短いですがその2に続きます。
ではまた。

※※注意書き
この作品に出てくる人物設定、世界設定は作者の都合で原作と変更になっているところがあります。と言うよりも変更になっているところの方が多いのでお気をつけ下さいませ。


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