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No.1066の一覧
[0] FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2023/02/20 20:54)
[1] Re:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/24 22:22)
[2] Re[2]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/06 01:19)
[3] Re[3]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/12 07:46)
[4] Re[4]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/12 13:30)
[5] Re[5]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/14 12:13)
[6] Re[6]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/14 12:47)
[7] Re[7]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/15 23:15)
[8] Re[8]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/20 23:22)
[9] Re[9]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/20 00:12)
[10] Re[10]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/20 23:25)
[11] Re[11]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/20 23:52)
[12] Re[12]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/25 21:09)
[13] Re[13]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/26 07:35)
[14] Re[14]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/27 01:24)
[15] Re[15]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/27 03:09)
[16] Re[16]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/26 22:42)
[17] Re[17]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/27 20:40)
[18] Re[18]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/05/30 22:29)
[19] Re[19]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/02 20:36)
[20] Re[20]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/03 02:38)
[21] Re[21]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/03 02:54)
[22] Re[22]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/09 01:23)
[23] Re[23]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/23 20:36)
[24] Re[24]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/26 22:43)
[25] Re[25]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/10 04:51)
[26] Re[27]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/23 19:44)
[27] Re[28]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/14 20:46)
[28] Re[29]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/16 12:48)
[29] Re[30]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/24 01:17)
[30] Re[31]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/24 01:18)
[31] Re[32]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/24 01:40)
[32] Re[33]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/24 11:01)
[33] Re[34]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/06/29 04:26)
[34] Re[35]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/01 09:38)
[35] Re[36]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/01 09:46)
[36] Re[37]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/01 21:31)
[37] Re[38]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/02 23:37)
[38] Re[39]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/07 21:16)
[39] Re[40]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/08 14:23)
[40] Re[41]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/08 14:18)
[41] Re[42]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/22 23:32)
[42] Re[43]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/26 21:20)
[43] Re[44]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/26 21:44)
[44] Re[45]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/28 23:23)
[45] Re[46]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/04 17:47)
[46] Re[47]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/07/31 23:12)
[47] Re[48]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/04 20:21)
[48] Re[49]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/13 23:57)
[49] Re[50]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/16 10:33)
[50] Re[51]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/16 20:15)
[51] Re[52]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/17 07:32)
[52] Re[53]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/18 08:31)
[53] Re[54]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/19 01:55)
[54] Re[55]:FATE/IN THE DARK FOREST[SHELLFISH](2007/08/26 15:32)
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[1066] Re[36]:FATE/IN THE DARK FOREST
Name: SHELLFISH◆2635bb85 ID:d07f53ca 前を表示する / 次を表示する
Date: 2007/07/01 09:46
「は、ぐうぅぅ、ギ―――」
 焼けた火箸で脳味噌を掻き回される様な、痛み。
 いや、痛みではない。
 既にその領分を超えている。
 感じることが出来るのは、不快感と、恐怖。
 己の存在が、全く別のものに摩り替えられるような、危機感。
『魔術師っていうのはね、自滅さえ覚悟なら限界なんて簡単に超えられる。魔術回路を焼き切らせて、神経をズタズタにして、それでも魔力を回転させていけば奇蹟に手は届くわ』
 誰の声だ、これは。
 凛、か?
 そうだ、凛だ。
 でも、俺は凛にこんなことを言われたのだろうか。
 俺が魔術師としての凛を知ったのは、つい最近のこと。
 なら、この言葉を聴いたのも、つい最近のことか。
 覚えていないな。
 散々頭をぶん殴られたからかな。
 パンチドランカーってやつだ。
 ふわふわして、記憶がどこか頼りない。
 それとも、これを聞いたのは、俺以外の誰かか。
 きっと、そうなのだ。
 なるほど、ならば、きっとそいつは、生き残ったのだ。
 限界を超えて、それで、奇跡を手にしたのだ。
 奇跡。
 奇跡を手にして。
 果たして、その男は。
 幸せに、なれたのか?

 episode33 FAKE PILAYS WITH SNAKE. ;THE SECOND

 起きる。
 起きる。
 とりあえず、全てはそれからだ。
 戦うにしても、逃げるにしても。
 攻めるにせよ、守るにせよ。
 まずは、立ち上がれ。
『もう二度と倒れない』
 そう誓ったのは、何分前のことかしらん。
 前言撤回、朝令暮改。
 あまりに無様。
 しかし、二度と立ち上がらない、それよりはマシだ。
 守るべき人達を見捨てて、安穏とした別の世界に旅立つ。
 そんな身勝手、許されるか。
 右手に、 干将。
 左手に、 莫耶。
 絶世の名剣、それを罰当たりにも、杖代わりにして立ち上がる。
 それとも、俺如きが作った贋作、それくらいの扱いが相当か。
「…へえ、きみも、そのけんを、つくるんだぁ…」
 ぞくり、とした。
 彼我の距離、約5メートル。
 佇むライダー。
 さっきまでの、笑いが無い。
 無表情。
 その無表情が、堪らなく怖い。
「…そのけん、きらいだな。だって、とてもいたいんだもの」
 そういえば、あの夜、ライダーはアーチャーと戦っていた。
 ひょっとしたら、アーチャーはこの剣で彼女に痛撃を加えたのか。
「ああ、いらいらするよう。どうしようかなぁ…」
 髪をばりばりと掻き毟る彼女。
 ばりばり、ばりばり。
 髪の毛を、ばりばり、ばりばり。
 いつしか、額から紅い血が流れ始めても。
 彼女は、無表情のまま、頭を掻き毟り続けた。
 やがて、ぴたりと動きを止めて。
 そして、呟いた。

 ころそうか

 喉もとまで出掛かった悲鳴を、無理矢理に飲み下す。
 男が一度戦うと決めたのだ。
 漏らしていいのは、歓喜の声と、勝鬨くらいのものだろう。
 腰を落とす。
 考えるな。
 己が何かを為せると思うな。
 お前は、戦うものではない。
 生み出すものだ。
 ならば、己が生み出したものに全てを賭けろ。
 どうせ、たいしたチップは残っちゃいない。
 有り金全部、ここでレイズだ。
「そうだね、きめた、ころそう」
 無表情の彼女が、そう宣言する。
 それと同時に、ばちばちと、火花のようなものが、彼女を包んだ。
 なんだ、これは。
 とんでもない魔力の渦。
 じゅうじゅうと、肉の焦げる嫌な匂い。
 それでも、彼女は少し煩わしそうにしただけで。
 その無表情を、崩さない。
「ああ、もう、うっとうしいなあ」
 きっと、これが令呪の束縛だ。
 何者かが彼女に課した制約。
『衛宮士郎を、殺すな』
 それを、自ら破ろうとしている彼女。
 それに対して、令呪が責め苛んでいるのだ。
 だが。
 彼女は、苦痛すら意に介さない。
 痛覚を、忘れてしまったのだろうか。
 それとも、この程度の束縛では、今の彼女を縛ることは出来ないのか。
 もしくは、既に彼女が、令呪によって縛られる対象では無くなってしまったのか。
「うん、ざんねんだけどね、そのけんはだいきらいだから、きみもきらいだよ」
 蛇のように、ぺろり、と舌なめずり。
「だからね」
 僅かに、体を撓める。
「しんじゃえ」
 ごぼり、と。
 リノリウムの床が、彼女の踏み込みによって削られる。
 音が、遅れてきた。
 おそらくは、錯覚。
 しかし、先に衝撃があった。
 少なくとも、俺の実感としてはそうだ。
 顔面の前で交差させた双剣。
 あろうことか、その刃に、ライダーは直接拳を打ち込んできたのだ。
 いくら贋作とはいえ、これは宝具。
 よしんば英霊とはいえ、生身の拳をその刃に打ち込めば、拳は裂け、石榴の実のように弾けるだろう。
 その、淡い期待。
 それは、視覚と聴覚によって裏切られた。
 耳に響いたのは、廊下を満たす、硬質な金属音。肉が裂け、骨とぶつかった、そんな音ではありえない。
 瞳に映ったのは、彼女の白く美しい肌、それを犯す、黒い鱗。魚類か、爬虫類のみが持ち得る、硬化した皮膚。贋作の宝具如きでは、貫けない。
 思わず、たたらを踏む。
 そして、追撃。
 まるで、足枷を放たれた獣。
 連打。
 悲鳴のような叫び声。
「あひゃあ!」
 拳が。
 蹴りが。
 肘が。
 膝が。
 あらゆる攻撃が、あらゆる角度から。
 永久機関のように、叩き込まれる。
 かわす。
 いなす。
 ふせぐ。
 うける。
 あらゆる防御を駆使して、守る。
 スウェー。
 ダッキング。
 パリング。
 当然、それらの隙間に、剣を振るう。
 なんとか、手傷を負わせることは出来るのだ。
 赤い糸屑くらいの、掠り傷ならば。
 しかし、その下に、硬質な何かがある。
 皮膚は裂けても、その下にある何かを切り裂くことが出来ない。
 こんなはずは、ない。
 この剣ならば、貫けるはずだ。
 本当の、この剣ならば、間違いなく、貫ける。
 ならば、この剣は。
 所詮は。
 拳。
 まっすぐ。
 狙いは、俺の顎。
 剣で受ける。
 パリンと。
 砕け散った。
 砕けたのは、 干将か、それとも莫耶か。
 どちらでも、同じこと。
 なぜなら、片方が砕け散ったその瞬間、もう片方の剣も、後を追うように姿を消したから。
 無手。
 圧倒的な隙。
「あらぁぁ!」
 返しの拳。
 防げない。
 左胸に、突き刺さる。
「が、はぁっ…」
 めき、と。
 肋骨の拉げる、不快な音。
 吹き飛ばされる。
 今までなら、彼女は優しく俺を待っていたけれども。
 きっと、今は追撃の体制にあるはずだ。
 ならば、今しかない。
 この刹那。
 ここで、新たな剣を打て。
 でないと、死ぬぞ。

 さっきの剣は駄目だった。
 あれは、ライダーに砕かれたように見えて、実はそうではない。
 俺の中での矛盾が大きくなりすぎて、消え失せた、それだけのことだ。
 なら、何が甘かった?
 骨子の想定か?
 技術の模倣か?
 年月の再現か?
 どれでもない。
 どれでもないが、そのどれもだ。
 全てが甘い。
 あいつの剣と比べて、似通っているのはその外観のみ。
 それ以外は、比較するのもおこがましいほどの、劣化品だ。
 ならば、目指すのはあの剣。
 真紅の槍を受け切った、あの双剣。
 あれを、目指せ。


 だめだ。

 ―――声だ。
 
 ふかのうだ。

 ―――また、声だ。

 そんなもの、おまえにはすぎたものだ。

 ―――これは、知っている。

 やめろ。

 ―――この声は、聞いたことがあるぞ。

 とめろ。

 ―――いつも、聞いている。

 ゆるされない。

 ―――これは、俺の声だ。

 みのほどをわきまえろ。 

 ―――俺の中に住んでいる、俺の声だ。

 そんなもの、えみやしろうにはすぎたものだ。

 ―――俺よりも俺を知っている、俺の声だ。
 
 おまえにできることは、がんさくのがんさくの、そのまたがんさくをつくることくらいだ。 

 ―――こいつは、知っている。

 おまえが、あのひとのまねをするだと。 
 
 ―――不可能だと、知っている。

 ぞうちょうするにも、ほどがある。 

 ―――俺が、なれないと、知っている。

 この、フェイクが。 

 ―――俺は、あいつに届かないと、知っている。
 
 きせきでもおきないかぎり、おまえは、あのひとには、なれない。


 パリン。

 パリン。

 パリン。

 パリン。

 何度、砕け散った?
 三回目までは覚えているんだ。
 そこから先は、覚えていない。
 覚えていることといったら、最初はここまで歪じゃなかったことくらいかな。
 最初は、剣の形をしていたから。
 それが、だんだん曲がってきて。
 刃先が、丸まってきて。
 くねくね、ぐにゃぐにゃ。
 もう、今は誰もこれを剣と呼ばないだろう。
 それを、投影し続けている。
 それで、斬りかかっている。
 いや、殴りかかる、そう言ったほうが正しい。
 だって、すでに刃は付いていない。
 そんなこと、今の俺には出来なくなっている。

 やられ放題だった。
 やられ放題だった。 
 やられ放題だった。
 やられ放題だった。 
 やられ放題だった。 
 やられ放題だった。

 殴られ放題だった。
 蹴られ放題だった。
 サンドバックだった。
 いや、そのほうがまだましだ。
 俺がサンドバックなら、諦められる。
 でも、俺には反撃するための手足があるのに。
 まるで、蓑虫みたいに、何も出来ないのだ。
 そんなの、サンドバックに失礼じゃあないか。

 まだ、生きている。
 辛うじて、生きている。
 ただ、生きている。
 生きている、だけ。

 さっきまで生きていられたのは、ライダーに不可思議な命令を下した誰かのおかげ。
 彼女の動きがやっと見えるのは、キャスターにもらった薬のおかげ。
 今、致命傷を避けているのは、この身に宿った誰かの経験のおかげ。
 身体が頑丈なのは、この身に埋めこまれた何かのおかげ。

 そのどこにも、俺がいない。
 俺が、いないんだ。

 悔しい。
 歯が軋む
 まだ、俺は負けていない。
 戦う意志なら、腐るほど残っている。
 誰かが言っていた。
 勝利は、神が与えるものだと。
 しかし、敗北は自らが与えるものだと。
 真の敗北は、誰かが認めるものではない。
 ただ、己の心が折れたとき、自分が自分に与えるものだと。
 ならば、俺は負けていない。
 小学生が帰り道に戯れに蹴って遊ぶ石ころ。
 それくらいに、何の反撃も出来なくても。
 それでも、俺の心は折れていない。
 戦う意志なら満タンだ。
 なのに、武器が無い。
 物質的な意味じゃあないぞ。
 相手を倒すための何か、そう言う意味での武器だ。
 それが、無い。
 例えば、今、俺が、完璧にあの双剣を投影できたとしても。
 例えば、今、俺が、この化け物の目を抉り出すことができたとしても。
 それでも、この結界は解呪されないだろう。
 この闘いにおける敗北は、俺の死なんかではない。
 藤ねえ。
 霞んだ視界に映る、大事な人。
 血を吐き出し、白目を剥いて、痙攣する、あなた。
 ああ、死んでしまう。
 また、守れない。
 また、守られた。
 嫌だ。
 そんなの耐えられない。
 誰か。
 誰か、助けてくれ。
 誰か。
 そうだ。
 何で忘れてたんだ。
『危ないことがあれば、令呪を使って私を呼ぶように』
 セイバー。
 彼女なら。
 彼女なら、何とかしてくれるか。
 出し惜しみなんて、出来ない。
 なら、今。
 彼女を、呼び出して―――!
「…こ、い……セ、イ―――げふっ」
 喉を、掴まれた。
 そのまま、吊り上げられる。
 足が地面から離れる。
 息が、出来ない―――。
「サーヴァントは、よばせない」
 無表情の、ライダー。
「だれも、たすからない」
 爪が、皮膚を食い破る。
「おまえは、ここで、しね」
 彼女の手は、俺の気管を握り潰す。
 それで、終幕。
 どんなに丈夫な体でも、呼吸が出来なくなればお終いだ。
 ぎちゅり、と。
 肉は爆ぜて。
 血が溢れ出して。
 そして、俺は、死ぬ。
 はずだった。

 どごん、と、耳元で大砲をぶっ放したみたいな音が聞こえた。
 吹き飛んでいくのは、ライダー。
 彼女と一緒に、わずかばかりの俺の首肉も千切れ飛んだが、ほとんど気にならない。
 支えを失った俺の体は、廊下に倒れ伏す。
 もう、立ち上がる力すら残っていないらしい。
 かつかつ、と、硬質な音が聞こえた。
 靴の音。
 妙に、寒々しい、音。
 近づいてくる。
 誰だろう。
 思考が、鈍磨だ。 
 たいしたことが考えられない。
 痛みと疲労の区別のつかない身体。
 それに、精神も引きずられているのだろう。
「愚か者が。主命を忘れるとは、その罪、万死に値するぞ」
 あれ?
 この声、誰の声だ
 最近、聞いた声だ。
 でも、セイバーの声じゃあない。
 だって、これは男の声だ。
 そして、アーチャーの声でもない。
 似ているけど、何か、違う。
「サーヴァントが、二体、いや、三体接近している。さっさとこの結界を解け。こんなもの、サーヴァントには何の役にもたつまい」
「…………!」
 何か、よく分からない言葉が聞こえて。
 景色が、赤くなくなった。
 体が、ほんの少しだけ、軽くなる。
 顔を、起こす。
 きっと、俺と皆を助けてくれた人物。
 その顔が、どうしても見たかった。
 少しずつ上を映し出す視界。
 そこに映ったのは。
 長身。
 襤褸のような外套。
 猫背気味の姿勢。
 蒼い、逆立った髪。
 そして、泣き顔の、仮面。
 ああ、思い出した。
 こいつ、あの晩の。
 確か、名前が。

 ヨハネ。


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